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日銀の連続緩和 20兆円圧力に迷走 独立性は名ばかり
産経新聞 11月18日(日)18時41分配信
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日本銀行には金融緩和への圧力が増している(写真:産経新聞)
日銀は10月30日、国債などの資産買い入れ基金を11兆円増額する追加金融緩和を決めた。事前に野田佳彦政権から20兆円の基金増額の圧力がかかるなどして決めた、異例の2カ月連続の金融緩和だった。浮き彫りになったのは、政権の意向に翻弄される、「中央銀行の独立性」とは名ばかりの政策決定プロセスだ。自民党などからも一層の金融緩和を求める声が出ており、衆院選後はさらに厳しい立場に追い込まれそうだ。
「大台に乗せることはできないか」。10月上旬、日銀幹部は政府高官から、こう持ちかけられた。
意味するところは、次回に予定されていた同月30日の金融政策決定会合で、日銀の資産買い入れ基金を現行の80兆円規模から20兆円増やし、100兆円台に到達させること。
高官は「上からの指示だ。日銀は9月に基金を10兆円積み増す追加緩和を決めたが、さらにサプライズが欲しい」と続けた。高官の言う「上」とは、野田佳彦首相と前原誠司経済財政担当相を指す。日銀幹部は「野田政権は追加緩和に本気だ」と受け止めた。
野田政権の緩和圧力が強まったのは、10月1日の内閣改造直後からだ。経済財政相に就いた前原氏は、就任会見では「(日銀に)しっかりと対応を促したい」と発言。5日には、閣僚としては9年半ぶりに決定会合に出席し、緩和を求めた。
前原氏の胸のうちにあるのは、「このままでは平成25年4〜6月期までに、景気が回復軌道に戻らない」という不安だ。26年4月の消費税増税の前提は「経済状況の好転」となっており、政府は25年秋に増税の可否を判断する。「今から金融政策も総動員しなければ、増税の環境が整わない」との危機感が、前原氏を緩和圧力へと走らせた。
その不安は、野田首相にも共通している。衆院選後に首相の座に就く可能性がある自民党の安倍晋三総裁は、「25年秋にデフレを脱却できていなければ、消費増税を先送りすべきだ」と主張。政治生命をかけて成立させた消費税増税の頓挫は避けたい野田首相も、大規模な追加緩和を求める気持ちは同じだった。
一方、政府から20兆円もの緩和を求められた日銀内では、「まず額ありきなのか」という憤りの声が上がった。物価上昇率「1%」を目指す事実上のインフレ目標達成に向け、適宜必要な緩和をしているというのが日銀のスタンス。政府からのインフレ圧力に対し、物価の安定を図るため日銀法にも記載されている「独立性」をないがしろにし、頭ごなしに大規模な増額を求められるのは筋違いという思いが強かった。
ただ、野田首相らの緩和要求は無視できない。そこで日銀が検討を始めたのが資産買い入れ基金の増額幅を抑え、別に新しい枠組みを作ることだった。
結果的に決定会合では、資産買い入れ基金の11兆円増額と、銀行向け貸し出しを含む、新たな無制限の「貸出支援基金」の創設を決め、政府の求める「サプライズ」を演出した。11兆円という半端な額に収まったのは、20兆円という要請は受けられないが、9月に実施した10兆円と同額では、前原氏や野田首相らの理解を得られないと判断したためだ。
また、新しい基金について、日銀はわざわざ「直近のデータなどをもとにすれば、約20兆円規模に匹敵する」との試算を公表した。政府高官は、「『20兆円』が守られた」と満足げに語った。
30日の決定会合の休憩時間中、出席した前原経財相は、並んで座った白川方明総裁に話しかけた。「首相は『総裁を信頼している』と言っていましたよ」。笑顔で返した白川氏の表情は、どこかぎこちなかった。会合では、山口広秀副総裁が日銀の独立性に言及したが、政権の意向を受け緩和を決めた会合だけに、空々しく響いた。
今回だけではない。日銀には、「政権のいいなりに追加緩和を決める」との批判がつきまとった。
鳩山由紀夫政権発足後の21年11月20日、政府が「デフレ宣言」を出し、12月1日には当時の菅直人国家戦略担当相が「日銀として何らかの期待に応えてくれるだろう」と発言。日銀は、市場に10兆円の資金を供給する追加緩和を決めた。その後も日銀は、与党幹部や閣僚から追加緩和を求める声が強まるたびに、同様の対応を取ってきた。
財政余力が限られる中、衆院選後、民主、自民どちらが政権についても、緩和圧力が強まるのは確実。自民党の安倍総裁は、3%のインフレ目標導入を求めるなど、景気浮揚へ日銀頼みの度合いを強めている。
白川総裁の任期は来年4月に切れる。後任の総裁には政権の意のままになりやすい人物が選ばれる可能性が高く、日銀の独立性は、ますます「絵に描いたもち」となりかねない。(山口暢彦)
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衆院選後に民主党と自民党のどちらが政権についても、追加金融緩和を日銀に求める圧力が強まるのは確実だ。景気下支えのための財政出動の余地は限られ、金融政策頼みにならざるを得ない事情は変わらない。市場では、強硬な緩和論者である自民党の安倍晋三総裁への期待が日増しに高まり、16日の東京外国為替市場では約6カ月半ぶりの円安水準となる1ドル=81円前半まで円が売られた。
「(日銀総裁の解任権などを盛り込む)日銀法改正を視野に、大胆な金融緩和を行っていく」。安倍氏は16日、衆院解散直後の会見でこう述べた。安倍氏は15日にも、消費者物価の上昇率目標を2〜3%に設定して「無制限で(国債買い入れなどの)金融緩和を行う」と発言している。
市場では、衆院選で自民党が勝利するとの見方が大勢を占める。16日の東京市場では前日の海外市場での円安の流れも受け対ドルで3日続落。午後5時現在、前日比27銭円安・ドル高の1ドル=81円11〜13銭をつけた。円が売られたのは、安倍氏が首相になれば日銀は大規模な追加緩和に追い込まれ、日米の金利差が拡大するとの思惑からだ。
もっとも、民主党政権が今後続いても「日銀への緩和圧力は高まりやすい」(野村証券金融経済研究所の尾畑秀一シニアエコノミスト)との指摘がある。民主党は12月4日公示の衆院選のマニフェスト(政権公約)素案に、政府と日銀が協力してデフレ脱却を目指す「政策協定」を結ぶことなどを明記。前原誠司経済財政担当相らが2014年4月の消費税増税に向け、経済状況を好転させるため強力な金融緩和を求めてきた経緯もある。
尾畑氏は、自民、民主のどちらの政権が誕生しても緩和圧力が強まり、「(政権発足後の)13年1月にも、日銀が追加緩和を実施する公算が大きい」と予測している。
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