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頼みの綱だったBRICsの凋落で暗雲漂う世界経済 景気刺激策効果小さく商品市況頭打 ブラジル 中銀賃上げストの怪 
http://www.asyura2.com/12/hasan78/msg/127.html
投稿者 MR 日時 2012 年 10 月 16 日 06:04:09: cT5Wxjlo3Xe3.
 


【第249回】 2012年10月16日 真壁昭夫 [信州大学教授]
頼みの綱だったBRICsの凋落で暗雲漂う世界経済
次期牽引役となるべき米中経済は本当に復活できるか
中国経済の減速によって
牽引役を失った世界経済の行方

 つい最近まで世界経済の牽引役を果たしてきた、BRICs経済の減速が鮮明になっている。特に、リーマンショック以降、中国経済の減速が顕著になっており、世界経済は牽引役を失ったことになる。

 過去の世界経済の動きを振り返ると、2000年代初頭以降、大規模な不動産バブルの発生によって好調な展開を示していた欧米経済が、世界を引っ張っていた。

 ところが、その不動産バブルが崩壊し、2008年にリーマンショックが発生して以降、欧米に代わって中国をはじめとするBRICs諸国が世界経済を引っ張ってきた。

 その中国の経済を下支えしていたのが、総額4兆元に上る大規模な経済対策だった。しかし、その経済対策の効果が永久に続くことはない。今年前半、その効果が薄れたことに加えて、中国の最大の輸出先である欧州経済の減速が一段と鮮明化したことで、中国経済の足取りが一気に怪しくなった。

 中国経済が減速すると、オーストラリアやブラジル、さらにはインドなどの経済にもマイナスの効果が波及する。その結果、BRICs諸国の経済にもブレーキがかかっている。

 また、BRICs諸国がそれぞれ個別の問題点を抱えているのも気がかりだ。中国はリーダー交代に伴う政治情勢の不安定化、ブラジルは鉄鉱石の中国向け輸出の減速、ロシアはシェールガス開発に伴うエネルギー需要の減退の可能性、インドは大規模停電などインフラ面の未整備という問題を抱える。

 重要なポイントは、BRICs諸国の景気減速によって、世界経済の牽引役がいなくなってしまったことだ。牽引役のいない世界経済は、減速感が一段と鮮明化する懸念が高まる。

 どこの国でも、多かれ少なかれ問題を抱えている。つい最近まで、元気に成長過程を歩んできたBRICs諸国も例外ではない。

 不動産バブルの後始末に追われる欧米諸国に足をとられる格好で、世界経済の減速が鮮明化すると、その影響を受けてBRICs諸国の問題点が次第に浮き彫りになりつつある。

 世界第2位の経済規模を持つ中国は、最大の輸出先である欧州経済の低迷により、輸出が伸び悩みの傾向になっていることに加えて、リーマンショック後の4兆元の経済対策の効力がほとんど消滅した。

 そうした状況下、中国政治内部の権力闘争が激化したこともあり、どうも政策運営が遅れ気味だ。9月に入ってからの1兆元の景気対策も、多くの専門家は今年前半に発表されると見ていたことだろう。その景気刺激策の効果が現れてくるまでには、もう少し時間がかかるだろう。

中国に加えてインドやブラジルにも暗雲
BRICsに共通する政治・インフラの弱点

 中国経済の減速は、ブラジルやインドにもマイナスの影響を与えることになる。特に、ブラジルは、鉄鉱石などを中国へ輸出して高成長を維持してきた。中国国内では、すでに鉄鉱が過剰供給の状態になっており、その原料となる鉄鉱石や石炭の輸入にはブレーキがかかっている。ブラジルの今年の経済成長率は2%以下になるとの見方が有力だ。

 インドにとっても、中国は最大の貿易相手だ。中国の経済が減速すると、インドから中国への輸出が伸び悩むことは避けられない。また、最近発生した大停電の影響もあり、インドのインフラ整備の遅れが指摘されている。それは、経済成長を下押しするファクターになる。

 ロシアについては、米国などでのシェールガスの開発が進むにしたがって、ロシア国内から産出される天然ガスの重要性は相対的に低下せざるを得ない。それは、ロシア経済にマイナスの波を送ると同時に、プーチン政権の足元を危うくする要素になりかねない。

