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「最悪の買収」を裏づけたHPの減損処理
2012年11月22日(Thu) Financial Times
(2012年11月21日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ロンドンのシティ(金融街)の一部では、昨年、ヒューレット・パッカード(HP)が110億ドルで英国のソフトウエア会社オートノミーを買収することに合意したというニュースは、信じ難い思いで受け止められた。何しろほんの半年前には、その半額程度の株価水準で取引されていた会社だ。
「この買収は理屈に合わない」。英国の証券会社ピール・ハントのアナリスト、ポール・モーランド氏はこう書いた。「HPの株主は心配すべきだ」
ここへ来て、株主が実際どれほど心配すべきだったのかが明らかになった。HPは20日、ソフトウエア事業で88億ドルの減損処理を行い、そのうち50億ドル以上が、買収前のオートノミーでの「重大な不正会計、開示不足、全くの虚偽の説明」とされる行為が原因だった。
複数のアナリストが鳴らしていた警鐘
経営陣がころころ入れ替わるHPで、また新たな危機が取締役を巻き込もうとしている〔AFPBB News〕
ただでさえ不振に苦しむHPにとって、巨額の減損処理は、同社の最悪の買収になっていたものを改めて裏づけた。
オートノミー買収の過大な買収価格は既に、HPの最高経営責任者(CEO)を1人失脚させる一因となり、今再び、近年HPを揺るがしてきた、果てしなく続くかに思える取締役会の危機の新たな一幕に同社取締役を巻き込もうとしている。
HPの取締役会が直面する差し迫った問題のうち一番大きいのは、その会計方法から既にアナリスト数人が警告を促していた会社を、HPがどれほど綿密に調べたのかという問題だ。5月下旬にオートノミー元幹部が最初に提起した不正会計の程度をHPが明らかにするまで6カ月の時間がかかったという事実は、不安感を高めるだけだ。
HPが舞台に登場するかなり前から、シティには、オートノミーの事業の堅実性について疑問を呈する少数の金融アナリストがいた。彼らの声は時に、会社側から異様に激しい反応を引き出すこともあった。
現在はベレンバーグ銀行に勤め、当時はJPモルガン・カザノブのアナリストだったドード・カーン氏は、オートノミーの会計慣行に疑問を投げかけた後、1年近くにわたってアナリスト説明会への出入りを禁止された。
「会社をカバーするアナリストが25人いる。23人がバイサイドで、2人がセルサイドだ。痛いところを突いたのでなければ、なんで気にする必要があるのか?」。カーン氏は20日、こう問いかけた。
オートノミーは投資家からの圧力を受けた後に折れ、カーン氏の説明会出席を認めた。
買収過程で巨大な穴を見逃したのは「衝撃的」
ピール・ハントのモーランド氏は、HPがオートノミーを買収した時に、「利益率は低下しており、利益の伸び率は1ケタにとどまり、どういうわけか、こうした利益が本来あるべき額ほどの現金をもたらしていない」と警告していた。
モーランド氏は何年も前からオートノミーの会計はどこかおかしいと主張してきた数少ないアナリストの1人だが、それでもやはり、HPが潜在的に50億ドルにも上る穴を見逃したことに驚いたようだ。「公開されている会計報告を調べて私が見つけられたのだとすれば、HPの立場ある人が見つけられなかったのは衝撃的だ」と同氏は言う。
後から考えると、意味ありげに思える警告もあった。オートノミーの投資家向け広報の元責任者で、その後ドイツ銀行のアナリストに転身したマーク・ギール氏は当時、オートノミーは会社の統制や制度に合わないほど大きくなり、新興企業により一般に見られるプロセスを踏む大企業になっていると警鐘を鳴らした。
これだけのことがあっても、HPの当時のCEO、レオ・アポテカー氏は、オートノミーに大きく賭け、ソフトウエア事業を中心にぼろぼろのハイテク・コングロマリット(複合企業)を立て直すという自身の取り組みの目玉にすることを断念しなかった。
過大な買収金額に対する株主の反乱は、それから数週間後にアポテカー氏が更迭される大きな理由になった。
オートノミーの会計の3つの問題
しかし、HPが20日にオートノミーの元経営陣に浴びせた会計絡みの3つの告発に関して注意を促すものは何もなかった。
