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不安定な値動きか―「財政の崖」が重しに   家計資産が枯渇して生活できない!――最悪の事態を避けるための完全マニュアル
http://www.asyura2.com/12/hasan78/msg/479.html
投稿者 MR 日時 2012 年 11 月 11 日 12:22:58: cT5Wxjlo3Xe3.
 

【今週の米株見通し】不安定な値動きか―「財政の崖」が重しに
マーケットウォッチ
2012年 11月 11日 10:27 JST 
 【ニューヨーク】今週の米国株式市場は増税と歳出という「財政の崖」が重しとなり、不安定な値動きを続けそうだ。「財政の崖」の回避で政府と議会が合意するまでは不安定感は拭えそうにない。

 ディアボーン・パートナーズ(シカゴ)のマネージング・ディレクター、ポール・ノルト氏は「今後2、3週間は、投資家は一喜一憂しながら様子を見守ることなりそうだ」と述べた。

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Associated Press
財政の崖回避に向け民主・共和両党の攻防が焦点に
 ヒュー・ジョンソン・アドバイザーズ(ニューヨーク州オールバニ)のヒュー・ジョンソン社長は「財政の崖」について、「消費者信頼感や雇用統計は改善したにもかかわらず、市場はまだ問題があると判断して、警戒信号を発している」と述べた。

懸念材料

 「財政の崖」の他にも、ギリシャが次回の救済支援金を受け取れるかどうかなどの欧州の債務危機や、中国の指導部交代や同国の景気対策などの懸念材料がある。

 今週は小売関連の経済指標や企業の四半期決算の発表が予定されている。

 決算発表を予定しているのは、カジュアル衣料小売り大手アバクロンビー・アンド・フィッチ、小売り大手のシアーズ・ホールディングスやウォルマート・ストアーズ、ネットワーク機器大手のシスコシステムズなど。

 14日には、米連邦準備制度理事会(FRB)が10月23、24日の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録を公表する。10月の米小売売上高と10月の米卸売物価指数も14日の発表。10月の米消費者物価指数と11月のニューヨーク連銀製造業業況指数、11月の米フィラデルフィア地区連銀製造業業況指数は15日に発表が予定されている。

 これまでの3週間、投資家は比較的明るい経済指標は無視して、企業の業績悪化に注目することが多かったため、株式市場がどのように反応するかはわからない。

 ラザード・キャピタル・マーケッツのマーケットストラテジスト、アート・ホーガン氏は「『財政の崖』が解消されるまでは市場は不安定な動きを続ける」との見通しを示した。「財政の崖」の回避で議会が合意しなければ、国防費や国内関連の歳出が来年1月から6000億ドル以上削減されることになる。

「財政のはしご?」

 6日の大統領選で再選を果たしたオバマ大統領は9日、議会幹部をホワイトハウスに招き、「財政の崖」の回避に向けて会談を行った。オバマ大統領とベイナー下院議長はそれぞれ、現行の税率を維持したまま富裕層向けの減税措置を抑制する案で合意する可能性に含みをもたせた。

 両者とも明言していないが、この案であれば、オバマ大統領は富裕層向けに増税を実施でき、ベイナー下院議長は受け入れがたいとしていた水準の高税率を回避できる。

 BTIGの首席グローバルストラテジストのダン・グリーンハウス氏は電子メールで、「ベイナー議長は税率の引き上げは議論しないとの立場を繰り返し、一方のオバマ大統領は富裕層向けの増税を訴えた」と指摘した。「ベイナー議長は税率を引き上げざるを得ないとは言わなかったが、当然、意図的なものだ。ベイナー議長もオバマ大統領も演説では最終的なことは何も言っていない」とグリーンハウス氏は述べた。

 JPモルガン・ファンズの首席マーケットストラテジストのデイビッド・ケリー氏は財政赤字への米政府の対応について、「慢性的な問題だが、危機ではない」と述べた。

 ケリー氏は「株式市場で2011年ほどの調整が起きるとは思わないが、(「財政の崖」について)合意が成立するまでは不安定な動きになるだろう」と述べた。

 2011年には、米国がデフォルト(債務不履行)の危機に直面し、8月初旬から10月初めまで株価は大打撃を受けた。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は米国債を初めて格下げし、ダウ平均は1日で500ポイント以上下落した。

 ケリー氏は「米国に必要なのは、1年に国内総生産(GDP)の1%相当分ずつ、徐々に財政赤字を削減できる『財政のはしご』だ」と述べ、こうした財政削減を3年間かけて行えば、債務の対GDP比率が安定する、と続けた。

