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11月6日の米大統領選に続き、中国では次期指導体制を決める第18回共産党全国大会が8日から北京で開かれる。党トップの総書記の座が、胡錦濤氏から習近平党中央政治局常務委員に移る見通しだが、習近平体制がただちに取り組まなければならないのが、資本逃避問題である。
中国は表向きは厳しくカネの流出入を規制しているが、網の目をくぐって巨額の非公式資金が出入りする。その大半は「熱銭」(ホットマネー)と呼ばれる投機資金である。
熱銭の大半は公式統計では捕捉されないアングラ・マネー(地下資金)であり、正確な数値をつきとめることは難しい。それでも、大ざっぱな額は推計できる。まず、貿易収支、所得収支と外国からの直接投資の合計額を算出する。これら合法的な外貨は中国の通貨当局が買い上げるので、最終的には外貨準備に組み込まれる。熱銭も外貨として市中銀行に持ち込まれ、通貨当局が買い上げるのでやはり外準に反映する。そこで、外準の増加額から合法的な資金流入額を差し引けば、熱銭など非公式なマネーの流出入規模の見当がつく。このやり方で作成したのが本グラフである。
■内外の市場動向に左右
熱銭は中国内外の市場動向に左右される。1997、98年のアジア通貨危機の際は、香港経由で年間500億ドル規模のカネが海外に流出した。しかし、中国の株式市場が活気を帯びてきた2003年ごろからは逆に投機資金が中国本土に流れ込むようになり、04、05年は年間で900億〜1000億ドルも流入したと推計されるが、その後上海株価の急落とともに流入額は激減した。そして、08年9月のリーマン・ショック後の09年3月には逆に年間で約2000億ドルの資金が海外に流出した。
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熱銭など非公式な資金が流入に転じたのは09年後半からである。ピーク時の11年6月には実に年間4100億ドル以上もなだれこんだ。その背景は、不動産バブルである。リーマン後、胡錦濤総書記は国有商業銀行に対して融資額を3倍も増やすよう号令し、爆発的な住宅需要が発生し、全国に住宅ブームが沸き起こった。
ところが、住宅市況は11年後半から下がり始めた。不動産バブルは崩壊局面を迎え、ことし3月から非公式資金は流出に転じた。ことし9月時点での年間ベースの流出額は2300億ドル以上(日本円換算約18兆4000億円以上)、中国の国内総生産(GDP)比で3%以上と推計される。
■いびつなサイクル継続
資金流出問題は共産党支配体制の負の副産物である。ニューヨーク・タイムズ紙は10月26日付で温家宝首相一族が海外を中心に27億ドル(約2160億円)もの巨額不正蓄財があるという調査報道を掲載した。中国政府はただちにこの報道内容が中国国内に伝わらないよう、タイムズ紙電子版へのネット・アクセスを遮断したほか、温家宝一族の弁護士を通じて「規定された給与や年金以外に、いかなる収入や財産も得たことはない」と否定した。ところが、中国の党幹部が海外メディアで同種のスキャンダルを報じられた場合、通常は無視するのに、今回はムキになっているので、「報道は正しい」と中国関係者にみられる始末だ。
温氏にとどまらない。夫人の英国人殺害事件のために完全失脚した薄煕来元重慶市党書記の場合、夫人がためた海外資産は約1000億円という情報がネットで流れている。党幹部は海外に一族や子弟を住まわせ、国内の特権を利用して荒稼ぎした富を海外で運用するケースが多いが、習近平氏自身、娘はハーバード大学に留学、一族の多くは海外で市民権を得た上で、中国国内でビジネス活動している。党幹部一族の手で海外に逃避した資本は、中国の市場が上昇すれば還流し、下落すれば逃げるという、極めていびつなサイクルが延々と続く。
この結果、中国経済を安定的に持続成長させる資本は蓄積せず、いくら経済成長しても国内の貧富の格差が広がる。胡錦濤・温家宝ラインは党幹部の腐敗や不正蓄財の摘発に努めたとされるが、みかけ倒しだった。習近平体制になると、汚職・腐敗による資本逃避はもっと深刻化しよう。 (田村秀男)
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