 BRICs諸国はそれぞれ固有の問題点を持っているのだが、実は共通する政治・インフラ面での弱点もある。その1つは政治だ。

 中国とロシアはいずれも旧共産圏の国で、実質的に一党独裁体制にある。中国では共産党政権が続いており、今年は10年に一度のリーダーがバトンタッチする年だ。

 今までも、権力移譲に際して権力闘争が激化することが多かったが、現在、世界第2位の経済大国に成長したこともあり、世界中の目が中国の権力闘争に注がれた。今回のリーダー交代に関しては、かなり厳しい闘争が発生したと見られる。

 そうした闘争によって、中国の経済政策の運営が遅れるようなことにでもなれば、世界経済に与える影響は無視できない。すでに、わが国の中国向けの輸出にはブレーキがかかっており、尖閣諸島に絡む問題と相まってわが国の景気の足を引っ張り始めている。株式市場でも、中国関連銘柄の値動きは不安定化している。

新興国をアテにできない先進国
続く欧州不安、期待もできる米国

 また、景気の減速が鮮明化すると、国民の中にも不満が溜まりやすくなる。その不満は、いずれの国でも政権批判につながり易い。それに加えて、政府や官僚システムが未成熟な新興国では、政治の腐敗問題が発生しやすい。

 ロシアでは、プーチン大統領に対する批判の声が高まっており、モスクワで同氏に対する大規模な反対デモが発生している。ガスや原油の価格が下落して大きく収入が減少すると、プーチン政権の基盤が揺るぐことにもなりかねない。

 それと同じことは、景気減速の顕著なブラジルや大停電のあったインドでも言える。特にインドでは、世界最大の停電の後遺症もあり、経済改革のプロセスは停滞しているという。政治とインフラの未整備は、経済発展にとって大きな阻害要因になりかねない。

 欧米経済がなかなか調整局面を抜け出せず、BRICsを中心とする新興国にも大きな期待ができないと、当面、世界経済は牽引役がいない状態で歩んで行かざるを得ない。短期的に見ると、世界経済は、IMFが予想したように減速傾向が鮮明化する可能性が高い。株式や為替などの金融市場は、不安定な展開が続くことになると見る。

 もう少し長めの見方をすると、欧州の景気が悪くなるのはむしろこれからだろう。信用不安に苦しむギリシャやスペインなどが、すぐに解決策を見つけられることは考えにくく、財政支出を絞る以上、経済状況の改善は見込めない。欧州圏が世界経済の足を引っ張る状況は変わらないだろう。

 世界経済の牽引役を探すとすれば、その候補は米国と中国だろう。米国は現在、不動産バブルの後始末の最中だが、最近、不動産価格は下げ止まりの兆候を見せ始めている。

 それが本格化し、今年年末に迫った“財政の崖”を無難に解決することができれば、一般市民や企業経営者の心理状況は改善するはずだ。米国企業経営者の不安が解消すると、労働市場にもプラスの影響をもたらすことだろう。米国経済が本格的な回復過程に戻れば、世界経済を牽引する実力は十分ある。

無事に権力の継承を終わらせ
中国は世界経済を下支えできるか?

 中国にも大きな期待がかかる。9月に認可された高速道路などの工事が進められると、それは経済全体を押し上げることになる。

 また、11月に予定されている共産党大会で、無事に権力の継承が完成し政情が安定すると、政府としても必要に応じて経済政策を矢継ぎ早に打てるようになるはずだ。

 中国経済が以前のような高度成長に戻れば、米国同様、世界経済を下支えすることは可能だ。

 問題は、米・中のいずれも、本格的な景気回復の道に戻るには時間がかかることだ。景気回復が目に見える格好になるまで、世界の株式・為替の金融市場は振れ幅の大きな不安定な展開が続くと見る。
http://diamond.jp/articles/print/26334

【第1回】 2012年10月16日 芥田知至 [三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員]
日米中欧の景気刺激策相次ぐも効果は小さく商品市況は頭打ち
 1カ月前には、政策面で原油や金など国際商品(コモディティ)の市況を押し上げる材料が相次いだ。中国政府による公共投資計画の承認、ECB(欧州中央銀行)による南欧国債の買い取り表明、FRB(米連邦準備制度理事会)によるQE3(量的緩和第3弾)の発表と、市場参加者の平均的な想定よりも積極的な政策対応が行われた。しかし、これらが市況を押し上げる力は長続きせず、9月後半以降、国際商品市況は総じて頭打ちだ。


http://diamond.jp/mwimgs/a/1/-/img_a196070255255d41fc60fad3747e87ec145198.gif
 つまり、以上の政策によって、必ずしも景気が押し上げられたり、国際商品の需要が増えたりするわけではないと市場は見ている。

