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いざ、天下分け目の関ヶ原「オハイオ」へ   ハリケーン、米雇用統計に注目 ベトナム経済成長鈍化「貸し渋り」
http://www.asyura2.com/12/hasan78/msg/298.html
投稿者 MR 日時 2012 年 10 月 29 日 01:50:34: cT5Wxjlo3Xe3.
 

(回答先: 米大統領選:雇用悪化、若者を直撃…激戦州のバージニア  米大統領選、オバマ氏優勢  UBS、最大1万人削減 投稿者 MR 日時 2012 年 10 月 29 日 00:43:31)

いざ、天下分け目の関ヶ原「オハイオ」へ

外交論争でロムニーを一蹴するも、支持率は変わらず

2012年10月29日(月)  高濱 賛

討論会は「オバマ2勝1敗」だったが…

 米大統領選の討論会最終戦は、オバマ大統領が勝利した。現職の強みを生かし、「三軍の最高司令官」の風格を遺憾なく発揮した。

 ロムニー元マサチューセッツ州知事は、第1回の討論会(10月3日)では「失業」「不況」に絞ってオバマ氏を攻め立てて勝利した。だが、16日の2回戦では、守りから一転して猛攻に出たオバマ氏に敗北。最終戦も、この4年間、外交の修羅場を潜り抜けてきた現職オバマ大統領に歯が立たなかった。

 ロムニー氏にはそれなりの戦略があった。「いたずらに攻撃的になることなく、大統領然とした対応に終始し、第1回討論会で得た優位を維持する」(ロムニー陣営幹部)。ところが、メディアの目には「前言を覆すばかりか、前言そのものを全面否定するEtch A Sketchを地でいった」(「ダラス・モーニング・ニューズ」のフレッド・カプラン記者)と映った。(“Fred Kaplan:Romney's wildly spinning Etch A Sketch knobs,” Fred Kaplan, dallasnews.com, 10/23/2012,)

※Etch A Sketchとは、幼児用のお絵かきオモチャ。左右のダイヤルを使って文字や絵を描く。レバーをスライドさせると、描いた文字や絵が瞬時に消せる。予備選段階で過激な発言をしたロムニー候補について、側近の一人が「予備選で指名獲得すれば、本選挙ではEtch A Sketchのように前言を消してしまえばいい」と発言。それ以後ロムニー氏について回るフレーズになっている。

流行り出した政治用語「Etch A Sketch」と「Romnesia」

 中国の為替操作に強硬な対応ぶりをみせ、一時はイランへの先制攻撃すら口にしていたロムニー氏。22日の討論会ではその片鱗すら見せなかった。

 それどころか、「オサマ・ビンラディン追跡に巨額のカネを使うのは無駄だ」「(破産状態の)GM(ゼネラル・モーターズ)などは潰すのがいい」といった過去の発言をオバマ氏に突かれると、「そんなことは言っていない」と全面否定する始末だった。

 ロムニー氏の言動を表す新語も生まれている。「Amnesia」(記憶喪失症)に引っ掛けた「Romnesia」だ。「ロムニーのように過去に言っていたことを忘れてしまう症状」を表す。

 ロムニー氏の朝三暮四を捉えて、オバマ氏は10月23日、遊説先のオハイオ州デイトンで早速、「Romniesia」という新語を使ってロムニー氏を激しく批判した。(“Obama begins final push for Ohio vote at Dayton rally,” Jeremy P. Kewlley, Dayton Daily News, 10/23/2012,)

ロムニーの軍事力認識は「Horse and Bayonets」?

