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http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=270652
『戦後なぜハイパーインフレになったのか』(釣雅雄氏)リンクより転載します。
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「安倍総裁:建設国債の全額日銀引き受け検討 独立性懸念」リンクというニュースを目にしました。現在の財政状況から考えてさすがに危ないかなと思います。ちょうど今の政府債務が対GDP比で戦後直後とほぼ同じ水準(参照リンク)ですので,戦後のハイパーインフレがどのように生じたのかは参考になると思います。
戦後のハイパーインフレは日銀引き受けが引き金となりました。そして,ハイパーインフレと財産税及び預金封鎖により社会構造が大きく変化しました。重要なのは,現在ハイパーインフレが生じた場合は,格差はリセットされずますます広がるということです。そういう人にとって財政破綻は悲惨であり,社会としても絶対に避けなければいけません。
戦後のハイパーインフレというと,モノ不足やブラック・マーケットが思い浮かびますが,そういった需給のアンバランスで生じるインフレはたかだかしれていて,数百倍にもなるハイパーインフレを説明できません。
戦後のインフレも財政的要因,実際には日銀引き受けによる裏付けのない貨幣の膨張が原因でした。ただし,何がきっかけかはもう少し複雑です。
紙幣は所詮は紙切れです。国民からの信認がなければ成立しません。戦争に負け,国民の政府に対する信認は急速に失われたはずです。
実際に『日本銀行百年史第5巻』によると,戦後直後,日本銀行券は44%も増大しました。人々が銀行預金から現金をあわてて引き下ろしたのです。結果,預金に対して現金が3割にものぼるほどになりました。それに対して,日銀は紙幣を発行して対応し,1945年の終戦後半年で日本銀行券は約270億円増加しました。
ただ,この段階では,現金にはまだ使用できるくらいの信認は残っていたともいえます。一般の人は現金を口座から下ろすだけで精一杯だったのではないでしょうか。気がついた人は,現金をすぐに不動産等に換えたでしょう。この段階でもマネーの増大は,取引きのための現金需要の範囲だったのではないかと考えられます。
そう考えていくと,やはりハイパーインフレのもっとも大きな引き金は財政だったと考えます。当時の津島寿一大蔵大臣は,軍事産業の停止によるデフレをむしろ心配したようです。(浜野他(2009)『日本経済史1600-2000―歴史に読む現代―』)そのため,未払いだった臨時軍事費を一挙に支払いました。その8割弱が日銀の直接引受けによりなされたのです。終戦後の半年で,国債は約160億円も発行されました。(なお政府債務残高は,戦時補償債務というのを加えて1500億円程度でした。)
私はもし日銀引き受けがなければ,ハイパーインフレはもっと低く,短い期間ですんだのではないかと考えています。(後に復金インフレも加わる。)
さて,そのハイパーインフレですが,預金封鎖,新円の切り替えさらに最大90%にも及ぶ財産税により,そこから逃れられる国民はほぼいなかったと考えられます。現金を資産に換えてもだめでした。唯一,非常に(実質的に)少額で農地を購入できたかつての小作農の人が得をしました。金融財産,実物財産どちらについても持っていれば持っているほど損をしました。そのため,総じて戦後のハイパーインフレには強力な累進性が働きました。
ところが現代は異なります。今は,私有財産全否定の政策はとれないでしょう。したがって,ハイパーインフレが生じると,預金者の負担は過剰になりますが,一方で資産保有者はほとんど影響を受けません。また,海外に資産を逃避させることができる人も影響を受けません。働ける人は何年かで回復が可能です。今度ハイパーインフレが生じた場合は,社会構造はリセットされず,今の格差はほぼ同じ構成で,ますます拡大するでしょう。
ところが,社会保障削減や消費税増税の財政再建に反対するのはもっとも影響を受けそうな人たちに見えます。極端な経済政策に賛成しているのも,比較的若いが職に満足していない人のような気がします。自らのクビをしめるような選択をしないよう,切に願うばかりです。
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◆目に余る「誤認政策の提言」 −エスカレートする次期首相の軽率発言−