1番目かつ最大の告発は、オートノミーが売り上げのかなりの部分――HPによると、買収前の2年間は四半期ごとに10〜15%――をハードウエアの販売から稼いでいたやり方に関係している。HPによれば、ハードウエアは赤字で売られていたが、一部のコストはマーケティング費用として計上され、オートノミーはハードウエアの販売で粗利益を計上することができたという。
また、HPによると、オートノミーはこれらをソフトウエアの販売による売り上げとして報告しており、同社の事業はもっぱら利益率の高いソフトウエアに基づいているという印象を強めていた。
HPの2つ目の告発は、「付加価値再販業者」として知られる仲介業者を通じて行われた販売に関係している。こうした販売の一部は、最終顧客が存在しなかったにもかかわらず、オートノミーによって売り上げ計上されたという。これは「チャンネルスタッフィング」と呼ばれる慣行だ。
HPは3つ目の告発として、オートノミーは長期契約の一部を即時の販売として扱い、本来計上すべきタイミングより前に売り上げを計上していたと述べている。オートノミーのCEOだったマイク・リンチ氏は、HP側の主張を否定している。
HPに「勝者の呪い」?
一方、HPのCEOのメグ・ホイットマン氏にとっては、オートノミーで不正会計がこれほど広がっていたという事実は厄介な疑問を提起する。
「ハイテク界では誰もが『勝者の呪い』について知っている」とパンミュア・ゴードンのアナリスト、ジョージ・オコナー氏は言う。勝者の呪いとは、箔がつく一流資産と見なされる企業の買収合戦で一番高い値段をつける気がある買い手は、結局、敗者になることが多い状況を指す言葉だ。
「デューデリジェンス(資産査定)の実施に関しては、企業が大抵、こだわり過ぎるほどこだわるのはこのためだ」とオコナー氏は話している。
By Duncan Robinson, Richard Waters and Bede McCarthy
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36602
JBpress>海外>IT [IT]
HP、またしても巨額赤字
不正会計が発覚、再建の道のり険しく
2012年11月22日(Thu) 小久保 重信
米IT大手ヒューレット・パッカード(HP)が20日に発表した8〜10月の決算は、多くの投資家にとって衝撃的だったようだ。同社は昨年買収した英オートノミー(Autonomy)の減損費用として88億ドルを計上したと発表した。
このうち50億ドル以上が不正会計処理に関するものといい、HPは「買収前の経営者による、不適切な会計処理、不実表示、情報開示の不履行があった」と説明した。
前CEO、オートノミーを高値で買収
HPのメグ・ホイットマンCEO〔AFPBB News〕
HPでは今年5月に、オートノミーの創業者マイク・リンチ氏が退職したが、その後オートノミーの幹部が、過去に不審な会計処理や商慣行があったことを申し出たため、内部調査を開始した。
これにより、売上高、粗利益、成長率などが水増しされており、買収時のオートノミーの企業価値が実態よりも高く評価されていたことが分かったという。
同社はすでに米証券取引委員会(SEC)と英重大不正監視局(SFO)に報告しており、当時の関係者を相手に訴訟を起こす準備を進めるとしている。
メグ・ホイットマン最高経営責任者(CEO)は、「オートノミーの買収を進めたのはレオ・アポテカー前CEOと、シェーン・ロビンソン前事業戦略責任者だが、いずれも既に当社にいない」とし、この問題が自分のCEO就任前のことだと説明した。
一方で、米ウォールストリート・ジャーナルによると、オートノミー創業者のリンチ氏は「疑いは完全に間違っている」と否定している。アポテカー氏も「世界で最も大きく、評判が高い2つの会計事務所を通じて徹底的に調査されたはず」と反論している。
相次ぐCEOの交代で混乱
ただ、いずれにしても、問題が起こる経営トップをこれまで何人も選んできた同社の取締役会には厳しい目が向けられているようだ。
HPでは2005年に米コンパックとの大型合併を強行したカーリー・フィオリーナ氏が取締役会との対立で会長兼CEOの職を追われた。その後任としてマーク・ハード氏が会長、CEO、社長職に就いたが、2010年に不適切な経費報告があったことなどがスキャンダルとなり追放された。
