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金利上昇リスクから金利が上がらないリスクに 12月は「金融緩和冬季オリンピック」 年率3.5%マイナス成長の衝撃
http://www.asyura2.com/12/hasan78/msg/582.html
投稿者 MR 日時 2012 年 11 月 21 日 02:17:12: cT5Wxjlo3Xe3.
 

【第82回】 2012年11月21日 高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト]

金利上昇リスクから金利が上がらないリスクに
12月は「金融緩和冬季オリンピック」

――高田創・みずほ総合研究所チーフエコノミスト
2012年の債券市場最大リスクは
オバマ大統領が再選されないことだった

 筆者はストーリーラインとして、2012年の日米債券市場の最大のリスクは、現職のオバマ大統領が再選されないこととしてきた。

 市場のなかでも、ロムニー候補が大統領になった場合は金利上昇と見る向きが多かったが、その理屈としてロムニー候補の場合、バーナンキ議長退任というシナリオがあり、その場合、金融緩和の解除時期が前倒しになるとするものだった。

 一方、筆者が今年、オバマ大統領が再任されないことが債券市場最大のリスクシナリオとして考えてきたのは、金融政策よりもむしろ財政政策にあった。今年の米国景気が下振れしすぎた場合には、オバマ大統領への反対票が集まって再選が困難になることで、「景気があまりに悪すぎることも債券市場のリスクシナリオだ」と、一般的な認識とは異なる評価を行なってきた。

 したがって、年半ばにかけ米国景気の悪化が議論されたときには、債券市場に警戒的なスタンスを示し、夏場以降、米国経済の楽観観測が生じたことは、むしろ債券相場を長持ちさせる要因としてきた。

 ロムニーになれば、結局前例に囚われない財政拡大の可能性もあった。このような考えの背景には、もし財政が緊縮から拡大の方向に向かう可能性があるとしたら、現職のオバマ大統領が敗れるほどの経済不満の高まりに伴う「逆バネ」によって、財政緊縮バイアスをなし崩し的に戻すシナリオしかないと考えてきたからだった。

 その1つの歴史的事例として、1980年の米国大統領選で民主党のカーターから共和党のレーガンに大統領が代わったことを、念頭に置いてきた。当事、レーガン候補は「小さい政府」を掲げながらも、大統領に就任すれば「大減税+軍事支出拡大」で財政赤字を拡大し、結果として財政拡大に大きな舵を切った。

 以上のシナリオは、仮にロムニー候補が勝った場合には、一定の確率で起こりうるリスクとして筆者は想定してきた。したがって、ロムニー候補勝利の場合、大幅な金利上昇も生じうると考えていただけに、10月下旬、オバマ・ロムニー拮抗との観測のなか、一旦、リスクを引き下げた対応も必要としてきた。

今日の世界は米欧主要国における
財政緊縮の「合成の誤謬」

 今日、世界経済は、依然景気低迷状況にあるが、各国は自国の内向きな債務危機に対処して財政緊縮のブレーキを一斉に踏む状態にある。各国中央銀行は金融緩和を競う「世界金融緩和オリンピック」にあるが、本音では「内向き」な自国通貨切下げ競争である。しかも、各国の対応が国家間のフリクションを強める構造は、世界大恐慌が生じた1930年代に類似する。

 ここで大きな問題は、世界第1位の経済力である米国に加え、欧州が財政緊縮に向き、さらにそれまで財政を拡大させてきた中国、日本も財政拡大余力が限られる状況にあるなか、世界全体の需要が大きく収縮する不安にあることだ。

 欧米各国が個別に「内向き」の姿勢で財政緊縮を行なうのは「正論」でも、世界中が財政緊縮を行なうことの「合成の誤謬」が生じるリスクが、大恐慌にも似た不安を招く。

今後の債券市場のリスクは
「金利が上がりにくいこと」に転換

 今回、米国大統領選でオバマ大統領が再選されたことは、財政政策に関してそこまでの大きな「レジーム転換」を米国国民が望んでいなかったことを示す。しかも、オバマ大統領は再選を果しても、共和党との間で妥協点を見出すのは容易でない。議会では上院が民主党、下院が共和党という「ねじれ状態」継続である。

 今日、世界大恐慌以来の経済収縮に世界経済が瀕したなか、その罠から逃れるのは、米国が「財政の崖」を崩すだけでなく、積極的に世界経済を牽引するくらいの財政拡大に向けた転換が必要となる。

 ただし、その実現に向けた政治の溝は極めて大きい。今後を展望すれば、大きな転換も生じにくく混迷が長引くというのが、現段階での認識となる。米国国民は、半ば消去法的にオバマ大統領の再任を選択したが、それは経済の面から見ると、新たな混迷の始まりのように見える。

米国の内向き姿勢が
引き起こす世界の混乱

 米国の「内向き」な姿勢は経済に止まらず、政治外交にも影響を与える。オバマ政権は、ブッシュ政権におけるイラク・アフガニスタンでの戦いに対する厭戦意識の世論を背景に、外交面でも内に向いた姿勢が目立つ。

