http://www.asyura2.com/12/hasan78/msg/528.html
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資本の流れが示す「円安加速」への分岐点
2012年 11月 14日 19:31 JST
亀岡裕次 大和証券 チーフ為替ストラテジスト
[東京 14日 ロイター] 日本の国際収支は円相場にどのような影響を与えているのだろうか。近年、収支悪化が目立つのが貿易収支や経常収支だ。
国際収支統計における貿易収支は、2004年10月までの年間14.3兆円の黒字をピークに悪化し、12年9月には年間4.8兆円の赤字に落ち込んでいる。また、貿易収支に所得収支などを加えた経常収支は07年10月までの年間25.1兆円の黒字をピークに悪化し、12年9月には年間5.7兆円の黒字にまで縮小している。
新興国の台頭や円高に加え、世界経済の成長率がリーマンショックを境に低下したことや、東日本大震災の原発事故で燃料輸入が増加したことが、収支悪化の原因と考えられる。なかでも本質的な原因は、新興国の台頭が相対的にコストの高い日本の輸出競争力を低下させると同時に、資源需要増による資源価格高を通じて日本の輸入額を拡大させていることだろう。所得収支の黒字は円高の影響もあり、08年3月までの年間16.9兆円から12年9月には年間14.1兆円に縮小している。
国際収支の発展段階説に従えば、現在の日本は「成熟した債権国(貿易収支は赤字に転換するが、過去の対外債権からの収入があり、所得収支が黒字のため、経常収支は黒字)」だが、将来は「債権取崩国(貿易収支の赤字が拡大し、経常収支が赤字に転落。対外債権が減少)」に移行する可能性がある。
12年9月は輸出の落ち込みなどにより貿易赤字が直近ピークを更新し、経常収支の黒字が減少した。注目度は高くないようだが、9月は季節的に経常黒字(原数値)が大幅に増えやすい月であるにもかかわらず、ほとんど増えなかったため、季節調整した経常収支は1420億円の赤字となった。1981年3月以来、31年半ぶりの経常赤字である。あくまでも単月の赤字ではあるが、経常黒字がいつまでも続くものではないことを示唆しているようでもある。今後、世界景気とともに輸出の伸びが回復しても、同時に一次産品などの輸入価格が上昇することで、資源輸入・製品輸出の加工貿易国である日本の貿易収支は改善しにくいだろう。日本の貿易・経常収支の悪化傾向が続き、円安要因になる可能性は十分にある。
<ITバブル時のドル上昇にヒント>
しかし、11年には経常黒字が減少する一方で円高が進むなど、経常収支と円相場には明確な相関は認められない。経常収支が悪化したとはいえ黒字(資本流入)を維持しているため、円高に作用し続けているのだろうか。そうとも言いがたい。資本流入が減ることは、資本流出が増えることと同じで、円安要因になるはずだ。それでも、円高になったのは、経常取引(=貿易取引+利子・配当金受払等)以外での為替売買が影響したからだろう。国際収支で経常取引と双軸をなす資本取引(=対外金融資産・負債の取引)に関わる為替売買や、為替のキャピタルゲインやリスクヘッジを目的とした為替売買が円高に作用したとみられる。為替の売りと買いを合わせたグロス規模では後者が大部分を占めるものの、売りと買いの差をとったネット規模では前者も大きい。
11年には経常黒字が減少する一方で、資本収支は赤字が縮小して年間6兆円超の黒字に転じた。経常収支の悪化よりも資本収支の改善の方が大きく、両者を合わせると資本流入に傾いたため、円高が進行したとみられる。年間で14兆円を超える当局の円売り・ドル買い為替介入が実施されて外貨準備が増加(資本流出)し、事後的に国際収支はバランスしたが、資本収支が円相場に与える影響が大きかったといえる。
ITバブル時の米国でも、好景気の輸入増で貿易・経常赤字が大幅に拡大したにもかかわらず、海外からの対米投資が旺盛で資本収支の黒字が拡大したため、ドル相場は上昇した。資本市場が未発達の新興国では経常収支が為替を左右しやすいが、資本市場が発達した先進国では資本収支が為替を左右しやすい。
<海外流出に傾く資本収支>
注目されるのは、資本収支のトレンド変化だ。11年末頃を境に、それまで黒字拡大(資本流入)方向にあった資本収支は黒字縮小(資本流出)方向に転じ、ほぼ同時に為替は円高進行に歯止めがかかっている。その資本収支の変化を生んだのは、主に証券投資収支であり、日本からの対外証券投資は中長期債を中心に拡大に転じた。