ハード氏に代わって、同年11月にCEOに就任したのがアポテカー氏だったが、パソコン事業の分離・独立計画、タブレット端末開発の打ち切り、そしてオートノミーの買収と、その大胆すぎる行動や、業績改善の成果が上がらないことが指摘され、昨年9月に更迭された。
5四半期連続で減収
同社は今、ホイットマンCEOの下で経営再建中。だが、20日に発表した今年今年8〜10月の決算は、純損益が68億5400万ドルの赤字。
同社は5〜7月期もEDS(エレクトロニック・データ・ システムズ)事業の減損費用が膨らんだことなどが響いて88億5700万ドルの赤字を計上しており、これで2四半期連続の巨額赤字となった。
また、売上高は、1年前から6.7%減の299億5900万ドルで、5四半期連続の減収だ。主力のパソコン事業の売り上げが1年前から14%減と大きく落ち込み、ノートパソコン、デスクトップパソコンともに同15%減となっている。
この発表を受けて失望感が広がり、HPの株価は一時10%以上下落した。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/36604
【第758回】 2012年11月22日 週刊ダイヤモンド編集部
本業大不振で売上高が半減 存亡の機に立たされる金融取
東京四大取引所の一つ、東京金融取引所(金融取)が存亡の機に立たされている。理由はそのものずばり、主力事業の低迷だ。稼ぎ頭の「金利先物等取引」と、外国為替証拠金取引(FX)の「くりっく365」の取扱量が急速に減少しているのだ(下グラフ参照)。
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前任の斉藤次郎社長(現日本郵政グループ社長)の後を継いだ太田省三社長。4代続けて旧大蔵省出身者がトップに就く金融取の行く末はどうなるのか拡大画像表示
その落ち込みぶりは、目を覆わんばかりだ。まず、金利先物は、今上期の取引量が前上期比21.1%減となり、さらに前々上期と比べると55.8%減となっている。日本銀行の金融緩和政策により超低金利が継続するとの見方が広がっており、企業や投資家が金利変動に備えて金利先物を利用する頻度が減っているためだ。
さらに深刻なのが、くりっく365だ。今上期は前上期比で実に61.5%も落ち込んでいる。FXに対するレバレッジ規制の強化や、為替レートの動きが少ないことに加え、今年1月の税制改正が追い打ちをかけた。
税制が改正されるまでは、くりっく365に代表される取引所FXは申告分離課税が認められていた上、税率は一律20%だった。
一方、FX専門会社などが提供する店頭FXは、総合課税のため他の収入と合算され、所得に応じて最大50%が適用されていた。ところが、税制改正によって店頭FXにも申告分離課税が適用されるようになったことで、くりっく365の優位性がなくなってしまったというわけだ。
収益的にいえば、金利先物のほうが、くりっく365の3倍の収益を稼ぎ出す。だが、金利先物は2期連続の赤字に陥っており、それをくりっく365の収益で支えていたにもかかわらず、くりっく365の急落で支え切れなくなったという構図だ。その結果、業績は惨憺たるものになっている。
売上高に相当する営業収益は、前上期の56億4000万円から今上期は25億7100万円と半分以下に落ち込んだ。営業損益は4億3100万円の赤字となり、最終損益も4億4200万円の赤字に沈んでいる。
では、打開策はあるのか。その答えは、厳しいと言わざるを得ないだろう。
金融取の業績は、「ジェットコースター経営」(関係者)といわれるほど取引量の多寡に左右される。となれば、日銀による超低金利政策が継続されると目される中で、取引量が拡大するとは考えにくい。「手数料の交渉や、次期システムが稼働すればランニングコストが大幅に下がる」(金融取幹部)というが、手数料は相手次第の側面が強く、次期システムが稼働するのは1年半後のことだ。
無借金経営で内部留保は厚いとはいえ、免許事業である取引所が、いつまでも赤字を垂れ流したままでは、とうてい許されまい。来年1月に発足する日本取引所グループへの吸収も、現実味を帯び始めている。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 藤田章夫)
http://diamond.jp/articles/print/28189
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