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5人に1人は要介護、自己負担額は月3万〜5万円
2012/10/31 7:00
日本経済新聞 電子版
介護に必要なお金がどのくらいか、事前に調べておく人は少ないようです。しかし、厚生労働省の「介護給付費実態調査」(2012年4月審査分)によると、75歳以上の5人に1人は要介護。要支援を含めると、4人に1人となり、単純に計算すると父母と義父母のうち1人は該当することになります。さらに、準備が必要なのは親の介護だけではありません。将来必要になる「自分の介護」についても、あらかじめ考えておきたいところです。そこで、介護のお金に関する解説を3回にわたって掲載します。1回目の今回採り上げるのは、保険。公的保険のほか、民間介護保険について上手に活用するポイントを紹介します。
「見えないところで山のようにおカネがかかる」。20年にわたり祖母の介護を在宅で続ける50代男性はため息をつく。介護はこれからいくらかかるか、いつまで続くか──。子育て費用と違い、介護のおカネは見えにくい。
介護費用を手当てする基本となるのは自己資金、そして公的介護保険を柱とする社会保障だ。
介護費用の自己負担は「月3万〜5万円が目安」と言うのは、ファイナンシャルプランナーの山田静江さん。介護保険でサービスを受けると、自己負担は1割。これに全額自己負担となる介護サービスを頼んだ場合の合計額だ。
例えば「要介護2」で保険を最大限利用すると、個人負担は月約2万円。これに加えて、介護保険の上限を超えてヘルパー派遣を頼んだり、保険外の介護タクシー、家事代行サービスなどを利用したりした場合は100%自己負担となる。
要支援・要介護の身体の状態と、介護サービス利用限度額 施設の場合、この介護費用に「居住費」「食費」、理美容費・サークル活動代・洗濯代・おむつ代など「その他費用」が加わる。月の利用料は、施設のタイプにより、月約10万〜数十万円超と幅がある。
では介護期間はどのくらいか。生命保険文化センター調査によると、平均介護期間は4年7カ月。年間60万円と仮定すると、約5年で300万円。そこで「介護費用として、1人300万円をめどに準備しておくといい」(山田さん)。
(出所: 生命保険文化センター平成21年度「生命保険に関する全国実態調査」。調査の有効回答者4054人の中で、過去3年間に家族や親族の介護経験があると回答した630人(全体の15.5%)の回答をグラフにした)
施設に入る場合、介護費用は自宅介護と同程度だが生活費が加わる。地域やタイプにより月約10万円から数十万円までと差が大きいが月20万円前後が多い。
公的支援で最大限活用したいのが、介護保険。医療保険とは違い、市区町村に「申請」して「認定」を受けないと使えない。そこで「主治医の意見書、家族の介護日記など、一次判定で正しく認定されるための準備が必要だ」と社会保険労務士の井戸美枝さんは助言する。認定次第で受けられるサービス、自己負担が変わってくる。
介護保険からの給付と自己負担部分の関係
介護保険は在宅介護を重視しており、家庭に介護者がいることを前提に設計されている。そこで働きながら介護をするなど家族で介護に人手が割けない場合は、公的サービスだけでは乗り切れず自費負担が膨らみがちだ。中には月数十万円掛かる人もいる。
申請主義の介護保険を使いこなし、いかにケアプランを立てるか。どんな施設を使うか。情報の差が介護費用を左右する。有効に活用したい。
■民間介護保険は活用すべきか
一方、介護に必要な資金を保険金や年金形式で保障する民間の介護保険がある。将来の介護費用の準備に民間介護保険を活用すべきだろうか。ファイナンシャルプランナーの内藤眞弓さんに話を聞いた。
内藤さんは、「介護費用は貯蓄で備えるべきだ」と強調する。誰もが要介護状態になるわけではない上、民間介護保険は「要介護2」など保険会社が定める介護状態にならないと保障を受け取れない。これらを考慮すると、「保険より貯蓄で用意する方が合理的」というのが内藤さんの考えだ。
民間介護保険と公的介護保険の違い(表中の「*」は、2012年1月以降の契約の場合。組み合わせた死亡保障の保障額などで控除の対象にならない場合もある)
こうしたアドバイスを頭に入れても、やはり民間の介護保険に入りたいという場合にどうするか。まず要介護になる確率が低い若い時期から保険料を月払いするのではなく、60代になってから退職金の一部などを活用して保険料一括払いで加入する。
商品選びでは介護保障を受けない場合も考え、貯蓄性からも魅力的かどうかを見る。例えば70歳や80歳で解約返戻金をどの程度もらえるのか、などだ。
