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地方自治体職員 3人に1人非正規 70万人超 時給950円 フルタイム年収200万円以下
http://www.asyura2.com/12/hasan78/msg/388.html
投稿者 MR 日時 2012 年 11 月 04 日 21:02:13: cT5Wxjlo3Xe3.
 

地方自治体職員 3人に1人非正規
11月4日 11時40分


全国の地方自治体で働く職員のうち3人に1人が非正規でその人数は70万人に上ると推計されることが、労働組合の調査で分かりました。

この調査は、自治体の職員で作る労働組合「自治労」がことし6月時点の状況について全国の47%に当たる845の地方自治体を対象に行いました。
それによりますと、自治体で働く警察や消防、教員を除いた非正規職員の割合は、3人に1人に当たる33%だったことが分かりました。
これを基に全国の自治体で働く非正規職員はおよそ70万人に上ると推計しています。
自治労によりますと、前回の4年前の調査では全国の非正規職員はおよそ60万人と推計していて、10万人増えています。
非正規職員の割合は、都道府県で17%だったのに対し、町や村では38%となっていて、規模が小さい自治体ほど割合が高くなっていました。
職種別では、学童保育の指導員が93%、消費生活相談員が86%、図書館職員が68%を占め、職場に欠かせない存在となっています。一方、非正規職員の平均賃金は、時給で950円で、フルタイムで働いても年収が200万円を下回っているということです。
自治労は「財政が厳しい自治体を中心に正職員の採用を抑え、非正規職員への転換が進んでいる」と分析していて、自治体に対して労働条件の改善を求めていくことにしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121104/t10013235641000.html


2012/11/01
地方自治体3人に1人が非正規職員 自治労が調査

自治労が実施した地方自治体職員の勤務実態調査で、非正規職員が全体の33.1%を占め、2008年の前回調査に比べ上昇したことが10月29日分かった。
調査は、自治労加盟の労組がある1349自治体が対象で、845自治体が回答した。
33.1%を教員、消防、警察などを除く自治体職員全体に当てはめると、非正規職員数は、全国で約70万人になる。

自治労は「非正規職員が行政サービスを基幹的に担っている」と指摘し、恒常的な業務に就いているケースは「正規職員への転換推進措置が求められる」とした。
職種別では一般事務が18.9%にとどまる一方、学童保育の指導員92.8%、消費生活相談員86.3%、保育士52.9%で前回調査と比べ専門的な職種で割合が高い傾向だった。
賃金形態は、日給型が61.9%、月給型が38.1%だった。
平均賃金は時給型が950円、月給型が16万円で「年収換算で多くが200万以下」と分析している。
正規職員に比べた週の勤務時間は「同じ」が28.6%、「4分の3以上」が32.6%。

自治体の非正規職員には、臨時職員、特別職非常勤務職員、一般職非常勤務職員などがある。
任期は臨時職員が6カ月以内で最長1年まで更新できる。
非常勤には規定がないが1年が多く、再任の形で複数年働くことは可能だが、年数に上限を設けているケースもある。

正規な公務員と何ら変わらない、いやそれ以上の仕事を強いられて文句一つ言えない自治体非正規公務員の実態はあまり知られてない。
地方では職にありつくのは至難の技といわれる時代であり、短期非正規公務員にはそういった若者が親のスネを囓りながらとか、退職した高齢者がつてをたどり再就職するといった実態がある。
賃金などの労働条件は自治体が条例や要綱で決めるが、一時金の支給が認めていないなど、国家公務員の非正規社員と差があるため、自治体が待遇改善を求めている。
恵まれた国家公務員はぬくぬくと肥え太り、一方疲弊した地方自治体は、臨時非正規公務員を雇用しなくては業務が回らない実態を総務省は、どう思っているのか。
地方の場合はワーキングプアーといわれる困窮した若者群は少ないが、将来に希望の持てない生活送らざるえない層がどんどん増えている。
http://four-seasons.blogzine.jp/blog/2012/11/post_686a.html


