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経済学の知識なしで日本と世界の経済を簡単に理解できる話 (とてもわかりやすい!)
http://www.asyura2.com/12/hasan78/msg/431.html
投稿者 エテ公 日時 2012 年 11 月 07 日 21:35:55: .XQ.mNI0RTQBI
 


ある方のツイッターですが、いろんな方からの意見を聞いてみたいと思い勝手ながら転載いたします。ここ阿修羅でも『減価する通貨』は話題になっていましたが、その実用性はともかく、この方の(近代)経済観と問題意識は大いに共感します。

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キーワードとして「総需要」「デフレ」「合理的な経済活動(=自分の手持ちのカネが最も大きくなるべく取られる行動)」を意識して読んでいくといいです。


@我々が置かれている現状についてご理解いただくには、現在採用されている経済システムについての前提を共有していただく必要があります。まず、我々の生存に関する物的条件は、日本円をはじめとする通貨を用いなければ手に入らない、もしくは著しく困難であるということです。


A次に前提となるのは、そこで我々が用いている通貨が、減価しないという特質を用いているということです。これは、日本円やその他の通貨が退蔵(使わず貯めこむこと)が可能であることにつながります。単位や、流通量による価値の大小はあっても、一度手に入れたカネは基本的に消えません。


Bそして、もう一つの前提は、人の経済活動における体力を示す「購買力」の合計以上はものやサービスが売れないということです。これを「総需要」といいます。総需要は消費支出の合計であり、日本であれば、個々の経済主体が用いることのできる日本円の合計になります。


Cまず、退蔵可能な貨幣を用いていることで、必然的に起きるのが「最も合理的な活動は人にカネを渡して代わりに動いてもらうことになる」ことです。融資に置ける利息、株式投資における配当がこれに当たります。そして、借りた側は本来必要である限度を超えた通貨獲得を強いられることになります。


D特に、利子について言えば複利計算ですから、借りた側はよほど業績が上がらなければ、金利返済のために前年比プラスを達成しなければ経済活動が困難になるということが出てきます。借金が辛いのはそのためです。頑張って返せばいいじゃないかと思えますが、そこにも実は問題があります。


Eその問題とは、3つ目の「総需要」です。営利活動には、総需要という限界があるため、カネを稼いで利子を返すという活動は、すぐに頭打ちになってしまうのです。これは、各経済主体がレベルの高い努力をすればするほど顕在化することになります。


Fつまり、競争に勝って豊かになればいいという考えは、実は他人に行くはずだった総需要の一部を自分が獲得し、その他人の分が減ったということに他なりません。もっとざっくばらんに言えば、総需要を椅子とした「椅子取りゲーム」です。どんなに頑張っても椅子に座れない人が出てきます。


Gこのような状況を、ミクロな主体がなかなか理解できないのは、規模が大きくなるとこの奪い合いが見えにくくなるためと、不完全ながらも総需要を拡大する「やらせ」が行われているためです。そのやらせとは、財政出動と金融です。後者は利息を取る点で説明済みなので、前者について説明します。


H総需要は購買力の総合計という形で明確な限界があります。だから、その枠内で競争=イス取りゲームをやると、ものやサービスの生産性が向上してしまい、すぐに椅子に座れなくなる状態がやってきます。これが、デフレです。ものやサービスが増えすぎて、需要と吊り合わなくなっていることです。


Iこのデフレは、ミクロな経済主体が合理的な経済活動を続ける限り絶対に解消できません。いわゆる不景気の局面で、個々人や企業が取る経済合理的な活動は「節約」です。これによりその主体は楽になりますが、社会全体で見れば総需要が減少することになります。そして、デフレが更に拡大するのです。


Jこれを防ぐために、政府という経済合理性を考慮しなくてもよい(しかも巨大な)経済主体が、あえて合理的でないお金を使って総需要を拡大するのが、財政出動です。ないはずのものを作るわけですから、ドーピングなのです。。しかし、これをやらなければ経済活動は、特に地方で完全に死滅します。


Kしかし、これにも限界があります。一つは、日本政府は貨幣発行権を持っていない(日銀が持っている)ので、国債という利子付き証券で調達するしかなく、早晩財政危機を迎えるからです。そうでなくても、地球環境という限界があり、開発や資源消費はいつかどこかで止まらざるを得ません。


Kこのような状態を、競争力を強化し、輸出を拡大することで乗り切ろうという策は、必ず失敗します。なぜなら、他の国も似たような経済活動はしており、結局地球レベルで総需要の奪い合いになるだけだからです。その極致が、第二次世界大戦だったのです。