11年11月までの1年間に2兆円程度に落ち込んでいた指定報告機関ベースの対外証券投資(ネット)は、12年11月時点で年間14兆円程度に上る。一方、日本への対内証券投資は短期債を中心に、11年末までの年間21兆円から6兆円程度に縮小しており、証券投資収支は赤字(資本流出)幅を広げる方向にある。また、資本収支を構成する直接投資収支は、年間10兆円弱の赤字で大きな変化はないが、ソフトバンクによる米国企業の200億ドル(約1.6兆円)での買収が決まるなど、直接投資収支の赤字を拡大させる動きも出てきた。このように、すでに資本収支が海外への資本流出に傾き、円安に作用しつつある。
ただし、これまでの対外証券投資は、円売り・外貨買いによる円安効果が小さいとの指摘もある。なぜなら、投資家部門別にみると、対外証券投資拡大の多くが銀行(銀行勘定)によるもので、同部門は外貨を外貨建て運用に投入する外投型の割合が大きいからである。
また、円貨を外貨建て運用に投入する円投型の投資信託委託会社等(投資信託委託会社及び資産運用会社)の対外証券投資が減少してきたことも、円安効果を小さくする一因だ。過去には、銀行の対外証券投資が拡大した10年6―10月に円高が進んだ事例もある。当時は、米量的緩和第2弾への期待から米金利低下・ドル安圧力が働いており、銀行が債券のキャピタルゲインを狙い、ドルを調達して米国債に投資したとみられる。対外証券投資の中心が外投型であったために、円安効果は生まれなかったのだ。
では、今回はどうだろう。欧州信用不安が後退し始めた12年8―9月に銀行の対外中長期債投資が拡大しており、建値通貨別にはユーロ建て、地域別には欧州のドイツやフランス向けの投資が増えている。欧州信用不安で利回りが低水準となったドイツやフランスの中長期債を、信用不安が後退して利回りが上昇しやすい局面で買うということは、債券のキャピタルゲイン目的ではなく、円安を狙った為替差益目的の可能性が高いだろう。
また、12年には円投型の生命保険会社の対外証券投資が増加し続けている。為替リスクをヘッジした投資だけが増えているとは考えにくいので、その円安効果は増しているのだろう。なお、投資信託委託会社等の対外証券投資は、為替の円安傾向がはっきりしてから増えるトレンド追随型であり、為替に先行して動くケースは少ない。同投資がまだ増えていない段階で、円安が進み始めるケースは多い。
足元は米財政の崖に対する懸念などからリスク回避の円高圧力が残るものの、主要国の金融緩和による低金利・通貨供給増に、米国・中国の景気回復期待や、欧州財政の緊縮緩和などが加わり、リスク選好の円安要素が増えつつある。そして、円相場を貿易量で加重平均した実効為替レートは、07年以降の円高トレンドを円安方向に抜けるか否かの分岐水準にある。今後、円高トレンドを脱したとの見方が強まれば、対外証券投資の為替ヘッジ比率を低下させたり、円投型の対外証券投資を拡大させたりする動きが増えるだろう。すでに流出方向に傾いている資本の流れが、円安作用を強めることになりそうだ。
*亀岡裕次氏は、大和証券の投資戦略部担当部長・チーフ為替ストラテジスト。東京工業大学大学院修士課程修了後、大和証券に入社し、大和総研や大和証券キャピタル・マーケッツを経て、2012年4月より現職。
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYE8AD05720121114?sp=true
日経平均一時100円超す上げ、輸出高い−政局見据え不動産や建設も (10:37)
午前半ばの東京株式相場は、日経平均株価の上げ幅が一時100円を超えた。衆院解散後の政権交代の可能性が生じる中、日本銀行への追加緩和圧力が強まるとの思惑で円安が進み、輸送用機器など輸出関連株が買われている。不動産や金融株も高く、自民党などが打ち出す減災政策をにらみ、建設株も堅調だ。
記事全文
FOMC議事録:多くの参加者はツイストオペ終了後の資産購入を支持 (06:55)
米小売売上高:10月は4カ月ぶりマイナス−自動車が落ち込む (00:56)
米ゴールドマン、70人を新パートナーに指名−株式公開後で最少 (08:09)
債券は続落、総選挙後の政権交代懸念で売り−20年入札は順調との見方 (11:16)
http://www.bloomberg.co.jp/news/index.html
ウォール街にも格差の波、「不遇」の中堅バンカー
2012年 11月 14日 14:19
By Rob Cox
[ニューヨーク 12日 ロイターBreakingviews] 所得格差是正の訴えは貧困層だけの専売特許とは限らない。伝統的に大金持ちを生み出してきた場所の1つ、ウォール街にも格差の波は押し寄せている。