 外交、安全保障問題の議論の本筋でもロムニー氏は散々だった。現状認識の欠如を露呈してしまったのだ。

 討論会後ソーシャルメディアを中心に米市民の間に広まったフレーズは、「Horse and Bayonets」(馬と銃剣)。ロムニー氏の軍事力に対する認識の陳腐さをせせら笑ったオバマ氏の発言が“語源”だ。「お前の考え方は古臭い」といった意味である。

 ロムニー氏が「アメリカ海軍の現有戦艦数は1916年時点よりも少ない」と戦艦の数を増やす必要性に言及した。

 これに対してオバマ氏が「現代の軍事力に馬や銃剣はいらない。軍事力の中身は時代の変遷とともに大きく変わる。今は空母がある。多くの戦闘機を離着陸させることができる」と突き放した。(“Transcript:Third Presidential Debate,” CNN Politics, 10/22/2012,)

直後のCNNはオバマ勝利48%、ロムニー勝利40%

 討論会の直後にCNNが実施した世論調査は、48%対40%でオバマ大統領に軍配を上げた。CBSテレビも53%対23%と、大差でオバマ氏の勝利とした。

 だが、この結果は、支持率にはそれほどインパクトを与えていない。第2回討論会で敗れて以降も、ロムニー氏の支持率は特段、下がっていない。3〜4ポイント、オバマ氏をリードしている。


(“Latest Polls,” Real Clear Politics 10/24/2012,)
 その理由について、ニュージャージー州のモンマス大学政治学部のアラン・スタインバーグ教授はこう指摘する。「確かに外交論争ではオバマが勝った。しかしロムニーはベンガジでの米大使殺害事件などについての批判を避けることで、軍最高司令官として必要な冷静さをアピールした。これが成功した。イランやアフガニスタン政策についてオバマを支持する発言をしたことで、共和党保守派は苦々しく思ったかもしれない。だが、これら保守派の票はオバマにはいかない」(“Obama won the third debate, but the political impact remains uncertain,” Alan Steinberg, PolitickernNJ, 10/23/2012,)

 確かに一般米市民は外交などに何の関心もない。現にニールセン調査によれば、1回目の討論会を見たアメリカ人は6720万人だったのに対し、3回目は5900万人。アメリカ人の関心事は一にも二にも経済だ。

 従って外交論争で負けても、ロムニー氏にとっては別にどうということもないのだろう。

オハイオが決戦場になる理由

 投開票まであと1週間。

 選挙予想・分析で権威のある政治専門サイト「リアル・クリアポリティクス」(RCP)によると、現在オバマ氏が確保している選挙人数は201人、ロムニー氏は206人。当選に必要な選挙人数は270人。

 従って当選するには、フロリダ、ペンシルベニア、オハイオなど10州に割り当てられた選挙人数131人のうち、オバマ氏は69人を、ロムニー氏は64人を獲得しなければならない。この10州は「Swing States」と呼ばれる「激戦州」だ。

 以下は1992年の大統領選挙以降、Swing Statesにおいて民主、共和どちらが勝ったかを示したものだ。両候補の支持率は10月22日現在の各種世論調査平均値である。


(“Battle for White House,” Real Clear Politics,)
【注】「Swing State」と呼ばれている州の中にはペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンのように1992年以降、共和党が勝ったことがない州もある。しかし1972年以降88年までの大統領選では共和党が勝った年もある。1972年以降08年の通算ではミシガンは民主党5勝5敗、ペンシルベニアは同6勝4敗、ウィスコンシンは同7勝3敗となっている。
「ペンシルベニア、ミシガン」はオバマ、「フロリダ、バージニア」はロムニー?

 この表をじっくり見ていると、これら「Swing States」における大まかな票の流れが見えてくる。単純な算術だ。

 オバマ・サイドから見る。4.6〜5.0ポイントリードしているペンシルベニア(選挙人数20)とミシガン(16)はどうやら取れそうだ。加えて、過去5回の選挙で民主党が5連勝しているウィスコンシン(10)を取れば、新たに獲得できる選挙人数は46人。現在201人だから過半数までにあと23人となる。

 一方の現在206人の選挙人数を確保しているロムニー氏はどうか。支持率ではわずかにオバマ氏をリードしているフロリダ(29)と、共和党が過去4勝1敗のバージニア(13)を取ると、選挙人数は合計248人。過半数まであと22人となる。

 ここで、これまで5回の大統領選で民主党にいったり、共和党にいったりしてきたオハイオ州(18人)が決定的に重要になる。クリントンに投票したかと思うと、ジョージ・W・ブッシュに勝利をもたらした。08年にはオバマを勝たせている。そして勝たせた候補が必ず大統領に選ばれている。

