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世界中がめちゃくちゃになりそうだ。ユーロ圏も崩壊寸前だ。東アジアも劇的に緊張が高まった。アラブ圏もまた大混乱している。世界中がめちゃくちゃになって誰が得するのだろうか。
実は、1国だけ得する国家がある。それがどこだが分かるだろうか。もちろん、アメリカである。なぜ、世界中がめちゃくちゃになればアメリカは得するのか。それはドルを防衛できるからである。
アメリカは現在、衰退の途上にあり、ドルの価値が毀損しつつある。このままで行くと、ドルの価値は暴落する。では、どうすればドルの価値を守ることができるのか。アメリカは、ひとつ方法を見つけたのかもしれない。
それは、世界中をめちゃくちゃにしてしまうことである。アメリカは世界中がめちゃくちゃになれば嬉しいのだ。それは自分たちが生き延びることができるからだ。
■アラブの異変は米の量的緩和が原因
今、アメリカは苦境に落ちている。
2007年はサブプライムローン問題から端を発した不動産バブル崩壊があった。2008年はリーマン・ショックがあって、一歩間違えば世界が崩壊していた。
そのあとにブッシュ政権が終了してオバマ政権に変わったが、ブッシュ政権の残したツケはあまりにも大きすぎて、オバマ政権は4年経ってもまだ後始末を終えていない。
2008年、アメリカは完全に金融崩壊してしまい、政府は市場の不良債権を買い取ることでそれを乗り切った。
しかし、それは市場の銀行や保険会社の危機を政府に移転させることなので、もし景気が戻らなければ今度は政府の危機になってしまうのである。
アメリカは思い切った量的緩和政策を行うことによって、景気低迷から脱して、再び回復軌道に乗ることが可能だと主張した。そこで行われたのがFRB(連邦準備制度理事会)による2009年3月からの量的緩和政策である。
この量的緩和政策は3度行われ、それぞれQE1、QE2、QE3と称されている。時期については以下の通りだった。
QE1 2009年3月〜2010年3月まで。
QE2 2010年11月〜2011年6月まで。
QE3 2012年9月13日〜
そして、量的緩和政策でどうなっているのか。
この量的緩和はドルの過剰流動性を高めたのでドル安を加速することになり、ドルの威信は目に見えて低下している。
2011年は溢れたドルはコモディティ市場に流入し、ゴールド、シルバーを筆頭として、原油、小麦、とうもろこし等のコモディティの価格を暴騰させた。コモディティの暴騰というのは投資用語だ。これを一般国民の暮らす社会の言葉で言うと、「食料品の値段が上がった」ということになる。
それが2011年1月から、アラブ社会で大変革を起こし、中東で政治的激変を起こした原因なのである。単純に分かりやすまとめると以下のようになる。
2007年 不動産バブル崩壊
2008年 金融崩壊
2009年 量的緩和
2010年 コモディティ暴騰
2011年 アラブ・中東の民主化暴動
2012年 シリアの内戦
■アメリカは一直線に崩壊するのか?