 中国政府は、景気下振れに対する保険や中長期的に必要なインフラの整備として公共投資を行うにしても、金属需要を押し上げて金属メーカーの余剰設備を稼働させようとまでは考えていないはずだ。ECBの国債買い取りによって、当面、財政不安が金融システムを混乱させるリスクは遠のいたといっても、究極的に欧州各国の財政問題が解決したわけではない。そして、QE3の内容は、想定されたよりも大胆なものであったが、そもそも追加的な金融緩和によって景気や雇用を押し上げる効果には懐疑論が多い。

 もっとも、景気要因だけが国際商品市況を動かすわけではない。むしろ、今年は、それ以外の要因が目立つ展開になっている。

 穀物市況は、北米の干ばつを懸念した高騰が一服しており、足元ではバイオ燃料向け需要の減少や中国向け輸出の鈍化観測が下押し要因になっている。

 原油市況は、引き続き、中東における地政学リスクが押し上げ材料ではある。シリア内戦、イラン核開発、パレスチナ問題などの個別情勢は厳しさを増しており、リビア領事館襲撃など中東全域で反米抗議活動も拡大してきた。それでも2〜3月ごろの高値まで原油市況が上昇しないのは、足元での原油需給の緩和傾向が反映されているといえる。

 そうした中で、金市況は、8月半ば以降、ジワリと上昇傾向を続け、10月に入って年初来高値を更新した。背景には、各国の金融緩和による通貨安予測があるとみられる。例えば、ドル安のヘッジとしてユーロや円を買うのと同様に換金性の高い金を買う場合がある。ユーロ安や円安のヘッジとして金が買われることもあろう。

 もっとも、こうした代替通貨的な市況押し上げ圧力は、原油や銅や小麦などにも働いているはずだ。結局、中国を中心に需要鈍化観測が強まって上値が抑えられているというのが、商品市況全般の現状である。

 引き続き、「通貨安」が金市況の押し上げ材料になりやすい状況が続く。中国経済の回復観測に伴って、商品市況全般が上向き始めるのは来年の春ごろだろう。

(三菱UFJリサーチ&コンサルティング 調査部主任研究員 芥田知至)
http://diamond.jp/articles/print/26357

【第247回】 2012年10月16日 加藤 出 [東短リサーチ取締役]
高インフレに悩むブラジルの
中央銀行が賃上げストの怪
 民間の年間平均給与の推移を見てみよう(国税庁調べ)。バブル経済前夜の1986年は362.6万円だったが、バブルピーク期の90年には425.2万円に上昇した。その後、経済は下降線をたどるが、平均給与は97年に過去最高の467.3万円を記録。そこから下落トレンドに入り、昨年は409万円だった。名目では88年並み、消費者物価上昇率を勘案した実質では80年代半ば並みの水準だ。1000万円超の給与所得者は97年の263万人から、昨年は178万人に減った。

 また、官民格差是正と財政再建の観点から、公務員の給与も引き下げが続いている。多くの国民の給与が下がり、先行き増えていく期待も持てず、かつゼロ%近辺まで引き下げられた政策金利が消費、投資を喚起しない環境の中で、日銀がデフレを、適度なインフレに転換させることは、一般的には容易ではないと考えられる。

 一方、インフレ率が5%を超えているブラジルを見てみると、インフレ目標は4.5%。インフレ率がそれを上回ってきた主因は、高い賃金の伸びにある。

 ブラジル政府は国民の所得水準向上に非常に熱心で、大幅な最低賃金の引き上げが毎年行われてきた。同上昇率は、2年前の実質GDP成長率に、前年のインフレ率を加えるという計算式で決定される。今年はなんと14%だ(2010年の成長率7.5%、11年のインフレ率6.5%)。

 中高所得の人々の賃金は最低賃金に直接連動しないが、賃金交渉の際の参考指標にはなる。このため、先進国に比べはるかに大きい賃上げが毎年行われてきた。所得が増えれば人々は消費を増やすので、企業の価格決定力は高まり、値上げが起きる。それで企業の収益が向上すれば、賃上げが生じる、というスパイラルが発生する(今の日本にはそれがない)。

