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http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20121102/ecn1211020710005-n1.htm
2012.11.02 連載:「お金」は知っている 夕刊フジ
中国共産党は6日から5年に1度の全国大会を開き、胡錦濤総書記・国家主席が「世界第2位の国内総生産(GDP)」を誇示しつつ、習近平氏に党トップの座を引き継ぐ見通しだ。だが、待てよ、中国は本当に日本をしのぐ経済超大国なのだろうか。中国のGDP統計は疑問だらけなのだが、どういうからくりで日本が抜かれたのか検証はできる。
さっそくグラフを見よう。日中の物価の変動分を差し引いた実質GDPのドル換算値で、基準年を2000年としている。これに物価上昇率を上乗せした名目GDPのドル換算値が2010年に中国が日本を上回り、国際的に中国が世界第2位の経済大国だと認知された。ところが、この実質値では00年の価格水準でみて、11年でも中国を約1・5兆ドルも上回っているではないか。つまり、日本は実質ベースでは依然、世界第2位なのである。
12年に中国が実質GDPで日本を抜くためには、少なくても43%の実質経済成長率を遂げなければならないが、これまでの中国の大本営式の発表でも今年は実質成長率が7%台にとどまるのだから、対日逆転はありえない。仮に日本が実質ゼロ成長で今後も停滞し、中国が同7%成長を続けるとしても、中国が名実ともに日本を抜くには6年かかる計算になる。
中国は輸出と投資主導で実質成長率を押し上げしてきたが、輸出は大きく減速し、投資を担ってきた地方政府も不動産バブル崩壊に伴う巨額不良債務により身動きがとれないのだから、中国が実質でも日本を抜くメドはたたない。
それにしても、中国のドル換算GDPは名目と実質でどうしてこうも開きが出るのだろうか。答えは中国のインフレと人民元の対ドル高である。GDP全体の物価指数である「GDPデフレーター」は11年までの10年間で58%上昇し、人民元の対ドル相場は28%強、切り上がった。これだけで中国の名目GDPは86%も膨らむことになる。逆に日本の場合、GDPデフレーターはこの間で13%も下がった。その分、日本の名目GDPが縮小する。2000年当時の名目GDPは中国の4倍もあったのに、10年後に追い抜かれてしまった。
もちろん、中国の高度成長は中国の公式統計上は続き、実質GDPのサイズも2・7倍と大きくなったが、名目値の5倍増にははるか及ばない。中国はインフレによる水太りでデフレによる激ヤセの日本を抜いたものの、この水分を抜いてしまえば、痩せた日本よりもまだ小さいのである。
だが、この名目GDP数値は世界銀行、国際通貨基金(IMF)、国連など国際機関で採用され、世界各国の政府もメディアもそのまま受け入れている。いかに水増しでも中国は「米国に次ぐ経済大国」として国際的に扱われるのが現実だ。日本としては、実質規模では中国をしのぐとの自負を持ち、同時に20年デフレから早急に脱出して名目で2位の座への復帰を果たし、世界にアピールするしかない。(産経新聞特別記者・田村秀男)
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