この量的緩和は別にアラブ・中東を混乱させるために行われたのではない。
アメリカが景気を刺激するためにカンフル剤(量的緩和)を打たないと本当に金融崩壊してしまう可能性があったからだ。カンフル剤が、ドル安やコモディティ暴騰と言った副作用を引き起こす可能性は充分に分かっていたが、それよりも何とかアメリカ経済を回復させるのが先だったので無視された。
ところが、2011年6月にQE2が終了して改めてアメリカ経済を見回してみると、まったく何も改善されていなかったことに世界は気がついた。これについては、「QE2は特効薬ではなかった」とウォール・ストリート・ジャーナルが素直に書いている。
要するに助かったのは優良企業・多国籍企業だけで、政府と国民は累積債務を押し付けられてどちらも破綻寸前になってしまっているのである。
2011年6月 QE2終了
2011年7月 債務上限を巡る米デフォルト危機
2011年8月 米国債、米州国債の格下げ
2012年9月 景気悪化により、さらにQE3実施
分かりやすいほど単純な動きをしているので、世の中がどっちを向いて動いているのか誰も間違えようがない。
これはアメリカの衰退そのものの動きなのだが、それではアメリカは一直線に崩壊していくのだろうか。日本人のように、ただ座して死ぬのを良しとするだろうか。
■生き残るためなら何でもする
アメリカはこのまま経済的苦境を放置しておけば自然崩壊してしまう。
2011年、債務上限の引き上げ問題で、オバマ大統領は引き上げの前提として、2兆ドルの財務削減をすることを約束していた。これはすなわち政府支出を減らすということだ。しかし、オバマ大統領はそれに失敗した。政府支出を減らすことができなかったのだ。
2012年10月12日、財政赤字は4年連続で1兆ドルを超えたことが発表された。これによってオバマ陣営は追い込まれており、共和党から激しい突き上げを受けている。
不動産価格が下落したままで、かつ失業率が9%を超えようとしている。
しかし、財政赤字を削減するためには、今後はさらに福祉をカットし、失業保険をカットし、軍事費をカットし、公務員をカットし、メディケアをカットしていく必要がある。あらゆる公的・行政サービスが削減されていき、それでいて失業率の改善が見られないのであれば、急激な経済の悪化でアメリカは立ちゆかなくなる。
これが「財政の壁」である。
困窮した国民が増え続けて政治に不満を持ち、それが暴動の引き金になることは目に見えている。
そういった不安要素はさらにアメリカに対する信頼を打ち砕くことになるので、放置しておけばアメリカは崩壊していくしかない。
カネが回っているときは目立たなかった綻びは、カネがなくなった瞬間に大きく裂けていくのは世の常だ。
■今、アメリカは苦境に落ちている
それならば、アメリカはどうするつもりなのか。
今までのアメリカの政治のパターンで言えば、恐らく私たちがまだ想像もしていない「大きな賭け」に動くはずだ。大きな賭けとは何か。それが、これだ。
「世界をめちゃくちゃにしてやる」
世界がめちゃくちゃになれば、どうなるのか。世界中の国家、世界中の市民が「有事のドル買い」を始める。
なぜなら、世界でもっとも強大な国家はいまだにアメリカなのだから、アメリカの紙幣、すなわちドルがもっとも生き残る確率が高いからだ。
世界が大混乱したら、まずはドルが買われる。これが「有事のドル買い」である。
であれば、アメリカは意図的に世界をめちゃくちゃにしてしまえば、ドルの価値を守ることができるということになる。
たとえば、ドルの崩壊を避けるために、アメリカはアラブ圏をめちゃくちゃにして「有事のドル買い」をさせようとしないだろうか。
あるいはユーロ圏をめちゃくちゃにして、「有事のドル買い」をさせようとしないだろうか。
あるいは東アジアをめちゃくちゃにして、「有事のドル買い」をさせようとしないだろうか。
単純な確率で考えて欲しい。
アメリカはこの経済苦境に何か「するか」「しないか」で言えば、恐らく何か「する」方向に動く確率は高い。
他国を叩きつぶしても自国に利益誘導を「するか」「しないか」の二者択一で考えても「する」方向に動く確率は高い。
これについては、日本人もベトナム人もイラク人もアフガン人もみんな同意してくれるだろう。世界がめちゃくちゃになれば、飛び上がって喜ぶ国が1つある。それはアメリカだ。
本当にアメリカがのっぴきならない事態になったとき、他国をめちゃくちゃにしてでも生き延びようとする確率が高い。アメリカは間違いなくそういう国だ。
だから、アメリカが黙って衰退していくと思ったら大間違いだ。アメリカが追いつめられたとき、アメリカ以外の国が危険になっていくことは忘れないほうがいい。
今、アメリカは苦境に落ちている。ということは……。
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