過去10年にゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーのような大手金融機関に入った野心的なバンカーやトレーダーの多くは、先輩たちが得てきたような大金は2度と手にできないだろうことを理解し始めている。彼ら中堅バンカーの報酬は下がっており、上向くことも期待できそうにない。そして、上司はいなくならないだろう。
今年3月、ゴールドマン・サックスの元社員グレッグ・スミス氏は、ニューヨーク・タイムズ紙に同社の経営陣を批判した手記を寄稿して話題を呼んだ。同氏はゴールドマンで勤務した12年間の回顧録執筆で100万ドルの前払い金を手にしたと言われている。
ゴールドマンの内幕を暴露したスミス氏の手記は、投資銀行で働く中堅バンカーたちの気持ちを代弁するものかもしれない。ただ、報酬に関するいくつかの具体的な数字は、スミス氏の回顧録以上に中堅バンカーの不満を雄弁に物語る。
スミス氏と同じ頃の2000年にゴールドマンに入社した若手社員のケースを想定してみよう。1999年に同社が新規株式公開(IPO)を行い、パートナーたちが巨万の富を手にした直後だ。2000年末時点でゴールドマンの社員数は2万2627人で、支払われた報酬や手当ての総額は78億ドルだった。大雑把に計算すれば、社員1人当たりの平均収入は34万3000ドル程度になる。もちろん報酬は実績に応じて差がつくはずだが、それでもMBAを手に入社した若い社員にとって、この数字は目標になった。
その後の数年、若い社員たちは1日15時間、昼も夜も週末もなく働き、上司が翌朝に使うプレゼン資料を徹夜で仕上げただろう。多くの金融機関は、こうした疲れ知らずの若手社員のため、クリーニング屋に預けたワイシャツを取りに行ったりするような「世話係」さえ雇っていた。彼ら若手社員は、数年の激務が高額報酬やマネージングディレクターの肩書き、将来の共同経営者の地位につながることを夢見て仕事に打ち込んできたのだ。
その後、ITバブルは勢いを失ったが、レバレッジを効かせたビジネスが次のバブルを生み出し、投資銀行マンの報酬は右肩上がりだった。2007年のゴールドマンの年次報告書を見てみよう。当時の社員数は3万0522人で、報酬や手当ての総額は202億ドル。社員1人当たり平均は66万1000ドルで、7年前に比べてほぼ倍増した。
2007年以降、世界的な金融危機や景気低迷、新たな規制の導入など、投資銀行は厳しい時期に突入する。ゴールドマンの今年ここまでの業績を年率換算すると、現在の社員3万2600人は、総額14億6000万ドルの報酬、つまり1人当たり44万9000ドル程度は手にできそうだ。2007年からは3割以上の減額となる。
ゴールドマンだけに限った話ではない。モルガン・スタンレーの過去9カ月の業績を基に計算すると、同社社員の今年の平均報酬額は27万ドル7000ドル前後になるだろう。2007年に比べ約2割の減額だ。
このことは、2000年ごろに投資銀行に入った若いバンカーたちが今は30代になり、出世を夢見て何年も激務をこなしてきたにもかかわらず、わずか数年前に比べて平均的には報酬が下がったことを意味する。
金融業界の食物連鎖の頂点では、業界の報酬が構造的に変わったことに気付いている。動くお金が減っている一方、株主からの要求は強まっている。食物連鎖の下の方でも、報酬体系の構造的変化には気付いており、それに合わせて期待値は低くなりつつある。
彼らには、数年前に当たり前だった徹夜で仕事する中間管理職の姿を期待すべきではないのだ。
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http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYE8AD01320121114?sp=true
量的緩和は景気を悪化させると言う小幡博士
2012/11/14 (水) 16:46
YahooのニュースBUSINESSを見ていたら、次のような文言に遭遇した。
「量的緩和は景気を悪化させる。私はまじめに言っている。そして、これは小幡績という主流派で
ない経済学者の奇をてらった見方ではない。なぜなら、これが20世紀の最も重要な経済理論に関する書物である、ケインズの一般理論のエッセンスであり、メッセージだからだ」
先日確か、小幡氏がそんなことを書いているのをみたが、小幡氏以外にもそのようなことを言う人がいるのか、と自問自答した。
で、誰が書いているのかとみてみると、書いているのは小幡氏自身。
やっぱり少し変わっている。でも、私は、彼が石原元都知事を売国奴だと呼んだこと以外では彼の意見に賛同することが多い。特に、量的緩和政策にそれほど効果がないという点では同感だ。
しかし、そうではあっても、「量的緩和は景気を悪化させる」とまで言う必要があるのか?
