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2012年11月05日
第12回 尖閣沖に眠る金資源
【豊島逸夫の金道場】
尖閣諸島近海の石油資源は知られているが、実は、中国は金資源にも注目している。筆者は、13年前から上海の金取引所や大手商業銀行のアドバイザーとして中国金市場に直接関わってきた。金という特殊ルートを通じ、北京の奥の院への出入りを許されていたといえる。
そこで、しばしば話題になったことが金の供給安定確保という命題。 国内金需要は近年急増し、最新需給データでは、遂に長らく需要世界一であったインドを追い抜いた。中国は金需要生産両面で世界一となったのだ。 しかし、国内金需要量が786トン(2011年7月―2012年6月)に対し、同国生産量は371.0トン(2011年)。絶対的な供給不足だ。今後も金取引規制緩和特需などで国内需要の更なる増加が見込まれる状況では、金供給安定確保が、資源政策としても外貨準備勘定での金準備増強の観点からも重要なわけである。
そこで、目をつけたのが、尖閣近辺の「海底熱水鉱床」。これは、金、銀、銅、亜鉛やレアメタルなどがマグマや地熱とともに熱水として噴出し、凝固して出来る鉱床のことだ。既に石垣島周辺海域では発見されており、日本側でも経産省が資源量の把握に動いている。同時に中国側でも、尖閣周辺の海底熱水鉱床については「熱い関心」を寄せてきたわけだ。世界的に見ても、通常の陸での金鉱山開発でめぼしい所は既に採掘が進み、将来的には海底金鉱山が最も有望視されている。
但し、原油は液体ゆえ海底から噴出してくれるが、金鉱石は固体である。しかも、金鉱石1トンから抽出される純金の含有量はせいぜい3−5グラム程度。ゆえに、海底金鉱山開発には膨大な初期投資が必要となる。
しかし、中国としては国家100年の大計の見地から、PC・携帯電話には不可欠の希少資源でもあり、3兆ドルを超す外貨準備の通貨分散の有力な選択肢である「無国籍通貨」としての金の供給確保に取り組んでいる。 金市場から見ても、中国が尖閣は譲れない理由があるのだ。
コラム執筆:
豊島逸夫(としま・いつお) 豊島逸夫事務所(2011年10月3日設立)代表
豊島逸夫事務所(2011年10月3日設立)代表。2011年9月末までワールド ゴールド カウンシル(WGC)日本代表を務めた。1948年東京生まれ。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラーとなる。チューリッヒ、NYでの豊富な相場体験をもとに金の第一人者として素人にも分かりやすく独立系の立場からポジショントーク無しで金市場に限らず国際金融、マクロ経済動向についても説く。
http://lounge.monex.co.jp/pro/special2/2012/11/05.html
JBpress>海外>アジア [アジア]
「油断すると没落する」――サムスンCEOの警告
巨額赤字が続くかつての手本・パナソニックの教訓とは
2012年11月05日(Mon) 玉置 直司
7〜9月期も驚異的な業績を上げ、最高益を更新したサムスン電子〔AFPBB News〕
サムスン電子がまた最高益を更新した。2012年7〜9月期決算の営業利益は8兆1200億ウォン(1円=14ウォン)。世界のIT業界でアップ
ルに次ぐ圧倒的な収益力を見せた。
それでも11月1日の会社創立記念日でサムスン電子CEO(最高経営責任者)は「安住すれば一瞬のうちに没落する」と危機感を強調した
。強すぎるサムスン電子に死角はないのか――。
ソウルの秋は短い。11月2日には朝のソウルの気温が1度にまで下がった。そんな秋のある日、日本人と韓国人の知人と3人で薄暗い時
間に集まって朝食を一緒した。私以外の2人は、欧州と韓国のエクセレントとされる大企業の40代の幹部。2人とも2度以上の転職経験が
ある。
「強い企業」とはどんな企業か
3人の話題は、「強い企業とはどんな企業なのか」になった。出てきた答えはいずれもシンプルだった。
「メールを出したら相手が世界中どこにいても数時間以内に短く、簡潔な内容で返ってくる」
「会議が短く、結論が出る。事前に参加者が、会議の目的と自分の役割を理解して出席する。一通り議論が進むと、進行役の幹部が議