 ケリー氏はさらに、「経済学的に見れば、財政赤字の削減が歳出削減によって行われても、増税でも、その両方でも構わない。しかし、急な削減はできない。太り過ぎだからといって、その人に食事をさせないわけにはいかない」と述べ、穏健な手法が適切との見方を示した。

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記者: Kate Gibson

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家計資産が枯渇して生活できない!――最悪の事態を避けるための完全マニュアルを公開
「お金」見直し応援隊
ファイナンシャル・プランナー 井上信一
2012年 1月17日
生活の破綻は稀でも、生活の質が落ちる事態が起こる
 
 家計における資産がすっかりなくなり、生活できなくなる事態――これが今すぐ我が身に振りかかるとは想像できないとしても、将来起こり得るかもしれないと不安に感じている方は決して少なくないだろう。
 仮に、貯蓄等の金融資産が少なくても、収支のバランスが健全な状態、つまり生活を支えるだけの可処分所得(手取り収入)が確保されていれば深刻ではない。
 ところが、収入と支出が逆転して収支が赤字になると、金融資産の取り崩しによってこれを補うことになり、その状態が続く限りいつか計算上は帳尻があわなくなる。
 収支赤字が恒常的に続く場合でも、それが身体的理由や就業困難等によるものであれば、一定期間、一定額については、社会保障(社会保険)によって守られている。要件を満たせば生活保護を受ける道もある。また、債務過多によるものであれば、民事再生法(個人版)や自己破産の手続きにより、最悪の事態を脱することは可能である。
 実現性に欠けるとの指摘もあるが、いま政府が検討している「給付付き税額控除(生活困窮層に対する税制を通じた給付措置)」も、いわゆる「ベーシック・インカム」の一形態として、真の生活困窮を軽減する一助となる期待もある。
 今後国の財政難がさらに悪化して社会保障の財源が困窮する可能性は否めない。だが、ただちにこれが皆無になることはあるまい。つまり今の日本では、「生活がまったくできなくなる事態」に対してはセーフティーネットが機能している。経済的な理由で一家離散になったり、路上生活に陥ったりすることは稀なのである。
 しかし、最低限生きていくことはできても、そこには生活のゆとりはない。「ここに行きたい、これを食べたい、これが欲しい」と思っても、制約を受けて断念せざるを得ない、または著しく選択の幅が乏しくなるだろう。そしてそれは、何かしらの手を講じておかないと起こり得る現実といえる。
「まとめ特集:生き残るためのお金マニュアル」の他の記事はこちらからお読みください
これだけある資産枯渇を引き起こしかねない要因
 
 ゆとりある生活の破綻につながる家計収支の赤字。その要因としては、以下のようなケースが考えられる。
【収入の側面】
●収入の途絶
 失業や傷病等による就業困難
●所得の減少
 給与の減額や年金の削減、資産収入の源泉となる資産の価値下落等による収入の減少、さらに収入が一定であっても増税や社会保険料負担増等による可処分所得の減少
【支出の側面】
●恒常的な支出の増加
 医療・介護費用等の発生や値上げ、物価や金利の上昇等による支出の増加
●一時的な支出の発生
 病気やけが・災害等での突発的な支出
 これらの要因を、家計や暮らし向きに関する様々な統計から分析してみよう。
家計の収支はジリ貧で、保有資産も減少傾向に
 
まず、 図表1は2010年における勤労者世帯の収支を10年前、15年前と比較したものである(出所は総務省統計局「家計調査年報」)。

 1995年は阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件が起こり、90年代を頂点とする資産バブルの急激な崩壊後に復調をみせていた景気が、再び低迷に転じた時期にあたる。また、日経平均株価がバブル崩壊後に最初に二番底をつけた頃でもある(この年の月足での最安値は7月の1万4517円)。
 2000年はそれ以前に起こった山一證券やアメリカのLTCMの破綻等による混乱の反動期であり、日経平均株価は4月に2万337円まで一時上昇している(その後、日経平均株価は幾度かの騰落を繰り返しているが、現在まで2000年の高値水準を再び超えるには至っていない)。
 しかし、この間一貫して家計の実収入は減少(1995年は統計上で家計実収入のピークでもある)する反面、非消費支出(税金や社会保険料等)は増加している。つまり、家計の可処分所得は逓減している計算になる。項目による差異のあるものの消費支出も減少しているが、実収入に占める割合が変わっていないことに注目したい。
 つまり、可処分所得に対する消費性向はむしろ増加傾向にあることが推測できるのだ。これはすなわち貯蓄率の低下である。図表2や図表3は、そのことを裏付けている(ともに、出所は金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」。以後図表4〜6も同じ)。