− 5 −
T 自治体「非正規」労働の現状と課題
1. 正規職員の削減が非正規職員の増大をもたらしている
(1) 減る正規職員、増える非正規職員
実態調査に表れた非正規職員数は342,801人(1,104自治体=全自治体の59.8%)だが、
全国では約60万人になると推定される。(P20 「実態調査結果」図1参照)
過去からの 推移について信頼できるデータはないが、20年前は現在の半数以下だったこ
とは明らか(1)
である。総務省の調査(2)
では、2005年から2008年までのわずか3年間で
9.5%も伸びている。増大は市町村において顕著であり、全職員の3割に達している(3)
(全自治体の平均は27.6%)。
一方、正規職員数(一般行政部門)は1995年(4)
をピークに一貫して減少している。そ
の理由は、公共事業の削減、「平成の大合併」も考えられるが、何より地方行革の圧力
(2000年地方行革大綱、2005年集中改革プラン、2006年行革推進法)によりすべての自治
体で例外なく進められてきた厳しい定数削減にある。とりわけ、小泉構造改革の一環とし
て骨太方針2006が地方公務員の定数純減を求めたことが大きい。2001年からの8年間で
15.2%(年平均1.9%)、20万人近くの正規職員が職場から失われた。
福井県の9市1町では、2000年に1,006人いた正規保育士が2008年に734人に減ったのに
対し、非正規保育士は247人からなんと704人に増えている(5)
。かつて正規職員中心で運
営されていた公立保育所は、いまは正規と非正規の混合で運営されており、非正規比率は
全国平均で51.3%と半数に達している。
(2) 非正規化を選択する自治体
市町村では少子高齢化や地方分権により行政需要は増大しているが、政府は財政再建路
線にそって自治体財政を厳しく圧迫している。そうでなくとも、人口減少に直面するほと
んどの自治体は、将来の財源増を期待することができない。
総務省はこのような状況に対して、新地方行革指針で、事務事業の削減と効率化、アウ
トソーシングを提案した。しかし、自治体の行革プランに事務・事業の削減が書き込まれ
ることは少ない。自治体の事務事業の多くは、人が直接行うサービスで、IT化や業務の
効率化による人員削減効果を期待しにくい。むしろ行政ニーズは多様化・高度化しており、
ますます人手を必要としているのが実態である。アウトソーシングもコスト削減の万能薬− 6 −
とはならない。民間企業であれ、NPOであれ、サービス提供人員を削減できない以上、
人件費単価を切り下げるしかコスト削減の方法はない。実際に極端な委託コストの削減が
サービスの質の崩壊を招いている例(6)
が多く報告されている。
意外にも、総務省の新地方行革指針(7)
には、非正規職員を増やせとはどこにも書かれ
ていない。総務省は、非正規職員の活用を行革の有力な手段として認めていない。にもか
かわらず、自治体が非正規職員を選択するのは、効率化とアウトソーシングが急激な正規
職員削減に追いつかないからである。
(3) ヒトをモノ化する労働の非正規化
民間企業では先行して非正規労働者の活用が積極的に取り入れられてきた(8)
。2008年
秋からの世界金融危機は、製造業の生産縮小を招き、派遣切りと呼ばれる非正規労働者の
大量解雇を招いた。企業による労働力の非正規化は、ヒトをいつでも需給調整可能なモノ
としてしまうことである。行政分野は製造業のような労働需要の急激な変化は起こりえな
い。しかし、ここにおいてもヒトのモノ化は着実に進行してきた。
構造改革路線に基づく行政改革は、分かりやすい指標として正規職員定数の削減を絶対
化する。定数削減という絶対目標が見直され、必要な行政サービスを実施していくために
地方公務員を増やしていくということに社会的なコンセンサスがつくられない限り、正規
職員定数を復元することは極めて難しい。また、ここまで増大した非正規職員業務を正規
職員に戻すことは容易ではない。
職場の非正規化の真の理由は人件費コストの圧縮にあるが、行政にかかる人件費コスト
を見えにくくする効果もある。多くの自治体は、人件費を正規職員のみで表示し、非正規
職員分は事業費や物件費に埋め込まれる。地方財政制度(基準財政需要額)にも非正規職
員の人件費は明示されず、算定根拠も示されない。財政上で非正規職員はモノとして扱わ
れるのである。
2. 職場の非正規化はどのように進むか
(1) 非正規化が先行する出先職場
出先職場は、自治体規模の大小を問わず非正規化が進行しており、過半の労働者がすで
に非正規職員である。
出先職場は、常に民間委託の検討の対象となっており、事業費コストの公民比較がされ
やすい。直営職場では人件費コストを圧縮するため、正規職員の配置が減らされ、代わり− 7 −
に非正規職員が導入される。直営維持のために、労使で意識的に非正規化を進める例もあ
る。
配置職員のほとんどあるいは管理者も含めて全員が非正規職員の出先職場も福祉施設、
社会教育施設などで見られる。正規職員は定年退職などにより欠員が出ても補充されず、
非正規職員が配置される。時間が経過するにつれ、非正規職員比率が高まり、ついには正
規職員が0となる職場も学校給食などで見られる。
(2) 女性職場で進行しやすい非正規化
非正規職員の圧倒的多数は女性である(P23 80.8%・図5参照)。背景には就労の女
性差別があるが、女性が多い職場・職種は非正規化が進行しやすい。
女性職場・職種では、産休・育休の代替職員として非正規職員が配置されてきた。代替
職員は正規職員の業務をそのまま引き継ぐことが多く、ここから正規職員がいつでも非正
規職員で代替できるとする見方が生じる。正規職員から非正規職員への置き換えが進みや
すいのである。女性が多い保育所、学童保育、給食調理、介護などが家事の延長で見られ
てしまい、労働価値の評価が不当に低いことも影響している。一方、男性職場とみなされ
る上下水道、清掃では、民間委託は進んでいるが、非正規化が緩慢なことも観察できる。
(P22 図3参照)
非正規職員問題で、募集対象が既婚女性で家計の主たる担い手でないことが強調される
ことが多い。実際には典型的な主婦パートは主流ではない。フルタイム型であれば、生活
できる水準の賃金が求められる。女性労働は家計の補助に過ぎないという先入観と差別が、
雇用不安定と低賃金の容認につながっている。
(3) 非正規職員を主力にはじめられる新規業務
新規業務に正規職員の配置が想定されず、あらかじめ非正規職員による対応を前提とし
