http://www.asyura2.com/12/hasan78/msg/407.html
Tweet |
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20121102/238973/thumb_500_01.jpg
車部品、増幅する尖閣ショック
2012年11月6日(火) 広岡 延隆 、 伊藤 正倫
尖閣問題によって、中国での日本車需要は大幅減が避けられない。その影響を完成車メーカー以上に受けるのが部品メーカーだ。超円高を背景にした完成車各社の部品調達改革も追い打ちをかけ、再編もささやかれる。
「中国事業は来年2月の春節後に元通りになると期待も込めて考えているが、要因が要因だけに正直、予測は立てづらい」。ホンダの岩村哲夫副社長は、苦渋の表情を浮かべた。
10月29日。ホンダは2012年度の連結業績予想を下方修正し、純利益は3750億円と従来予想から950億円引き下げた。言うまでもなく、尖閣諸島の国有化に端を発した中国での反日感情の高まりが主因だ。今年度の中国での4輪車の販売台数は、当初計画より13万台少ない62万台に修正した。
中国販売の不振は、トヨタ自動車や日産自動車なども同じ。株式市場では自動車株に売り圧力が強まっている。
完成車以上に売り込まれる
だが、実は完成車メーカーよりさらに下落しているのが部品メーカー株だ。下のグラフは、日本政府が尖閣諸島を国有化した9月11日以降の主な自動車・部品株の値動き。特に、カルソニックカンセイやユニプレスといった中国事業の比率が高い日産関連メーカーの下げがきついのが分かる。
完成車メーカーは中国における規制のため、現地子会社には最大5割までしか出資できず、出資分の範囲内で連結決算に反映させる。それに対して、部品メーカーの多くは連結子会社で、収益の全額を決算に取り込んでいる。主要顧客である完成車メーカーの変調は、カウンターパンチのように倍の衝撃となって部品メーカーを揺さぶる。
メリルリンチ日本証券の自動車担当アナリスト、中西孝樹氏は「仮に今年10〜12月に日系自動車メーカーが中国で5割減産する場合、今年度の連結純利益を約5%押し下げる。しかし、部品メーカーへの影響額は10%とさらに大きくなりそうだ」と指摘する。
自動車部品株下落のワケは、中国問題だけにとどまらない。クレディ・スイス証券の秋田昌洋氏は「部品会社の苦境は構造的なもので、長期トレンドで見ても完成車を下回る株価推移が続いている」と指摘する。
超円高が続く中、完成車メーカーの海外調達が加速し、部品メーカーも海外進出を迫られる。その結果、「部品メーカーの利益が減少している」と秋田氏は分析する。従来、円建て取引で完成車メーカーが肩代わりする構図にあった為替リスクを、部品メーカーが取らざるを得なくなっているためだ。
2012年4〜9月期の連結業績を上方修正し、純利益が前年同期比2.8倍の301億円となった三菱自動車。東南アジアで小型車の販売が好調なうえ、中国事業の比率が相対的に高くないことが幸いした。理由は、それだけではない。
10月25日。主力車種のSUV(多目的スポーツ車)「アウトランダー」の新商品発表会で、益子修社長は「(好決算は)海外からの部品調達が加速していることが大きい」と強調した。
同社は、2013年度に国内生産車の海外調達比率を25%に高めるとした目標を、1年前倒しで今年度に達成する見通し。特に、ロシア向けを除く全量を国内生産する新型アウトランダーでは、海外調達比率が31%に達する。海外部品メーカーの実力が向上してきたこともあり、今年度はエンジン用アルミダイカストやタイヤ回りの部品を新たに海外から調達するという。
中国リスクが小さく、米国での販売増を受けて業績が絶好調の富士重工業も、部品の海外調達を増やしている。今年、海外調達の専門部署を設置。現行で10%台の海外調達比率を、継続的に引き上げる方針だ。