Lそのような限界に達しつつあるのが現在の世界、現在の日本です。しかし、実はそこまでの末期状態を迎える前に、同じくらい悲劇的な事態がある国、特に先進国の経済で起こっているのです。それが「グローバリゼーション」です。これを知れば、バブル崩壊以降の日本経済は完全に理解できます。


Mグローバリゼーションとは、国民国家としての枠を飛び越えて利益を極大化する動きです。たとえば、日本で1990年代に起きたことを見てみます。90年代に最も顕著だったのは、日本企業の中国進出です。人件費が安いというのが主な理由ですが、それ以上に総需要拡大の余地があったのが中国です。


N中国の人件費が低いということは、国民に給与という形で人件費を与えれば、それだけ購買力が容易に増加するということです。60年代の日本のように、何も持たない人々が購買力をつけ、高級消費財を買うというのが、最も効率の良い市場です。年増の日本は、若い中国に走った企業に捨てられたのです。


Oその一方で、本来であれば日本にあった生産設備等が中国へ出ていくわけですから、日本での雇用は減ります。これによって総需要が低下するので、国内ではますますデフレが進みます。それに対応すべく取られる「合理的な」行動が、中国からの廉価な製品の輸入だったというのは皮肉という他ありません。


Pそこに追い打ちをかけたのが、労働市場の規制緩和です。代表例が派遣労働者法制の改正で、正社員がやっていたことを派遣が代替できるようになりました。企業としては「合理的」な活動なのですが、これによって給与が減り、総需要は更に低下します。


Q企業はただでさえ利払いや配当で体力を吸い取られていくので、デフレ下ではこのような方策を取らざるを得ない面があるのです。反面、金銭収入によって生活に関わる物的条件を手に入れざるを得ない都市型の労働者は、どんどん生活が苦しくなっていくことになります。


Rとはいえ、減価しない通貨を採用する以上、退蔵したカネを他人に使わせて利益を得ている人々が、行動を変化させる合理的理由はありません。極端な話、地球が滅ぶならその前に宇宙開発して、カネでそこの居住権を手に入れればいい人たちです。政府の政策は、このような人たちに強く影響されています。


S以上のように、今の日本の状況は「カネで物的条件を入手する必要があること」「減価しない通貨」「総需要という限界」の3つから、論理必然的に生まれてきたものだということが分かります。これに抵抗する動きはほぼ全て潰され、むしろある種の人々の優位性を促進する動きが強まっています。


㉑このような状況で、考えられることは2つあります。一つは、総需要を拡大し、個々の国民に購買力を持たせようとする政治勢力を国民が応援し続けることです。しかし、その勢力=小沢一郎や亀井静香、鈴木宗男らに対する攻撃を見れば、なかなか難しい方策であるのは明白です。(それでもやるべきだが)


㉒もう一つの道は、「総需要」や「減価しない通貨」によって、人の生死が左右される社会とは別のルールに従って動く社会を作ることです。しかし、これもまた困難です。なぜなら、そのような社会の形成には、経済合理性が全くないからです。


㉓例えば、自給自足可能なムラを作ることを考えてみて下さい。そんなところに好んで暮らしたがる人がどれだけいるでしょうか。都市的な刺激がないのはもとより、生存に必要な物的条件を整えるカネがほとんど入ってこないのです。特に、将来のある若年層の女性は間違いなく拒絶するでしょう。


㉔だからといって、諦めていても仕方がありません。「国民寄りの政治勢力を勝たせること」と「減価しない通貨に頼らない社会づくり」とを、コツコツ気長に進めていきたいと私は思います。世界の崩壊に間に合うかどうかは分かりませんが…。


付け足し㉕実は、もう一つ方法があります。それは、ここで語られたような事実を無視し、ひたすら現実の経済システムに自分を最適化させることです。自分が生きているうちはなんとかなる、とお思いかもしれません。それでいいと思います。本当の崩壊が、原発事故のようにいつ来るかわかりませんが…。


http://twitter.com/roro_yamerotpp
http://togetter.com/li/403174
 

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コメント
 
01. あっしら 2012年11月08日 02:09:00 : Mo7ApAlflbQ6s : DvLZNEv2EI

エテ公さん、こんばんは。

紹介していただいたツイッターの内容は、いくつかの項目で引っかかるところもありますが、なかなか“達観”した考察でほっとしました。

このところ少し“不調”なので、思うところの具体的な論述はなしで、挨拶だけにさせていただきます。



02. 2012年11月08日 06:27:39 : Fd0Q9sRH0F
減価しない通貨に頼らない社会づくり=減価する貨幣を実験的に実施したドイツかどこかの国のある地方があったと記憶する。今と全く違った経済システムが生まれて面白い。