 オハイオのような州を「ベルウェザー」(Bellwether)と呼ぶことがある。「ベルウェザー」とは、「先導羊」のこと。「鈴をつけて仲間をリードとする羊」のことをいう。この場合、18人の選挙人を有するオハイオ州はまさにどちらの候補を大統領に就けるかを決める先導役だ。オハイオを取ってしまえば、選挙人10人未満の州などどうでもよくなる。(“Oct. 22:Ohio Has 50-50 Chance of Deciding Election,” Nate Silver, New York Times, 10/23/2012,)

オハイオは米重工業・製造業の中心「ラストベルト」のど真ん中

 オハイオ州は五大湖の一つ、エリー湖に面している。ミシガン、インディアナ、ウィスコンシン、ペンシルベニアの各州とは主要道路によって接続されており、重工業や製造業の重要な地域、「ラストベルト」(Rustbelt=錆びた工業地帯、古い産業地域)のど真ん中に位置する。

 それだけに同州有権者は景気、失業に極めて敏感だ。しかも労働者の8人に1人は自動車関連産業に従事しているとされる(前述のスタインバーグ教授)。

 人種的には白人82.7%、黒人12.2%、ラティーノ3.1%、アジア系1.7%、その他1.3%。宗教別ではプロテスタント62%、カトリック19%、モルモン教などその他のキリスト教宗派1%、無宗教16%、その他の宗教1%。

 3月の共和党予備選においてロムニー氏は、リック・サントラム元上院議員に37.9%対37.1%の僅差で辛勝している。サントラムは保守派で、エバンジェリカルズや草の根保守「ティーパーティ」(茶会)の支持を得ていた。ロムニー氏をめぐって共和党員は完全に二分していた。

 モルモン教徒であるロムニー氏に対して、エバンジェリカルズなどは強く反発していたとされる。件のGM発言が祟ったとも言われている。

 オハイオ州の有権者たちはこれまでの大統領選で、民主、共和といった党派や人種にこだわることなく、自分たちの生活を守ってくれる候補を選択してきた。今回はどのような判断をするのだろうか。(“Ohio Primary 2012 Results MAP(REAL-TIME DATA),” Huffpost Politics, 10/24/2012,)

オハイオにつぎ込んだカネは合わせて1億1210万ドル

 オバマ、ロムニー両陣営とも、選挙戦の最終盤でオハイオが重要な意味を持つことは当初から織り込み済みだ。このため両陣営がこれまで同州につぎ込んだ選挙資金額は1億1210万ドルに上る。フロリダに投入した1億1740万ドルに次いで第2位の金額だ。

 カネの出所は、両候補の政治活動委員会(PAC)は元より、民主、共和両党の全国委員会、両陣営を間接的に支援する「スーパーPAC」など。(“State By State Breakdown Of Presidential Campaign Spending Reveals Surprises,” Jeremy B. White, International Business Times, 9/11/2012,)

 ワシントン・ポストは残り2週間となった10月23日の段階で、「両陣営が残り期間にオハイオのテレビ・スポットに費やすカネは1000万ドルを超える」と報じている。まさに総力戦が繰り広げられている。(“Ohio is key in the Obama-Romney campaign endgame;television ad spending nearing $1 billion,” Associated Press, The Washington Post,10/23/2012,)


高濱 賛(たかはま・たとう)

高濱 賛=在米ジャーナリスト。米パシフィック・リサーチ・インスティテュート所長。元読売新聞ワシントン特派員、総理官邸キャップ、政治部デスクを経て、同社シンクタンク・調査研究本部主任研究員。1995年からカリフォルニア大学ジャーナリズム大学院客員教授、1998年から同上級研究員。「中曽根外政論」「アメリカの歴史教科書が教える日本の戦争」など著書多数。


オバマ再選の行方

2012年、日本を取り囲む国々のトップが代わる可能性がある――米国、中国、ロシア、韓国。
どの国よりも日本に影響を与えるのが、米大統領選の動向だ。

歴史を振り返ると、多くの米大統領が2期を務めている。
しかし、オバマ大統領は再選を果たせるのか?

