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広木 隆「ストラテジーレポート」
2012年10月31日
もう円は買わなくていい
買わなくていいですから
「マネックス全国投資セミナー」では日本各地を訪れ、相場の見通しなどを話しているが、当社には為替の専門家がいないため、為替相場については外部から講師をお招きしている。最近ではJPモルガン・チェース銀行の債券為替調査部長・佐々木融さんにご登壇願うことが多い。テレビ東京ニュース・モーニングサテライトなどでもレギュラー・コメンテーターとして活躍されている著名通貨ストラテジストのひとりである。佐々木さんがお書きになられた『弱い日本の強い円』(日経プレミアシリーズ)は11万部を超える大ベストセラーだ。セミナーでは会場のお客様からの質問に答えるコーナーがあって、決まって出る質問が「投資に役立つおすすめの書籍を教えてください」というもの。筆者は自著『ストラテジストにさよならを』の売り上げを1冊でも伸ばそうと、必ず自著の宣伝をする。佐々木さんもご自身の著作を挙げられるのだが、「印税は全部勤務先にいってしまい、ぼくの懐には1円も入ってこない契約になっているんです。だから本は買わなくていいですから図書館で借りて読んでください」と、実に憎たらしいことをおっしゃるのである。
やはりモーニングサテライトなどのテレビ番組で為替解説に引っ張りだこのシティバンク銀行・尾河眞樹さんも『本当にわかる為替相場』(日本実業出版社)という著書を出版された。ハイパーインフレ超円安論の藤巻健史氏と「1ドル50円時代」を唱える超円高派・浜矩子氏という、ある意味「恐い巨匠」二人からのダブル推薦を帯につけた同書が売れないはずがない。発売と同時にビジネス書の売れ筋ランキング上位に並び、早くも重刷に次ぐ重刷である。尾河さんから出版記念パーティーを開くから来ないか、とお誘いをいただいので、「はい、喜んで。早速、貴書を買い求めて拝読いたします!」とメールを送ると、「広木さん、パーティーにお越しいただく方に本をお配りするので、買わなくていいですから。」とのお返事。無料(ただ)で下さるとは、なんと太っ腹な!しかし、また「買わなくていい」だ。筆者も一度くらい「ぼくの本なんか買わなくていいですから」と言ってみたいけれど、そういう日は当分来ないこともまた自分で分かっているところが情けない。
為替は売れっ子
ここ何回かのレポート等で日本株式市場が投資家の離散を招いている窮状を嘆いているが、まさに本の売れ行きにも表れている。株の本は売れない。それに比べてFXや為替の本はベストセラー連発。著者の人気&力量が、彼我の差の要因で大きな部分を占めることは疑いようのないことだが、それにしても、といった感がある。為替については世間の関心が間違いなく高い。当社チーフ・エコノミストの村上が為替について取り上げたレポートはびっくりするほど多くのPV(ページビュー・閲覧数)を集めるのだ。
それを見て、それならば、と筆者は思った。「よし、おれも為替についてのレポートを書こう」と。そして多くのPVを集めて、世間に存在感を知らしめようと。レポートを書くと云ったものの、円高、円安、さてどっちにしよう。鉛筆を転がすか、コインの裏表で決めてもいいけど、まずは為替の市場関係者がなんと云ってるか、彼らの意見を伺ってみよう。なにしろ、『「みんなの意見」は案外正しい』(10月24日付けレポート)のだから。
なになに、みんな円安・ドル高か。じゃあ、筆者のスタンスもそれで決まり。レポートのタイトルは、世間の注目を集めるため「円高の終焉」、これにしよう。え?何ですか?みんな円高と云ってるって?あれ、ほんとだ。日本の市場関係者は円高論者が多いではないか。これは不思議だ。
と云うのは、一時お笑いコンビ・タカ&トシの「欧米かっ?!」というギャグが流行ったときには、しょっちゅう「欧米かっ?!」と突っ込みを入れられていたほどの「欧米かぶれ」である筆者は、欧米のFXストラテジストたちの意見しか見ていなかったからだ。欧米の為替専門家はみんなドル高予想となっている。例えばブルームバーグは、<為替相場の予想精度が世界で最も高いストラテジストは、米連邦準備制度理事会(FRB)がドルの価値を押し下げているにもかかわらず、資金供給を受けてドル安が進んだ過去の量的緩和と異なり、今回はドルが上昇するとみている>と報じている。ブルームバーグが集計した過去6四半期で最も誤差率が低かった金融機関10社のうち9社は、2013年はドル高を予想しているのだという(10月9日「緩和第3弾でもドル上昇へ―為替相場予想で上位の金融機関が分析」)。
(ブルームバーグの調べでは)最も予想が当たる世界の為替ストラテジストがそろってドル高を見通しているにもかかわらず、日本人の為替専門家は、どういうわけだか円高予想が多い。この食い違いはいったいどこから生じるのだろう。やはり、基本に立ち返って、為替レートの変動要因をひとつずつ点検していくしか分析の方法はない。
為替レートの変動要因
筆者は昨年「リスク回避の円高 為替レート決定のメカニズム」というレポートを書いて、4回((1)、(2)、(3)、(4))にわって為替の変動要因について解説した。おかげさまで大変好評を博し、ある学校の先生から「社会科の授業で教材として使っています」と嬉しいフィードバックもいただいた。そこで為替の変動要因として挙げたのは以下の点である。
@ 長期的要因: 購買力平価
A 長期・中期の中間要因: 政策(外交政策、金融政策)
B 中期的要因: 国際収支などの資金フロー
C 中期・短期の中間要因: 金利差
D 短期的要因: ニュース、テクニカル、投機的な動き、など
もちろん、ここで挙げた要因は形式的に分類したに過ぎず、例えば金利差は金融政策によって決まるものだから、そのふたつを別々の要因と捉えるのは間違っているという指摘もあるだろう。為替に限らず相場の変動要因はすべて複合的に絡みあっているわけだから、それを分類するというのも限界があるが、ここは説明のためと思ってご容赦いただきたい。このなかで特に重要なのは、金利差、資金フロー、購買力平価の3つである(政策の要因は一旦、脇に置く)。
特に短期的には金利差でドル円相場をうまく説明できる。それに対して輸出入など貿易による為替取引は実際の為替レートにどのくらいのインパクトを与えているのか見えにくい。尾河眞樹さんからご恵贈いただいた『本当にわかる為替相場』によれば、世界の1日の為替取引量は4兆ドルにも上るが、そのうち貿易取引によるものは13%でしかないという。国際間の資金フローを生じさせるものは貿易取引に加えて、証券投資に関連したフローや直接投資に関する資金の流れがある。JPモルガンの佐々木さんの分析では、貿易と投資に関連したフローを合算しても、ドル円に関しては為替取引総額の10%程度にしかならないそうだ。それでは、そうした資金フローは重要ではないのか?そんなことはない、と佐々木さんは云う。