ていることが多い。また、法律によってあらかじめ非常勤職員とすることが定められてい
るものもある(9)
。典型は、各種相談員(92.6%)、学童指導員(90.4%)であるが、新
しい専門職種=非正規職員、総合職=正規職員という線引きが生じている。
新しい行政ニーズに対応した専門職員を育成・配置していくことは必要であるが、新規
事業には十分な予算が確保されず、その専門性にふさわしい労働条件は与えられない。か
つて在宅介護を自治体が直接行っていた時代には、ホーム・ヘルパーは正規・非正規が混
在していたが、現在そのほとんどが民営化されてしまった。また、正規職員が主流であっ
た図書館司書は、典型的な非正規職となっている。これらの分野では行政が安価な労働市
場を生み出している面があり、高いコストをかけて専門的な資格を取っても対価が期待で− 8 −
きない領域となっている。
(4) 非正規化は最終的にあらゆる職場で進行する
本庁業務の非正規化は、1年限りの臨時職員のみとするなど極力抑制している自治体も
ある。一方、財政力の乏しい小規模自治体をはじめ、本格的に進行している自治体も多く、
「その他非現業」の数は決して少なくない(39.8%)。従来、非正規化が及ぶと考えられ
ていなかった本庁の職場・職種においても、非正規化の波が及びつつある。
ある小規模自治体では、課毎に1人の非正規職員が配置され、任務を分担し、事業の起
案や会議の出席、市民への対応など正規職員と変わらない業務を行っている。これまで本
庁の非正規職員の業務は、特定の専門職を除けば、事務補助的と思われてきたが(10)
、予
算削減によって事務補助型は減らされる傾向にあり、任務分担型に移行しつつある。正規
職員定数の削減が進む限り、非正規化が及ばない職場はない。
3. 非正規職員はどのような仕事を担っているのか
(1) 非正規職員の仕事と正規職員の仕事に違いはあるのか
自治体での聞き取り調査において「正規職員と非正規職員の業務はまったく同じであ
る」という驚くべき回答が、人事当局からも当該の正規・非正規職員からも多く聞かれた。
「非正規職員の業務はあくまで補助的である」との見解は、当局者と労働組合の一部から
示されたのみである。「正規職員と非正規職員の役割上の違いを強調することは、業務の
円滑な進行の妨げになる」という言葉さえ聞かれた。このような見方は、保育所、学校給
食、学校用務など正規・非正規が混在する職場で顕著である。市民から見て正規職員と非
正規職員は見分けがたく、職員ですら他の職場では区別がつかない。新規採用や異動と
なった正規職員がベテランの非正規職員に仕事を教わるという光景が見られ、正規職員の
スキルや責任感の低下を指摘する非正規職員の声もある。
すべての自治体や職場で非正規職員と正規職員が同じ業務を行っていると見ることはで
きないが、役割分担が明確でない自治体や職場が増えており、全体として仕事の上での両
者の線引きはあいまい化する傾向にある。
(2) 非正規職員の主流は常勤
非正規職員のうちフルタイム(勤務時間が正規職員とまったく同じ)は全体平均で
28.4%、町村で47.1%に達している。正規職員の4分の3(平均1日6時間)以上の勤務− 9 −
時間がある者で見ると63.2%を占める(P25 図7参照)。この範囲の労働者は、職業に
生活を大きく拘束される日勤の労働者であり、判例においても常勤の労働者とみなされる。
勤務時間が長くなるのは、仕事が正規職員とほとんど同じであり、恒常的な業務だから
である。自治体の通常業務を担当している以上、フルタイムが望ましいことは明白である。
非正規職員のほとんどを、22条臨時職員としていた自治体が、非常勤職員に切り替える
事例が多くあるが、フルタイムを短時間に切り換えることが多い。その場合もフルタイム
の4分の3以上の勤務時間が設定され、ほとんどフルタイムと変わらない場合も多い。
(3) 「登録型」臨時職員と「専門職型」短時間職員
勤務時間が短いパート職員や勤務日が限定されるアルバイト職員は、文字通りの臨時職
員と言えるが、主流の存在ではない。
短時間パート職員やアルバイト職員は、あらかじめ登録して必要に応じて呼び出すかた
ちで運用されるケースが多い。問題となっている登録派遣や日雇派遣とパターンが似る。
二種臨時職員、待機職員などと呼ぶ自治体もあり、年間のべ数千人の稼動事例も報告され
ている。自治体として制度化されなくとも、職場単位で同様のしくみを取り入れていると
ころも多い。この背景には、職場ごとの人員配置が非正規職員も含めてぎりぎりに抑えら
れており、休暇などで空いた穴を埋める要員があらかじめ用意されていないことがある。
このような「登録型」を含む文字通りの臨時職員は、今回の調査でも十分把握できておら
ず、非正規職員の総数は60万人を超えてさらに広がる可能性がある。
短時間勤務者のなかには、専門的な能力を持ち、特定の業務に従事するタイプの職員も
いる。各種相談員や学童指導員、レセプト点検員、通訳などがこれに該当する。これらの
職員の業務は、補助的とは言えず、正規職員の一般的な業務より困難性が高い面もある。
専門職型短時間職員の多くも正当な処遇を与えられていない。
(4) 階層化する自治体労働現場
非正規職員は、正規職員業務を代替するために導入される常勤的非正規職員とそれ以外
の非正規職員に分かれる(二層化)。常勤的非正規職員とは、勤務時間がフルタイムの4
分の3以上あり、恒常的業務に就く非正規職員のことであり、法的には非常勤と呼ばれる
職員も含まれる。
保育所では、保育時間の延長により朝夕のパートタイマーが先行して導入された。その
後、正規保育士が減ったため、日勤の非正規保育士が増やされ、正規職員と常勤的非正規
職員、登録型などの臨時職員や短時間パート職員の三種類(またはそれ以上)で運営され
るようになった。常勤型の非正規保育士は自治体によってクラス担任や他の保育所への異− 10 −
動もある。同様の事例は学校給食でも見られる。にもかかわらず、継続雇用や処遇がその
負担や責任度合いに対応したものとなっていない。
多くの自治体で、常勤的非正規職員を「嘱託職員」と呼んでいる。また、パートタイ
マーが正規職員と常勤的非正規職員を総称して「常勤さん」と呼んでいる例すらある。こ
のような常勤的非正規職員の実態は、民間企業になぞらえるなら「契約社員」(嘱託社
員)に当たる。
自治体の労働現場は、正規職員、常勤的非正規職員、それ以外の非正規職員(登録型臨