同大統領は、医療保険制度の改革という公約を果たした。
しかし、これに覆そうとする共和党が議会下院で過半数を握る。
同大統領は、アフガニスタンからの2011年7月からの撤退開始も、公約通りに宣言した。
しかし、アフガン情勢は不安定で、撤退がスケジュール通りに実行できる保証はない。
経済再生を優先するために抱えた巨額の赤字は、批判の的になっている。

果たしてオバマ大統領は再選できるのか?
2012年大統領選にかかわる出来事をタイムリーに取り上げ、解説する。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20121026/238619/?ST=print

JBpress>海外>アジア [アジア]
ベトナム経済成長鈍化の背景にある「貸し渋り」
極度の担保主義や実務上の問題が民間企業セクターを圧迫
2012年10月29日(Mon) 大場 由幸
 「貸し渋り」と言われる現象はベトナムの金融現場にもある。日本の金融現場と比べると事情は大きく異なるが、「貸し渋り」であることに変わりはない。ただし、ベトナムの「貸し渋り」を統計データによって客観的に評価することは難しい。

 拠り所となる統計データとしてはIMFの国別リポートがあり、ベトナムについては、IMF第4条コンサルテーションに際して2012年4月に作成された「IMF Country Report No. 12/165 Vietnam」が参考となる。

 同資料の表5(Table 5. Monetary Survey 2008 – 2013 1/)をみると、2008年以降の貸出推移が金融機関別(国営商業銀行/その他金融機関)・貸出先別(国営企業/民間企業)に示されている。

ベトナムにおける「貸し渋り」と「担保主義」の実態


ホーチミン市のマジェスティックホテルからサイゴン川対岸を望む(著者撮影、以下同)
 最近の企業向け貸出動向を一言でまとめれば、ベトナム鉱工業生産の上昇(毎年5〜7%程度)を背景とし、全体として貸出金額は継続的に伸びている。

 国営企業向け貸出額が低迷する一方、民間企業向け貸出額の伸びが顕著だ。結果、貸出残高に占める民間企業向けの割合は、2008年の69%から2011年には82%にまで上昇している。

 しかし、民間企業向け貸出額の伸び率は減速している。2010年末から2011年末の伸び率は16%増となっているが、これは過去の伸び率、42%(2008年末から2009年末)、52%(2009年末から2010年末)より大幅に低下した。

 不動産投機の加熱に対する警戒が強くなっている中で、金融当局による貸出総量規制が強化されたことによる影響だ。

 ここに来て、依然として高成長を続ける民間企業セクターにとっては、金融当局による貸出総量規制の強化に伴って金融機関の貸出態度が厳格化し、全体として資金調達面で逼迫感を持ち始めていることが推察できる。

 さて、そもそもベトナムにおける「貸し渋り」とは何か。この用語自体は、従来、必ずしも明確に定義されないままに使用されている。

 日本では、日本銀行調査統計局(1992年)の「所与の市場金利水準の下における事前的な貸出需要に対して金融機関の資金供与が不足すること」、1998年度経済白書の「金融機関の貸出態度の慎重化」、その他さまざまに定義されているが、まとめると「金融機関の貸出態度の慎重化を背景とする貸出供給曲線の左方シフト」と定義できるだろう。

 1990年代以降、ベトナムでは「貸し渋り」とともに「担保主義」という金融機関の貸出態度が世間からの批判の的となってきた。

 特に、新規に借入れを申し込む企業に対しては、既往取引先企業と比べて相対的に銀行の貸出姿勢が慎重になることは避けられず、「担保」を過度に重視する姿勢が一般的となっているようだ。

 ベトナムにおいては、民間企業が金融機関窓口で「担保不足」を理由に借入れ拒絶されたという事例が無数に発生し、それに対する不満の声が「担保主義×貸し渋り」として民間企業サイドから聞こえてくる。

ベトナム金融政策の経緯:規制強化と金利自由化の波

 こうした民間企業に対する「貸し渋り」は、如何なる要因により発生しているのか。

 ベトナム金融機関の貸出行動を解明するためには、マクロの観点から金融政策による波及効果を検証することが重要な手掛かりとなるため、まず、近年の金融政策の経緯を整理したい。