実需が1割ということは、残りの9割は銀行のトレーダーやディーラー、投機筋など短期のプレーヤーによる取引である。そうした取引には売りも買いも両方向あり、しかもそのうちの大半がその日のうちに手仕舞いされるような超短期のディーリングである。つまり、こうした超短期のディーリングは取引量としては巨額であっても、相場の方向性に与える影響としてはほとんどニュートラルなのだ。だから、中長期的な為替の方向性を見るうえでは、貿易収支や証券投資、直接投資のような「片道切符」の資金フローが大事、と佐々木さんは云うのである。
[ 折りたたむ ]
そして3つ目は購買力平価、言い換えれば2国間のインフレの格差である。(こちらのレポートでは購買力平価の考え方をわかりやすく説明しているので是非ご参照下さい。社会科の授業で使われたレポートです。)購買力平価は長期では成り立つというのはコンセンサスであると云っていいだろう。
日米金利差
では、それらの為替レートを動かす要因について、ひとつずつ見ていこう。初めに、日米の金利差。これは説明を端折って、チーフ・エコノミスト村上のレポートを読んでもらうのが手っ取り早い(10月23日付「80円台に達したドル円〜円安の本当の理由〜」)。村上はこう述べている。「先週末からの円安でドル円が80円台に戻っているのは、世界経済の安定を背景に先行して拡大した米日長期金利差に追いつく格好で、ドル高が進んだ面が大きい。仮に日銀の金融緩和期待が浮上していなくても、夏場から秋口にかけての株高・金利上昇が示唆する経済・市場の安定を背景に、80円程度の円安ドル高は十分説明可能ということである。」
為替の市場関係者が見ている日米の金利差は本来2年債の利回りである。2年債の利回りは金融政策を最もよく反映するからだ。ところが既に日米ともに2年債利回りはゼロ近傍に低下し、これに基づく金利差はほとんど役に立たなくなっている。実は、この短期金利の格差が、もうこれ以上低下し得ないところまで下がり切ったこと自体がドル円での円高の終焉を示すものなのである。もうこれ以上低下しないところまで下がったというものの、その低位水準のなかで米国の2年債利回りは30bpsを超えるところまで上昇している。それは7月初旬以来のことである。ちょうど6月のISM製造業景況感指数が好況不況の境目とされる50を約3年ぶりに下回るなど景況感が悪化し始めた時期だ。そこから3カ月連続でISM製造業景況感指数は50を下回ったが、今月初めに発表された9月の統計でようやく50以上に回復した。そこから米国の金利もじわりと上昇し始めた。日本の金利に、そのような景況感の回復を反映した上昇など期待できるだろうか。上がるとすれば米国金利の方であり、金利差という観点からはドル高円安である。
資金フロー
次は資金フロー。これも度々説明しているが、すでに日本は貿易立国ではない。輸出で外貨を稼いでいた面影などとうにない。財務省が先日発表した9月の貿易統計によると、貿易収支は5586億円の赤字で、3カ月連続の貿易赤字となった。日中関係悪化が響き、中国向け輸出が大きく減少した。今年度上半期(4―9月)の貿易収支は3兆2190億円の赤字となり、比較可能な1979年以降、半期ベースでは過去最大の赤字額である。貿易収支は今後も悪化するだろう。日中関係悪化で輸出が伸び悩む一方、原発が止まったままでは火力発電のためのLNG輸入が高水準のまま続くことになる。
そして投資の面ではソフトバンクによる米国スプリントの買収が記憶に新しい。機を見るに敏な孫正義社長のこと、この円高が千載一遇の機会と捉えたとしても不思議はない。そして、日銀への圧力の高まりから、今後は円安への転換を読んで、今が円高を活かせる最後のチャンスと思ったのかもしれない。ソフトバンクの例はあまりに巨額の買収だったために世間の耳目を集めたが日本企業による海外企業の合併・買収(M&A)というのは勢いを増している。M&A助言会社レコフの調べによると、日本企業による海外企業のM&Aが、今年1-9月に前年同期比7.4%増の364件にのぼったことという。1-9月としては22年ぶりの過去最多更新である。このままいけば通年でも過去最多を更新するだろう。貿易収支、投資などの資金フローの面でも円安ドル高が示唆されている。
インフレ期待
最後に購買力平価の観点から。昨日、日銀は9月に続き2カ月連続となる金融緩和策を決定した。詳細については他の解説に譲りたい。筆者が指摘したいのは、今後の方向性についてである。日銀の白川方明総裁は金融政策決定会合後の記者会見で、消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率の見通しについて「2014年度には1%に着実に近づいていく」との認識を示した。日銀が目指す中長期的な物価安定のめどについては「当面1%」として、金融緩和は「1%が見通せるまで14年度以降も続ける」との方針を示した。もちろん、そう生半可なことでは達成は難しい。だからこそ、達成できるまで、ずっとありとあらゆることを、やり続けることになる。本当に日銀が、そんなことをするだろうか?すると思う。なぜなら、「しない」という選択肢はもはや持ち得ないからだ。日銀自身がコミットした目標である。それに近づかないなら、近づくまで「やる」というより「やらされる」のだ。政治からの圧力は確実に強まっている。
デフレ脱却への取り組みで、前原担当相、白川方明日銀総裁、城島光力財務相は3人の連名による共同文書を発出した。前原担当相は、正式な文書の形をとることで「政府・日銀のより一体的な取り組みがこれによって担保される」と述べ、政府・日銀間の政策協定(アコード)に近いとの認識を示している。民主党政権にあって、こういう状態である。「近いうち」に衆院解散があるだろう。都知事選とのW選挙との声も聞こえてくる。自民党が政権につけば、この圧力はさらに高まるだろう。
筆者が指摘したいのは、今後の方向性についてだと述べた。「インフレになる」というのは気が早過ぎるが、方向性としては、どちらに向かっていこうとしているのか?と問いたい。方向としては、インフレの方向に向かっていることは間違いない。それが10兆円増額ではなく、11兆円とわずか1兆円であっても向きは「インフレ方向・脱デフレ」である。市場は早晩、気づくだろう。もう、これは「日銀の意志」を超えていると。日銀の意志で追加緩和は止めることができないということに。日銀は、迫力や意思表示や市場とのコミュニケーションははるかにFRBに劣るものの、FRBの後追いで、事実上、無期限緩和に足を踏み入れているということを、早晩、市場は気づくだろう。
まとめ
金利差: 米国金利の上昇で円安ドル高示唆
資金フロー: 貿易収支悪化、日本企業によるM&A増加で円安ドル高示唆
購買力平価: デフレ脱却の方向へ向かい円安ドル高示唆