 中東への関与の低下が「アラブの春」とされる変動を生じさせ、アジア太平洋では中国の台頭が生じる土壌を招いている。

 金融市場を展望すれば、債券市場のリスクシナリオは、これまでの大統領選挙に伴う金利上昇シナリオだったが、当面は現状の金融財政政策フレームワーク継続のなか、むしろ金利が上がりにくいことがリスクになる。

QE3ではQE1やQE2と
市場は異なる反応に

 次の図表1は、日米の10年国債金利の推移である。QE1以降の債券市場のバイオリスムは、2009年に実施されたQE1、2010年のQE2と金融面のカンフル剤投入を期待して長期金利が大幅に低下し、実際に金融緩和が実施されカンフル剤投入となると、金利反転が繰り返された。


拡大画像表示
 過去のQE1、QE2を振り返ると、カンフル剤処方の直後は一定期間、政策効果期待から金利上昇が続いたが、その効果が及ぶ期間は長続きせず、QE2の効果が及ぶ期間はQE1のときよりも短かった。今年9月のQE3の10年金利に与える影響はより縮小しており、金融緩和を行なっても「笛吹けど踊らず」の状況が生じ出している。

金融緩和オリンピックの
資金は債券に向かうか

 QE3に伴う金融市場の受け止め方は「笛吹けど踊らず」になっているが、一方で政治や政策当局サイドの意識は、世界経済の減速に加え、各国が固有の事情で「財政の崖」を抱える中で、一層金融緩和への期待が強まる状況にある。

 こうした状況下、投資家の問題意識は、追加緩和に伴う資金が今度はどこに向かうのかにある。その資金は結局、債券市場に向かいやすいのではないか。また金融緩和の実態は、結局「通貨戦争」にあるのではないか。

 日本では、12月の金融政策会合(12月19、20日)は16日の総選挙の後に予定されている。したがって、12月の世界各国が金融緩和を競い合う「金融緩和冬季オリンピック」に、日本は新政権も展望した政治的側面から相当の覚悟で本格参戦するのではとの意識が生じやすい。

 今後の金利予測には、政治的観点から財政金融の方向がどうなるかをつかむ必要がある。
http://diamond.jp/articles/print/28239


【第199回】 2012年11月21日 週刊ダイヤモンド編集部
年率3.5%マイナス成長の衝撃 早期の景気回復にはリスク山積


7〜9月期のGDPは大幅なマイナス成長に陥り、日本の「景気後退期」入りが明らかになった。年明けにはプラス成長に復帰すると予測されているものの、回復の足取りはおぼつかない。結局は“外需頼み”であり、下ブレのリスクは山積みだ。日本経済がそもそも持つ脆弱性が、あらためて露呈した。

「民間需要の自律的な成長が極めて弱い。日本経済の低迷ぶりは深刻だ」(白川浩道・クレディ・スイス証券経済調査部長)

 7〜9月期の実質GDP成長率(経済成長率)は▲0.9%、年率にして▲3.5%と、大幅なマイナス成長になった。日本経済は今年3月ごろをピークにして「景気後退期」に入っていたことが、ほぼ確定的になった。

 2012年度通期での成長率は0.7〜0.8%程度となりそうだ。今年度は東日本大震災の復興需要で比較的高い成長が予測されていただけに、ショックは大きい。

 要因としては、世界経済の減速による輸出の落ち込みが大きいが、内需すなわち個人消費や企業の設備投資もそれに匹敵するほど落ちている(下グラフ参照)。「公的部門以外は総崩れ」(新家義貴・第一生命経済研究所主席エコノミスト)の状況だ。

http://diamond.jp/mwimgs/c/f/530/img_cf57cfdff50f4d884eac9720d950b80058065.gif
 当面の注目点は、この景気後退がいつまで続くかである。

「7〜9月期のマイナス成長は新興国経済の減速、尖閣問題による日中関係の悪化、エコカー補助金終了などの特殊要因が重なった結果であり、10〜12月期には米・中向けの輸出が持ち直して若干のプラス成長になる」(会田卓司・UBS証券シニアエコノミスト)との見方もあるが、現時点では、10〜12月期もマイナス成長が続き、回復に転じるのは年明け1〜3月期になるとの予想が大勢を占める。

 時期の前後はあっても、世界経済は緩やかに持ち直し、日中関係悪化の影響や自動車販売の反動減といった悪材料も解消、それに伴い内需も底打ちする、との見方だ。

 ただし、決して楽観できる状況ではない。下ブレのリスクが山積している上、今回のマイナス成長の一部は、日本経済の構造問題に起因しているからだ。

露呈した外需頼みの脆さ
米中経済の回復は限定的

 まず下ブレリスクだが、消費は来年春ごろまで、むしろ成長率の下押し要因となる可能性のほうが高い。景気の悪化が雇用や賃金に波及しつつあるためだ。生産の低迷で残業代も大幅に減少しており、9月の有効求人倍率は09年7月以来の悪化を示した。「雇用は景気の遅行指標であり、これから影響が出る可能性が高い」(新家主席エコノミスト)。エコカー補助金終了の影響が予想以上に長引くリスクも否定できない。

