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[情報ファイル]アフリカ、米中攻防 10億人市場に潜在力
米、政治安定国狙う 中、資源国以外にも
【北京=森安健】米国と中国がアフリカ諸国を取り込もうとせめぎ合いを始めた。米国は今夏、政治が安定している9カ国を選んでクリントン国務長官を派遣。グローバル企業の進出を働きかける。中国も資源調達に偏る投資国・分野の見直しに着手している。アフリカ大陸は総人口10億人を抱える。米中が熱い視線を注ぐのは、新興市場の先に広がるマーケットとしての可能性だ。
アフリカ西部セネガルの首都ダカール。10月20日、中国共産党中央対外連絡部の艾平・副部長が大統領府を訪れ、サル大統領と握手し、「政党同士の交流を深めたい」と持ちかけた。
国務長官が訪問
これに先立つ8月1日、同じ大統領府をクリントン米国務長官が訪れていた。同行していたのはボーイング、フェデックス、ゼネラル・エレクトリック(GE)など代表的なグローバル企業の幹部。従来のように人道援助だけを話し合う外交団とは違った。
「アフリカで拡大する中間所得層はiPad(アイパッド)やパンパース(紙おむつ)など米商品の市場になる」。米国務省でアフリカを担当するカーソン米国務次官補は6月の米議会公聴会でこう証言した。
背景にあるのは、オバマ政権のまとめた「対アフリカ新戦略」と題した12ページの文書だ。新戦略では、アフリカの市場が持つ潜在性に言及。米国がまず政治が安定した民主国に接近することを提起している。
2010年から11年にかけて広がった中東の民主化運動「アラブの春」。エジプトやリビアを舞台にした出来事が、米国がアフリカとの関係を再構築するきっかけとみる外交関係者は多い。
現地でクリントン長官は「アフリカの財産を奪いながら、何の利益ももたらさない日々は終わった」と天然資源の獲得に特化する姿勢を批判。アフリカ進出で先行する中国を意識した発言というのは明らかだった。
対抗意識あらわ
一方、中国はこうした米国の動きに対抗意識をあらわにする。国営新華社通信は「アフリカは中身のない説教と約束よりも、現実的な援助を歓迎している」と指摘。中国は200億ドル(約1兆6千億円)の融資枠を打ち出していると応じた。
中国は従来、対アフリカの投資をアンゴラ、スーダンなど資源国に集中。大統領宮殿や国会議事堂を建て、指導層に食い込み、権益確保の道を開くのが強みだった。しかし、こうした手法も民主化の動きで見直しを迫られている。
産油国のリビアには国有の石油会社、中国石油天然気集団(CNPC)を筆頭に、通信機器大手の中興通訊(ZTE)など70社余りが進出した。だが、カダフィ政権の倒壊で1兆5千億円規模のプロジェクトは頓挫した。
資源国には政治が不安定な国が多い。英シンクタンクが政治安定度からはじき出す「イブラヒム指数」の最下位グループはジンバブエ、コンゴ民主共和国、スーダン、アンゴラなど中国の友好国が並ぶ。中国にとって資源確保の重要性は変わらないものの、工業製品の輸出などを支えた欧州が債務危機で揺れ、新たな国外市場としてアフリカにかける期待は大きい。
華為技術(ファーウェイ)が手掛けるスマートフォン(高機能携帯電話)はケニアで45%のシェアを握り、南アフリカで売れる洗濯機の約4割は上海広電集団製だ。広大な大陸で新たな消費者に近づこうという試みは着実に動き始めている。
<MEMO>過去7年、22カ国で武力衝突
世界の経済成長率トップ10カ国のうち7つはアフリカにある。だが、サハラ以南の48カ国のうち、過去7年内に武力衝突があった国は22に上る。投資には「アフリカ・リスク」がつきまとう。
アフリカの国境は欧州列強が植民地時代に人工的に引いたもので、民族や宗教の違いによる火種が残る。エジプトやスーダンでは、複数の中国人労働者が誘拐される事件も発生した。
中国の胡錦濤国家主席は7月に北京で開いたアフリカ・フォーラムで「確実に発展できるよう、平和と安定を確保しなければならない」と強調。アフリカ連合(AU)常設軍の設置に向けた資金拠出を発表した。米軍は2008年にアフリカ軍司令部を設置している。
[日経新聞11月5日朝刊P.6]
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