私がこのような記事を書くと、恐らくリフレ派の人々は笑うことであろう。
だから、この記事はリフレ派に読んでもらうつもりはない。きっぱりと言う。そうではなく、リフレ派的な考え方に懐疑的である人々に読んでもらいたい。何故ならば、小幡氏のように量的緩和は景気を悪化させてしまうと言い切ると、変な誤解を生んでしまうからだ。
いずれにしても、先ずは小幡氏の言うことをよく確認する必要がある。
彼は言う。
金利がこれ以上下がりようのない状況で量的緩和を行えば、国債の価格が上がる、と。そして、
国債の価格が上がるということは、国債を保有している投資家が儲かることを意味するので、投資家は益々国債を保有しようとする。そして、そうやって国債への投資が、実物投資よりも相対的に
魅力を増せば、益々実物投資をしようとする投資家が少なくなるので、景気が悪くなる、と。
つまり、日銀が国債を市場で大量に購入すればするほど、実物投資の魅力が薄れてしまうと言うのである。
言いたいことは分からないでもない。半分はそのとおり。しかし、おかしな点もある。というのも、国債の価格が上がるということは、国債の利回りが下がるということで、彼は量的緩和政策によって長期金利が下がることを認めているのだ。
そして、FRBのバーナンキ議長も、所謂QEは長期金利を引き下げる効果があるから、それに伴って住宅ローンの金利や消費者ローンの金利が下がり、景気を下支えする効果があると言っている。
さらに小幡氏は、幾ら長期国債の利回りが下がっても、銀行が企業に貸し出すローンの金利には限度があると言う。何故ならば企業への融資には大きなリスクが伴うことが多いし、融資の審査や管理にはお金がかかるからだ、と。
言いたいことは分からないではない。しかし、それはそうであっても、仮に銀行が国債を売却した資金を融資財源に充てるのであれば、国債の利回りが下がった分、銀行の資金調達コストは下がるのであるから、貸出金利を引き下げる余裕がでてくるのである。極端な話、もし、日銀が国債を額面以上で購入するようなことをすれば、国債の利回りはマイナスにもなり得る訳で、言ってみれば銀行は利子をもらって資金調達ができることになるのだ。
ということで、小幡氏の今回の理論は支持することができない。
しかし、量的緩和にそれほど期待できないのはそのとおりであって、その意味では、リフレ派の学者よりも小幡氏を支持するのはそのとおりである。
http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2012/11/14/017622.php
FOMC議事録、ツイストオペ継続の必要性示す
2012年 11月 15日 08:26
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米株大幅続落、「財政の崖」問題や中東情勢が圧迫
[ワシントン 14日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)が14日に公表した10月23―24日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、「ツイストオペ」が年末で期限切れを迎えた後、追加資産買い入れが必要になる公算が大きいとの認識を多くのメンバーが示していたことが明らかになった。
また9月に決定した量的緩和第3弾(QE3)について、金融市場の状況を緩和するとともに、住宅市場の回復支援を後押ししたと考えていることも分かった。
このほか、利上げへの目安となる失業率とインフレに一定の水準を設定する考え方について、好ましいとの見方も示されたが、さらに検討することが必要としている。
議事録は「雇用市場の著しい改善を実現するには、保有証券の平均残存期間を長期化するプログラムが終了する来年以降、一段の資産買い入れが適切となる可能性が高いとの見方を多くの参加者が示した」としている。
FRBはツイストオペで、月額450億ドルの短期債を売却し、同額の長期債を買い入れている。
またQE3の一環として、月額400億ドルのモーゲージ担保証券(MBS)買い入れもあわせて実施しており、雇用市場の見通しが著しく改善するまで資産購入を継続する意向を表明している。
今回の議事録は、次回12月のFOMCでツイストオペの継続を決定するとの市場の見方を裏付けた形。TDセキュリティーズの米国上級マクロストラテジスト、ミラン・マルレーン氏は、「ハト派的バイアスを示している。12月以降もツイストオペを続ける意向だ」と述べた。