病気、老後の不安が金融資産を持つ主な目的に
 
 一方、金融資産を保有する目的はどうであろうか。


 世代による格差はあれ、教育費や住居費、遺産としての次代への承継の割合は低く、しかも逓減している。一方、病気や災害への備え、あるいは老後生活資金を目的に挙げる割合が高止まりしている。
 また、図表6からは、この15年間で老後を不安視する傾向が一貫して増えているのがわかる。しかも、それを深刻な不安と捉える割合は顕著に増している。

 ところで前述の貯蓄率だが、全世代では下落傾向にあるものの、若年齢層、特に20代世帯では実は逆に上昇しているのである。金融資産保有額自体は全世代共通して減少傾向にあるため、若年世代による消費離れが進行していることが伺える。
 これらの統計から、全世代において家計の疲弊化、将来不安の増大が読み取れる。家計防衛はまさに喫緊の課題なのだ。
「一点豪華主義」の発想で支出を減らす
 
 それでは、万一の収支悪化の際に、家計にとって最後の砦となる資産を枯渇から回避するためにはどのような対策を講じればよいのであろうか。
 奇をてらった妙策があるわけではなく、「収支の悪化抑止」による貯蓄の取り崩しの軽減と、「資産の最適配分」に頼るしかない。
 まず、収支の悪化抑止としては、「支出を減らす」か「収入を増やす」ことに尽きる。
 前者については、既に生活のダウンサイジングは多くの世帯で余儀なくされている。今後も医療費等の増大は避けられないし、万が一インフレが到来し物価上昇も転じることになれば、さらなる生活水準の引き締めが必要になろう。
 そこで、家計の支出削減を検討する場合には「変動費」に注目したい。支出の総額は「頻度」と「単価」で決まるわけだが、単価を落とさず頻度を減らしてはどうか。買い物や外食、旅行等の回数を減らす代わりに質は落とさない。つまり、一点豪華主義の発想だ。単なる節約・倹約ではなく、生活の潤いを維持したまま上手な消費を心がけたい。
収入を得る機会・期間を増やす
 
 次に収入を増やす策についてだが、これはさらに「就業収入からの増加」と「資産収入からの増加」に分けて考えることができる。家計における収入は、この2つの推進力によってもたらされるのである。
 ひとつ目の就業収入からの増加については、「収入の質を上げる」、つまり年収そのものを増やすことは容易ではない。それならば、「収入を得る機会を増やす」か「収入を得る期間を増やす」ことを考えてはいかがだろうか。たとえば、夫婦共働きへの転換や定年後の就業期間の延長などが挙げられよう。
 また、収入構造・ワークスタイルの多角化(副業)を検討するほか、2011年7月に当コラムに上梓した「起業」も選択肢として考えられよう。高齢期の方であっても無理な話ではない。地域活動等のなかで収入を得る機会はある。たとえ少額であっても構わない。年金以外の収入を得る方法を検討したい。
 ふたつ目の資産収入からの増加については、長引く低金利を踏まえると預貯金等による利息収入から、投資型金融資産や投資型実物資産(不動産等)への移行が一般的に唱えられている。しかし、投資にはダウンサイドリスクが付きものであり、実際には容易ではない。
 そこで、資産収入を安定させるためにも、資産の最適配分を熟考する必要性が生ずるのである。
保険商品の見直しで資産を適正に配分する
 