時職員や専門職型短時間職員など)といったかたちの階層化が生じている。
4. 非正規職員はどのような状態に置かれているのか
(1) 実態をカバーできない現行の法制度
恒常的な業務に就く常勤的非正規職員にそぐう地公法上の制度はない。自治体は現行の
法制度をアクロバティックに当てはめざるを得ない。
自治体の 対応はばらばらである。22条臨時職員を多用する自治体、特別職非常勤職員中
心の自治体、一般職非常勤を活用する自治体、それぞれの制度を独自の解釈で使い分ける
自治体があり、一貫性がない(P24 表3参照)。同じような働き方をしている労働者が、
自治体によって、臨時職員であったり、特別職非常勤職員であったり、一般職非常勤職員
であったりするのである。このような事態に対応するために導入された任期付短時間勤務
職員制度だが、その不人気ぶりは極端で、ほとんど採用されていない。
(2) 臨時職員の常用雇用化
多くの自治体、とりわけ小規模自治体は、地公法22条の臨時職員(臨時的任用)を活用
している。
地公法22条はあくまで「緊急の場合、臨時の職に関する場合」に「臨時的任用」を認め
ている。臨時的任用の場合、正規職員とほぼ同じ労働条件(フルタイムの勤務時間を含
め)とすることができる。しかし実際には時給制がとられる場合が多い。
臨時職員は、期間が6ヵ月以内、更新は1回まで(合計1年まで)と地公法に定められ
ている。しかし、恒常的な業務に当てられた臨時職員が1年を超えて継続雇用となること
は避けられない。実際に多くの自治体において臨時職員が継続雇用されている。
法を形式的に守るために、短期間(1週間程度などという事例もある)の休止期間(11)
を置いて同一人を再雇用する例や異なった職場(自治体)をローテーションする例が、最− 11 −
近は少なくなってきているが、散見される。このような運用は業務上のマイナスが大きい
だけでなく、労働者の人権を蹂躙するものである。休止期間はただちに廃止し、継続雇用
とすべきである。
臨時職員の法律上の問題は、1年を超えた継続雇用にあるのではなく、緊急・臨時でな
い業務に臨時職員を当てていることにある。
(3) はば広く運用される非常勤職員制度
非常勤制度を広く活用している自治体(大都市とその周辺部、県など)も多い。臨時職
員から切り替える事例も多く見られる。非常勤職員は特別職と一般職の二種類がある。
地公法3条3号3項は「臨時又は非常勤の顧問、参与、調査員、嘱託員およびこれらの
者に準ずる者の職」を特別職と位置づけている。本来特別職は、首長や教育委員など選挙
や議会選出の者や審議会委員などが位置づけられ、正規職員が担当しない仕事を担うこと
が想定されている。しかし、「嘱託員(およびこれらの者に準ずる者)」の例示があるこ
とから、広く使われるようになった。特別職を「特定の学識・経験に基づき任用される
者」(12)
に限定する見解があるが、根拠がない主張である。
特別職の特徴は地公法が原則適用除外となる(地公法4条)ことで、兼職禁止(地公法
35条職務専念義務、38条営利企業従事制限)などが適用されず、労働組合法など一般的労
働法規が適用される。一部の特別職非常勤の労働組合では、労働三権の行使を前面に出し
た運動も展開されている。ただし、採用はあくまで任用とされているため、雇用において
は民間並みの権利が保障されない。職員団体の範囲から除外する運用が一部の人事委員会
などで行われているが、このような扱い(解釈)はまったく不当である。
地公法17条は、一般的な職員の任命を定めたものであり、非常勤職員になんら言及して
いない。しかし、過去に政府省庁から一般職非常勤職員を任用できる行政解釈(13)
が示さ
れており、非常勤職員も一般的に任用できることになる。一般職非常勤は全体の16.5%だ
が、積極的にこの制度を活用しようとする自治体もある。特別職との違いは、地公法が全
面適用されることで、文字通りのもうひとつの公務員である。
(4) 非常勤職員の勤務時間と短時間職員制度
「非常勤」を「常勤でない」=フルタイムでないと解釈して、勤務時間を短くしている
例が多く見られる。しかし、地公法には非常勤職員の具体的な定義はなく、短時間でなけ
ればならないという条項は存在しない。
人事院規則15−15第2条は「非常勤職員の勤務時間は、日々雇い入れられる非常勤職員
については1日につき8時間を超えない範囲内において、その他の非常勤職員については− 12 −
常勤職員の1週間当たりの勤務時間の4分の3を超えない範囲内」と定めている。しかし、
これはあくまで国家公務員の規則であり、自治体が自ら条例や要綱で決めることである。
実際にフルタイムの非常勤職員を導入している自治体は少なくない。
短時間とするケースでは、人事院規則に合わせて4分の3以下とする例と、正規職員よ
りわずかに勤務時間を短くする例とがある。後者では、1日7時間、7.5時間、週39時間
など、ほとんど形式的としか思えない事例も見られる。また、地方公務員共済組合に加入
させないなどの理由で6ヵ月に一度勤務日を18日に制限する例も見られる。年間または
6ヵ月間の労働日で調整している例もある。
これらの短時間勤務は、業務の必要性からではなく、非正規職員を正規職員と区別する
ために導入された。例えば、フルタイムの業務を32時間以下の勤務に割り振るには、シフ
ト勤務が必要であり、業務体制の構築、人材確保の両面で手間がかかる。非正規職員の短
時間勤務に合わせてサービス時間を短くしたり、その分だけ正規職員が業務過多になる例
もある。また、非正規職員がサービス残業を行うことによって実態はフルタイムとなって
いる事例すらある。
任期付短時間勤務職員制度が普及しない理由のひとつは、短時間勤務で業務を構築する
ことが難しいことである。導入している自治体でも、短時間勤務になじむ職場のみの部分
的な導入となっている。現在の非正規職員業務全体を短時間勤務職員制度によって置き換
えることは考えにくい。
非常勤職員=短時間職員ではなく、正規職員と区別するために非常勤職員を短時間勤務
とすることは本末転倒である。あくまで短時間勤務が必要な業務に対して、短時間勤務を
希望する労働者を当てるべきである。
(5) 雇用更新と雇い止め
非正規職員のほとんどは有期契約で、非常勤職員は1年、臨時職員は6ヵ月が一般的で
ある。非常勤職員の場合、地公法に期間の定めはなく、労働基準法の有期契約が基準とな
る。原則として3年までの範囲で決めることができる(14)