 設備投資も不透明感が強い。7〜9月期の落ち込みは、内外の景気、特に米国と中国の減速で、企業が投資を控えた結果とみられるが、現状、企業は先行きの好転を確信するには至っていない。

 消費や投資といった内需の足元の落ち込みは、外需の低迷が波及している面が大きい。頼みの復興需要の支えは、今後剥落する。結局、輸出のみならず内需の回復も“外需頼み”であり、世界経済がいつ、どの程度回復するかにかかっているのだ。

 特にカギを握るのは米国と中国の景気動向だが、いずれも過大な期待は禁物である。

 米国に関しては、今年末に終了する減税措置と年明けの歳出の自動削減開始が重なり急速に緊縮財政へと転換する、いわゆる「財政の崖」による景気悪化を回避できるかが焦点となる。

 米国の民主党と共和党は、財政再建の手法をめぐって対立している。民主党のオバマ大統領が再選した一方で、米連邦議会下院では共和党が過半数を握る“ねじれ”状態が継続し、今後の交渉は難航必至である。いずれにしても緊縮方向は間違いなく、2%以上の成長は望みにくい。

 そうなると、景気を支えるために米国は金融緩和を続け、為替には円高圧力がかかり、日本の輸出産業に影響が出るだろう。

 中国経済については、日中関係悪化の影響が長引く懸念もあるが、それ以前に、中国の景気動向そのものの影響のほうが大きいと、多くの専門家が指摘する。中国は高成長から安定成長への転換期にあり、リーマンショック後の「4兆元景気対策」がバブルや格差拡大などの多大な副作用をもたらした反省から、大型刺激策を取る可能性は極めて低い。景気減速に歯止めがかかっても、世界経済を牽引するほどの高成長は望めない。

消費増税実施に黄信号
政局混乱で対策見えず


政局の混迷が、問題をいっそう複雑にしている。経済政策をめぐり、民主党と自民・公明両党との間での駆け引きも予想される。写真は11月13日の衆院予算委員会での野田首相(右)と岡田副総理
Photo:JIJI
 つまるところ、外需は“今よりはよくなる”という程度だ。結果として、日本経済は年明けからプラス成長に転じても、その足取りはかなり弱いものになる公算が大きい。景気回復自体が後ズレする可能性も低くない。13年度後半は、消費税増税を前にしての駆け込み需要が成長率を押し上げる見込みだが、それを含めても、通期での成長率は1%前後にとどまるというのが大方の予想だ。

 政府・与党は“想定以上”の景気悪化に焦燥感を強め、経済対策の策定を急いでいる。

 政府内には、このままでは14年の消費税増税が難しくなる、との危機感が強い。「経験則から、経済対策の効果が出るまでには半年ぐらいかかる。増税のために、13年4〜6月期、7〜9月期のプラス成長を確実にしたいが、そのためには今、対策をまとめないと手遅れになる」(政府関係者)。

 しかし、現時点で対策の中身は全く見えていない。自動車などを中心に産業界から需要刺激策を求める声は強いものの、各省庁は及び腰だ。解散総選挙を目前にして、官僚の間には、新たな政権での政策の弾として温存しておきたい、との思惑があるようだ。結局、対策をまとめ切れないまま“時間切れ”となる恐れがある。

 対策を打てたとしても、その効果を疑問視する声は多い。

 「財政支出はやっただけの効果は出るだろうが、結局は需要の先食いにすぎない。増税のためのバラマキでは本末転倒」(河野龍太郎・BNPパリバ証券経済調査本部長)、「成長率0.3〜0.4%程度が、今の日本経済の実力ということ。需要サイドに働きかける政策が効くのは一瞬だけ」(白川経済調査部長)。

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 消費者物価指数は依然として低迷を続けている(右グラフ参照)。これもつまるところは需要不足に起因するが、根底には少子高齢化や外需に依存した産業構造の転換の遅れ、空洞化といった日本経済の構造問題がある。小手先の対策ではデフレ脱却は難しい。

 日本銀行への緩和圧力が、いっそう強まるのは間違いない。早ければ年内にも追加緩和に踏み切る可能性もある。だが過去の経緯から見て、その効果も一時的な“止血”にとどまるだろう。

 さまざまな予想外の成長率下押し要因があったにせよ、根本的な問題は、日本経済の潜在成長率、つまりは“実力”が低下していることにある。マイナス成長は、それが露呈したにすぎない。その場しのぎの対症療法で産業構造の転換を先送りすれば、日本経済の地盤沈下は止まらないだろう。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 河野拓郎)

http://diamond.jp/articles/print/28188
 

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コメント
 
01. 2012年11月21日 10:04:14 : kVgwY6Ob42
記事中の「成長率0.3〜0.4%程度が、今の日本経済の実力ということ。」という見解は私から見ればかなりの楽観論だ。実質的な「成長」などとうの昔にストップしている。今は過去に築いた遺産を食いつぶして凌いでいると見るべきだ。需要刺激策という名の麻薬をねだる中毒患者を、禁断症状を恐れるあまり薬漬けにし続ける為政者の罪は重い。

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