三菱自と富士重の取り組みが成果を上げていることは、そのまま部品メーカーの苦況を象徴する。今年1〜9月の国内生産比率は三菱自がほぼ5割、富士重が75%と、大半を海外生産するトヨタなど大手3社に比べて高い。企業規模からも海外生産を一気に拡大するのは難しく、国内部品メーカーから見ると、安定的な受注が見込める“上得意”だった。だが、その両社がリーマンショックとその後の超円高を受け、海外調達拡大に静かにハンドルを切っていたのだ。
完成車メーカーが調達改革に乗り出したのに加えて、中国で勃発した尖閣問題。部品メーカーを襲う内憂外患の中、中西氏は「世界規模で部品メーカーの再編が起こる可能性がある」と予想する。
その目玉となりそうなのが、伝統的なケイレツの色彩を比較的色濃く残すトヨタ系各社。トヨタは今年4月、部品共通化と商品力向上の両立を目指す新しい開発手法を導入すると表明。トヨタが発注する部品の種類が減れば、受注する部品メーカーの数も当然減る。日産なども部品共通化を進める。
これまで日本車の強さを支えてきた日系部品メーカー。いよいよ待ったなしの状況だ。
日産が仕掛ける日韓部品競争
「部品の在庫日数を25日から3日程度に圧縮できる」。日産自動車で購買部門を担当する山内康裕・常務執行役員は胸を張った。
日産は10月、韓国製部品をトレーラーに搭載し、フェリーを介してそのまま日産自動車九州(福岡県苅田町)に直送する物流方式を始めた。従来は韓国の部品工場からトレーラーで集荷した後、港でコンテナに部品を移し替える手間が発生していた。
トレーラーはヘッドと呼ばれる牽引車と、シャーシと呼ばれる荷台部分に分かれており、それぞれが専用のナンバープレートを取得している。今回は日本のナンバーを取得したシャーシを、韓国の公道でそのまま走行する許可を韓国当局から取得した。日本から韓国へ空の状態のトレーラーを輸送し、韓国から日本に部品を積んで戻る。韓国で走行する場合は、韓国の物流業者である天一(チュンイル)定期貨物自動車のヘッドにシャーシを連結。船で日本に運んだ後は、日本通運のヘッドに連結して日産九州まで運ぶ。
船に載せる際にシャーシの中身をコンテナに積み替える必要がなくなるため、物流日数を大幅に短縮でき、発注サイクルを月次から日次へと切り替えられたという。積み替え作業が発生しないので、積み荷が傷むリスクも減る。
来年には韓国ナンバーのシャーシを日本の公道で走らせる許可も日本当局に申請し、さらに物流を効率化する考えだ。この場合は、韓国ナンバーに加えて日本のナンバーを取得して張りつける必要がある。
韓国では自動車部品企業が育っているほか、電子部品などの工場も集積している。日産の取り組みが成果を上げれば、九州に生産拠点を持つほかのメーカーにも、同様の取り組みが波及する可能性が高い。国土交通省は「中国とも取り組みを進める意向はある」(物流政策課)としている。
日産は物流費などを含めたトータルの部品調達コスト削減への取り組みを強化しており、「地場調達」を旗印に日産九州をモデル拠点と位置づけてきた。ただし、ここでいう地場という言葉の定義は「九州を含むアジア」のこと。物流コストが大幅に下がれば、日系部品メーカーと海外勢の競争はさらに激化する。日産の狙いはまさにそこにある。
広岡 延隆(ひろおか・のぶたか)
日経ビジネス記者。
伊藤 正倫(いとう・まさのり)
日経ビジネス記者。
時事深層
“ここさえ読めば毎週のニュースの本質がわかる”―ニュース連動の解説記事。日経ビジネス編集部が、景気、業界再編の動きから最新マーケティング動向やヒット商品まで幅広くウォッチ。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20121102/238973/?ST=print
【第752回】 2012年11月6日 週刊ダイヤモンド編集部
郵政上場で火花散る住宅ローン
焦る銀行と割を食う金融庁
日本郵政傘下のゆうちょ銀が認可申請する住宅ローンなどの新規事業は、早ければ年内に適否が判断される
Photo by Toshiaki Usami
日本郵政が2015年10月をメドに、株式を上場する計画を打ち出した。
政府の郵政民営化委員会から、住宅ローンなど新規事業への参入には「具体的な上場計画が必要」と指摘されていただけに、早期実現に向けて、まずは第一段階をクリアしたことになる。