ほとんどが1年以内の有期契約であるにもかかわらず、非正規職員の半数以上
(60.4%)が現に1年以上働いている(P28 図13参照)。つまり、雇用は1年を超えて
実際に更新されているということである。聞き取り調査でも、臨時職員を含め原則として
雇い止めがないことを認めた自治体が多い。
短い期間ごとに労働者を入れ替えれば、その度に仕事を教える必要があり、労働者本人
も業務に習熟することができない。雇用更新(15)
は非正規職員を恒常的業務に従事させて
いる自治体にとっては必然である。 − 13 −
複数年雇用を前提としながらも、更新の回数を2回(3年上限)、4回(5年)などに
限定する例が最近目立っている。要綱や雇用条件に明記する場合もあるが、不文律・慣習
としている自治体もある。雇用年数や更新回数を制限する雇い止め(16)
には、理由がなく、
非正規職員の定着防止を意図したものとしか考えられない。総務省は、臨時・非常勤職員
に関する調査で、更新回数限度を詳細に調査し、この方式を実質的に推奨しているが、許
しがたいことである。この動きは近年のものが多く、実際に雇い止めを強行するのかどう
かが労使の争点となっている自治体も多い。
また、(1年臨時職員を含め)自治体で雇い止めをルール化していても、実際には新た
な代替要員が簡単に見つからないなどで雇用継続している例が必ずあり、ダブル・スタン
ダードとなっている。非正規職員の雇用更新は情実採用の観点から批判された経緯がある
が、更新そのものが外部から強く批判されることは考えにくい。派遣切りが社会問題とな
るなかで、公務の雇い止めにも社会的な批判が出ている。
少なくなっているが、日々雇用(1日雇用の毎日更新)も残っている。これは、前述の
人事院規則を準用したもので、フルタイム非常勤=日々雇用という理解も見られる。日々
雇用はいわゆる日雇いであり、このような規定が人事院規則に残っていること自体が問題
だが、雇用契約期間という概念がないと、いつでも雇い止めにできるという解釈がまかり
通りかねず、ただちに1年などの有期契約に切り替えられるべきである。総務省調査でも、
日々雇用は想定されていない。
雇用更新(や異動)の通知が期限切れぎりぎり(極端な場合は最終日)になる例も報告
されている。「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(17)
は、30日前の雇
い止めの予告や更新しない理由の明示を義務付けている。話題となった派遣切りでも1か
月分の解雇予告手当が支給されており、公務における雇い止めがいかに乱暴に運用されて
いるかが分かる。
雇用更新が確立していても、当該職員側の問題(職務怠慢など)によって雇い止めが行
われることもある。この場合、非正規職員の人事評価のあり方も問題となる。前記基準は
「更新の有無の判断基準の明示」も義務付けており、正規職員と比べて著しく不均衡で
あってはならない。
賃金が安いため、更新を希望しない非正規職員もいる。「とても続けていけない」が当
事者の声である。雇用が安定しない理由に低賃金があることを忘れてはならない。
非正規職員の採用について、近年、公募が強く意識されるようになってきた。情実的な
非正規職員の採用が問題になった経緯もあり、継続雇用を想定した公正な採用が行われる
必要がある。
階層化している下位の非正規職員から上位の非正規職員にステップアップする運用や、− 14 −
非正規職員の中から正規職員を採用する道を開いている例もある。ある自治体では、正規
職員の採用枠に社会人採用枠を設けるかたちで、経験と意欲を持つ非正規職員が正規職員
採用にチャレンジする機会を与えており、近隣自治体が追随する動きも出ている。非正規
職員には、正規職員採用に漏れて、やむなく非正規職を選んだ者も多い。改正パート労働
法は、非正規労働者の正規労働者への転換を推進するための措置を講じることを義務づけ
ており、自治体でも検討されるべきである。
(6) 賃金と労働条件
非正規職員の賃金・労働条件は、文字通り劣悪である。相対的に良い条件を得ている非
正規職員はごく一部の自治体や特定の職種(医師など)に限られ、多くは小売業や外食産
業などのアルバイトの水準と変わらない。このような実態は「官製ワーキングプア」と言
われる。正規職員との官官格差は大きく、自治体は非正規職員を「搾取」していると言っ
ても過言ではない。
非正規職員の多数派(全体の64.5%)は、時給制(または日給制)である。時給は都市
部より地方の方が低く、800円台が中心で、1日6時間で年収100万円台前半、フルタイム
でも200万円に届かない。(P26 図9参照)
月給制は、15万円前後が中心であり、行政職1表の高卒初任給が基本になっている。時
給型よりも少し高いが、一時金がなければやはり年収200万円に届かない(P26 図10参
照)。月給制は常勤的非正規職員に採用される場合が多いが、その全体をカバーしている
わけではない。
通勤費すら支給されない者が半数を超えている(52.8%)。時間外労働があるにもかか
わらず時間外手当を支給していない事例も多い。非常勤職員には通勤費も時間外手当も払
えないという誤解も広く存在している。一時金はわずか(27.1%)であり、退職金はほと
んどない(2.4%)。勤続年数が相当長く、職場のリーダー的な役割を担ったり、より難
易度の高い業務となっても、賃金はまったく上がらないところがほとんどで、昇給制度は
極めて少ない(9.3%)。(P27 表7参照)
賃金単価の決定には、民間のパート・アルバイトの動向や他の自治体との比較など一定
の相場感が感じられるが、最低限の水準にあることには変わりがない。ダブルワークを希
望する非正規職員も多いが、兼職禁止(特別職以外)への不満も多い。
休暇制度は、年休の付与など労働基準法の最低基準は守られる傾向にあるが、正規職員
との格差は大きい。また、産休がないなど継続雇用に対応した休暇制度となっていない。
異動は、勤務事業所や部署の異動がまったくない事例と、同じ職種の正規職員とほぼ同
様の異動がある事例に分かれるが、昇給制度など処遇とは連動していない。研修は、ほと− 15 −
んど実施されない、実施されるが業務外とされる(自費負担の例もある)、正規職員と同
様になされる、の三通りがあり、自治体や職場によってばらばらである。また、用具の支
給が十分になされないといった問題も散見される。福利厚生を含めて、非正規職員の労働
条件の詳細な点検が必要である。
5. 実態調査で明らかになった課題
(1) 非正規職員を自治体行政の重要な戦力として正しく位置づけ直す
いまや非正規職員は、好むと好まざるとにかかわらず、自治体にとって欠くことのでき
ない戦力である。
全体の27.6%、市町村で3割を超えるという非正規職員比率はあくまで平均で、半数の
自治体はそれ以上の比率であり、すでに半数を超えている自治体もある。市町村では平均
15%(18)
に達する正規職員のなかの管理職を除くと比率はさらに上がる。非正規職員のう
ちの多くは正規職員と変わらない業務に就いており、出先職場では過半を占め、さらに増