為替レートを決定する要因の短期・中期・長期の主要因すべてが円安ドル高を示唆している。相場だから、ファンダメンタルズ以外で動くことも当然多いが、基調はファンダメンタルズで決まる。筆者はこの先円安ドル高と見る。
昨年書いた「リスク回避の円高 為替レート決定のメカニズム」PART4の最終回のまとめで、こう述べた。<円は「安全だから」買われているわけではない。円が高くなるのは内外価格差を為替レートが調整する購買力平価の理論に沿ったものであり、それは単に日本のデフレの帰結でしかない。>
そして「金輸出が最高水準、価格高騰で換金売り増加」という見出しの記事を紹介し、こう述べた。<世界が先を争って金を買い求めに走るなか、日本では行列を作って金を「円」に替えている。デフレのもとでは日銀が発行する紙切れが、黄金色に輝いて見えるらしい。これまでいろいろな円高の背景を説明してきた。しかし、理由や背景が何であれ、価格が - モノの価格にせよ、資産価格にせよ、そして通貨の交換レートにせよ - 上昇するのは、それに対する需要が多いからに他ならない。それに対抗する唯一の手段は - 極めて単純明快な結論だが - 供給を増やすことである。>
我々はあまりにも長く「円高の呪縛」に囚われてきたために、どこか感覚が麻痺しているところはないだろうか。実はドル円が戦後最高値を更新したのは、今日からちょうど1年前、2011年10月31日のことだ。ドル円は75円35銭の戦後最高値をつけた。ということは、この1年、ドル円は円高が進んでいないということである。ドル円のチャートをご覧いただきたい。バレンタインデー緩和で吹き上がって行って来いになったところを除けば、ざっくり云って「横ばい」、それもじわりとドルの安値切り上げ、円の高値切り下げの推移である。実はもう1年前に円相場はピークアウトして円高は終焉していたと云ったら言い過ぎだろうか。これもまた「水準」と「方向」の議論だ。水準としては円高が続いているが、「方向」や「変化」という動的な視点では円高は終わっていたと云えるだろう。
ちなみに75円35銭は史上最高値ではなく、あくまで戦後最高値である。ドル円の始まりは1ドル360円ではなく1ドル1円である。1871年(明治4年)5月の「新貨条例」で円が初めて誕生したときのレート、1ドル1円が円の史上最高値である。そこから見れば、はるかに安いと云えるかもしれない。だけど、これからもっと安くなる。だから、もう円は「買わなくていい」。
http://www.monex.co.jp/Etc/00000000/guest/G903/strategy/index.htm
田嶋智太郎の外国為替攻略法
2012年10月31日
米国経済の回復期待が演出する!?今後のドル高
昨日(10月30日)開かれた金融政策決定会合において日銀が決定した追加緩和策の内容に対し、とりあえず市場は「失望」の反応を示すこととなりました。結果、9月下旬から上昇傾向を続けていたドル/円も値を下げ、一時的にも79.28円の安値を垣間見るに至りました。
とはいえ、いまだ重要な節目の一つである79.22円を下回るには至っておらず、目下のところは200日移動平均線も下値サポート役として機能している模様。日銀に対する過度な「期待」は「失望」に転じましたが、今後も緩和姿勢が継続されることに対する期待はつながれています。
他方、ここにきて俄かに米国経済の回復に対する期待がジワリと高まってきていることもまた事実です。ことに米住宅市場の縮小傾向に歯止めがかかり、徐々に活力を取り戻しつつあることは大いに注目されます。その実、昨日(30日)発表されたS&P/ケース・シラー住宅価格指数(8月)も主要20都市で前年同月比2.03%上昇と、2010年7月以来の大幅な伸びを示しました。ちなみに、9月の米住宅着工件数は前月比+15%と、2008年7月以来の高い水準を示しています。
実のところ、米国の株式市場では将来的な住宅市場の回復を見越して、今年の年初から住宅関連株の上昇傾向が続いています。下の図を見てもわかる通り、D.R.ホートンやレナーなど住宅建設大手、ならびにホーム・デポなどホームセンターの株価は軒並み上昇傾向を続けているのです。
http://lounge.monex.co.jp/pro/gaikokukawase/20121031_kawase_mini.jpg
周知の通り、米連邦準備制度理事会(FRB)は9月の連邦公開市場委員会(FOMC)において量的緩和策第3弾(QE3)の実施を決定し、FOMC後の記者会見ではバーナンキFRB議長が「住宅市場のテコ入れを狙う」と明言しました。
言うまでもなく、住宅は経済成長の重要なエンジンの一つであり、住宅や株式などの資産価格が上昇すれば、消費者の購買意欲が高揚して消費は拡大、最終的には雇用情勢も改善するというのがバーナンキ議長率いるFRBの基本戦略なのです。実際、バーナンキFRB議長は毎月400億ドルにものぼる住宅ローン担保証券(MBS)の購入を「労働市場が大きく改善するまで継続する」と言っています。
そして、多くの市場関係者は労働市場が大きく改善したと判断されるのは米国の失業率が7.0%を下回り、その状態が持続可能と判断されたときであると見做しています。ちなみに、9月の米失業率は7.8%でした。今週末の11月2日には10月の米失業率が発表される予定となっていますので、ますはその結果に注目しましょう。
加えて、今後大いに気になるのは今年の米クリスマス商戦です。全米小売業協会(NRF)の予想では前年比+4.1%とされており、過去10年間の平均である+3.5%を大きく上回る堅調な結果となることが見通されています。
米大統領選を間近に控え、いまだ「財政の崖」の行方は不透明ですが、米大統領選後にこの問題が回避される見通しとなれば、足下で盛り上がりつつある米国経済の回復期待が一気に強まることでしょう。その場合、ドル/円は「円安」というよりも「ドル高」によって上昇傾向を強める可能性が十分にあるものと思われます。
前の記事:「三役好転」でドル/円は強い上げ潮に乗るか? −2012年10月24日
http://lounge.monex.co.jp/pro/gaikokukawase/2012/10/31.html
JBpress>海外>Financial Times [Financial Times]
米大統領選、ロムニー勝利なら経済は一歩後退
2012年11月01日(Thu) Financial Times
(2012年10月31日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
期待外れの経済状況は、ミット・ロムニー氏に有利なはずだが・・・〔AFPBB News〕
米国人のほぼ全員が同意することが1つあるとすれば、それは米国経済のパフォーマンスが失望を誘うものだということだ。成長率はあまりに低く、失業率はあまりに高い。
有権者の大部分はこの失望の責任を現職の大統領に求めがちだ。そのような状況下でバラク・オバマ大統領にまだ勝利の可能性があるというのは不思議なことだ。
