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【寄稿】
貧困の根本的原因に立ち向かう=英首相
デービッド・キャメロン
2012年 11月 2日 17:05 JST
世界的貧困に立ち向かう方法をめぐっては、昔から2つの意見が対立してきた。1つは、援助額を増やすべきだという意見。もう1つは、そうではなく、開発途上国の脆弱な国家体制や汚職、紛争に取り組むことが解決につながるという意見だ。だが今、本当に求められているのはその両方である。
われわれは貧困者に対する約束を果たさねばならない。なぜなら人々は意味もなく死んでおり、彼らを救うにはわれわれの援助が必要だからだ。しかし同時に、貧困の表層的な部分だけでなく、根源的な問題にも対処するべきである。これは、開かれた経済と開かれた社会の発展に必要な条件を整えるために、全く新しいアプローチをとらねばならないことを意味する。その条件とはすなわち、法の支配、紛争と汚職の根絶、財産権の保護、そして健全な国家体制である。私はこれらの条件を合わせて「金のより糸」と呼んでいる。人々は、仕事と発言権を手にして初めて、自分の運命をコントロールし、貧困のない未来をつくることができるのである。
私は英国が、この新たなアプローチを主導できる特殊な立場にあると考える。われわれは長年、貧困撲滅アジェンダの先頭に立ってきた。われわれは世界最大規模の援助機関を複数有し、「ライブエイド」や「ライブ8(エイト)」を立ち上げてきた。マラリアや肺炎、下痢などの予防可能な病気によって毎年、約700万人の子どもが死亡している現在、援助活動における英国のリーダーシップは依然必要とされている。食糧価格の上昇で食糧不足がいっそう深刻化し、世界の1億6500万人の子どもが成長に必要な栄養を得られない状況にあるなか、援助活動におけるわが国のリーダーシップは今も求められている。
このように援助は今でも重要な役割を担っている。昨今の苦しい経済状況のなか、英国が来年以降、国民総所得比0.7%の援助拠出義務を果たすことを私は誇りに思う。われわれはまた、食糧不足への取り組みも主導していく。オリンピック中のサミットに続き、来年もイベントを行い、より栄養価の高い食糧の生産を促進し、貧困世帯が買える価格で提供することを目指す。
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Associated Press
パキスタン・イスラマバードのモスクで「マドラサ」(イスラム神学校)の授業を受ける子どもたち
しかし多大な援助を行ってきたわれわれには、全く新しいアプローチを主導して貧困の原因に立ち向かう正当性も認められよう。ここ英国では、人々を貧困から抜け出させるには、自分の足で立てるよう支援し、勤労に対するインセンティブと報酬を与え、野心を成長のエンジンに変えさせることが必要だと考えられている。それは途上国でも同じことだ。途上国の体制不備が、安定した生活や国家運営に対する公平な発言権を求める人々の希望を打ち砕き、実質的に貧困の原因となっている状況において、貧困の表層部分に資金を費やすだけでは決して十分ではない。
貧困の撲滅には、開かれた経済に支えられた成長が必要だ。そして開かれた経済を最善の形で実現するには、開かれた社会が必要である。すなわち、女性やマイノリティの権利、報道の自由、政府の誠実性、社会参加の自由、国家運営に対する発言権が確保されなければならない。
本物の「金のより糸」は、世界中の国々の経済的、社会的、政治的な進歩を束ねるものである。われわれは、こうした進歩を可能にし、保護するうえで不可欠な体制の強化を新たな優先課題とするべきだ。なぜなら、それが実現して初めて、農民は自分の作物を迅速かつ安全に市場に出せるようになるからである。それが実現して初めて、人々は財産権がないために自宅をブルドーザーで撤去される憂き目を見ずにすむようになり、パキスタンの少女はスキルや教育を身に付け、大人になったらまともな職業に就けるようになる。そして、世界中の女性が男性と同等の法的権利を獲得し、農地を所有したり、ローンを組んだり、親族の家を相続したりできるようになる。
こうした変化を実現させるには、われわれの援助をこれまでとは違う方法で、つまり経済発展のダイナミズムを発揮させる触媒として使うことが必要となる。例えば、国境間の関税サービスを専門職業化したり、農民が携帯電話で価格情報にアクセスできるようにしたり、衛星写真を使って土地区画を地図化することで財産権の普及を促進したり、独立した警察や司法機関の設置を支援したりする。また女性や少女の政治的リーダーシップに投資することも必要だ。彼女たちの貢献は、ガバナンスの向上や持続可能で公平な成長の達成にきわめて重要である。