論をまとめながら結論を出す。その上で、決定事項に基づいて、時期を区切って指示を出す」
「大きな組織でも、自分がどんな役割を担っているのかが明確に分かる」
さて、他にどんなことが言えるのか。
筆者は2人に「サムスン電子に勤務するある管理職の知人が『朝、出社すると、その日の仕事がすべて決まっている』と言っていた」
と話したら、他の2人もひざを打った。
「そう! そうなんだ。ダメな会社と強い会社の差はそこにあるんだね!」
「仕事が決まっている」というのは、会社の戦略が共有されて、一人ひとりの社員が何をすべきかきちんと分かっているということだ
。目標に向かって、社員の力をきちんと集められるということで、これほど強い組織はない。
3人は、「そういう会社は、人事制度も比較的公平で、だからつまらないごますりの必要もないし、上司が思いつきで指示を出して混
乱するようなことも少ないはずだ」という点でも一致した。
2人によると、「強い会社」はかなり似ている点が多いという。その一方で「仕事はやりやすいけれど、やっぱり疲れるよね。強い会
社で働くのは」ということでもあるらしい。
世界経済の悪材料を横目に快進撃
「強い会社」の代表であるサムスン電子の2012年7〜9月期の決算は、またもや驚異的な内容だった。売上高は前年同期比26%増の52兆
1800億ウォン、営業利益も同91%増だった。
このままいけば、2012年の年間決算は売上高が200兆ウォン、営業利益が28兆ウォン前後に達しそうだ。営業利益率は15%に肉薄する
。
欧州の財政危機、米国や中国の景気減速といった世界経済を取り巻く悪材料も、少なくとも7〜9月期までのサムスン電子にはまったく
関係がないのだ。
サムスン電子はスマホの世界販売でアップルに大差をつけている(写真はサムスン電子の「ギャラクシー・ネクサス」)〔AFPBB News〕
収益への貢献度が断然高かったのがスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)だ。7〜9月期のスマホの世界販売台数は5700万台近く
。ライバルのアップルが2700万台で「ダブルスコア」を超えてしまった。
つい2011年末まで両社のスマホの世界販売台数は拮抗していた。アップルの「iPhone(アイフォーン)5」の販売が本格化する前の数
字とはいえ、大差がついてしまった。
「世界経済の低成長基調がしばらく続きそうな中で、電子業界はこれまでに経験したこともない激変期を迎えている。現在の成果に安
住していては、一瞬で没落してしまう」
2012年11月1日、サムスン電子は創立43周年を迎えた。権五鉉(クォン・オヒョン)副会長はCEO就任後初めての設立記念日でこうスピ
ーチした。
サムスンCEOが警鐘を鳴らしたその日に発表されたパナソニックの巨額赤字
サムスンのトップがスピーチで「危機感」を強調するのはいつものことだ。それでもこの日のスピーチは、普段に増して説得力を持つ
結果になった。スピーチと同じ日に、かつてサムスン電子が手本にしたパナソニックが2期連続で7000億円を超える巨額の赤字を計上す
ると発表したのだ。
「10兆ウォンの赤字計上」――。韓国の有力紙は、かつての日本の看板企業のあまりの変わりようを大きく報じた。まさに「没落」だ
った。
「危機経営モード」に入ったサムスン
サムスン電子は、もう「危機経営モード」だ。ほとんどの役員は朝の6時半に出社して世界中の経営データを分析しながら、迷いもな
くその日の仕事に集中する。
サムスン電子は3つの危機感に駆り立てられている。
1つは、2012年7〜9月期の決算になお不満なのだ。サムスン電子が見ているのはアップルの決算だ。アップルの同じ期の決算は売上高
359億6600万ドル、営業利益は109億4000万ドルだった。営業利益率は30%だった。
ドルベースで換算すれば、サムスン電子の売上高は474億ドル、営業利益は74億ドルで営業利益率は15%だ。
両社の間には、2倍もの差があるのだ。両社とも企業規模から見て、あり得ないほど高い利益率だ。それでもサムスンにとっては上に
は上があるということか。
2つ目の危機感は、会社設立記念日でCEOが強調したように、経済情勢の急激な変化だ。7〜9月期決算までは影響は出ていないが、世界