また、このような展開になったことは意外ではない。筆者は2009年2月初めのコラムの書き出しで、「バラク・オバマ政権は既に失敗しているのではないか?」と問いかけた。「現状では、やり過ぎることよりもやらな過ぎることの方がはるかにリスクが大きい」というのがその趣旨だった。大統領は確かに行動したが、果断さが足りなかった。
これはもう過去の話だ。ここからは未来について考えよう。筆者は本論で、需要、供給、不平等、財政のソルベンシー(支払い能力)という経済の4つの課題が特に重要であることを論じたい。
民間需要の弱さは循環的ではなく構造的
経済学者やエコノミストは現在、民間需要が弱いことについては見解が一致しているものの、その原因を巡っては2つの陣営に分かれている。筆者は、この弱さが循環的なものではなく構造的なものになりそうだと考えており、その点でどちらの陣営とも意見を異にしている。
この点は、経済の部門別資金過不足(各部門の収入と支出の差額、ここでは国内総生産=GDP=に対する比率で表示)を見ることで論じられる。米国は、海外部門に対して長らく赤字を続けている。金融危機以降はその幅が小さくなっているが、それほど大きな縮小ではない。
米国が海外部門に対して赤字、すなわち海外部門が米国に対して黒字を出しているならば、国内の経済主体(家計・企業・政府)はそれに見合う赤字を出さなければならない。米国では金融危機以降、家計部門も企業部門も黒字を出しているため、政府部門が赤字を出すようになっている。
では、景気後退を引き起こすことなく、この状況を変えることは可能だろうか? それは容易なことではない。
例えば、海外部門がGDP比3%の黒字を維持しながら、政府部門の赤字(財政赤字)がGDP比で3%に縮小すると仮定しよう。この場合、米国の民間部門(家計部門と企業部門の合計)の収支は均衡しなければならないが、2012年第2四半期の実績はGDP比で5%の黒字(収入が支出を上回っている状態)だ。
需要の水準を維持しながら民間部門の収支を均衡させるには、家計部門が支出を増やすか、企業部門が投資を大幅に増やすかする必要がある。
前者がそれを行うためには信用(借金)を大幅に増やさねばならず、後者がそれを行うためにはGDP比の投資額を1990年代の株式バブル期のそれを上回るレベルにまで高めなければならない。つまり、前者は好ましくなく、後者は実現しそうにないということだ。
2番目の課題は供給である。長期的には、経済成長は生産性の伸びに左右される。米国は現在、世界で最も生産性の高い経済大国だ。これは新しい技術の開発と応用を得意としてきたからだ。
これについては、2つの点を論じておく必要があるだろう。第1に、筆者が10月2日のコラムで指摘したように、米国の生産性向上のペースは鈍化しつつあるようだが、ほかの高所得国の基準に照らせばまだ良好だ。
第2に、イノベーション(技術革新)とサイエンス(科学)の結びつきがこれほど緊密な世界においては、科学に対する政府の支援によって左右される部分が非常に大きくなる。米国政府は技術革新を促進する役目を果たしてきた。インターネットはその一例にすぎない。
米国の所得格差が物語るもの
格差に抗議する「ウォール街占拠」デモは記憶に新しい〔AFPBB News〕
第3の課題は格差だ。この分野では非常に大きな変化が生じている。どうやら、景気後退終了後に米国で生じた所得の増加分の90%は、所得分布で最上位1%に属する人たちが手にしているようだ。
米議会予算局(CBO)によれば、「(インフレ調整後の)実質ベースで見た世帯所得の平均値(政府からの所得移転および連邦税の課税を考慮した後で計測した値)は1979年から2007年の間に62%増加した。同じ期間に、課税後の世帯所得(実質ベース)の中央値は35%増加した」という。
この数字の乖離からは2つのことが読み取れる。第1に、GDPの変化は国民の各階層における経済状態の変化を計測できていない。GDPは所得分布の上位の変化しか測っていないのだ。
所得分布で上位20%に属する人たちが市場所得*1の60%を手に入れていること、そして最上位1%の所得の合計が下位40%の人たちの所得の合計をはるかに上回っていることからも、この点は明白だ。
*1=給与所得や事業所得、キャピタルゲイン、年金収入など
第2に、子供が手に入れられる機会がその親の資源によって決まる限り、その結果は累積的なハンディキャップになるだろう。人的資本の重要性が高まれば高まるほど、このハンディキャップは大きく効いてくるに違いない。
米国が直面しているのは失業危機と公的債務の問題
最後の問題は、財政の支払い能力だ。ノーベル賞受賞者でマサチューセッツ工科大学(MIT)の経済学者のピーター・ダイアモンド氏は、米国は失業危機と公的債務の問題を抱えていると主張している。筆者も同感だ。
財政赤字の削減は、多くの人が考えているような喫緊の課題ではない。それには2つ理由がある。
まず、前述した通り、下手をすれば需要を崩壊させ、場合によっては、その後、経済活動のレベルが低下した状態で以前と同程度の財政赤字を抱え込んでしまうリスクを冒さずに赤字を削減することは不可能だ。流動性の罠に陥るということは、そういうことだ。
第2に、力強い景気回復がない限り、米国債の金利が大幅に上昇するリスクはゼロに近い。だが、景気が力強く回復すれば、歳入が増える一方、歳出が減るため、財政赤字の大部分は解消される。支払い能力に絡む大きな争点は医療費で、ここでの問題はコストインフレだ。
では、どちらの大統領候補の方がこうした問題を賢明に理解しているように見えるだろうか? 筆者の考えでは、オバマ大統領のビジョンは不十分だ。だが、ミット・ロムニー氏はいわば温め直したジョージ・ブッシュ前大統領だ。
ロムニー氏の政策では構造的財政赤字が膨らむばかり
オバマ大統領は、20世紀半ばに大半の船を浮かばせたダイナミズムを蘇らせるかもしれない大改革を提案していない。恐らく、それは難しすぎるのだろう。
だが、タックス・ポリシー・センターが述べたように、ロムニー氏の提案(所得税の限界税率の引き下げを詳細不明の租税支出の削減で相殺するという内容)を見て、「高所得世帯に大幅な減税を与え、中・低所得の納税者の税負担を増やすものになる」と結論付けないわけにはいかない。格差が急拡大している経済では、これは根本的な問題を悪化させることになる。
ロムニー氏が国防費の大幅増額を公約に掲げていることを考えると、構造的な財政赤字が大幅に拡大する結果になるのは間違いない。共和党は理論上は財政赤字を敵視しているが、実際にはそれほどでもない。財政に関する共和党の本当の信条は減税だ。
この状況の良い面は、米国は当面、こうした赤字を出す必要があるということだ。悪い面は、このような政策は、確かな成長ではなく一時的な景気拡大をもたらす可能性が高いということだ。
過去が繰り返されたら、何が起きるのか?
