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4年間で拡大した格差と深化する国民の分断 ECBのゼロ金利長期化で下値不安小さい独・仏国債
http://www.asyura2.com/12/hasan78/msg/424.html
投稿者 MR 日時 2012 年 11 月 07 日 12:09:25: cT5Wxjlo3Xe3.
 

【第3回】 2012年11月7日 津山恵子

4年間で拡大した格差と深化する国民の分断


有権者の声から見る「米国を一つに」の困難

両大統領候補の接戦が日々伝えられるなか、実際の有権者は両候補をどう見ているのか。年齢も職業も違う多くの人々の声を聞いてみると、今回の選挙戦を通して両者が争点をぶつけ合えば合うほど、有権者は二者択一を迫られ、国が分断されていく様子が浮かび上がってくる。それはワシントンの政界でも広がっている。(在米ジャーナリスト・津山恵子)

分断が深化する構造

「米国は正しい方向に向かっていると思うか」

 米国人の有権者に最近、こうした質問をぶつけてみた。世論調査に必ずある質問だが、かなりクリアにその人が何を支持し、何を望んでいないのかが、よく分かる。

 筆者が得た有権者の声を、いくつか紹介しよう。

「ロムニー候補が大統領になれば、米国を支える中間層は無視され、彼は米国を正しくは導いてくれないと思う。オバマ大統領の経済対策は少しスローだったが、健康保険制度を整えてくれたし、彼のアプローチを支持します」(ナンシー・カートン、ヘルスケア・マネージャー、53)

「オバマ大統領のもと、金融機関は救済され、人々は路頭に迷った。ロムニー候補が大統領になれば、政府の歳出をもっと減らして、私たちが救済されると思う」(エレイン、学生、21)

 もっと複雑な見方をする人もいる。

「オバマ大統領がウォール街を救済したことや、国民皆保険を目指した健康保険制度改革には満足していない。しかし、一個人として、政府は人種や宗教にかかわらず、どんな市民をも守るべき立場にあると思っている。ロムニー候補にはそれができないだろうから、オバマ大統領を再選させなくてはならない」(スティーブ・マックス、オバマ選挙事務所ボランティア、73)


2008年選挙で流行したオバマ氏のイラストが張られたニューヨークの選挙事務所 
Photo by Keiko Tsuyama
 こうした話を聞いて、強く感じるのが、米有権者の中に生まれている「分断」だ。「国民みなに健康保険はあるべきか、なくてもよいか」「国防予算は維持すべきか、削減すべきか」「同性愛者は結婚してよいか、だめか」と、いう二者択一でいつも物事が語られ、折衷案がなく、それが最終的に「民主党か、共和党か」という選択に帰着する。

 こうした傾向は、2008年の大統領選挙時よりも広がっているようだ。つまり、オバマ政権の4年間は、意図しなかったことだろうが、国民の「分断」を深めてきた。反オバマ派は、オバマ政権が必死に行った健康保険制度改革や金融機関規制改革がいやでいやでしょうがないことが、ロムニー候補支持者の話を聞いているとよく分かる。現政権が公約を果たそうと躍起になればなるほど、非支持者が離れていく引き金になるから皮肉なことだ。

「夢」の進展はなかった

 さらに、ワシントンの政界をみてみよう。

 今年1月、オバマ大統領が1年の施政方針を明らかにする「一般教書」演説会場で、「異変」が起きた。それは、会場である連邦議会議事堂の上下両院会議場で、空席があったためだ。とりわけ欠席者で目立ったのは、アリート氏をはじめとした連邦最高裁判事の3人で、いずれも共和党大統領が任命した保守派の判事だった。

 もちろん、やむを得ない欠席というのはあるが、上下院議員が一堂に介し、副大統領は上院議長席に座るし、閣僚も全員集合する。副大統領を含めた大統領継承権者がみな集まるため、万が一の不測の事態に備えて、閣僚を一人(今年は農務長官)、公式に欠席させて、別の場所に待機させるほどだ。

 また、上下院議員も「デート(デートの相手)」といって、与党は野党、野党は与党の議員を誘い合い、党ごとに分かれて座るのではなく、与野党が一人ずつ交互に座るというのが習慣だ。一般教書の時ぐらい、「バイパルティザン(超党派)」の姿勢を示そうというのが狙いだ。

 それほど伝統的に重要なイベントで、保守派最高裁判事が欠席したとあって、「非アメリカ人的」「不名誉」「挑戦的」と批判を浴びた。

 直後、アフリカ系米国人の学識者が、私にこう指摘した。

「オバマ氏が白人だったら、彼らは欠席しただろうか」

 つまり、ほとんど誰も口にはしないが、欠席は人種差別的という見方がほんとうのところだ。これも、皮肉と思わざるを得ない。

 アフリカ人と白人の両親の間に生まれた自分だからこそ、「アメリカを一つ」にする「夢」を実現するとし、多くの有権者を興奮させて、オバマ氏が当選した2008年の大統領選挙から、後退こそすれ、進展はなかった。そんなことを感じさせる一般教書の風景だった。

どちらも困難な道を歩む


今年9月行われたオキュパイ・ウォール・ストリート1周年のデモで逮捕される若者 
Photo by Morgan Freeman
 また、「オキュパイ・ウォール・ストリート(OWS)」、つまりウォール街で始まった若者中心の反経済格差運動を思い出してみよう。