大しつつある。非正規職員のパフォーマンスは、自治体行政サービスを左右するように
なっている。
非正規職員も行政の構成員であり、公共サービス労働に情熱と誠意を持って取り組んで
いる。しかし、非正規職員の情熱と誠意は、しばしば低賃金や雇用不安定によって挫かれ
る。
自治体は、貴重な人材を使い捨てにしている。サービスの担い手を大事にしない自治体
が、質の高い公共サービスを提供できるのだろうか。
自治体は、行政サービス向上のために、非正規職員の存在を市民に積極的に公開し、非
正規職員を自治体行政の重要な戦力として正しく位置づけ直すことが求められる。自治体
は、正規職員と非正規職員のもっともよい組み合わせによるサービスの提供を追求すべき
である。
(2) 正規職員、常勤的非正規職員、その他の非正規職員の役割を定める
非正規職員の増大によって職場の階層化が進んでいるが、ここで問題となるのは、正規
職員と常勤的非正規職員との役割や責任の分担が不明確になっていることである。勤務時
間など外形的な区分を設定するだけでは、正規と非正規が単なる身分制となってしまう。
これでは、役割分担への非正規職員の納得性が十分に得られず、正規職員への不信が生じ、
職場内の有効な協力体制を築けない。 − 16 −
正規職員と非正規職員にはおのずと役割や責任の違いがあるはずであり、改めて正規職
員固有の役割と責任を定義し直す必要がある。正規職員固有の役割と責任が示されないと、
すべての業務は非正規職員で行えるということにもなりかねず、際限のない非正規化が進
む恐れがある。
現場では、正規職員と常勤的非正規職員の業務の多くが重なっている。これらの業務を
正規職員の業務と非正規職員の業務に分けるのではなく、共通の業務に何があるのかを再
確認しつつ、そこに含まれない正規職員しかできない、正規職員が本来責任を持つべき業
務を明らかにすることが求められる。民間では職務分担表を定めている例もあり、職場自
治研を通して、職場・職種ごとに職務分担表を作成する。共通業務は労働の大半を占めて
おり、その部分で待遇の平等が求められることは当然である。
(3) 非正規職員を労働組合に組織する
非正規職員を正しく位置づけ直す視点は、労働組合にも必要である。ただちに非正規職
員を仲間として労働組合に迎え入れなくてはならない。
第一に、非正規職員こそがもっとも労働組合を必要としているからである。正規職員は
人勧制度と勤務条件条例主義によって守られている。現業・公営企業労働者に協約締結権
が与えられるのは、より労働者としての権利の保護が重視されているからである。非正規
職員は法律の保護がもっとも及ばない存在であり、現業・公営企業労働者を上回る保護が
必要である。民主的な労働組合は、非正規職員に門戸を閉ざすべきではない。
第二に、正規職員のみの自治体単組が、非正規職員の労働条件を労使交渉することは、
代行主義だからである。多くの自治体単組は、非正規職員の要求に取り組んでいる。しか
しこれでは、非正規職員の要求を正規職員が代弁することにしかならない。当事者が自ら
の条件の決定に参加していくことが必要であり、それを全体で支えていくことが求められ
る。
第三に、非正規職員の処遇改善には、全国的な非正規労働者の組織化が不可欠だからで
ある。非正規職員の組織化に取り組まないことは、先行的に労働組合に結集した非正規労
働者を孤立させることに結果している。少なくとも複数年雇用の常勤的非正規職員は全体
として組織化されるべきである。
第四に、自治体単組(自治体ごとの連合体を含む)として過半数代表の地位を維持する
ためである。正規職員のみの労働組合は、もはや職場全体を代表しているとは言えない。
非正規比率の高い自治体では、管理職も合わせた全職員の中で、すでに組合が少数派と
なっている恐れもある。このような状態では、労働協約権が戻っても、労使対等を維持し
ていくことができない。何よりも、正規職員と非正規職員が同じ自治体の行政サービス− 17 −
(仕事)を担う仲間としての意識を共有することが重要である。
(4) 非正規職員の雇用を安定させる
非正規職員にとってもっとも重要な課題は雇用の継続である。
非正規職員のほとんどは、1年(あるいは6ヵ月)の契約だが、担当する業務が継続し
ており、本人が雇用継続を希望する限り、雇用は継続されなくてはならない。また、それ
が行政サービスの改善にもつながるのであり、非正規職員であるからという理由のみで雇
い止めすることはまったくの不合理であり、不当である。
とくに更新回数に限度を設けて雇い止めを行うことは、労働者の人権を著しく侵害する
ものであり、労働組合はそのような制度や運用の廃止を求めるべきである。要綱や採用条
件、雇入通知書などに更新回数の限度が記入されている場合はその削除を求める。すでに
職場の戦力となっている複数年雇用者への雇い止めに対しては、職場の上申活動や署名運
動などにより、貴重な人材をやめさせない運動が必要である。
継続雇用を前提とする限り、非正規職員の採用はできるだけ公正な方法によることが求
められる。非正規職員も研修の対象とし、専門的知識を増やしたり、技量を高める機会を
十分に与えなければならない。非正規労働者本人の希望に応じて、短時間あるいは臨時的
な非正規職から常勤的あるいは専門的な非正規職にステップアップするしくみや、正規職
員採用試験を受ける機会を与えていくことも求められる。
(5) よい仕事ができる賃金・労働条件を確保する
総じて非正規職員の賃金は、その労働の実態に比べて低過ぎ、生活できるレベルに達し
ていない。行政サービス向上と当該労働者の生活の安定の観点から、よい仕事ができる賃
金・労働条件が確保されなければならない。
非正規職員賃金を改善していく視点として、@労働の価値に見合った賃金、A生活でき
る賃金、Bモチベーションを高める賃金の3点が挙げられる。
労働の価値に見合った賃金としては、職種横断的な賃金相場の形成や行政サービス労働
者としての最低基準の底上げが課題となる。例えば、保育士の賃金単価は、近隣自治体や
民間保育所の賃金を視野に入れて決められており、地域的な統一闘争でその相場の押し上
げに取り組む必要がある。職種に対応した賃金水準の形成は、良好な労働市場の形成につ
ながり、行政サービスの質の向上をもたらす。また、自治体行政分野の非正規賃金の底上
げは、労働市場全体に好影響を及ぼす。
常勤的非正規職員は、生活できる賃金でなければならない。生活時間のかなりの部分を
特定の労働に費やす労働者の賃金水準が貧困レベルであることは、自治体の直接雇用とし− 18 −
ては社会的に許されない。戦略的には、月給制への移行を重視したい。
モチベーションを高めることができる賃金として、なんらかの昇給のしくみが必要であ
る。職場を異動したり、経験年数が長く、実質的な職場のリーダーとなっている非正規職
員は少なくない。フラットな賃金制度では非正規職員の労働意欲を十分に引き出すことが
できない。また、採用時の賃金決定で、職務経験や専門的能力を配慮するしくみも必要で
ある。