03. 2012年11月08日 06:50:29 : mHY843J0vA

@に関しては今の日本が例外ということでしょう

一般にはインフレ率以上の高金利でノーリスクでの運用は可能ではないので「通貨価値は減退する」のが普通ですね

Cの「最も合理的な活動は人にカネを渡して代わりに動いてもらうことになる」という点に関しても、デフォルトリスクがある限り、投資が最も合理的とは言えません

つまり、金融における規制や緩和、それに政府による課税、再分配のみによって人々の生活が長期的に向上することはありません

最も重要なのは、持続的な企業活動による生産性向上、そして新規企業による新たなサービスや雇用の供給です

そうした基本的な民間の社会機能(つまり智慧を絞った投資や、真面目で効率的な労働)があって始めて
適正な課税と再分配やインフラ整備などの財政政策、それに安定した金融政策が有効になるということです

今の日本で衰退しているのは、民間活動であり、その原因は、少子高齢化もあるでしょうが、規制によって高止まりしている賃金、他国に比べ企業にとって厳しい税制などでしょうね


04. 2012年11月08日 06:57:37 : mHY843J0vA

日本のデフレを単に解決したいだけであれば、最も効果的なのは、デフレが解決するまで日銀が財政赤字をマネタイズすると宣言して、無制限に長短国債を買い続けることでしょうね

ただし、そのためには財政法や日銀法などに関する議論が必要になりそうですし

長期的には非常に大きなリスクがあります


05. ふくしま311 2012年11月08日 18:42:20 : ZwgqTKhDDugBc : kcSNSvuM4M
経済合理性のある「減価しない通貨に頼らない社会づくり」をやろうとしています。さち

06. 2012年11月09日 01:36:55 : MDURCTUJ7k
>>05さん
日本国内で実践されるのですか?

広く自然環境に組み込まれる社会づくりは、いわゆる農業が現在のところその主産業かもしれませんが、ひとつの種子から世界全体の環境に至るまで無数の科学と思想におおわれていることに依存する、曼荼羅的考察が基幹になると思います。

「汗して稼いだお金」が、大きな椅子取りゲームの中に組み込まれないようにする智慧を求めようとしています。


07. 2012年11月09日 11:19:59 : 9CxkOPcwIU
「椅子取りゲーム」に例えるところ、ものすごく判りやすかったです。
ありがとうございます。

08. 2012年11月09日 13:07:59 : raE2d0PQ2T
こういう議論でいつも思うのは抽象的で、とっつきにくいこと。
一般の庶民にはわかりにくいと思う。
経済理論というのは具体的な諸事情を捨象した地図のようなものだ。
実際にはそこには生きてうごめく人間がいるから、常にそこに戻っていき、
具体例をあげて説明しないと理論が浮遊していく。

この方の減価しない通貨に頼らない社会づくりというのはよくわからないが、
「減価する通貨に頼る社会づくりをめざす」とは言っていないような気がするが、どうか?
誰でも、自分が貯め込んだお金が期限切れで価値がなくなったら困るではないか?
むしろ、この現実の資本主義社会の中から従来の制度とは一線を画す何か新しいものを模索しようとしているのだと思う。
その新しい生き方を模索するための理解の方法として、こういった経済観を展開しているのだと解釈する。

しかしながら、氏のこの経済観の全体に流れる色調は、悲観論になっている。
例えば20以降を読めばそういった論調が読み取れると思う。
世界崩壊などというのはまだまだ先のことだ。
人間はこのどうしようもない資本主義のなかで生きていかなければならないという力強さがないのだ。

みんないろんな理論や提案をするが、どうだろう?もう一歩、論を進めれば、
資本主義の根幹というのは決済ではないかと思うのだが。
商売をしている人は商品を売って代金をもらう。サラリーマンは自分の労働力を売って賃金をもらう。
この簡単な事実ではあるが、これができないと、資本主義も社会主義さえも崩壊してしまう。
人間社会の歴史とはこの決済をなんとか成功させるための延々の努力の歴史だったのではないだろうか?
みんなこのために生活を苦労してきたのだし、もっと大きく言えば戦争もあった。
「もしこの決済をもっと楽に簡単にすることができるとしたら」と思ったことはないか?