 ベトナム反戦運動以来、「ノンポリ」と思われてきた10代から20代といった若い層が、約30年ぶりに立ち上がった。これは、格差が顕在化していなければあり得なかったことだ。

 OWSの運動を続ける若者に、選挙のことを聞いてみた。

「民主党も共和党も僕らを代表してはいない。独立候補に投票するつもりだ。問題は、政府が我々に振り向いてくれるかどうかで、その答えにオバマ大統領もロムニー候補も答えていない」(イブラヒム・アワダラー、大学中退、27)

 彼は、あわよくば大学に戻り、政治を勉強したいというが、中退したまま路上生活し、OWSに1年以上も関わっている。

 数字でみると、米国の屋台骨とされている中間層の世帯所得は、オバマ大統領が就任した09年1月から現在までに5%も減少し、家計を圧迫している。また同時期から11年までに、政府の低所得者向け食費補助のフードスタンプの受給者は46%も増加している。

 また、米議会予算局が今年まとめた米国の家計所得に関する報告書によると、上位1%を占める最富裕層の所得が過去29年間で275%増加したものの、低所得層20%の所得の伸びは18%にとどまった。つまり、貧富の差の広がりは長期的な傾向だが、前出のデータをみると、オバマの「チェンジ」政権は、それを変えられなかったことも分かる。

 オバマ大統領とロムニー候補の「舌戦」をみていると、オバマ政権がなし得なかったこと、さらに「分断」や「格差」を広げたことを痛感せざるを得ない。

 オバマ大統領の今年のキーワードは、08年の「チェンジ」ではなく、「ムーブ・フォワード」だ。チェンジは訪れなかったが、とにかく前進しよう、というわけだ。同大統領は9月の民主党大会でこう述べた。

「チェンジは、あなたたちがもたらすものだ。アメリカよ、この道のりは容易いものではないし、私は決して容易いとは言わない。辛く長い道のりだが、ともに助け合って、ともに進んで行こう」

 チェンジがまだ実現していないことを認め、それでも勝利したいという意志を示した。しかし、これだけ亀裂が深い国家をリードするのは、オバマ再選大統領にとっても、ロムニー新大統領にとっても、かなり困難なことになるのは間違いない。
http://diamond.jp/articles/print/27501

【第2回】 2012年11月7日 野地 慎 [SMBC日興証券為替ストラテジスト]

ECBのゼロ金利長期化で下値不安小さい独・仏国債に妙味

 2010年以降の金融市場における最大の懸案であった欧州債務問題については、今年、ECB(欧州中央銀行)の大きな決断によって、光明が見え始めた。ECBは、7月に銀行がECBに預ける預金ファシリティ金利を0%まで引き下げるゼロ金利政策に踏み切った後、9月には救済申請を条件に当該国の国債を無制限に買い入れる新たな国債買い入れプログラム(OMTs)を発表した。

 ゼロ金利政策はユーロ圏の政府や金融機関の資金調達コストを引き下げ、OMTsはスペインなどの長期国債利回りの大幅な低下を促した。ユーロ圏の株式市場は大幅に上昇するなどリスクオンの状態が続いている。

 一方、ユーロ圏の2年スワップ金利の変動率を表すスワップションのボラティリティは低位で安定を続けている。これは欧州債務問題の解決への道筋が見えても、ユーロ圏の短期金利が容易に上がらないであろうことを示唆している。


 このような状況は、OMTsが持つもう一つの側面によるところが大きいと考えられる。OMTsはスペインなどの国債をECBが「無制限」に買い入れる政策ではあるものの、「無条件」ではない。

 スペインなどがESM(欧州安定メカニズム)に金融支援を要請し、ESMが提示した条件を満たすことにより、国債買い入れが決定される。ESMの条件とは、まさに財政健全化と構造改革であり、スペインなどは財政緊縮化と引き換えにECBに自国の調達コストを引き下げてもらう格好となる。

 また、OMTsはユーロ圏の中央銀行であるECBの決定であるがために、支援側のユーロ圏加盟国にも財政健全化のプレッシャーを与えた。9月末にはフランスが大幅な緊縮財政策を盛り込んだ13年予算を発表した。IMF(国際通貨基金)は10月9日に、13年のユーロ圏およびユーロ圏主要国の経済見通しを大幅に引き下げたが、ユーロ圏各国の財政緊縮化を反映したものといえる。

 OMTsは市場のユーロ不安を鎮めたが、ユーロ圏各国の財政緊縮化をもたらし、ユーロ圏の景気停滞を決定づけてしまったといえそうだ。このような状況下、ECBはゼロ金利政策によってユーロ圏経済をサポートし続けなくてはならず、市場参加者の間では、ECBのゼロ金利政策は長期化するであろうとの思惑が浸透している。スワップションのボラティリティ低下はまさにそれを反映している。

 通貨ユーロへの不安が後退し、一方でECBのゼロ金利政策長期化の可能性が大いに高まっている状況に鑑みれば、値下がり(金利上昇)リスクの小さいユーロ圏の中長期国債への投資に妙味があるといえる。安全資産需要が高いことからドイツ国債利回りはさほど高くないが、日本の国債利回りと比べれば高水準だ。また、オランダやフランスなど、その他の高格付け国債であればドイツ国債より高い利回りが得られる。ユーロ圏高格付け国債への投資は一考に値するといえる。

(SMBC日興証券為替ストラテジスト 野地 慎)
http://diamond.jp/articles/print/27493


 

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