「(完全)民営化が終わるまでは、何もやってはいけないというタガをはずす法律ができた、と解釈せざるを得ない」
10月29日、民営化委の開催後、西室泰三委員長が発した言葉に、多くの銀行関係者は危機感を強めている。ゆうちょ銀行が、住宅ローンに参入することに、「民営化委が前向きに検討していると受け止めた」(地方銀行幹部)からだ。
10月1日に施行された改正郵政民営化法では、日本郵政傘下のゆうちょ銀とかんぽ生命保険の金融2社の全株式売却(完全民営化)について、期限を定めていた「小泉路線」を修正し、「処分を目指す」という努力規定にしている。
改正を受け銀行業界は、ゆうちょ銀の完全民営化の期限が決まらない段階で、新規業務は「検討することすら認められない」と強く主張してきた。ただ、その声は徐々にかき消されつつある。
預金残高176兆円、自己資本比率71.63%。ゆうちょ銀は、メガバンクすらかすんで見えるほどの規模を誇る巨大金融機関だ。
9月には金融庁など当局に、住宅ローン参入の認可を申請。これまでスルガ銀行との提携で培ったノウハウを活用して、最大233店舗で5年後に7900億円の残高を獲得する目標を示した。
「民業圧迫」との批判に配慮し、対象は個人事業主や高齢者など融資を受けにくい層を中心にするという。
一方で、多くの地銀関係者は、「必ず金利競争になる」とみる。「対象者を広げなければ安定的な収益を得られないことにいずれ気付く」(関東の地銀役員)からだ。
頭が痛いのは実は民間の銀行だけではない。住宅ローン参入の最終的な認可権限を持つ金融庁にとっても、ゆうちょ銀の扱いには苦労しそうなのだ。
政治リスクに経営が大きく左右され、ただでさえ「腫れ物に触るような感覚がある」(金融庁幹部)ことに加え、持ち株会社の株式は財務省が持ち、その経営は総務省が監視するなど、霞が関の力学にも配慮しなければならない。
融資業務に本格参入となれば、従来以上に厳しい検査をする必要があるが、政治が横やりを入れてくる可能性は否定できない。万一、検査に甘さが生じ、ゆうちょ銀が不良債権の山を抱えたとき、監督責任を問われるのは金融庁だ。
「無理のある法律を作ったという印象だ」。西室委員長にそう言わしめる今の郵政民営化は、誰も得をしない方向に進んでいるような気がしてならない。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子、中村正毅)
http://diamond.jp/articles/print/27424
【第67回】 2012年11月6日 出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役社長]
日本の将来は明るい!
そう考えられる根拠とは
政治の混迷、経済の停滞、難しい外交の舵取り、加えて、中長期的にのしかかる重い政策課題――少子高齢化対応、財政再建、競争力の復活・強化――昨今のわが国を取り巻く環境をあれこれと数え上げると、多くの人は、日本の将来について、ともすれば悲観的になってしまいがちだと言われている。これに対して、筆者は、日本の将来について、原則として、先行きは明るいと考えている。今回は、その根拠を述べてみよう。
本格的な構造改革は、
まだ、全く着手されていない
政治の混迷振りは、確かに呆れるばかりの状況ではある。しかし、前回のコラムでも指摘したように、この国は、本格的な政権交代をまだ1回しか経験していない。極論すれば、本当の民主主義がようやく始まったばかりなのだ。
1票の格差をなくして一人一票を実現し、インターネット投票を導入する等、若い世代の政治参画を促せば、スタート台が低い分だけ、これからの政治には大いに期待が持てる。政治家のダイバーシティを実現するためには、例えば、女性と若者の候補者数が50%を超えなければ政党交付金を削減する等、工夫の余地もまだいくらでもある。加えて、企業等を休職して立候補ができる(落選すれば戻れる)、世襲を法律で禁止する等、政界への参入障壁を低くする知恵も、いくらでも出せるだろう。