景気は一向に回復の兆しが見えない。欧州景気にいたっては、「回復に10年はかかる」という悲観論も強い。
ウォン高も懸念材料だ。サムスン電子の売上高の8割近くは韓国外で占める。海外生産比率も急速に高まってはいるが、半導体メモリ
ーなどはまだ圧倒的に国内製比率が高い。自動車業界ほどではないが、ウォン安の修正は経営に逆風だ。
3つ目の危機感は、もっと将来を見据えたものだが、より経営の根幹に関わる問題だ。
追いつき追い越せでついに頂点に
「ファストフォロワー(素早い追随者)からファーストムーバー(先導者)に」。サムスン電子の社内外ではここ数年、しきりにこう
いう話を聞く。
サムスン電子は創業以来、一貫して先行企業に追いつき追い越せをモットーに掲げるファストフォロワー戦略で成功してきた。家電、
半導体分野では追いつき追い越す対象はもちろん日本企業だった。
携帯電話機分野では、その対象は10年以上もノキアだった。
ところが、テレビや半導体市場ではとっくの昔に世界一の座に就いた。携帯電話機市場では「難攻不落」と言われたノキアの牙城をア
ップルがスマホという新しい商品で崩すと、これに追随したサムスン電子があっという間にノキアを抜き去り、今、市場競争ではアップ
ルさえも凌ぐようになった。
サムスン電子は創業43年で、初めて、世界市場の頂点に立ったのだ。頂点は没落の始まりなのか?
先導者になって世界5大ブランド挑戦
サムスン電子の中には、ファストフォロワー戦略から脱却してファーストムーバー戦略に転換しなければ将来の成長はないという声が
出ている。
権五鉉副会長も11月1日のスピーチで、「世の中を変えるような革新を通して電子産業の発展を主導する『Market Creator』に生まれ
変わらなければならない」と今後の課題について述べた。
「サムスン電子、ファストフォロワーのイメージ打ち消し」。韓国の有力経済紙である「毎日経済新聞」は権五鉉副会長のスピーチを
報じた記事にこんな見出しをつけた。
権五鉉副会長は「2020年までに、サムスンを世界トップ5ブランドに浮上させる」ことも目標に掲げた。
「先導者」になって絶対的なブランド力を築こうということだ。
だが、本当にサムスン電子が進むべき方向はそこにあるのか?
もちろん、先導者になって市場で勝ち続けられるのであれば、言うことはない。だが、IT業界の圧倒的な勝者のうちで、ファーストム
ーバー企業がどのくらいあったのだろうか?
アップルもマイクロソフトももともとのアイデアは自分たちが一から考え出したわけではない。1970〜80年代に家電や半導体で世界市
場を席巻した日本企業はもちろんそうだ。
かろうじてインテルがそうか。世界で初めてIC(集積回路)を開発したロバート・ノイス氏(ジャック・キルビー氏と同時開発者)と
盟友のゴードン・ムーア氏が創業したインテルは、技術創造企業だったと言えるかもしれないが、例外中の例外かもしれない。
かつてパナソニックは、「まねした電器」と同業他社から揶揄された。他社が新商品を出すと、もっと使いやすい商品をもっと安く素
早く発売してすぐに国内ナンバーワン企業になってしまう。
これは、今で言えば、スピード経営の勝利だった。
だが、そんなパナソニックがいつから「圧倒的な強者」の座から転落したのか。「まねした」戦略から大きく脱皮しようとしたからで
はないか。
「ハードとソフトの融合」などと言ってMCAを買収したり、半導体事業に巨額の投資をしたりしたのも、「過去の栄光」で蓄積した豊
富な資金で何とか、先導者になろうともがいた結果ではなかったのか。
「まねした」戦略との決別で失った勝者の地位
「日本経済新聞」(2012年11月1日付)によると、パナソニックの津賀一宏社長は前日の記者会見で「パナソニックは約20年前から低
成長・低収益は続いていた」と語っている。
パナソニック(当時は松下電器産業)がMCAを買収したのが1990年。売却したのはその5年後だ。
「まねした」から脱皮しようと、大型M&A(合併・買収)に挑戦して撤退を迫られた。パナソニックは、時代の先導者になれなかった
。それどころか、「まねした」戦略との決別で、市場の勝者の地位も失い、低成長・低収益に陥っていたということだ。
「まねした」からの脱却はかくも困難だったのだ。
サムスン電子はどうか。ここ数年、サムスン電子も「新規事業」を数多く検討している。何とか、先導者になろうというわけだが、そ