 従来、ベトナム金融当局はIMF指導の下でインフレを抑えるため、金融機関に対して貸出総量を直接規制(窓口規制)するとともに、貸出金利の上限と預金金利の下限を設定していた。

 こうした直接的な規制内容の変動が銀行のバランスシートを変化させ、それが金融機関の貸出態度を変化させてきた。

 1999年前後の金融政策の状況を振り返れば、不良債権問題の顕在化に対応して1997年12月に発布された「国家銀行法及び信用機関法」(1998年10月発効)に基づいてプルーデンス規制が強化され、銀行経営の安定化を図るための措置がとられている。

 具体的な措置は以下のとおりで、現在の銀行監督体制の原型が形成された。

(1)1997年7月、貸倒引当金の積み増しを銀行が経費計上するのを認めたことにより、銀行は貸倒引当金に所得税がかからなくなり、将来発生し得る貸し倒れリスクに対して積極的に準備金を積めるようになった。

(2)1998年8月、合資銀行に対してリスクの評価のための基準を示した*。

*CAMELの5つの基準ごとに点数を付与するもの。CAMELは、米国の金融当局が使ってきたもので、資本の充実度(capital adequacy)、資産の質(asset quality)、経営(management)、収益性(profitability)、流動性(liquidity)の頭文字をとったもの。現在はSBV(中央銀行)決定 No.400/2004/ND-NHNN (2004年4月16日付け)に差し替わっている。

(3)1998年10月、合資銀行の再編を進めるため、SBV(中央銀行)は合資銀行の最低資本金(ハノイ市とホーチミン市の合資銀行の最低資本金は700億ドン、その他の都市では500億ドンとした)を定め、2001年10月までの達成を義務付けた。

(4)1999年2月、債権の分類の仕方、貸倒準備金の積み方、不良債権の償却の仕方などに関する指針(1999年2月8日付SBV決定 No.48/1999/QD-NHNN5)を示した。

 こうしたプルーデンス規制の強化が、以降、金融機関の貸出態度を一定程度、抑制してきた。なお、プルーデンス規制の強化とともに従来の「貸出総量規制」は撤廃された。

 しかし、SBVの窓口規制により当該規制が踏襲されているとも言われ、過度な不動産投機や放漫経営を行ってきた国営企業の不良債権等の問題が顕在化する中、事実上、厳格な貸出総量規制が行われているようだ。

 一方、金利規制については、1996年にSBVが「スプレッド規制」(貸出金利の上限と預貸スプレッドを月0.35%以内として規制)に転換して以来、段階的に規制緩和を実施しており、2002年6月からは基本的には金利は自由化されている。

 2000年8月からは、SBVが毎月ベースレートを発表し、一定の変動幅の範囲内で借り手の信用リスクに応じた金利設定が可能となった。さらに2002年6月には当該規制も撤廃され、基本的に金利の自由化が実現している。ただし、現在も、SBVは四半期ごとに「ベースレート」を発表している。

 これに法的根拠はないものの、信用リスクに応じた金利決定メカニズムの確立が遅れている国営商業銀行等では、依然としてSBV発表のベースレートを参考にしているようだ。

ベトナム金融機関が抱える3つの貸し渋り要因


ハノイのホーチミン廟
 ベトナム金融機関の貸出実務における貸し渋りの要因としては、第1に審査・モニタリングの限界が考えられる。

 一般に、不完全情報下の市場では、資金の貸手と借手との間に存在する情報の非対称性に対処していくことが金融仲介機関の存在意義だ。

 金融機関は独自に情報を入手し、その中から相対的にリスクの小さな借手を選別し(審査)、さらに事後的なフォローとして貸出債権の管理も行う。

 企業情報の入手が困難なベトナムでは、そのような金融取引の過程で発生する金融仲介コスト、いわゆるエージェンシー・コストは相当な規模に達すると考えられ、金融機関の貸出行動はこうした前提の下で決定されている。

 また、先行きの景気動向や経営環境が不透明で変化が激しいベトナムでは、モニタリング管理・対応も十分にできないケースが多いようだ。

 そこで、金融機関としてはよけいに、情報の蓄積が豊富かつ今後とも継続的な取引が見込まれる相手、元利金回収の確実性が高いと見込まれる相手を中心に貸出先を厳選することになる。