 結論から述べると、それにはお金を使う目的、さらに言えば先述した収支悪化の懸念材料となる諸々の不確実要因に対応し得るものに分別して、お金の置き場を分けておくのが肝要と考える。預貯金等に置いている資産の一部を、次のような資産に置き換えてはいかがだろうか。
(1)病気やケガによる療養時、要介護時、あるいは災害の罹災時に収入を生む資産
(2)景気や景況感のサイクルに対応できる資産
 まず(1)を充足できる資産は保険商品しかなかろう。保険とは、極論すれば自身の生命・身体・財物に起こる不幸を担保に新たな所得を生み出してくれる資産である。
 就業中で扶養家族がある方であれば、死亡保険は必須である。収支にゆとりがあれば掛け捨て型保険より、老後資金等への2次活用の可能な貯蓄型保険が望ましい。現実的には、それらをバランスよく保つのがよいだろう。貯蓄型保険の代表である終身保険は、保険料払込満了後にはその総額以上が解約返戻金として戻るため、これを老後資金に活用できる。
 また、最大の懸念は就業困難状態である。これに対応するために所得補償保険への加入も必須だ。所得補償保険とは、傷病により就業収入が途絶または減収となると、一定額の所得を補てんするものである。
 就業中は、保有資産からというよりは収入から保険料に配分することになるが、有事の際に突如創出する大切な資産として、この切り札は予約しておきたい。
 一方、高齢期を控える場合は、医療費用と介護費用負担が収支悪化の最大懸念材料となる。そこで、保有資産の一部を保険料一時払いの医療保険や介護保険に配分することを検討してはどうか。保険金の支払事由に該当すると保険でその費用を捻出できるので、別途生活資金を取り崩す必要はなくなる。
 特に、一般的な介護保険は保障の限度はないため、要介護状態が続く限り継続的な収入を生んでくれる。保険金額については、現在の社会保険制度では介護費や療養費のそれぞれについて、かつ両者の合算で自己負担限度額が定められているので、その額を参考にすればよいだろう。
 さらに、これらの保険は貯蓄性を兼ねているものが多い。他に資金需要が生ずれば一部解約により現金化することもできる。また、保障をまっとうする前に死亡した場合には一定の死亡保険金も確保されているので、遺産として残すことも可能である。
 昨今人気の高い一時払い終身保険は、主に預貯金の代用としての特色が濃い。しかし、一時払い医療保険や介護保険は、まさに高齢期において、どれだけ支出が増えてしまうのか最も予測を立てづらい不確実要因に対し、根本的に解消する手段となり得る。基本的に掛け捨て型ではないので、まさしく預貯金等からお金の置き場を変えると考えてよいだろう。
 さらに、災害に対する備えとしては当然のことながら火災保険や各種損害賠償保険等は生涯において必須であることは言うまでもない。
景気変動にあわせて資産ポートフォリオを変える
 
次に(2)の景気サイクルに対応した資産への配分についての考え方であるが、これはどのサイクルにあるのかで条件は全く異なる。
 一般的に、景気の停滞期は金利や株価も低い。しかしこれが景気上昇期に転ずるとまず株価、そしてこれを追うように次第に金利が上昇していく。そして景気の天井に近づくと株価の伸びしろは縮まり金利は相応に高止まりする。やがて景気下降期では株価・金利とも下落していく。一時的な反動やオーバーシュートは否定できないが、景気サイクルのベクトルに金利や株価は概ね収斂するものである。
 したがって、定石通りの資産配分セオリーとしては、次のように考えると良いだろう。
【景気低迷期】
 低金利に喘ごうが、無理をせず預貯金等を選ぶのが無難であろう。たとえ表面金利は低くても、得てして物価も低いので、実質金利は悪くない場合も多い。また、資産が潤沢な場合や、自宅の売却を検討している場合なら、景気にそれほど左右されない現物不動産投資や自宅の賃貸化も候補になる。ただし、物件の立地と間取りにより空室リスクは大きく異なるので、その点は留意したい。
【景気上昇期】
 投資型金融商品に資産の軸足を移すことが、物価上昇による貨幣価値の毀損から資産を守る術となる。個別株式の選別が困難であれば、コストパフォーマンスに秀でる投資信託が選考対象となる。ただし、すぐに景気が腰折れしてしまうことも考慮し、実行に移すのは遅いくらいでも良い。
 また、この頃には金利上昇も懸念されるので、借金を負っての現物不動産投資よりは不動産投資信託等が無難であろう。当然、変動金利型等の住宅ローンを組んでいる場合は、積極的に繰り上げ返済を行い、金利上昇による返済額増加(家計の収支悪化)に備えたいところである。負債という負の資産を減らすことが、純資産を増やすことになる。
【景気天井期】
 概ね高金利の状態であるので、預貯金が絶対的な中心資産となる。また金利に反して価格が動く債券も候補に考えられる。
【景気下降期】
 債券に資産を移すのがセオリーであるが、発行体が破綻する懸念には留意し、高格付けの債券が無難であろう。
値動きが異なると思われる資産に分散して保有する
 