要するに、この国は、政治の抜本的な構造改革について、まだ本格的な手を何も打っていないのだ。対策を打たずして、どうして早々と諦めることなどできようか。
経済も同じである。大雑把にいえば、GDP≒人口×生産性 であるから、中長期的には、人口を必死で増やす政策を総動員することが望ましい。例えば、出生率を上げるためには、シラク3原則に象徴されるフランスの政策を、そのまま借りてくればいい。しかし、この点についても、わが国では、まだほとんど着手されていない。
また、即戦力としての良質な労働力を求めるのであれば、アメリカのように、世界中から優秀な学生を集めることが、一番手っ取り早いと思われるが、その決め手となる大学改革(秋入学の実施、競争力の向上等)も、まだ緒に就いたばかりである。
加えて、わが国には、まだ十分活用されているとは言い難い優秀で豊富な労働力が残されている。それは、世界で最も厚いと言われている専業主婦層の存在である。あるレポートによると、わが国の女性がOECD諸国の平均並みに社会で活動すれば、それだけでGDPが15%アップするという。この事の真偽はさておき、広義にとらえれば、わが国の人口(≒労働力)を増やす方策は、たくさんあるのだ。
さらに、人口は何も定住人口である必要はさらさらない。観光客を世界中から集めれば、GDPは潤うのだ。
まず、国の玄関となる空港の改革から手を着けなければならない。方法は簡単である。成田空港と羽田空港を1人の経営者が管理すればいいのだ。そうすれば英国を真似て、羽田をヒースローに、成田をガトウィックにすれば効率が良くなるくらいのことは、誰でも気がつくはずだ。
関西でも、1人の経営者が、関西空港、伊丹空港、神戸空港をマネージすれば、伊丹を廃港にして、国際線を関空に集中させ、その一方で神戸に国内線を集中、両空港の間を高速ボートでつなぐぐらいの知恵は、すぐにも出て来るのではないか。このように見てくれば、この国は人口を増やす本格的な政策についても、全く手付かずの状態にあることがよく分かる。
生産性についてはどうか。成熟した先進国においては、国全体の生産性を高める方法は、極論すれば、1つしかない。生産性の低い産業から生産性の高い産業に、労働力を自由に移動できるような環境整備を行うことが、それである。翻って、わが国の労働慣行はどうか。恐らく、先進国の中では、最も労働の流動性が乏しい国であることに、誰しも異論はあるまい。この点でも、わが国は、まだいくらでも改善の余地があるのだ。
要するに、政治にせよ経済にせよ、わが国は20世紀後半の幸せな「高度成長&人口増加時代」の、いわば惰性のままに生きており、21世紀の「低成長&人口減少時代」に見合った抜本的な構造改革を、何1つ、行っていないのではないかと思えてならない。逆に言えば、何も行っていないということは、これから、いくらでもやるべきことがあるということだ。わが国の未来は明るいと考える所以である。
高齢者がリスクマネーを投じるはずがない
次に、およそ、経済を活性化させるためには、潤沢なリスクマネーの供給が必要不可欠である。わが国家計の金融資産は、約1500兆円(GDPの3倍!)もあるが、大半が預貯金として眠っており、リスクマネー(≒株式)に投下されている割合は、驚くほど少ない(次表の通り、家計資産の中で株式の占める割合は6.0%、米国は32.6%)。
(出所:資金循環の日米欧比較 2012年9月26日 日本銀行調査統計局)
政府は、常に「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げているが、今のところ、掛け声倒れに終わっているというのが現状である。
それは何故か。1つには、低成長時代を迎えて「株式は儲からない」という認識が広く行き渡っていることである。その代表的なものとしては、少し古くなるが、前田論文(2009年3月10日、日経朝刊、一目均衡「含み損抱えた戦後生まれ」)があげられよう。しかし、個別に見れば、バブルのピーク時であった1989年との対比で見ても、時価総額を膨らませている企業は、約160社(東洋経済調べ)も存在するのである。このような企業にアクティブに投資を行えば、株式は儲からないはずがない。