通勤費、時間外手当は必ず支給されなくてはならない。時間外手当の不支給は労働基準
法違反である。支払いベースの低い非正規職員にとってこの問題はより大きい。地公法上
の非常勤職員に位置づけられていても、その業務が常勤であれば、地方自治法203条の
「常勤の職員」に当たり、正規職員と同じように諸手当が支給できる。地方自治法202条
の「非常勤職員への報酬」であっても、通勤費を費用弁償として、時間外手当を報酬とし
て支給しなければならない。
「同一価値労働・同一賃金の原則」を基本原則に、正規職員と均衡な待遇が実現されな
くてはならない。賃金制度を整備するために、基本事項の条例化と労使交渉による詳細の
決定が求められる。その際、常勤的非正規職員の処遇改善が軸となる。運動を進めていく
上で、形式的な要求でなく、実質的な条件改善につながる要求を重視したい。
継続雇用を前提とした休暇制度の整備(産休・育休制度の導入を含む)が必要であり、
労働基準法を最低として、正規職員との均衡が求められる。その他の労働環境の整備も含
め、何より労働者の人権と生活を守る視点が重要である。
非正規職員の賃金・諸手当支給のための根拠を明らかにする給与条例と細目を示した要
綱などの整備も必要である。また雇用管理・賃金支払いを部署ごととせず、自治体の人
事・総務部門に一元化していくことも重要である。非正規職員の採用は自治体のトータル
な人事の一部であり、人件費全体も把握されなくてはならない。当然のことながら、非正
規職員の位置づけ・諸条件の整備は、自治体の政策として確立すべきものである。
(6) パート労働法の趣旨が公務職場(自治体)にも貫徹されるべきである
自治体の非正規職員の処遇は、非正規化が進んでいる民間に比べてもよいとは言えず、
むしろ民間の水準以下と見られる部分もある。民間においては、非正規労働者の処遇を改
善するためのパート労働法があり、正社員とパート労働者の均衡待遇(賃金、教育訓練、
福利厚生)、差別的取扱いの禁止、正社員への転換の機会などを盛り込んだ法改正が2008
年に行われた。民間の現状が十分に改善されているとはいえないが、公務職場にはこの
パート労働法も適用されない。その結果、自治体非正規職員の現状は、パート労働法が想
定する水準を下回っている。 − 19 −
自治体非正規職員の働く環境を整備し、行政サービスの向上につなげていくには、自治
労がかねてから要求してきた任期の定めのない短時間公務員制度の導入をはじめ、自治体
非正規職員に関する法制度を見直していくことが必要である。また、条件整備への努力を
使用者側に義務づける何らかの法的な枠組み(パート労働法の趣旨を公務職場にも適用す
る公務員版パート労働法など)についても検討されるべきである。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(1) 自治労組織基本調査では1981年91,678人、1984年90,596人、1987年183,416人、1990年200,890人、1994年
230,328人、1997年263,790人、2000年297,817人、2003年319,376人、2006年356,990人。(いずれも6月基
準)なお、組織基本調査は自治労組織化職場のみを対象としており、また全数把握という意味では十分ではな
い。
(2) 2005年455,840人、2008年499,302人。総務省調査は、任用期間6月未満、週勤務時間20時間未満、任期付短
時間職員などを除外している。
(3) 政令指定都市・特別区を除く。市都道府県の非正規職員数は、停滞か減少傾向にある。都道府県そのものが
地方分権、公共事業の削減によって業務を縮小しており、正規職員も大幅に減少している。
(4) 1995年1,174,838人に対して、2008年976,014人である。
(5) 「2009年保育酷書」2009年2月自治労福井県本部
(6) ふじみ野プール事故など。
(7) 2005年3月29日「地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針の策定について」
(8) 1995年5月日経連「新時代の『日本的経営』」が非正規労働者活用の拡大の大きな転換点になったと言われ
るが、流通業界などを中心にそれ以前から広がっていた。
(9) 母子及び寡婦福祉法、売春防止法など。
(10) 1990年代後半において政府の景気対策として地方単独公共事業が多く行われたときに、予算に余裕があった
ため非正規職員が多くなった時期があったことが多くの自治体で報告されているが、その後の財政逼迫により
これらの職員はすでに整理されている。
(11) 休止期間について、1ヵ月、3ヵ月などのさまざまな「基準」が出されているが、いずれも根拠がない。
(12) 「地方公務員の短時間勤務のあり方に関する研究会報告書」2009年1月23日「特別職非常勤職員は、そもそ
も特定の学識・経験を必要とする職に、自らの学識・経験に基づき非専務的に公務に参画する労働者性の低い
勤務の態様が想定されており、それゆえに地方公務員法の適用を除外されていることに十分留意し、各地方公
共団体においては、職務の内容が一般職の職員と同一と認められるような者や、勤務管理や業務遂行方法にお
いて労働者性の高いものについては、特別職として任用することが妥当なのかという点について吟味すべきで
ある。」
(13) 学校給食の調理業務に従事するパート職員(昭和59年12月3日 自治公一第42号)、公民館の館長以外の非
常勤職員(昭和26年3月30日 文部省社会教育局長、地方自治庁通知)など
(14) 専門的知識等を有する者、満60歳以上の者は5年まで。労働契約法は「必要以上に短い期間」とならないよ
う配慮することを求めている。自治体の非常勤職員が1年であることの根拠を予算が1年単位であるからとす
る主張があるが、業務が年度を越えて継続する場合には1年とする理由がない。
(15) 総務省は非正規職員の契約の更新を「任期ごとの新たな任用」と強弁している(「地方公務員の短時間勤務
のあり方に関する研究会報告書」2009年1月23日)。これは任用の行政行為としての一面のみを強調し、労働
契約としての側面(雇用者と被雇用者との双務性)を故意に無視する考え方である。このように雇用の継続を
認めず、その度ごとの任用のやり直しとする主張は、一方的な雇い止めを正当化する暴論である。
(16) 不当なことだが、現行の労働法制では雇い入れる前に雇用更新の限度を明示することは違法とはされていな
い。自治体における最近の更新限度の明示はこの法制度上の隙間を悪用したものである。
(17) 平成15年10月22日厚生労働省告示第357号
(18) 自治労組織基本調査では、正規職員のうちの管理職比率は全自治体平均で13.5%、市町村では15%に達して
いる。(2006年6月)
http://www.jichiro.gr.jp/jichiken/sagyouiinnkai/32-rinsyoku.hijyokin/pdf/01.pdf  