10月のFOMC会合では、米リッチモンド地区連銀のラッカー総裁が唯一、MBSの買い入れを継続することに反対票を投じた。
ただ議事録は「実施している資産買い入れの有効性や、最近の緩やかな景気回復ペースが持続した場合に買い入れ継続が正当化されるかどうかをめぐり、複数の参加者が疑問を呈した」としており、ラッカー総裁以外のメンバーからもインフレ高進を懸念する声が上がっていることが明確になった。
利上げへの目安については、「適正な条件の下での定量的(quantitative)な目安は、フェデラルファンド(FF)金利の引き上げ時期が経済状況や見通しの予期せぬ変化に応じてどのようにずれるかを、FOMCが一段と明確に伝える一助になると、多くの参加者がみている」と指摘。しかし一部には、定性的(qualitative)な説明のほうが伝達手段としてはよいとの意見も一部にでたという。
その上で「定量的目安を採用するかを決定する前に、FOMCは実務的ないくつかの問題に対処する必要があるとの点で、参加者は概ね合意した」と議事録は指摘した。
FRBは2008年12月、FF金利の誘導目標水準をゼロ─0.25%に引き下げた。また借り入れコストの押し下げと景気支援に向け、これまでおよそ2兆3000億ドルの資産買い入れを行ってきた。
米経済には回復がやや加速している兆しが見られるものの、失業率は7.9%に高止まりしている。
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23─24日のFOMCは新措置打ち出さず、QE3の影響見極め 2012年10月19日
ロイター調査:米QE3買い入れ額予想は6000億ドル 2012年10月6日
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE8AD02520121114?sp=true
米大統領が富裕層増税をあらためて主張、大手企業CEOと会合
2012年 11月 15日 10:05
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[ワシントン 14日 ロイター] オバマ米大統領は14日、「財政の崖」回避に向けて、共和党はまず、富裕層増税に合意しなければならない、との認識をあらためて示した。再選後初の記者会見で述べた。
大統領は、共和党が重視している給付金制度改革や税制改革を検討することには、前向きな姿勢を示した。ただ、共和党は先に、大統領が最優先事項としている富裕層増税に合意する必要がある、とけん制した。
大統領は「必要としていない人々への減税は延長しない」と述べた。
米国では、年末にかけてブッシュ減税失効と連邦予算の強制削減措置が重なるいわゆる「財政の崖」が問題になっている。減税失効や歳出削減の規模は合わせて6000億ドルに上り、これを放置すれば米経済はリセッション(景気後退)に逆戻りする、との警戒感が広がっている。
共和党と民主党はともに、中間所得層や低所得層の減税延長では、意見が一致している。しかし民主党は、国民の2%に相当する最も富裕な層については、減税を打ち切って実質増税すべきだ、と主張している。
大統領は会見で富裕層増税をあらためて強調。共和党指導部は富裕層増税への反対姿勢を崩しておらず、今後の交渉の厳しさが予想される。
オバマ大統領は大統領選で富裕層増税を公約、世論調査でも富裕層増税への支持が多数となっている。オバマ大統領はすでに、支持の一段の拡大に向けて、労組幹部や市民団体指導者らとの意見交換を実施した。
<大手企業CEOと会合>
オバマ大統領は14日、大手企業の最高経営責任者(CEO)と会合を開いた。複数のCEOは、財政合意には歳出削減とともに増税が盛り込まれなければならないという大統領の認識に対して、支持を示した。
ハネウェル・インターナショナル(HON.N: 株価, 企業情報, レポート)のデビッド・コートCEOは、会合後にCNBCに対して「相対的に恵まれているわれわれのような層が、より多く負担するという点で、意見の一致をみた」と述べた。
ウォルマート(WMT.N: 株価, 企業情報, レポート)のマイケル・デュークCEOは会合後に発表した声明で、歳入増などでの合意を求めたが、増税には言及しなかった。
ゼロックス(XRX.N: 株価, 企業情報, レポート)のウルスラ・バーンズCEOは、記者団に対して、会合では具体的な話はなかった、と述べた。「われわれがしたのは話を聞いて、建設的なフィードバックを行うことだった」としている。