 日本から見ればブラジルの賃金は毎年十分伸びているように思えるが、それでも民間も公務員も更なる賃上げを目指して激しいストライキを行っている。ブラジル中央銀行の職員も8月に24%の賃上げを要求してストを敢行した。新聞は「インフレ低下がこの機関の役目なのに、職員は大幅賃上げを要求している」と皮肉っていた。

 ストの後にブラジル中央銀行を訪ねた。スタッフに、「ブラジルでは、公務員までもが賃上げを求めてストを行う中で中央銀行はインフレ率を低下させようとしている。一方、日本では公務員も日銀職員も賃下げが続いている中で中央銀行はデフレから脱却しようとしている」と話したところ、「全く逆だなあ」と大笑いされた。

(東短リサーチ取締役 加藤 出)

http://diamond.jp/articles/print/26359


インド経済の追い風なく、ルピー再下落も=村田雅志氏
2012年 10月 12日 18:28 JST
コラム:融資によるソフトバンク買収劇、日銀緩和効果の呼び水か
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コラム:米大統領選での中国叩き、過去と異なる「不吉な前兆」
コラム:IMF総会で千載一遇のチャンス逸したホスト国日本
村田雅志 ブラウン・ブラザーズ・ハリマン シニア通貨ストラテジスト

[東京 12日 ロイター] インド政府は9月中旬以降、「ビッグバン」と呼ばれる経済改革を相次いで打ち出している。

9月13日には、財政赤字の削減を目的にディーゼル燃料の小売価格を引き上げるとともに、補助金付きLPG(家庭調理用ガス)の購入上限を1世帯当たり年9本から6本に削減することを決定。翌14日には、複数ブランドを扱う総合小売業への外資出資比率上限を51%とする外資開放と単一ブランドへの外資出資上限撤廃を閣議決定し、20日には実務的な条件や手続きを示した外国直接投資政策の見直しを発表して即日施行した。

今回打ち出されたインド小売業の外資参入解禁は、実は昨年末の閣議決定後に連立与党の反対を受けて撤回したものとほぼ同じ内容だ。しかし、インドのシン首相は、非効率な流通システムの改善と構造的な食品インフレの緩和が期待できるとして反対勢力を押し切った。また、この他にも資源系の国有企業4社、金属鉱物貿易公社(MMTC)(MMTC.NS: 株価, 企業情報, レポート)、オイル・インディア< OILI.NS >、ナショナル・アルミニウム(NALCO)(NALU.NS: 株価, 企業情報, レポート)、ヒンドスタン・コパー(HCPR.NS: 株価, 企業情報, レポート)の一部民営化方針も決定した。

10月に入っても改革は続いている。4日には、インドの保険業に対する海外企業の出資比率の上限を現行の26%から49%に引き上げるほか、年金基金市場を初めて外資に開放する規制緩和策を閣議決定。チダムバラム財務相は、外国勢のインド年金基金への出資上限を保険と同様に49%に設定する意向を示している。

インド政府による経済改革策の発表後、インドルピーは上昇基調で推移した。ルピーは9月13日時点で1ドル=55ルピー台半ば近辺で推移していたが、インド政府が小売業の外資開放を閣議決定すると54ルピー台前半まで急騰。その後もルピーは対ドルで上昇を続け、10月5日には51ルピー台前半と今年4月以来のルピー高水準に達した。

ただ、ルピーは市場のセンチメントに左右されやすい点に注意が必要だ。現に欧米株が軟調に推移するなど市場のリスク回避姿勢が強まった10月8日以降、ルピーは売りに押される展開となり、12日時点(日本時間午前11時現在)で1ドル=52ルピー台半ばで推移している。

インド政府による経済改革を前向きに評価する見方はあるものの、今後のルピーは伸び悩みが続くと予想される。インド景気の減速、インフレの高止まり、経常赤字と財政赤字の「双子の赤字」の慢性化といったインドのファンダメンタルズは依然として弱いためだ。

国際通貨基金(IMF)は10月9日に発表した世界経済見通しでインドの2012年成長率見通しを7月時点の6.2%から4.9%に下方修正。2013年の成長率見通しも6.6%から6.0%に引き下げた。インド中銀による金融緩和の遅れが内需拡大を抑制しているほか、外需についても欧州や中国の景気減速を背景にインドの成長率は低迷を続けるとの見方が根強い。