共和党は、パフォーマンスのカギは、規制を減らし、税率を引き下げることだと考えている。だが、税率が35%から28%になったところで、経済全体のパフォーマンスに顕著な影響は与えないだろう。確かに税金は重要だが、税制がそれ単独で経済動向を左右するという見方は明らかに間違っている。
争点は経済情勢にとどまらない。社会政策、外交政策を巡る見解の相違は明らかに大きい。だが、経済的な選択肢も重要だ。米国人に与えられている選択肢は、控えめな野心を抱く人物か、危機以前の時代の財政・金融政策を倍加する決意を固めた人物のどちらかだ。
ロムニー氏はブルボン家のように、何も学ばず、何も忘れなかった。このようなことが繰り返されたら、一体どんな結果になるだろうか? 世界は間もなく、それを知ることになるのかもしれない。
By Martin Wolf
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/36448
「1つのアメリカ」を捨て勝ちに行くオバマ
久保文明・東大教授に米大統領選の展望を聞く
2012年11月1日(木) 小平 和良
11月6日の投票日がいよいよ迫ってきた米大統領選挙。現職のバラク・オバマ候補(民主党)とミット・ロムニー候補(共和党)の争いは、最終盤まで予断を許さない大接戦が続いている。専門家は今回の大統領選をどのように見ているのか。東京大学法学部の久保文明教授に、両候補のここまでの戦いぶりと今後の展望を聞いた。(聞き手は小平 和良)
今回の大統領選はどちらの候補が当選してもおかしくない接戦になっています。前回(2008年)との違いはどのような点にあるのでしょうか。
久保:何といってもオバマ候補の変化でしょうか。前回のオバマ氏は新人であり、挑戦者であり、何より初の黒人大統領を目指す立場でした。当選すれば、アメリカの歴史を塗り替える立場だったのです。
さらに、民主党にとっては十分に勝ち目のある選挙でした。共和党は最悪の状態で大統領選挙を迎えました。
現職が再選にもがく普通の選挙
オバマ氏は自身の経歴を含め、特別なストーリーを持っていました。つまり、「アメリカは1つになった時、偉大なことを達成できる。しかし、今のアメリカはリベラルと保守、または白人と黒人という形に分断している。白人と黒人の双方をルーツに持つ私であれば、アメリカを1つにまとめ、経済的困難も克服できるのだ」というストーリーですね。
久保 文明(くぼ・ふみあき)
東京大学法学部教授。1989年12月法学博士(東京大学)。アメリカ学会副会長、日米文化教育交流会議(カルコン)委員。著書に『G.W.ブッシュ政権とアメリカの保守勢力―共和党の分析』(編著、日本国際問題研究所、2003)、『オバマ・アメリカ・世界』(共著、NTT出版、2012)など(写真:陶山 勉)
オバマ氏の語る力がすばらしかったのですが、当時の政治環境として、このストーリーを聞き入れる余地がたくさんあったとも言えます。
2008年のアメリカ人、特に民主党系の人は、アメリカがもっと良い国だと思いたかった。イラク戦争などで世界から批判されてきたので、もっと良いアメリカを発信したいというわけです。そして、オバマ氏を大統領にすることは、改めてアメリカはすごいということを発信できる。と同時に、アメリカ人自身にとっても、良い国だと思い直すことができる。2008年はそういう大統領選だったのです。
今回の大統領選では、そのような側面はかなり消えてしまっています。
まず、4年間のオバマ氏の経済的実績が少なくとも国民が期待したほどではありませんでした。もちろん、これをどう見るかは難しいところです。民主党からすれば、共和党時代に作られた経済的困難があまりに巨大なため、ベストを尽くしたけれども当時の状況に戻っていない、となります。一方、共和党からすれば、オバマ氏は4年間、間違ったことをやり続け、景気刺激策も無駄だった、ということです。
確かに、オバマ氏が再選を目指すに当たって、7.8%という失業率は決して良い数字ではありません。この状況で、偉大な米国を語っても誰も聞いてくれません。まずオバマ氏は、これまでの言い訳をしないといけない。他方、実績だけでは弱いので、将来のビジョンを語る戦いで逃げ切ろうとしているのです。現職が再選のためにもがく、普通の選挙と言えると思います。
やはり、2008年が特別な大統領選だったということですね。
久保:特別だったと思います。2008年は単に政権交代がかかった選挙というだけでなく、アメリカ史の中で特筆される可能性がある選挙です。
今回は、現職候補がとりあえず実績に基づき戦い、その実績が十分でない場合はビジョンで戦う。他方、挑戦者のロムニー氏は現職の実績が十分でないことを攻撃しています。
オバマ氏を「何が何でも再選」に駆り立てたもの
両候補とも相手候補への攻撃が激しくなっています。
久保:オバマ氏は大統領を務めていた4年の間に、ネガティブなCMを打ってでも絶対勝ちたいと思うに至った経験をしてきたのだと思います。
オバマ氏は大統領就任当初、こちらが譲歩をすれば共和党も譲歩するのではないかと考えていました。これは外交でも同様で、当初は中国やイランに対して譲歩的でした。
そして、2010年の中間選挙で負けた後に、ブッシュ減税(2000年代前半に当時のジョージ・ブッシュ大統領が実施した大型減税)、特に高額所得者の減税の延長を受け入れるという大変な譲歩をしました。それにより、民主党内からは魂を失ったと批判されました。しかし、共和党は譲歩してくれませんでした。
もう1つのクライマックスが2011年8月2日。連邦債務の上限引き上げ問題です。引き上げに関する法案が成立しなければ、デフォルト(債務不履行)となる状況の中で、財政赤字削減策を巡り交渉を重ねましたが、共和党保守派が譲歩せず、逆にオバマ氏が譲歩を強いられました。
これらの経験によりオバマ氏は、保守派の市民運動である「ティーパーティー」系の人々は譲歩をしないと理解した。何が何でもというと大げさかもしれないが、それに近い形で再選したいと思ったのは、2011年8月2日の交渉を経験した後のことだと考えられます。
そして現在では、ネガティブなCMを相当流しています。政治活動団体で「スーパーPAC」というものがあります。スーパーPACには、献金の限度額がなく、様々なCMを流すことができます。オバマ氏は、連邦最高裁が献金限度額を設けてはならないという判断をした際、批判的な態度でした。しかし、現在はオバマ氏もこのスーパーPACを使っています。
オバマ氏は自身が2008年に語っていたストーリーを当初こそ演じていたものの、それが不可能であることが分かったのだと思います。これには、共和党内でティーパーティーのグループが台頭したという不運な面もあるのですが。
2008年は歴史的な選挙である一方、得票率で見るとオバマ氏がそれほど大勝しているわけではないことから、早くから今回の選挙が接戦になると予想されていました。
久保:それは思っていたとおりです。先ほど申し上げたように、2008年は共和党にとって、ありとあらゆる悪い条件が揃った選挙でした。
イラク戦争、アフガニスタンでの戦闘、サブプライムローン問題による景気の停滞とその後のリーマンショック、ハリケーン「カトリーナ」への対応などです。共和党議員のスキャンダルも出て、ブッシュ政権の支持率は20%まで落ちていました。ジョン・マケイン候補の選挙戦略も良いものではなく、さらに副大統領候補にサラ・ペイリン氏を選んでしまいました。そして、そもそも同じ党で3期目を目指すのは非常に不利です。
そうした中で、共和党は約46%の得票を得ました。オバマ氏としては、55〜58%は取りたかったところですが、約53%しか取れなかったのです。
そして4年後の2012年、共和党は候補者が誰であっても、オバマ氏の失政を攻撃するだけで48%ぐらいの得票率を取れます。それを49%、50%にできるかというところです。ロムニー氏は49%は取れるのではないでしょうか。もちろん米大統領選の場合、50%を取ったからといって、勝つわけではありませんが。