財界では増税は雇用や中小企業にとってマイナスとの声が強い。米国商業会議所は、増税ではなく給付金抑制を通じた歳出削減の道を探るよう大統領に求める、200以上の業界団体が署名した書簡を公表した。
オバマ大統領と財界との関係は、1期目は冷え込んでいた。大統領選の際に共和党のロムニー候補を支持した企業幹部も多いなかで、大統領が今後、財界からどの程度の支持を得ることができるのかは未知数だ。
<財界は影響警戒>
懸念を強める財界は、政策当局者に対して、年内の合意を求めている。一部の企業幹部は、合意できなければ投資を海外に移すとけん制している。企業は現在、合計1兆ドル以上の現金を活用せずに遊ばせているといい、不透明感が既に景気に影響しているとの声も上がっている。
チャレンジャー・グレイ・クリスマスは、雇用者が重要な決定を先送りするため、雇用は年末にかけて減速する可能性がある、と指摘した。
14日の米国株式市場は大幅に下落した。シスコシステムズ(CSCO.O: 株価, 企業情報, レポート)の決算は良好だったが、「財政の崖」懸念をしのぐことはできなった。
チャールズ・シュワブ金融リサーチセンターのトレーディング・デリバティブ担当マネジングディレクター、ランディ・フレデリック氏は「このような状況が今後、何日も続くことになるだろう」としている。
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http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE8AD02320121115?sp=true
コラム:米「財政の崖」回避、富裕層増税に異議なし
2012年 11月 13日 10:57
By Daniel Indiviglio
[ワシントン 9日 ロイターBreakingviews] 年収100万ドル以上(約8000万円)稼ぐ人への増税に本気で反対する人は米国にいるだろうか。増税対象者からの反発は当然出るだろう。しかし、この国の超富裕層約25万人にクリントン政権下の税率を適用することは、減税措置失効と歳出の自動削減開始が重なる「財政の崖」を回避するために必要な政治的妥協と言えるだろう。
民主党と共和党は近く、米経済を負のスパイラルに陥れるとみられる「財政の崖」を避けるために協議を開始する予定だ。議会予算局(CBO)によると、もし議会が何も政治手な手を打たなければ、失業率は9.1%に上昇する可能性がある。共和党はいかなる層への増税にも消極的な立場で、ベイナー下院議長もそう発言する。一方、オバマ大統領は、所得の上位2階層に対する税率について、1990年代に年収25万ドル以上の世帯に適用されていた程度に引き上げたいと考えている。
しかし、妥協とは中間点を見い出すことだ。それならば、明らかに経済的余力があり、誰の目から見ても高収入な人たちに犠牲を払ってもらうのはなぜいけないのか。分かりやすくするために、映画「オースティン・パワーズ」の悪役ドクター・イービルが「大金」という意味で口にした「100万ドル」という金額を稼ぐ人たちがどうなるか考えてみよう。
クリントン政権時代に適用されていた最高税率39.6%を100万ドル以上の所得者に復活させると、大部分の富裕層(必ずしも超大金持ちというわけではない)は増税対象から切り離される。
一方、内国歳入庁(IRS)の2010年の統計によると、民主党が主張する所得20万ドル以上の個人に増税する場合、240万人の納税者に影響が及ぶ。増税対象所得を100万ドル以上まで引き上げると、210万人が増税を免れ、約25万人の税率を5%ポイント程度引き上げるだけで済む。さらに、この両案で得られる税収の差異は小さい。IRSの統計を使って計算したところ、年収100万ドル以上に対して増税した場合、10年間で増える税収は約2500億ドルと見込まれる。
共和党は、イデオロギー的に全ての国民への増税に反対している。しかし、富裕層が多いカリフォルニア州の兆候が正しいとすれば、国民は富裕層への増税を認めている。同州の住民投票では、54%の有権者が所得100万ドル以上の世帯への州税引き上げ案に賛成した。
共和党が人口の0.2%に過ぎない「金持ち」の利益のために、経済への打撃を避ける合意ができないなら、ドクター・イービルのような悪役をたやすく連想させることになる。年収100万ドル以上の超富裕層への増税は政治的勝利なのだ。
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