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http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20121105/ecn1211051208000-n1.htm
2012.11.05 夕刊フジ
経営再建中のシャープの業績悪化に歯止めがかからない。平成25年3月期の連結最終赤字見通しは期初の300億円から2度も下方修正され、過去最悪の4500億円に陥るという。主力の液晶事業の不振などが業績低迷の要因だが、経営陣の不協和音も問題視されている。社員からは「現状を思い知るべきだ」との厳しい言葉が飛び、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業との提携も思うように進まないなど、瀬戸際に追い込まれている。
11月1日に発表されたシャープの24年4〜9月期連結決算は、最終損益が3875億円の赤字(前年同期は398億円の赤字)と4〜9月期としては過去最悪の数字となった。
同時に、25年3月期の最終赤字を4500億円と予想。期初は300億円の赤字としていたが、8月に2500億円、そして4500億円と異例ともいえる2度目の下方修正となった。
なぜ、“出血”は止まらないのか?
最終赤字が膨らんだのは国内の太陽電池工場の減損処理や、業績低迷による繰り延べ税金資産の取り崩しなどによるものだが、最大の要因は液晶ビジネスの不振だ。特に中小型液晶を生産する亀山第2工場(三重県亀山市)は、稼働率が4〜9月期は3割に低迷。下期(10月〜25年3月)の稼働率も5割前後とみられ、心もとない状況が続く。
■一枚岩でない経営陣
このように主力事業の回復が遅れ、経営計画が予定通りに進まないのが赤字の垂れ流しの理由と指摘される一方、ここにきて問題視されているのが経営陣の不協和音だ。
「経営陣が一枚岩になっていない」。シャープ関係者は困惑の表情でこう吐き捨てた。奥田隆司社長、片山幹雄会長、町田勝彦相談役。この3人の中で「誰がトップかわからない」(取引先関係者)という。
■社長の手腕は未知数
今春までは、片山氏の社長続投が有力視されていたが、突然の交代劇で新社長に抜擢(ばってき)された奥田氏。しかし、社員らが「聞いたことのない名前だった」と驚いたように、奥田氏自身にとっても「役員の半分以上が片山派」(業界関係者)で固められる中、決して動きやすい環境ではない。
液晶“一本足”経営と揶揄(やゆ)され、過剰な設備投資によって現在の経営危機を招いた町田、片山両氏の後始末を任され、「気の毒」(関係者)と同情の声さえ漏れるが、いまだに目立ったリーダーシップは発揮できていない。
■現実を直視しない会長
液晶を生産する堺工場への巨額投資で収益を圧迫させ、トップ交代となったにもかかわらず、片山会長は懲りた様子もなく、「日本の企業には相手にされなくなったので海外を回っています」(同社関係者)。インテルなど米国の有力企業と提携交渉を進めているといわれるが、いずれも実現性は未知数だ。
片山氏は代表権を外れたものの、経営参画に積極的で、この非常事態にあっても大風呂敷を広げる性格は変わらないという。前出の同社関係者は「現実をあまり直視しない、いけいけドンドンの性格は事業部長が合っているのでは」と皮肉まじりに話す。
■無関心な相談役
町田相談役は、今年3月に鴻海精密工業との資本・業務提携で合意するまでシャープ側の先頭に立ち、鴻海の郭台銘会長と交渉を続けてきた。しかし、提携合意から半年が経過した10月半ば、そこにはかつて提携の意義に熱弁をふるっていた町田氏の姿はなかった。
「何を聞かれても、(私は今)交渉してないんだから分からないよ」。難航している出資交渉に関し、こう答えた町田氏。報道陣の質問には「関係ない」「知らない」を繰り返し、交渉の行方を案じる言葉は一切なかった。
「町田相談役、片山会長をいつまで担ぐのか」
11月1日の決算発表の席上、こんな厳しい質問を受けた奥田社長は「全員が一枚岩になって信頼を回復するのが経営責任」と述べた。
■経営陣に憤る社員
こうした3氏の言動や行動に対し、経営陣よりも会社の危機的状況を肌で感じている社員の一人は「希望退職で会社を去っていく2千人にどう顔向けするのか。経営陣は思い知るべきだ」と憤りを隠せない。
同社にとどまらず、パナソニック、ソニーとも赤字決算に陥り、日本の家電産業そのものが瀬戸際に追い込まれている。こんな“厳冬”の中で、経営陣が一枚岩になっていないシャープに未来はあるのか?
ある業界関係者はこう言い放つ。
「今のシャープならば3度目の下方修正があっても全く驚かない」
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