さらに、腐敗したエリート層がわれわれの援助金を無駄遣いできないよう、透明性と説明責任を改善させることも必要だ。私は、援助金の使途を1ペニー単位で明らかにすべきだと考える。援助金がそれを必要とする人々に到達しないのであれば、援助をやめるつもりだ。一方、われわれ先進国側も断固たる態度をとり、略奪された資産の追跡、返還に努め、腐敗した外国当局者へのビザ発給を拒否するとともに、先進国企業が贈収賄に関与するのを阻止しなければならない。米国では、石油・ガス・採鉱企業に対し、活動する国およびプロジェクトごとの主要財務情報の公表を法的に義務付けている。欧州でも同様の措置がとられることを希望する。
私は、この「金のより糸」を作る一本一本の糸を追い求めることを来年の開発アプローチの中心に据えるつもりだ。われわれは、国内外の懐疑論者に打ち勝たねばならないという試練を抱えている。だが私は、英国にはこの新たなアジェンダを主導するだけの信頼性があると確信している。私は、国連における2015年以降のグローバルな開発アジェンダに関する有識者ハイレベル・パネルの共同議長としての自分の立場、そして2013年のG8議長国としての英国の立場を活用し、その実現を目指す。
30年前、地球上の全人口の半分以上が1日1ドル25セント以下で生活していた。今日、この割合は5分の1に減少している。この偉大な人類の進歩を考えれば、われわれが絶対的貧困を撲滅させる唯一の世代になれるチャンスは目前まで来ていると言えよう。ただし、問題の根本的原因に対処しない限りその達成はない。これがわれわれにできる最大限の支援であり、われわれの生きている間に絶対的貧困を撲滅させる道である。そしてその実現はわれわれの努力にかかっている。
(キャメロン氏は英国の首相)
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ロムニー氏、当選なら金融資産の大量放出へ
2012年 11月 2日 17:17 JST
きっとそれは壮大なスケールの金融資産ガレージセールになるだろう。
米大統領選の共和党候補ミット・ロムニー氏が当選した場合、連邦政府の規則を守り、政治的問題を避けるため、投資ポートフォリオのかなりの部分を売却しなくてはならなくなりそうだ。複数の政府倫理専門家やロムニー氏の財政に詳しい人物が語った。
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Boston Globe/Getty Images
ロムニー氏は15年にわたりベイン・キャピタルを経営していた
ロムニー氏の資産は1億9000万〜2億5000万ドル(約152億〜200億円)とされ、これには同氏が15年経営していたプライベート・エクイティー(PE)ファンドのベイン・キャピタル傘下のヘッジファンドやPEファンド、パートナーシップへの投資が含まれる。これらは、政府の動きに影響されうる数十の企業に出資している。ラジオ会社クリア・チャンネル・コミュニケーションズや中国に拠点を持つビデオ監視会社もその例だ。
政府の仕事に就いて株を手放した実業家や金持ちは多い。だが、ロムニー氏の場合は特に複雑になりそうだ。PEファンドへの投資は評価が難しいことがあり、保有者が変わることはめったにない。売却する場合には慎重を期し、次期大統領が買い手から優遇されているような印象を与えないようにしなくてはならない。
ロムニー氏が投資するファンドの一部は投資先の詳細を公開していないため、同氏は開示規定を満たすのが難しいかもしれない。売却をせずにそうする方法があるかもしれないが、大半の倫理専門家は同氏がこうした資産を保持することはなさそうだと考えている。
ジョージ・W・ブッシュ政権で倫理を担当した法律家で、ロムニー氏を支持するリチャード・ペインター氏は、そうした資産の「多くが売却を免れないだろう」と述べた。
ペインター氏によれば、大統領になったロムニー氏は、売却せずに連邦法の開示規則を順守できたとしても、そのポートフォリオには利害相反の可能性があまりに多いため、最も無難な資産以外は売却した方が政治的に賢明だとの判断になりそうだ。ペインター氏は「わたしがホワイトハウスの倫理担当弁護士で、彼が大統領だったら」、投資の多くについて「単純に取り除くよう忠告する」と話した。
ロムニー陣営は6月にAP通信に対し、同氏が当選した場合、「大統領に適用される連邦開示規則その他規則を完全に満たさない資産があれば、その資産は処分される」と説明した。
最近の大統領の個人資産に対するアプローチはさまざまだ。オバマ氏は、金融資産を株価指数ファンドなどの単純な商品に替えた。ジョージ・W・ブッシュ氏は、就任前に「ブラインド・トラスト」(白紙委任信託、第三者が運用において完全な裁量権を持つ)を創設し、任期が終わるまでにはトラスト以外の資産はおおむね米国債と譲渡性預金証書(CD)になっていたようだ。
マサチューセッツ州知事時代のロムニー氏は、自身の個人弁護士が運用するブラインド・トラストに資産を置いた。ロムニー陣営は、同氏が当選した場合、さらに厳しい連邦政府のガイドラインを満たすブラインド・トラストを創設する方針を明らかにしている。
記者: Mark Maremont
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