下の表は、貯蓄性のある代表的な介護保険商品で、60歳男性が介護もしくは死亡保障額600万円に加入した場合の一括払いの保険料と、70歳と80歳の解約返戻金を比較したもの。80歳で解約した場合、年間利回りはソニー生命保険の商品が約0.5%と最も優れ、70歳での場合は アメリカンファミリー生命保険(アフラック)の商品が0.3%で優れている。
http://www.nikkei.com/content/pic/20121031/96958A9C93819499E0E7E2E09F8DE0E7E3E2E0E2E3E0E2E2E2E2E2E2-DSXZZO4770561026102012000000-PB1-76.png
貯蓄性が高い介護保障のある保険の比較(表中で「*」を付けた項目の補足:各保険の「保険料」は男性が60歳で加入の場合。「一時払い」は契約時に全額保険料を払い込み。「全期前納」は保険料払込期間の年払い保険料を前払いする方法。 アメリカンファミリー生命保険(アフラック)の「WAYS」と、東京海上日動あんしん生命の「長生き支援終身」は、保険料払込期間10年の設定。WAYSの80歳の解約返戻金は70歳で「介護年金」コース変更の場合、介護年金の額は70歳で5年間支給の総受取額)
利回りで大差はないと見るなら、保障内容に目を向けてみる。ソニー生命の商品は、例えば公的保険の「要介護2」と自力で立ち上がったり歩いたりできない状態などに合致している限り、介護年金が支払われる。アフラックはそれより軽い「要支援」でも支給されるが、受取総額に限度がある。
(日経マネー 野村浩子・真弓重孝)
[日経マネー2012年11月号の記事を基に再構成]
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お金をためられる人の未来に花開くバラ色老後
毎日の小さなお金が育ち、バラ色老後が花開く(5)
2012/10/30 7:00
日本経済新聞 電子版
■社会人の人生は「ためる」→「使う」を繰り返す
今月は「毎日の小さなお金が育ち、バラ色老後が花開く」というテーマで「ためる」ことの大切さについて考えてみました。
社会人の人生は「稼ぐ」についてがんばり続ける時間であると同時に「ためる」についても考え続ける必要があります。「ためる」ということは大きな出費についてできるだけ借金をせず、金利を払わずにすむために必要なことです。
言い換えてみると、「ためる」は人生において何らかの「使う」が生じるからこそ避けて通れない課題なのです。「使う」の目的があってこそ、「ためる」意味が生まれてきます。
具体的な目的が見えないまま、とりあえずお金を「ためる」人はためない人と比べればずっといいことです。しかし、やみくもにお金をためることは、「目標はないけど勉強をがんばりましょう」というようなもので、なかなか身が入りません。
「ためる」と「使う」を繰り返していく人生において、どんな目的に、いくらお金を使う必要があるか、意識を高めていくことが必要になってきます。
■老後のお金をためるのが現役最後・人生最大の課題
資金ニーズと「ためる」という行動をセットにしていくと「住宅を買うから頭金を何百万円作ろう」とか「子の学費を念頭に何百万円ためよう」と具体的なイメージがつかみやすくなります。これにより目標に向けてお金をためるインセンティブが高まります。
しかし、最後に厄介な問題が待ち構えています。それが「バラ色老後資金」です。老後のことが大事だと頭で分かっていても、人は手前にゴールがあるものから順番に目標をクリアしていこうと考えてしまうからです。
たとえば35歳頃に住宅購入(その後数十年にわたって返済も続く)、50歳頃に子の学費問題(高校と大学で7年続く)というような資金ニーズがあるたび、手前のイベントごとにためたお金の取り崩しをかけていくと、定年退職時点で残っているお金はあまりない、ということが起きてしまいます。
これはなかなか深刻な問題で、よほど合理的に考えておかないとうまくいかない恐れがあります。しかも「定年退職時に足りないことに気がついた!」というようなパニックになっても、そこから慌ててためる時間は残されていません。
バラ色老後のための資金準備は、お金を「ためる」という課題において、現役最後に求められる人生最大のテーマといえるのです。
■バラ色老後資金を確保する工夫はあるか
それではバラ色老後資金を確保するための「ためかた」を少し考えてみます。
まず、バラ色老後のための資金確保については、先週述べたような「口座を分ける」「おろすのが面倒な口座とする」のような工夫が有効です。他の資金ニーズと分別管理し、また解約したくなるのを物理的に妨げるくらいでなければ、なかなか老後資金は育ちません。