「首切り名人」のイメージがついたロムニー氏
しかし、ロムニー氏も弱い部分が多い候補だと思います。これまでの戦いぶりをどう見ていますか。
久保:まず共和党の中での指名争いに触れる必要があるでしょう。
ロムニー氏としては、もっとすっきり勝ちたかったのだと思います。ある時は指名争いで1位になり、ある時は2位なるという戦いぶりでしたから。でもほかの候補がすぐに消えていった。その中で、一貫して1位もしくは2位を維持という強さはあると思います。それは資金力のほか、知名度や全国レベルのネットワークなど、2008年の予備選に立候補した成果もあると思います。
他方、これは予備選の戦いが激しかった後遺症でもありますが、共和党の中でも庶民性が欠けた金持ちというイメージがあります。ベイン・キャピタルで成功したものの、それは買収ビジネスで、多くの人の首を切った「首切り名人」というわけです。
共和党の予備選を戦ったニュート・ギングリッチ氏が打ったCMは「ロムニーが来るとコミュニティーが破壊される。みんな解雇される」というものでした。これは共和党としては驚くべきCMです。ビジネスでの成功は共和党としてはヒーローのはずですから。そういう意味では、かなり傷ついた候補として残ったということです
これが今年4月から5月の段階です。ロムニー氏にとっては、そこからいかに自身のイメージを回復するかが課題でした。「ロボットみたい」「人間性がくだけてこない」「国民と心を通わせることができない」といったイメージを克服する必要がありましたが、結果としてあまりうまくいきませんでした。その一方で、支持率はオバマ氏を少し下回るぐらいで、着実についていったと見ることもできます。
8月に入ると、課題はその支持率をいかに上げるかに移りました。それにはいくつかの可能性がありました。1つは副大統領候補に良い人材を選ぶこと。しかし、それはできなかった。副大統領候補に選んだポール・ライアン氏は無難で、失敗ではありませんが、支持率を上げることできませんでした。
また、大統領選では党の全国大会も大きな役割を果たしますが、今回、共和党はロムニー氏の人柄を売り込むことができず、むしろ民主党が現職のオバマに再び光を当てることに成功しました。両党の全国大会後はオバマ氏の支持率が上がりました。
そこまではオバマ氏が有利でしたが、ロムニー氏がついに成功したのが1回目のTV討論会です。ここでロムニー氏はいきいきとして大統領らしい、精悍なイメージを出すことに成功しました。基本的には、これが現在までつながっていると思います。
2回目、3回目のテレビ討論ではオバマ氏の方が良かったのですが、ロムニー氏の勢いを止めるには至っていないというところでしょうか。オハイオ州ではオバマ氏がリードしているという報道もありますが、五分五分の戦いだと思います。
勝敗の最後のポイントは11月2日に出る失業率
勝負を決するポイントはどこにありますか。
久保:突発的なものは別として、この後は11月2日に発表される雇用統計が選挙に影響を与える可能性があります。10月に発表された失業率が7.8%で、オバマ氏就任時の水準に戻りました。これが8%台に戻るようだとオバマ氏にとってはつらいですし、7.5%といった結果になるとオバマ氏に追い風が吹くでしょう。
あとは有権者がそれぞれの主張をどのように判断するかです。ロムニー氏は、オバマ氏の経済政策は失敗だったと主張しています。失業率は5%台になると言ったのに7.8%と高く、財政赤字も半分に減らすといったが、結局、倍になっているというわけです。
一方、オバマ氏はこのような経済的困難はすべて共和党が作ったものじゃないかと主張しているわけです。オバマ氏が大統領に就任した2009年1月と比べて、株価、住宅価格、心理状態など多くの点で良くなっているとロムニー氏の主張に反論しています。
また、オバマ氏は将来について有権者に問いかけています。「ロムニーのアメリカか、オバマのアメリカか」というものです。「ロムニーのアメリカ」は富裕層であっても1セントたりとも増税しない、勝者総取りの世界。一方、「オバマのアメリカ」は富裕な人には若干の負担はお願いするが、それにより財政は均衡を保ち、ミドルクラスのために教育、訓練、開発にお金を投じ、強固なミドルクラスに立脚したアメリカを作る、というわけです。
これに関連して特に重要になってくるのが、ブッシュ減税の高額所得者分を今後も続けるのどうかです。これは急激な財政の引き締めが起こる「フィスカル・クリフ(財政の崖)」の問題もあり、大統領選後の戦略にも関わってくることです。高額所得者の減税については、3割の共和党員が続けなくてもよいと思っており、世論の6割はオバマ氏を支持しています。これは共和党の弱いところであり、民主党にとっては攻める材料です。オバマ氏にとっては、この議論を有効に展開できるかもカギになります。
それぞれの候補が大統領になった場合、どのようなことが起こるのでしょうか。
久保:まず、米国は議会の力が非常に強い。仮にオバマ氏が当選しても、下院で共和党が多数党として残るのであれば、膠着状態は続きます。下院の共和党が追加的な景気刺激策を許容することはないでしょう。
ロムニー氏が勝利し、下院でも共和党が多数を維持、上院でも勝つのであれば、共和党のやりたいことが少しできるかもしれません。勝ち方にもよりますが、例えば民主党の中道派が腰砕けになって、高額所得者分を含むブッシュ減税の延長を認めるといったことが起こる可能性はあります。さらにその勢いの中で、民主党の穏健派も加わる形で、オバマ氏が実現した医療保険改革、いわゆる「オバマケア」の一部が撤廃されるかもしれません。
外交では、オバマ氏も既に中国やイランにかなり強硬な姿勢を示しています。ロムニー氏が大統領になると、レトリックにおいてさらに強硬な外交を推進すると思います。彼の公約は就任初日に中国を為替操作国に認定するということですから。そういう意味では、ロムニー氏が公約を守るのかどうかは、1日目を見ていれば分かります。
ティーパーティー系の議員は妥協できない
大統領選を通じて見えてくる米国もしくは米国民の変化はありますか。
久保:イデオロギー的な分極化がいかに激しいかということが分かります。
オバマ氏の支持率は50%程度ですが、民主党では85%以上、共和党だと10%ぐらいになります。さらに民主党の中をリベラル、モデレート、コンサバティブに分けると、リベラルからの支持率は90%以上になります。一方、共和党保守派からの支持率は5%程度とほとんど皆無です。
こうした分極化は経済的な対立だけでなく、妊娠中絶や外交などあらゆる面で起きていて、それらが重なり合って相乗効果を生んでいます。
また、ティーパーティー運動の盛り上がりに見られるように、政府への不信感が顕著になっています。これはプロへの不信感とも言えます。例えば、経済学者や外交の専門家といった人たちに任せることができないというものです。政治についても同様で、ワシントンにずっといる人たちはダメで、ティーパーティーのグループのように素人が出て行った方が良いという考え方です。
彼らはプロの政治家はすぐ妥協すると考えています。すぐにワシントンに取り込まれ、腐敗すると。そして、ティーパーティーの政治家たちは絶対に取り込まれないという論理で当選してきた。そうするとなかなか妥協できないわけです。それが先ほども申し上げた、2011年8月2日の交渉で起きたことです。
共和党のロムニー氏が勝っても、そうした勢力にかなり振り回されることになりそうですね。
久保:それはあります。そもそもロムニー氏が中道派の大統領になるのか、保守派の大統領になるのか分かりません。希望としては、少なくとも本人は分かっていてほしいのですが、本人も不明なようです。