 逆に、新規取引先で情報が少ない「ハイリスク・ハイリターン」型の貸出先に対しては相対的に貸出姿勢が慎重となることは避けられないのだろう。

 第2に、ベトナムでは信用リスクの正確な把握が難しい。

 一般に、金融機関は経験的に審査・管理を徹底しても一定の確率で倒産(不良債権化)の発生が避けられないことを覚悟している。倒産等が発生した場合、資金回収できずに金融機関が被る損失予想額、すなわち信用リスクは下式(1)のように3つの要素に分けて考えることが出来る。

  (1)L=E・(1−R)・γ

L:損失予想額
E:エクスポージャー・リスク(債権額)
R:1単位あたりの与信額の回収可能性(回収に伴う費用を除く)
γ:倒産確率

 倒産確率については貸出先の平均的な格付けが目途となるが、ベトナムでは、これに関する不確実性が高い。まず、金融機関が頼りにできるような格付けを行う専門業者あるいは信用情報会社は存在しない。

 一方、SBV傘下の信用情報センター(CIC)が提供する格付サービスや企業規模別平均財務指標データは試験的実施の域を出ず、金融機関の行内格付けにおいて十分に活用されているとは言い難い。

 倒産確率に対する見方自体は貸出行動を決定する最大の要因となるが、ベトナムの金融機関では、倒産確率ひいては損失予想額(信用リスク)を正確に把握しきれていない。

 したがって、合理的判断に基づく貸出の意思決定が難しく、結果、金融機関が審査において審査対象企業の倒産確率を高めに見積もり、貸出に慎重な姿勢をとるようになる。

 第3に、ベトナムでは担保実務に関する諸問題が存在する。

 ベトナムでは、信用機関法第52条により、すべての金融機関は原則、債権保全手段として不動産等の担保を徴求しなければならない。但し、ルール上は、担保にかかる基本通達である政府議定等に基づき、一定の条件の下で無担保貸出や「持ち込み担保」が限定的に認められている。

 ベトナムの貸出実務では、金融機関は、民間企業向け貸出については担保を重視するものの、企業の予想収益を通じた資金回収とは区別して取り扱っており、両者が同等の価値をもつとは考えていないようである。

 したがって、審査時点で担保処分が必要となる可能性が高い企業に対しては貸出の実行を見送ることになる。つまり担保は必要条件ではあるが、十分条件ではない。

 貸出に際しての制約条件、あるいは回収条件としては、以下の3式が考えられる。

  (2)(1+r)・L<(1−γ)・X

  (3)(1+r)・L<a・W

  (4)(1+r)・L<(1−γ)・X+γ・a・W

L:貸出額
r:貸出金利
X:銀行の予想する利益
W:担保価値
a:担保掛目
γ:倒産確率

 個別の審査に求められる条件は、(2)式および(3)式が同時に成立することである。(4)式は、貸出実行後に企業が倒産した場合、損失の発生を回避する条件として成立するが、この条件で貸出を決定することは難しい。

 その理由として、ベトナムでは、競売等の担保処分手続きが煩雑で十分機能しておらず、担保処分すること自体の実効可能性が低い、あるいは、担保処分に相当な時間を要するため余分なコスト負担を強いられるケースが多いことがある。

 さらに、担保が土地使用権である場合は、市場価値が不透明かつ不安定であり、最終的に担保による回収額が予定額よりも極めて小さくなる可能性が高い。

 ベトナムにおける貸付決定時の問題点として、担保価値(W)の評価自体が困難であるということもある。

 不動産価格情報が一般に普及していないために時価が掴みにくく、唯一の客観的指標となる「標準価格」(税金算定基準となる人民委員会の設定価格)を参考に評価すると極端に低めに担保評価されてしまうのだ。

 したがって、原則、担保は必要条件であるため、いかに業績が良くとも担保評価が不当に低く出れば決定できない申込貸出案件が増えることになる。これが、ベトナムで指摘される「担保主義」だ。