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コメント
 
01. 2012年11月04日 21:44:46 : aT9tG7aYrY
長い文章ですが、地方自治体が運営している公立の保育園の先生がほとんど非正規職員になっている。当方の知る保育園でも、園長先生と主任の先生が正規職員で、他の先生は非正規だった。非正規の先生がクラスを持たされている。このため、勤務時間は正規の職員と同じである。給与が全然違うけどね。市の労働組合が非正規職員の組織化に全然動かないので、当方も助言して非正規職員だけで労働組合を結成してもらった。このため、労働組合が二つある状態です。

非正規の保育園の先生は、かつては正規の職員でした。ところが結婚で住所が変わり、とても通勤できない距離と言うことで離職した先生が大半です。新たな住所で仕事を探したところ、非正規の先生しかなかったのが理由です。この問題を何らかの形で解決する方法はないのでしょうか。


02. 2012年11月04日 23:08:39 : 7uPtGleutM
バイト、派遣を原則禁止でしょう。特殊なものだけ許可する。風俗とかね。政治、芸術も許可か。

03. 2012年11月05日 00:16:15 : VbWAbFllIA
まあこれは当然といえば当然。
民間でも非正規の割合は35%を超えている。
また公務員の賃金はこの20年でむしろ上がっている。
世界でもまれにみる高給で地方自治体の人件費率は非常に高い。
欧米のように公務員の賃金を低く押さえれば非正規も正規
として雇用が可能になる。


04. 2012年11月05日 10:28:59 : ZqYYmmBZuM
民間も役所も「正規職員vs非正規職員」の構図になっているだけでしょ。

でも、同一労働同一賃金を徹底するには、教育・保育・介護の自己負担を下げないと
社会が崩壊するよ。せめて欧州並みにしておかないと。


05. 2012年11月05日 10:54:29 : kPooBmilqM
民間は既にバブル崩壊以降収益が悪化し、連動して給与も下がっているのです。
競争源であるサービスの方を削る事はできないので。

ところが自治体は税収が下がっても、公務員の給与は下がらず、寧ろ上げてしまって公務員だけは未だバブル真っ只中です。

当然税収が足りるはずはない。
そこで役所がやった対策は2つです。
@(競争の必要がないので)住民サービスの方を削った。
A非正規をフル活用する

役所は非正規などのワーキングプア問題解決に正面から取り組まななければならない当事者だ。
何故ならば自分で稼いでいない「税金」で運用されているのだから。

ところが、その役所が率先して非正規をフル活用している。


役所が、自分たちの厚遇温存を最上位に位置付ける限り、この問題が解決しないのは当然の結果でしょう。
最も同一労働、同一賃金から逃げているのは役所なのです。


06. 2012年11月05日 13:22:22 : aRY3n35QVI
>家計破綻! 2015年まで続く増税ラッシュはなんと10項目!

http://www.tax-hoken.com/news_amdghTYGx8.html

同一労働・同一賃金なんて言っているのは共産主義。
もう無理だね。
金が無いもの。


07. 2012年11月05日 18:15:06 : GgxZFwIEug
非正規でも雇用されているのならまだましです。
有償ボランティアの名の下に、役所の下請けや困難な市民の問題解決のために
時給500円や600円で働かされています。
そのほとんどは女性で、こうした犠牲の元に、日本の国や地方自治体は
成り立っているのです。
政治家が、どんなに一生懸命口先であれこれ言っても現実がこれでは
何もひびいてきません。

08. 2012年11月05日 20:28:48 : YK1Ww7Wo8o
え?公務員の給料ってそんなに高いの?
しかも、未だ上がってるって?ホントに?

4年前まで公務員やってたけど、そんな良い話、一度も聞いたこと無いな・・・
少なくとも、最近の10年は給料上がったことなんて無かったけどな。

ごく一部の勘違いした政令指定都市の給料が高いとか、
災害対応で、徹夜続きの職員の残業が青天井で付いて、やっぱまずいよねってなって、結局返上したとか特殊な例はいくつか知ってるけどね。

近くの市町村や県の職員ともつきあいあったけど。
放送業界とか電力業界とかは別として、民間も役所もそんな良い話があるところ何て無いんじゃないか?

あ、ひとつだけあったよ。そういうのが。
電源立地交付金もらってる町なら給料とかだけじゃなく、インフラとかも全部すごいよ。


09. うらく 2012年11月05日 20:49:14 : /ifMjniWI91/U : q8e9BUurXE
公務員は、休まず、働かず、長く勤めることが肝要。途中でやめてはだめです。小生のちょっと前の投稿も参考にしてね。

10. 2012年11月06日 04:23:11 : BnZEbGDBC6
労働組合が消えれば問題も解消するんじゃない?

組合活動に勤しんでいる一部の寄生虫労組員がいるため
しわ寄せを必要としているシステムになっているんだから♪

問題の元凶を自分たちに向けないよう問題を転嫁させ
自治体やら国のシステムの責任にして摩り替えている

そういう奴らが原因なのにね♪


自己中心な思想を公務に持ち込んでいるから余計に組織内混乱するのに
まるでそれを望んでいるようだね。不思議なことに♪


11. 2012年11月06日 07:52:55 : kngTGEUcDQ
解決策

●公務員の給料は税収に見合ったものとする。 一件落着!!
  
身内の事しか考えない労働組合は時代に合いません。


12. 2012年11月06日 08:07:43 : VbWAbFllIA
>>11
11さんの意見は一見もっともなようだがそれは無理。
民間企業でも完全自由競争だとこれは正しいが独占企業だと
これは不正解。電力会社の高給はまさにこれを証明している。
公務員はもちろん完全独占業種。よって給与は下がらない。

13. 2012年11月06日 10:31:04 : OTOSIyOeKE
>12. 2012年11月06日 08:07:43 : VbWAbFllIA
公務員はもちろん完全独占業種。よって給与は下がらない。

11さんの提案は、「●公務員の給料は税収に見合ったものとする。 一件落着!!」
ですから、給料は下げると言っているのです。論理のすり替えでは有りませんか?


14. 2012年11月06日 11:11:08 : VbWAbFllIA
>>13
>給料は下げると言っているのです。論理のすり替えでは有りませんか?

これは全く論理のすり替えではない。電力会社の給与がどう決まって
いるかご存じだろうか。総括原価方式でまず最初に決めるのが人件費。
次に発電所や送電網などの施設費や運営費に適切な利潤を足して電力原価としている。
地方公務員の給与もほぼ同じでまず総人件費を決める。これは国の人事院勧告に
準ずる。次に事業費で公共事業や福祉予算を組んで行く。 
総額は地方税と国の交付金。よってこの税収が減ればまずは事業費を削る。
地方公務員の給与は人事委員会が決めるので勝手に下げることは不可能。

過去に職員給与を勝手に下げた首長が何人かいたがすべてリコールされ
再選挙で敗れている。鹿児島の阿久根市の例は有名。
自治労の力は地方では強大で橋下維新クラスでないと対決は不可能だろう。


15. 2012年11月06日 18:14:00 : CBsCYSsNso
文言を並べるのが得意なのは公務員の証拠だなw

11さんに大賛成だ。そうできるように世の中を変えましょうや。


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