今回の大統領選でも終盤戦になって急に中道的なレトリックを使い始めました。オバマ氏はそれを、健忘症を意味する「アムニジア」という単語をもじって「ロムニジア」と言って攻撃しています。さらにオバマ氏は「大丈夫。オバマケアではちゃんと治療費が出るから」というジョークにして、かなりウケていますが。
ロムニー氏が当選すると直面する問題で、日本も関係しているのが軍事費です。ロムニー氏はオバマ政権が断行した防衛費の削減に反対で、2013年から始まる連邦予算の強制一律削減で規定されている国防費の大幅削減にも反対です。しかし、これを推し進めたのは民主党だけでなく、お膝元である共和党のティーパーティーのグループでもあります。これを作り直そうとしても、簡単ではないでしょう。
なおかつ、来年2月にはまた連邦債務の上限引き上げ問題がやってきます。これを共和党が無条件に受けるかというと難しい。オバマ氏の場合はもちろん大変ですが、ロムニー氏であっても相当な財政削減策を打ち出さないといけないでしょう。ロムニー氏の場合は、その時点では政権のスタッフが十分にそろっていない可能性があります。
米国で増税に2大政党が合意することはありえない
日本とは事情が違いますが、政治が決められない状況が続きそうですね。
久保:それを嘆く人たちもいて、中道連合を作っていこうという動きもあります。一方で、増税に関して言うと、共和党の議員の多くが増税に反対する「アメリカンズ フォー タックス リフォーム」という団体の誓約書にサインした上で選挙を戦っているわけです。保守系の団体などはそれを見て判断しているので、その誓約を曲げるわけにはいかず、行動の自由が縛られている状況なのです。
もちろん民主党の側にもそういう勢力がいて、外から見ていると妥協しかないという状況にあっても、二重、三重の縛りがあって動けないということがあります。
日本の場合は事情が違います。米国のようなイデオロギー的な対立がどこまであるでしょうか。あったとしても、どこまで政党の対立と重なっているかというと、かなりずれている気がします。例えば、増税に2大政党が合意するといったことは米国ではありえません。
米国の場合は対立が極めて激しく、それゆえに動かない。動くのはどちらかの勢力が上下院と大統領を取った2年だけ。オバマ大統領の最初の2年間がそうでした。それにより、医療保険改革など重要な法案を通すことができました。こうした状況は30年に一度ぐらいしかやってきません。
こうしたイデオロギーの対立は以前からあったものなのでしょうか。
例えば、フランクリン・ルーズベルト大統領のニューディール政策を巡ってこうした対立が起きたことがありますが、政党そのものの対立は1970年代後半に始まり、80年代に徐々に固まり、90年代に完全に定着しました。60年代には民主党にも南部保守派がいましたし、共和党にものニューディールを支持する人がいました。入り混じった状態だったわけです。
当時の学者はこうした状況に批判的で、もっとイデオロギー的にはっきりした政党になってほしいと願っていました。でも、今の状況を見たらびっくりして、これはやめといたほうがいいと言うかもしれませんね。
小平 和良(こだいら・かずよし)
日経ビジネス記者。大学卒業後、化学メーカー、通信社での勤務を経て2000年に日経BP社入社。日経ビジネス編集部にて自動車業界や金融業界を担当。2006年に日本経済新聞社に出向。2009年に日経BP社に戻り、現在は流通業界を担当
キーパーソンに聞く
日経ビジネスのデスクが、話題の人、旬の人にインタビューします。このコラムを開けば毎日1人、新しいキーパーソンに出会えます。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20121031/238851/?top_updt
2012年10月31日 ザイ・オンライン編集部
「個人投資家応援証券評議会」発足 議長の松本大マネックス証券社長に聞いた!
国内の証券会社や金融機関が集まる「日本証券業協会」(日証協)の中に、このたび「個人投資家応援証券評議会」が設置されることが決まった。名前からしてわれわれ個人投資家を応援してくれることはわかるが、いったい誰がどんなことをしてくれる評議会なのか!? なぜ、いま設立されたのか!? 議長を務める松本大(まつもと おおき)・マネックス証券代表取締役社長に話を聞いた。
「個人投資家応援証券評議会」について語る、マネックス証券松本大社長
個人投資家応援証券評議会は
何をしてくれるところなのか!?
−−日証協に「個人投資家応援証券評議会」ができると聞きました。日証協とはどんな協会で、個人投資家応援評議会とはどんな評議会なのか教えてください。
日証協は、公平公正な取引や投資家保護のために決め事をしたり、話し合いをしている業界組織です。協会員は主に全国の証券会社ですが、ひとくちに証券会社といっても、いろいろな業態があります。
大企業や法人が対象の業務を行っている証券会社があれば、個人投資家が対象の証券会社もあります。あるいは支店があって対面販売をしている証券会社があれば、マネックス証券のようにネット専業の証券会社もあります。
日証協では証券業界全体について話し合う「証券戦略会議」があり、その下に「証券評議会」というのがあります。さらに業態ごとに「ホールセール証券評議会」「リテール証券評議会」「インターネット証券評議会」「証券化・オルタナティブ業務等証券評議会」があり、それぞれの課題を話し合っています。
日本証券業協会は「総会」「理事会」の下に、証券戦略に係る全般的な事項を決定する「証券戦略会議」と自主規制について決定する「自主規制会議」がある。上記は「証券戦略会議」以下の会議体図。評議会のしたにある業態別のワーキング・グループに、新たに「個人投資家応援証券評議会」が設置されることが決まった。
そこにこのたび、個人投資家を主たる顧客基盤とする証券会社が集まって「個人投資家応援証券評議会」を作り、個人投資家の立場から市場のルールや活性化について提言を出していきたいということで、正式に設置が認められたんです。
――今まで、個人投資家の立場から提言をしてくれる評議会は、なかったのですか?
そういうわけではありません。「リテール証券評議会」にも「インターネット証券評議会」にも、個人の顧客を対象にした証券会社が参加しています。
ですが、例えば「個人向けもやっているけど、機関投資家や法人を顧客としている証券会社」がありますね。そういう証券会社は、「機関投資家や法人には有利だけれど、個人投資家には不利な仕組みは見直していこう」というような話し合いをしても、100%個人投資家の側に立った態度は打ち出しづらいんですよ。どちらも大切なお客様ですからね。
100%個人投資家の立場から
市場のルールを提言していく
――「機関投資家や法人向けには有利だけれど、個人投資家には不利な仕組み」とは、例えばどんなものがありますか?
たくさんありますよ。例えば「公募増資」の仕組みです。公募増資とは上場会社が新たに株を発行して市場からお金を集めることですが、全体の株数が増えるにあたって1株当たりの権利が薄まるので、株価が下がってしまいます。
近年、いきなり大規模な増資をするところが増えました。そのたびに、それまでその企業の株を保有していた投資家の資産価値が目減りしてきました。企業にとっては資金を集めるために必要な手段ですが、個人投資家にとってはいきなりそれをやられると困ってしまいます。
私たちは増資に一定のルールを設けるべきと思うのですが、一方で、企業から増資にまつわる仕事を引き受けるのも証券会社なのです。今までの証券評議会でこの問題を話し合っても、個人も企業もお客様という証券会社もいますので、なかなか「大規模増資を規制しよう」という強いメッセージは打ち出せません。
現に今年の春ごろから大規模増資をする企業が相次いで、個人投資家からは「何とかならないのか!」という声が上がっています。それなのに、既存の評議会は今日の今日まで、どこもこの問題について議論していないようなんです。それって明らかにおかしいでしょう!