リスクマネーが供給されないより根源的な原因は、金融資産の3分の2が高齢者によって保有されているという現実にあるのではないか。いかなる経済書を紐解いても、高齢者は元本の確実な債券投資や現預金を選好する、とはっきり書いてある。そもそも、高齢者がリスクマネーを投じるはずがないのだ。では、どうするか。高齢者の保有している金融資産を、若い世代に移せば、それで事足りると考える。
例えば、市場メカニズムを利用して、相続税率を順次嵩上げして、数年後には100%にすると宣言し、その一方で若年世代(20代、30代)に対する贈与税率を順次低くし、数年後には0%にすると宣言すれば、高齢者の保有資産はスムーズに若年世代(子や孫)に移すことができるはずだ。このような政策は、消費拡大にもリスクマネーの供給にも役立つので、一石二鳥ではないだろうか。
他にも明るい材料に
事欠かない日本の未来
この他にも、わが国の将来について、実は明るい材料には事欠かない。わが国は、海洋面積で見れば、世界第6位の広大な領海をもつ国であって、決して小さい国ではない。石油や鉄鉱石こそ乏しいものの、水を始めとして豊かな資源にも恵まれている。
また、人間が生きていく上では欠かせない食事についても、世界最高レベルを維持している。ミシュラン・レッドの1位が東京、2位がパリ、3位が大阪である。コンビニ弁当のコストパフォーマンス(あの値段であの内容の食事は、世界のどこにも見当たらないだろう)や、デパ地下の食材の豊富さや楽しさは、世界に冠たるものと言って差し支えあるまい。
人間は、ホモ・モビリタスという別名を持つが、主要な移動手段である鉄道についてみれば、わが国の新幹線以上に、大量輸送性・高速性・安全性を兼ね備えた運行技術を持っている国が、一体、世界のどこにあるだろうか。地政学的に考えても、わが国は世界で一番豊かな北米と、これからの大きな発展が予想される中国・インド等の東南アジアとの中間に位置している(飛行機は北極圏を飛ぶので、わが国は、中継地点としては最適である)。
以上、述べてきたように、わが国には、いわば手付かずの政策(余地)と豊かな資源が、まだ潤沢に残されているのだ。後は、私たちの未来である若者を育てることである。しかし、今年の厚生労働白書が20代と30代の二人の若者の手によって書き上げられたという事実や、下記のような若者が育ってきていることを考え合わせると、中長期的にはわが国の将来には、何の心配も要らないとついつい考えてしまうのだ。
「世界の中は、誰か一人の英雄によって変わるものではないけれど、みんなが少しずつ変わることによって、ゆっくりと、でも確実に変化する」
「人生では生きられる時間も経験できることも限られている。その場その場で『これだ』と思ったことに賭ける以外に、やるべきことを見つける方法はあるだろうか?」
『働きながら、社会を変える。』(慎 泰俊著、英治出版刊)より
(文中、意見に係る部分は、すべて筆者の個人的見解である)
http://diamond.jp/articles/print/27421
【第238回】 2012年11月5日 広瀬 隆雄
米大統領選と株式市場の「ジンクス」とは?
【今回のまとめ】
1.米大統領選挙の勝敗を決する「選挙人団」とは?
2.オバマが若干有利だが、極めて接戦
3.議会選挙にも注目。「財政の崖」に即応するには、ねじれのない状況が好ましい
4.むしろ米国株にとって重要なのは大統領選挙の翌年は相場が冴えないという事実
5.米国が先進国で一番先に緩和政策拡大の自制に乗り出す
11月6日(火)は、いよいよ米国大統領選挙の投票日になります。これを書いている11月3日(土)朝の時点では、民主党のバラク・オバマ現大統領への支持率が47.4%、共和党のミット・ロムニー候補に対する支持率が47.3%と、ほぼ一線に並んでいます。
http://diamond.jp/mwimgs/e/2/515/img_e247e4815bb75209d45d7faddcf490af62491.jpg
「選挙人団」とは?