 ベトナムの貸出実務に即して「担保主義」を定義すれば、(1)貸出金額を大幅に上回る物的担保の要求、(2)金融機関による担保評価額が実勢価格を大幅に下回る、(3)企業業績を見る前に担保だけを見て申込みを拒絶する貸出態度、といった一連の貸出行動パターンであるとも言える。

 近年の高度成長で、不動産価格も急上昇していく過程において担保不足はさして問題にならなかった可能性もあるが、最近、担保としての不動産価格が不安定さを増している。

 また、銀行実務では過去5〜6年間の変動幅の下限を担保評価に採用しているため、評価が低めになることも避けられない。

民間中小企業向け貸出の拡充に向けて


ホーチミン市内、地場中小企業の工場
 巷で話題となっているように、ベトナムでも「貸し渋り」の悪影響を最も強く受けるのは、やはり民間中小企業だ。

 金融の現場では、民間中小企業が金融機関に借入れを申し込む際、金融機関に「担保評価額<融資申込額」(担保力不足)と判定されるケースが多い。

 信頼に足る財務諸表を提出できないこと、新設企業のための銀行取引歴が浅いこと等を主な理由に借入れを拒絶されることも頻発している。

 民間中小企業の利益状況は統計では把握されてはいないが、急速な右肩上がりだったベトナム経済も若干一服感がある中、民間中小企業の利益状況も落ち込んでいる可能性はある。それ故に金融機関が貸出態度を慎重化している面もあろう。

 すなわち、金融機関が貸出可能と考える資金需要者がそれだけ減っている、言い換えると通常の審査・担保条件で貸出可能な「健全な」資金需要の動向を表す需要曲線が左方シフトした結果、金融機関の民間中小企業向け貸出額が減少している可能性も否定できない。

 ベトナムにおいて民間中小企業への「貸し渋り」が発生しているとすれば、それは金融機関サイドの問題や金融政策変動の影響度合いが大きい。

 また、そもそもベトナムの特徴的な環境として、企業と金融機関との関係において「情報の非対称性」の問題が先進国のそれよりも深刻であるということを見過ごしてはならない。

 今後、台頭する民間中小企業向けの貸出を安定的に拡充していくためには、是正すべき金融政策・制度を見極めて、それらを修正していく必要がある。

 まず、金融当局による銀行監督行政においては、貸出総量規制とは別の次元で、必要に応じて民間中小企業向け与信を量と質の両面で精密にチェックする機能が必要であろう。

 また、中小企業向け貸出の最大の阻害要因とみられる「担保不足」の原因を考えれば、ベトナムに固有な問題として、(1)金融機関、特に国営商業銀行による担保評価が適正さを欠いていること、(2)担保処分が極めて困難である等、事後管理における法的リスクが大きいため担保評価に対する「掛け目」が通常より厳しくなっていることがある。

 前者については、金融機関の貸付担当者が担保評価する際に比較参照する不動産価格情報システムが普及していないことが主因であり、こうした経済社会的な情報インフラの構築が求められる。

 また、後者については、不動産登記、競売、担保処分等、事後管理をスムーズに実行できるような法的フレームワークが確立し、もって金融機関による「掛け目」を緩和できるような状態を創出することが不可欠だ。

 さらに、個々の金融機関内では、1件あたり貸出額が小さい民間中小企業向け貸出は審査コストが相対的に高くつくが、これを緩和するために、ITを駆使した信用リスク管理体制の効率化等、更なる業務改善が必要だ。

 すでに、生き残りをかけて民間中小企業を戦略的なターゲットとしている有力な合資銀行等の中小金融機関では、営業体制を強化すると同時に、効率的かつスピーディーな与信体制の構築に取り組んでおり、引き続き、そうした中小金融機関全体の底上げも期待される。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/36376

【今週の米株見通し】ハリケーン、米雇用統計に注目
マーケットウォッチ
2012年 10月 28日 13:55 JST 
 【ロサンゼルス】今週の米国株式市場では10月の雇用統計と決算発表が注目を集めそうだ。一方、ハリケーン「サンディ」が週初に米東海岸に上陸すると予想されており、最悪の場合は金融の中心地が混乱に陥る可能性もある。

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Scott Eells/Bloomberg
 10月の米雇用統計は11月2日の発表。これに先立って、製造業、個人所得・消費、米自動車販売の月次統計が発表される予定。