100%自給自足の村なんてのは極論だが、
できるだけ今の市場経済に左右されない自立したライフスタイルの確立は可能だと思う。
全体的に本格化まではしていないが、模索あるいは実践している人は私の周りでもけっこういるよ。
汗して稼いだお金は現行制度で有効に活用している。
片足をこの資本主義経済という泥沼の中につっこみ、
もう片方を何とかこの泥沼から引き抜こうとして奮闘努力している人たちが。


09. 2012年11月09日 18:56:56 : FdYcVTIWmk
ノーベル経済学賞か。

10. 2012年11月10日 06:31:10 : Mb6657x1r6
ここに書かれていることは、戦前の世界恐慌の時代に、とっくに議論されていますよ。
C.H.ダグラスによって、資本主義貨幣経済においては、「総需要<生産量」(A+B理論ともいわれる)すになるので、それを防ぐには、
1.通貨発行によるベーシックインカムで消費者に需要を与える
2.信用創造により、通貨量を増やすのだが、それは借金になるので、適度なインフレで、借金を実質的に目減りさせる。但し、深刻なデフレに入ると名目金利を下げても民間が誰も借金をしなくなる(流動性の罠)ので、しかたなく財政支出をして、デフレからインフレに軌道修正させるのです。

1.は銀行利権を剥奪することになるため、徹底的に封印され正統派の経済学になりませんでした。そのため、経済学者は、ダグラスを知りません。

2.は、ケインズ政策のことです。ケインズはダグラスの理論をよく理解しており、インフレにより、実質的な借金の減価をすれば、信用創造(借金)ベースでも経済はうまくまわるのです。但し、深刻な不況に陥った時だけは、公共事業をすると。

いったんデフレに入ると、いくら金融緩和しても民間に任せていては、需要が増えることはないということを理解する必要があります。
マネタリストと呼ばれる経済学者(高橋洋一、飯田泰之)は、これを理解せず、すぐ日銀のせいにします。(笑)


11. 2012年11月10日 20:47:41 : tqXzCFHHkw
 経済学の知識ないもんな。
いつも思うことなんだけど、知識は重要だが正しい知識を実行に移さないならば世の中は決して良くならないはずだと思う。学識を実行の段階で放棄するような人間があまりにも多すぎるのが真実、現実ではないだろうか。これだけ大卒が多い日本がなぜ立ち直りが悪いのだろう。

12. 2012年11月14日 23:19:52 : KGjdtD3Kcc
11さん、そこに現実に生きて生活しているということが、
経済の証明。理論より勝る。

まず、この「減価しない貨幣に頼らない社会づくり」という言い方。
何とかならなりませんかねぇ〜。こんがらがっちゃいます。
ふだん何気なく使っている、預貯金のできる「お金」であれば、
ふつうに言えば、「お金に頼らない社会」でよいのではないか?
あるいは、
お金をかけない社会
お金がかからない社会
自立した経済
市場経済に振り回されない生活
新しいライフスタイルの確立
生活防衛
節約
あたりでよいのではないか?
それとも、この「減価しない貨幣」という言葉に特に何かあるのでしょうか?
具体例を示していただきたい。

三つの要素でこの世界を説明している。
また、平易に解き明かしていることが好感が持てる。
しかしながら、ここから導きだされる未来像は悲観的。
ある特定の人に優位に働く、経済は停滞し、世界崩壊に至る。
もしそうなら、「コツコツ気長に」というあなた!
ちょっとのんびりしすぎではないですか?

総需要の限界という考え方はどうか?
確かにイス取りゲームでは余る人はでてくる。
以前、東京の近郊県の工場を見学したが、そこの工場長が言っていた。
ここは東京圏に巻き込まれる。東京でこれが売れるとなると、みんなそれに群がる。
みんなそれをまねして作る。だからすぐ供給が需要を上回る。
これでは不況の出口がない。
ここを突破するには技術革新が必要だ。
さらにまねのできないオリジナルな商品を開発することだ。
現実的には、有り余るほどの需要が眠っているのだ。

だいたい10年の周期で好況不況が繰り返しているようだが、
そしていつのまにか知らぬ間に元の活況に戻ったりする。
そしてお決まりのようにまたバブルがはじける。
じっと耐えて次の好景気が来るのを待つ。
マラソンのようにけっして前には出ない。
が、来るべき時期に備えて着々と準備はしている。

経済は直線的に進むのではなく、循環しながら進む。もっと進めば、
その循環は大きく言えば歴史の各段階においては一回限りのオリジナルな螺旋形状のようだ。
眼前にある諸問題は国家の諸政策や個人の画期的アイデアにより、全てとは言わないが解決可能であると思う。
そもそも理論は崩壊を導きだすものではない。解決の未来を提示するものではなかったか?
氏の投稿は現代経済の一つの問題点を提起したが、単なる世界観で終わっているのが残念でならない。


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