http://ameblo.jp/eiichiro44/entry-11407289969.html
安倍晋三氏がトンデモ金融政策の実現を、至る所で提唱しているらしい。
端的にいってしまえば、
・インフレ目標の拡大(2−3%)、
・その手段としての無制限緩和(買取)、
・日銀当座預金におけるマイナス金利の導入、などになる。
まず、経済学者の池田信夫氏などが早々と指摘 しているが、自分は、上記のような内容は、現況を考えれば、すべて実現不可能であると想定される事から、過剰に反応する事は無い。ただ、安倍氏の提言は傍から見ていてあまりにも滑稽なので、少々言及しておく。
年率コアCPIを目標値1%に設定したのち、直近の数値がどうなっているかといえば、「−0.1%」(9月)。現況においては、この「現目標値1%」の先送り、が考えられている始末だ。このような状況の中、2-3%の目標値を置く事自体、無意味な事であると考える。
安倍氏はFRB(のQE)などを念頭において発言しているだが、FRBが無制限緩和を公言した、とはいっても、FRBが行ったのは住宅ローン担保証券の無制限購入であり、国債を無制限で買い取る事などはしていないし、今後もしないものと考える。
FRBの長期国債買取拡大が囁かれてはいるものの、FRBの国債購入に限っては、その都度、買取規模と期間を明示していくものと思われる。「ECBの無制限」についても、無制限の不胎化が条件になっているので、これは量的緩和ではなく信用緩和だ。重債務国国債の利回りを低下するための手段として、国債を買い込む、といった話。物価上昇の為に、国債を買うわけではない(ECB)ので、意味合い自体が全く異なる。日本では、エセ経済評論家が、これら政策を全て「QE、量的緩和」と一くくりにするが、そのようなデマゴーグが大きく出回っている事自体が問題だ。
バーナンキはジャクソンホール講演で、「FRBが国債市場の支配者になれば、市場における本来の価格設定メカニズムに不全を生じさせる事になるし、金利が上がった時点で、莫大な損失を抱え込む可能性がある」、と言及している。 MBSと違って、国債買取の場合に、期間と規模を明言するのは、それ相応の理由があるわけだ。
安倍氏の提唱する「マイナス金利」については、話にならない。
日銀当座預金の超過準備に金利を付けている(0.1%)事は、たびたび議論になっているが、この事自体が、引き締め措置とは一線を画すものだからだ。安倍さんは、この0.1%の「塞き止め」を外せば、ベースマネーが世間に行きわたる、と単純に考えているようだが、それ以前の問題として、超過準備に金利を付しておかなくては、通常の政策金利調整において、オペが機能しなくなること、短期金融市場が0.1%以下、あまりにも低くなりすぎてしまえば、短期金融市場の流動性自体が枯渇してしまう事が挙げられる。つまりのところの、超過準備0.1%は金利低下抑制の「フロア効果」すら期待されている。 これ以上金利が下がったらマズイ、という警告みたいなものだ。
FRBもECBも、この法定準備を上回る超過分については、マイナス金利に設定する事は無い、安倍さんは、この辺りの事を、恐らく何も理解していない。野田首相の解散発言からの、安倍さんの発言は、前掛かりな軽率論ばかりだ。どこの国においてもそうだが、中銀は独立性を唱えながらも、政策運営の一役を担っている事を考えれば、完全に独立したテクノクラート、とは言い切れない。
ただ、それを差し引いたとしても、今回の「次期首相」による数々の越権発言は目に余るものがある。どうやら、現況を見る限り、彼の周囲に金融知識のある政治家はいないようだ。せっかく民主党から変革を期待されつつある情勢の中、次期政権総裁がこれだけ、無知な発言を繰り返せば、先が思いやられるというものだ。
たとえば、米大統領であるオバマが、FRBの金融政策について、ここまで発言する事があるだろうか?オバマは、安倍さんのようなこんなバカな事は決して言わない。
「インフレ目標の設定・無制限緩和・マイナス金利・・」 こんな事を吹聴する首相を誰が信用するのだろうか? 安倍氏のような危険な政治家がいるからこそ、日銀の独立性が認められているわけであって、日銀はこのような政治家の圧力に屈してはならない。
自分は、政治に通じている訳ではないが、今回の彼の発言の数々は、最初から信用を失うようなものばかり。あまりにも軽率すぎると言わざるを得ない。
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