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http://news.livedoor.com/article/detail/7105461/
10月31日、金融広報中央委員会(事務局・日銀)は、2012年の「家計の金融行動に関する世論調査」を発表した。この調査で「単身世帯に金融資産の保有目的」について尋ねたところ、将来不安の高まりを反映してか「老後の生活資金」との回答が47.1%と最も多かったという。平均保有額は、単身世帯では前年比59万円増の「700万円」、2人以上世帯は同42万円減の「1108万円」となった。
多くの人が収入は伸びないなか、日々の生活で節約したりし、平均して毎月3万〜5万円ほど将来・老後のために貯蓄していることがうかがえる。
なんとも息苦しい世の中であるが、働く人の3人に1人が非正規雇用で、将来の年金なんて実質破たん状態。さらには、勝ち組だと思われていた日本の家電メーカーの昨今の凋落振りを見ると、将来不安を感じないわけがない。
では、この将来不安や“生きづらさ”の正体は何なのか? ベストセラー『若者はなぜ3年で辞めるのか?』などの著者で雇用・社会保障問題に詳しい城繁幸氏が、『若者を殺すのは誰か?』(扶桑社刊)で、現役世代や若者、そしてこれから若者になるであろう将来世代を追い詰めているのは誰なのか、その正体に迫っている。
■30代と60歳以上で、生涯6077万円もの格差!
「将来不安」の要因の1つが、年金などの社会保障だろう。
現在の社会保障制度は、医療も年金も介護も、すべて“賦課方式”と呼ばれるシステムに基づいている。現役世代の保険料を貯めるのではなく、そのまま高齢者に支払うという仕組みだ。現在は15歳から64歳までの生産年齢人口のほぼ3人で1人の高齢者を支えているが、今から30 年後には約1.4人で1人の老人を支えねばならないことが確定している。中学生や高校生を除けば、ほぼ社会人1人で1人を支える“肩車社会”の到来である。
単純に人口比から見ても、少なくとも現役世代の負担は2倍にはなるはずで、今の平均的サラリーマンが所得税と社会保険料などで3割程度差っ引かれているとすると、6割は持っていかれると、城氏は計算する。
現在、日本には1000兆円もの“国の借金”に加え、年金や医療・介護などの「社会保障費」でも1000兆円を超える暗黙の債務が存在している。その2000兆円以上の借金を負担するのは、少子化で人口の減少が確実な“これからの世代”である。
そして城氏は、「30代と60歳以上で、生涯6077万円もの格差がある」という、驚愕のグラフを提示している。
⇒【グラフ】はこちら http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=323383
これは、年金や医療・介護などの形で国から受け取る「受益」と、国へ支払う「負担」の差額をグラフ化したもので、「生涯における純受益額」(受益と負担の差額)である。
60歳以上の世代が受け取る生涯の純受益額は4800万円以上のプラスだが、30代の純受益額は約1200万円のマイナス(つまり1200万円の負担!)と、高齢者と30代で6000万円以上の格差が生まれていると指摘している。
今この瞬間も、この世代間格差は拡大し続けている。このツケは、現役世代や若者、そして未来を担う私たちの子どもや将来世代に押しつけられることは間違いない。
2009年の衆院選で、長く政権の座にいた自民党は野に下り、民主党が圧勝し政権交代が起きた。しかし、「反・自民」という旗印のもとに集った連立政権は迷走に次ぐ迷走を続け、彼ら民主党の掲げた「反・構造改革」や「行きすぎた市場主義からの脱却」といったスローガンには、何の中身もなかったことが白日の下に晒された。
著者の城氏は、雇用や社会保障などの問題に対し、「対立軸は『高齢者と現役世代』『既得権を持つ者と持たざる者』の間にこそ存在するのだということを、一人でも多くの現役世代に知ってほしい」と語っている。
若者を殺すのは誰か?―現役世代に若者、そして将来世代を追い詰めているのは誰なのか。
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