 投資をする際のリスク低減効果を期待する方法で「分散投資」という言葉をよく耳にすると思う。
 たとえば値動きが異なると思われる資産に分散して保有するのもその一手法である。しかし、その意味を取り違え、同一の景気サイクルにある国の株・債券・不動産・預貯金等を同時に均等に保有しても効果は薄れてしまう。
 もっとグローバルな視点で捉え、景気サイクルの異なる多国間や多国通貨間での分散投資に目を向けたい。日本国内の景気サイクルの潮目を待っている間に自らの資産が枯渇するばかりか、余計に減らしてしまうことにもなりかねないのだから。
 たとえば、現状の日本を軸にするなら、国内の預貯金を中核に景気上昇期に入っていると思われる国の外貨建ての投資型金融資産に目を向けたい。少し前に、景気上昇に転じ始めた新興諸国への投資が推奨されたのも理に適う。
 そのように考えると、景気天井期で高金利状態にある国の株式に投資する行為は、その後に懸念される株価の下落と為替差損(当該国の通貨安)をダブルで被ってしまう確度の高いことに気づくだろう。理屈では、債券が候補になるが、為替差損との相殺が懸念されるので慎重に検討したい。
 もちろん、公表されている数値を見ても、諸外国が景気サイクルのどの位置にあるのかを適切に把握することは困難である。それ故、投資時期を分散して少額ずつ資産を移すとともに、逆に換金する時期も分散するのが良いだろう。例えば、分配型の商品でなくても、毎年換金していけば私的年金の代わりにもなる。
使う目的に応じて資産を配分する
 
 なお、金、天然資源・エネルギー、食糧等の商品も分散投資の有力候補であるが、これは国単位というより独自の需要サイクルに影響されるとともに商品相場自体が小さいので大きな投機資金の流出のたびに荒い値動きになりやすい。GDPの世界シェアや人口など、商品需要へのインパクトの大きな国の景気サイクルにも連動しやすいので、留意されたい。
 また、先述のとおり、投資資産はダウンサイドリスクにより相当の価値喪失を被る可能性がある。よって、資産を配分する際の割合については、資金の目的別の配分から大きく逸脱しない範囲が望ましい。
 つまり、物価上昇を想定しないケースでの生活資金への取り崩し分は換金性の高い安全資産でしっかりと固めるか、比較的リスクが低いと思われる資産で分配金等のインカムゲインを取れる資産とし、物価上昇を考慮する生活資金分や、余暇費、耐久財購入資金分で「投資」を行うのが理想的であろう。そして、目的をしっかりと定め、失敗した際は旅行や自動車等のグレードが落ちるだけ、と割り切れる運用金額や運用期間から始めてはどうであろうか。
 資産価値とは、「運用利率」と「運用期間」で決まる。低い利息の預貯金は増えるまでに時間がかかると揶揄(やゆ)されているが、費やせる時間を長く取れるのであれば何も高い運用利率はいらないのである。
 また、高い運用利率を望めるものは相対的にリスクも相応に高くなる。予測の難しさや意図した運用成果から乖離(かいり)してしまう大きさは、運用期間の長さに比例しやすい。特に価格の値上がりを目的とする資産を検討する際には、その点にも留意してほしい。
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井上信一(いのうえ・しんいち)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士。CFP認定者 。福祉住環境コーディネーター2級。価値生活研究室代表。日本FP協会東京支部幹事
1967生まれ。東京都三鷹市在住。
大手化粧品会社にて販売会社、販売員、顧客向けにセミナー講師やカウンセリング営業に従事していた際、「より豊かな暮らしのためのライフプランの重要性」を肌で感じFPとなる。
以後、独立系FP教育会社、リスクマネジメント会社のFP部門にて10年強に渡り、個別相談を年間約100件、セミナー・講師を年間約500時間行うなどFP実務業務に従事する傍ら、法人の福利厚生制度やリスクマネジメント設計支援、金融機関従業員へのFPスキルアップ講座等の講師を勤める。
2010年、FP事務所を開設し独立。 現在、FPとして、個人向けFP相談、 法人・個人向けのセミナー・講義、 労組・福祉会等の発行する福利厚生冊子執筆のほか、各種コラム執筆や書籍監修にも多数従事。著書は『保険設計ベスト事例集』(きんざい出版)。
最終的にお客様が選ぶ道は1つでも、「FPの付加価値としてどんなサプライズな発想や選択肢を提案でき得るか」を信条としている。また、進展する超高齢社会を前に、「介護の不安を軽くするための暮らしと住まい」を支援すべく東京都多摩地区をベースとした社会的企業(ソーシャル・ビジネス)設立に向け起業準備中。
URL: http://www.shinichi-inoue.com/

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