実際の大統領選挙は「選挙人団(electoral college)」と呼ばれる州ごとの勝ち点の合計によって争われます。
例えば最も大きなカリフォルニア州は55点、次に大きいテキサス州は38点、フロリダ州は29点、ニューヨーク州も29点といった具合です。
それぞれの州のポイントの重さは、その州の人口によって決まりますが、どんなに人口が少ない州でも、最低3点のポイントが与えられているため、カリフォルニア州のように人口の多い州は実際の有権者の数より選挙人団の比重が低くなってしまっています。
いずれにせよ、それぞれの州で勝った候補者が、その点数を全部奪い、負けた候補者はどんなに得票率が接近していてもカウントはゼロになります。言い換えれば、大きい州にて僅差で勝つ方が、小さい州で圧勝するより重要になるということです。
ロムニーは「フロリダ」「オハイオ」で勝つことが最低条件
現時点でほぼオバマ勝利が確実視されている州はカリフォルニア(選挙人団ポイント55)、ニューヨーク(同29)、イリノイ(同20)、ワシントン(同12)などです。
反対にロムニー勝利が確実視されている州はテキサス(同38)、テネシー(同11)、アラバマ(同9)、ルイジアナ(同8)などです。またジョージア(同16)、サウス・カロライナ(同9)はロムニーに傾いていると言われています。
合計するとオバマは201ポイント、ロムニーは191ポイントをたぶん獲得できるだろうとリアルクリアポリティクス社は見ています。またどちらに転ぶかわからない州が146ポイント分あります。
どちらに転ぶかわからない激戦州における支持率は、下のグラフのように極めて接近しています。
http://diamond.jp/mwimgs/8/1/515/img_81bde28e731b6bd0df50ab38dea6c0c450489.jpg
6日の大統領選挙当日、選挙の行方を占う上で注目すべき州は、オハイオ、フロリダ、バージニア、ノース・カロライナあたりです。
特に、現時点の選挙人団で劣勢なロムニー候補の場合、フロリダとオハイオの両方で負けると、形勢逆転は極めて困難となります。この両州が選挙結果を決定づけることでしょう。
【第238回】 2012年11月5日 広瀬 隆雄
米大統領選と株式市場の「ジンクス」とは?
【今回のまとめ】
1.米大統領選挙の勝敗を決する「選挙人団」とは?
2.オバマが若干有利だが、極めて接戦
3.議会選挙にも注目。「財政の崖」に即応するには、ねじれのない状況が好ましい
4.むしろ米国株にとって重要なのは大統領選挙の翌年は相場が冴えないという事実
5.米国が先進国で一番先に緩和政策拡大の自制に乗り出す
11月6日(火)は、いよいよ米国大統領選挙の投票日になります。これを書いている11月3日(土)朝の時点では、民主党のバラク・オバマ現大統領への支持率が47.4%、共和党のミット・ロムニー候補に対する支持率が47.3%と、ほぼ一線に並んでいます。
「選挙人団」とは?
実際の大統領選挙は「選挙人団(electoral college)」と呼ばれる州ごとの勝ち点の合計によって争われます。
例えば最も大きなカリフォルニア州は55点、次に大きいテキサス州は38点、フロリダ州は29点、ニューヨーク州も29点といった具合です。
それぞれの州のポイントの重さは、その州の人口によって決まりますが、どんなに人口が少ない州でも、最低3点のポイントが与えられているため、カリフォルニア州のように人口の多い州は実際の有権者の数より選挙人団の比重が低くなってしまっています。
いずれにせよ、それぞれの州で勝った候補者が、その点数を全部奪い、負けた候補者はどんなに得票率が接近していてもカウントはゼロになります。言い換えれば、大きい州にて僅差で勝つ方が、小さい州で圧勝するより重要になるということです。
ロムニーは「フロリダ」「オハイオ」で勝つことが最低条件
現時点でほぼオバマ勝利が確実視されている州はカリフォルニア(選挙人団ポイント55)、ニューヨーク(同29)、イリノイ(同20)、ワシントン(同12)などです。
反対にロムニー勝利が確実視されている州はテキサス(同38)、テネシー(同11)、アラバマ(同9)、ルイジアナ(同8)などです。またジョージア(同16)、サウス・カロライナ(同9)はロムニーに傾いていると言われています。
合計するとオバマは201ポイント、ロムニーは191ポイントをたぶん獲得できるだろうとリアルクリアポリティクス社は見ています。またどちらに転ぶかわからない州が146ポイント分あります。
どちらに転ぶかわからない激戦州における支持率は、下のグラフのように極めて接近しています。
6日の大統領選挙当日、選挙の行方を占う上で注目すべき州は、オハイオ、フロリダ、バージニア、ノース・カロライナあたりです。
特に、現時点の選挙人団で劣勢なロムニー候補の場合、フロリダとオハイオの両方で負けると、形勢逆転は極めて困難となります。この両州が選挙結果を決定づけることでしょう。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。