んなに簡単に成功するわけもない。
時代がどう変化しても圧倒的なスピード経営で他者を圧倒するサムスン電子の強さは、先導者企業の動きにもまったく動じない姿勢だ
ったのではないか。
IT企業の勝者のキーワードは、いつも「ファスト」(素早い意思決定)なのだ。どこにあるかも分からない「ファースト」(先導者)
の地位を追いかけることではなかったはずなのだが・・・。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36464
【第250回】 2012年11月5日 山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
たかがPER、されどPER
ほとんどの読者が「PER」をご存じだろう。「株価収益率」という日本語を当てることが多いが、株価を1株当たりの利益で割った
倍率がPERだ。純利益が100億円ある会社が1億株の株式を発行していると、1株当たりの利益は100円だ。この会社の株価が1000円なら
、PERは10倍となる。
利益は、今期の予想利益を使って計算することが多い。現在の東証1部上場銘柄の平均PERは、日本経済新聞社の利益予想をベース
とすると12.76倍だ(10月22日終値。日経平均は9010円)。これを、昨年度の利益実績から計算するなら18.94倍だ。昨年度は東日本大震
災、福島第1原発の事故、円高、さらにタイでの洪水と、企業の利益が圧迫される要因が異様に集中したのでやや特殊だ。
株価は、理屈上、将来の利益の割引現在価値の合計だが、将来の利益はわからないのが現実だ。この場合、当面の利益を基に利益と株
価との比率を計算してみるのは不完全とはいえ、「1次近似」的分析として説得力はある。
投資対象を評価する場合、PERは低いほうがいいというのが一般的な原則だ。利益が同じなら、投資する際の株価は低いほうがいい
ということだ。とはいえ、仮に当面のPERが高くても、今後に予想される利益の成長が顕著なら、PERは高くてもいい。現に、市場
の株価形成はおおむねそうだ。
現在のPERと将来の利益成長との間に一定の関係があるとすると、「PERが低い銘柄の株式に投資するほうがいい」という投資戦
略には、投資家が利益成長の高い銘柄を過大評価していて、これが将来訂正されるとみる意味がある。
米国株で見ても、日本株で見ても、過去の長い期間にあっては、PERが低い銘柄に投資するほうが投資効率がいいことが多かった。
だが、ここ数年の日本株投資にあっては、PERによる銘柄選別が有効に機能していないという声が多い。
これが一時的な現象で、「低PER効果」が再び現れるようになるのか、ならないのかを自信を持って判別できる根拠はないが、過去
の経験から推測すると、再び有効になる時代が将来訪れるのではないかと思われる。低PER効果には、これが有効な時期とそうでない
時期があり、これらが、場合によっては数年単位のかなり長い時間をかけて入れ替わっている。
PERの他にも、株価の高低を判断する尺度が数多く存在する。その中で、有名かつ効果の上でも有力なのは、PBR(株価純資産倍
率)だろう。これは、1株当たりの純資産と株価の倍率を計算したもので、やはり低いほうが投資対象として好ましいというのが一般論
だ。
企業が保有する資産の価値は、将来の利益に対する予測を反映して決まると考えられるので、株価の割安・割高を、PERで見るのか
、PBRで見るのか、は最終的に対立するよりは、同じ結果を示唆することになりやすい。どちらを選ぶかは、ある意味では好みの問題
だ。
あえて一方に決めるなら、特に、株式投資の初心者にはPERを推す。個々の銘柄のPERを、同業・同類の銘柄のPERと比較して
、両者の違いの理由を徹底的に考えることが、株式投資を考える上でのよいきっかけになることが多いからだ。もちろん、初心者ばかり
でなくベテランの投資家もPERについて考えることは重要だ。それに頼り切るわけにはいかないが、なかなか奥が深いのがPERだ。
http://diamond.jp/articles/print/27345
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