ですから、100%個人投資家を応援できる証券会社だけが集まって、個人投資家の目線から、個人投資家の立場に立った話し合いをして、さまざまな提言をしていこうというわけです。
大規模増資には規制強化を
信用売りルールは規制緩和を
――なるほど。ほかにはどんなことが話し合われますか?
現在は評議会の設置が正式承認されて、参加してくれる“個人投資家を主たる顧客基盤とする”証券会社を募っている段階です。10月30日までがその期間で、11月1日付で正式な発足となります。何を議題とするかは、正式なメンバーが揃ってから決めることになっています。
さはさりながら、既に参加を表明している証券会社や個人投資家の皆さんからは「こういうことを話し合いたい」という声も届いています。例えば、個人投資家の皆さんから聞いているのは「信用取引の空売り規制が厳しすぎる」という意見です。
現在、空売りには「アップティック・ルール」という規制があって、51単元以上の信用新規売り注文は、現在値より低い価格で発注してはいけないことになっています。
その一方、現在のマーケットは処理能力が飛躍的に向上し、機関投資家がコンピュータでゼロコンマ数秒の超高速トレードを行っており、株価は目にも止まらぬ速さで動いています。
個人投資家が現在値より高い価格で信用新規売り注文を入力しても、発注ボタンを押したときには現在値より低い価格になってしまっているなんてことは、しょっちゅうあります。
個人投資家の立場に立って、制度改正に取り組んでいきたいと語る松本社長
それでも、それをやってしまうと警告の対象になり以後の取引を制限されたり、信用取引口座を停止されたりといったペナルティを受けることもあります。そのようなルールに意味があるでしょうか。
――まったくです。コンピュータが繰り出す超高速売買を見ながら、こちらは手入力ですから気を付けようにも限界がありますね。
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地場証券の対面営業員が
銘柄の話をしづらいワケは…
あるいは、これは地方の地場証券の営業員の悩みなのですが、お客様に銘柄を勧めるときに「5銘柄以上の選択肢を揃えないと推奨してはいけない」というルールがあるんです。
全国規模の大きな証券会社で、本社から「この銘柄を推奨せよ」というような指示が全国の支店に上意下達されるところならまだしも、地場証券の営業員にとって、お客様にお勧めする銘柄を毎日5銘柄探せというのはかなり高いハードルです。
そうすると営業員はだんだんお客様に銘柄の話ができなくなっているそうです。お客様のほうも営業員に銘柄のことが聞きづらくなって、日本全国津々浦々でだんだんと株に対する興味や話題が失われてしまっている。そんなのつまらないじゃないですか。
地場の証券会社なら、上場企業の増資を引き受けることもないので利益相反はありません。営業員がそれぞれの努力で研究して2銘柄見つけたら、「この銘柄はいいんじゃないでしょうか」と提案してもよいのではないでしょうか。
――(対面販売のない)大手ネット証券の松本社長から「営業員の銘柄推奨の条件を緩和しよう」という提言を聞くのは、ちょっと意外な感じがします。
そうですか? 私はマーケットが大好きなので、いろんなところで株の話題が語られていて欲しいと思います。われわれネット証券が存在できるのも、株に対する興味・関心が盛り上がっていればこそです。
個人投資家と直に接する証券会社の営業員が、個別銘柄の話をしづらい環境で株式投資が盛り上がるはずがありません。そうなって困るのは、私たち証券会社だけでないはずです。上場企業にとっても、経済を活性化したい国にとってもマイナスです。ザイオンラインさんにとってもそうでしょう?
個人投資家応援証券評議会が
議論を起こして変えていく!
――「個人投資家応援証券評議会」は何かを決定する力はあるんですか?
少なくとも「発信する力」はあります。それは、この評議会が日証協の中に設置されたというところに意味があるのです。評議会の議論は全てがガラス張りで、全国の証券会社に伝わっていくでしょう 。また、取りまとめた提言は正式なルートで、証券戦略会議などしかるべき場に上げられます。
先述の大規模増資の問題にしても、個人投資家応援証券評議会で規制を決定することはできませんが「規制が必要だ!」と提言することはできます。そうすれば他の評議会も、見てみぬフリはできなくなる。賛同してくれるか、あるいは対案を出してくるか――とにかく議論は起こります。今まではそれすらなかったわけですから。
この評議会はハッキリ「個人投資家応援」と打ち出しているので、100%個人投資家の側に立った提言をしていきます。有識者会議的なものにするつもりはありませんし、輪郭のくっきりした強いメッセージを打ち出していきたいと思っています。途中経過は逐一ご報告します。
――最後に、ザイオンラインの読者にメッセージをお願いします。
はい。かつて日本の株式市場では、銀行や企業が互いの株を持ち合ったり、年金機構が株を買ったりして、存在感がありました。ところがここ数年で銀行や企業の株の持ち合いはかなり解消され、年金も今後は払い超になって株を買うどころではなくなっていきます。現在は名実ともに個人投資家こそが、マーケットの主役になっています。
にもかかわらず、これまで個人投資家の声を聞き、個人投資家の立場からマーケットのルールを作っていくということが、十分になされてきませんでした。それを、私たち「個人投資家応援証券評議会」が実現していきたいと思っています。
私たちは個人投資家の皆さんを応援し、お手伝いし、お守りすることを約束します。ですから、個人投資家の皆さんも、私たちに声を届けてください。意見を聞かせてください。マーケットを良くするアイデアがあれば、どんどん教えてください。それを我々は議論して、実現できるように努力します。一緒に株式市場を盛り上げていきましょう!
個人投資家応援証券評議会議長の松本大マネックス証券社長
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
日本株は07年の後半頃からずっと低迷が続いている。主要な海外市場はとっくにリーマンショック前の株価を回復しているのに、日本は未だにその後遺症を引きずっている。
株よりもFXをやる投資家が増えて「個人投資家の株離れ」とも言われて久しい。「このどんよりとした閉塞感を打破したい。株式市場を盛り上げたい!」という業界の切なる願いが、今回の「個人投資家応援証券評議会」設置の背景にあるのは間違いない。
大規模増資やインサイダーの問題については「今さらやっと!?」という気もしないではない。が、ネット証券や地場証券が業態の垣根を越えて「個人投資家応援」という枠組みでまとまってくれたのは斬新だし、望ましいところ。松本議長の話ぶりにも力がこもっていて、並々ならぬ意気込みが感じられた。
「結局、何においてもプロが有利なようにできてるんでしょ」と言われる状況を変えていくために、われわれ個人投資家も積極的に声をあげていきたい。同評議会は正式発足後に個人投資家から意見を聞く窓口を設ける予定。もちろん、ザイオンラインに送っていただいてもOKです。当サイトが評議会にあなたの声を届けます。
(取材・文/渡辺一朗 撮影/堀内慎祐)
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http://diamond.jp/articles/-/27073?page=3
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