 今週は四半期決算発表も増える。フォード・モーターは10月30日、ゼネラル・モーターズは31日の発表を予定している。マスターカードとビザは31日の予定。この2社の決算からは消費者の動向がうかがえそうだ。石油大手シェブロンは11月2日に決算発表を行う。

 S&P500社の半数以上が既に決算発表を済ませている。

 TEAMアセット・ストラテジー・ファンドのポートフォリオマネージャー、ジェームズ・デイリー氏は「今回の四半期決算はこれまでのところ非常に悪く、見通しもネガティブ」と述べた。デイリー氏は「(米連邦準備制度理事会=FRBによる量的緩和の)発表後の市場の動きと決算が(投資家の自信を)直撃し始めている」と述べた。

 しかし、今週はハリケーン「サンディ」が話題をさらうかもしれない。気象予報によると、サンディが寒冷前線とぶつかると大荒れの天候になる可能性があるという。米北東部の主要都市は週末から今週初めまで、豪雨と強風に見舞われる恐れがあるという。

 ニューヨーク証券取引所は26日、緊急時の対応をまとめていると発表した。原油先物などが取引されるニューヨーク・マーカンタイル取引所の親会社CMEグループは、状況を注視しつつ、市場の機能を維持するため準備していると述べた。ナスダックOMXグループはサンディが接近しても市場の運営を続ける予定と発表した。

 バハマとジャマイカでは、サンディによる被害で既に21人の死者が出ている。

売上高が低迷

 今週は生保大手メットライフや米製薬最大手ファイザー、コーヒー・チェーンのスターバックスも決算発表を予定している。

 米株にとって厳しい1カ月となった10月も今週半ばまで。10月はアップル、ゼネラル・エレクトリック、グーグル、マクドナルドなど各業界の主要企業の多くの決算が不調で、株価も打撃を受けた。

 マクロ経済面では、10月の非農業部門の就労者数は12万人増、失業率は7.8%から7.9%に悪化すると予想されている。

 11月1日には、オートマチック・データ・プロセッシング(ADP)の10月の全米雇用報告と週次ベースの米新規失業保険申請件数が発表される。

 TEAMアセット・ストラテジー・ファンドのデイリー氏によると、10月の雇用統計が「予想を大幅に下回る」ことがあれば、2日の株価にとって大きなリスクとなるという。「今は、悪いニュースは容赦なくたたかれる地合いだ。米国のマクロ経済指標が大幅に悪化したケースはまだ経験していない」とデイリー氏は話している。

 統計の悪化は「今は悪いニュースとして受け止められて」おり、これはFRBが量的緩和第3弾を発表して以降の傾向だ、とデイリー氏は指摘した。

 米サプライマネジメント協会(ISM)は1日に10月の米製造業景気指数を発表する。

 企業決算の低迷で、米国の主要株価は月次ベースで5カ月ぶりにマイナス圏に突入した。ナスダック総合指数の下げが最もきつく、10月の下げ幅は4.1%。今月に入り、ダウ工業株30種平均は2.5%、S&P500種指数は2%それぞれ下げた。

 オクシアー・フォーカス・ファンドのジェフ・オクシアー氏は「需要が弱い市場に進出している国際企業では、売上高の伸びが鈍化するだろう」と述べた。オクシアー氏は生活必需品などの低価格品を扱う企業の株式を保有したいと話した。

 トムソン・ロイターIBESは26日、S&P500社のうち54%にあたる272社が第3四半期決算の発表を済ませており、売上高がアナリスト予想を下回った企業の割合は63.1%に上ったと発表した。2002年以降の標準的な四半期では、売上高がアナリスト予想を下回る企業の割合は38%にとどまっている。

 また、利益がアナリスト予想を上回った企業は62.5%で、予想に届かなかった企業は25.4%だった。1994年以降の四半期では、利益予想を上回った企業は62%、下回った企業は21%だった。

 オクシアー氏によると、企業は引き続き売上高の伸び率の鈍化に苦しんでおり、多くがコスト削減の一環としてレイオフを始めたという。先週、米国では1万8000人近くのレイオフが発表された。

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