前回、良いメンタルアカウンティングとして「口座をあえて分ける」方法を紹介しましたが、老後のための資産作りを住宅購入資金(頭金)や子どもの教育資金と同じ口座で行うと、早く生じる資金ニーズのための取り崩しが優先されてバラ色老後を後回しにしてしまいがちです。
また前回はお金をためるコツとして「おろすのが面倒な口座の活用」も紹介しましたが、これも手前の資金ニーズに左右されず老後のお金をためていくための知恵です。
また、他の資金ニーズのように短期集中でためることは老後資金準備に向いていません。50代になってラストスパートをかけることもありますが、これはなかなか大変です。できれば20代あるいは30代の頃から「早く始めて」「少額でも長い時間をかけて」コツコツと老後資産形成を行うことが重要です。これは一回あたりの積立額も低くでき、利息や運用益も利用することで効率的に資金準備する方法としても有効です。
会社員なら財形年金や確定拠出年金(個人型)、自営業者であれば国民年金基金、確定拠出年金(個人型)、小規模企業共済、といった制度が「他と分けて、おろしにくい」口座の代表です。
また、銀行でも積立預金を活用したり、証券口座で積立投資信託をしたりすることは「分けて、おろしにくい」効果的な方法です。
毎月の1万円程度でも長い目でみれば1000万円に育つ可能性を秘めています。ぜひバラ色老後のための資産形成枠の確保を考えてみてください。
■若い世代こそしっかりためていく時代に
近年、若い世代の貯蓄率上昇や貯蓄額上昇が統計上も表れています。
20代世帯の貯蓄率は金融広報中央委員会の調べでも30代以上の世帯より高い割合となっています。
またインテリジェンスや金融広報中央委員会の調査では若い世代の貯蓄額の上昇基調が指摘されています(ただし実額では30代以上の世代のほうが資産額は多いのですが)。
こうした「若者が消費せずため込む」という行動を快く思わない世代も多いようで、「若いやつがムダづかいせずに景気が良くなるはずがない」というようにいう人もいます。
私はこうした議論はナンセンスだと思います。むしろ若い世代は将来の不安要素も高まっており、自分でそれに備える必要が増えています。それに備える行動を取っていることは正しい選択です。ほめられこそすれけなされる理由はありません。
それに、現代は質のいいものが安く手に入る時代です。昭和30年代のように初任給の3〜4倍の値段で洗濯機を買うためには借金が必要でしたが、今はそのような消費がほとんど不要になっているのです。
また、インフレで借金が目減りしない時代において借金を控えるのは消費者として賢い行動ですから、今の若者に対してムダづかいを奨励する人は愚かだと思います。
21世紀に入り、若い世代こそしっかり賢く消費をして、どんどんお金をためていく必要がある時代に変わっているのです。周囲の雑音は気にせず、若い世代はどんどんお金をためて欲しいと思います。
今月は「ためる」について考えてみました。お金をためられる人の未来には、きっとバラ色老後が花開きます。
定年までの期間を実りある人生とし、またバラ色老後を手に入れていくためには、若い世代であってもお金をためる習慣をもち、将来に備えていくことが重要なのです。
来月は「国の年金の正しい疑いかた、上手なつきあいかた」を考えてみたいと思います。
山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ) 1972年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。AFP、1級DCプランナー、消費生活アドバイザー。企業年金研究所、FP総研を経て独立。商工会議所年金教育センター主任研究員、企業年金連合会調査役DC担当など歴任。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。論文「個人の老後資産形成を実現可能とするための、退職給付制度の視点からの検討と提言」にて、第5回FP学会賞優秀論文賞を受賞。近著に『お金の知恵は45歳までに身につけなさい』(青春出版社)。twitterでも2年以上にわたり毎日「FPお金の知恵」を配信するなど、若い世代のためのマネープランに関する啓発にも取り組んでいる(@yam_syun)。ホームページはhttp://financialwisdom.jp
http://www.nikkei.com/article/DGXNMSFK2600S_W2A021C1000000/
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