景気の減速感が強まっているなら利下げなど金融緩和による景気刺激が期待されるところだが、インドの場合、インフレ率が高止まりしており、インド中銀は利下げに消極的だ。インド財務省は8日発表の報告書の中で、モンスーン期の降雨量不足で食品価格が大幅に上昇していることを主因にインフレが2013年初めまで7.5―8.0%の水準で高止まりを続けるとの見方を示している。

インド中銀は、9月17日の会合で預金準備率を25ベーシスポイント(bp)引き下げ4.50%としたものの、政策金利を8.00%に据え置いた。インド中銀は同国景気の下方圧力は強まっているもののインフレリスクも続いていると声明で指摘していることから、金融緩和を大きく進めることは期待しにくい。

<改革期待が裏切られるリスク>

インド政府による経済改革が今後、変更を迫られる可能性も否定できない。下院で過半数割れしたインド連立政権は、インド社会党などの閣外協力を得るため経済改革の軌道修正を迫られる可能性がある。また、インド政界の影の実力者で、シン首相が所属する最大与党・国民会議派の総裁を務めるソニア・ガンジー氏は貧困層の支援を重視していると言われており、小売業の外資開放により零細商店の倒産が増えるようだとシン首相に対する支援姿勢を変える恐れもある。

また、インドの格下げリスクの高まりもルピーの下押し圧力を強めるだろう。格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は10月10日、インドの信用格付けを今後、引き下げる可能性が大きいと指摘。すでに同社は4月時点で格付け見通しを「ネガティブ」に変更しており、6月にはインドがBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の中で最初に投資適格級の格付けを失う可能性があるとの見方を示していた。

ルピーが上昇基調を続けるためには、インド政府による経済改革姿勢が今後続くとしても、同国のファンダメンタルズや市場センチメントの改善という追い風が必要となる。ただ、残念ながらこうした追い風を期待するのは難しい状況だ。

ルピーの上値は、10月5日に記録した最高値水準であり、かつ2月末から6月下旬のルピー安相場の76.4%戻し水準でもある1ドル=51ルピーで抑えられる展開が予想される。一方、下値は200日移動平均の53ルピー台前半が一つの目安となるだろうが、ユーロ圏債務危機などで市場のリスク回避姿勢が強まる展開となれば再び1ドル=56ルピー近辺まで売られる状況も視野に入れるべきだろう。

*村田雅志氏は、ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのシニア通貨ストラテジスト。三和総合研究所、GCIキャピタルを経て2010年より現職。

関連ニュース
〔外為マーケットアイ〕シンガポールドルが急伸、予想外の金融政策据え置きで 2012年10月12日
インドが保険・年金制度改革関連法案を閣議決定、外資の出資を最大49%認可へ 2012年10月5日
〔外為マーケットアイ〕ユーロ1.3017ドル付近、ECBの政策対応への期待で売りにくいとの声 2012年10月5日
〔外為マーケットアイ〕ドル/円が14日以来の安値、米長期金利の急低下が重し 2012年9月26日
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYE89B01G20121012?sp=true

日経平均が一時8500円割れ:識者はこうみる
2012年 10月 15日 11:53

焦点:IMFが緊縮一辺倒の過ち認める、遅すぎた方向転換
焦点:第3四半期の中国GDP、政府の目標下回る見通し
9月中国CPIが鈍化、PPIは7カ月連続マイナス:識者こうみる
焦点:ソフトバンクの大型買収で日本の海外M&A過去最高に
[東京 15日 ロイター] 午前の東京株式市場で日経平均が一時、7月26日以来約2カ月半ぶりに節目の8500円を割り込んだ。日米の企業業績に対する不安が根強く、投資家のマインドが低下している。

市場関係者の見方は以下の通り。

●節目を大引けで維持するか注目、先物に圧力

<みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト 三浦豊氏>

前週末の海外株式市場が弱く、S&P500とナスダックが下落するなかで、東京株式市場も売り先行の地合いとなった。10月SQ(特別清算指数)値の8517円75銭を下回る場面があったが、きょうの大引けで日経平均が8500円割れとなると、7月や6月安値の8300円前後の水準が下値のメドとして意識され、年初来安値更新の可能性も出てくる。

節目の8500円にはオプションのプットの建玉が多い。8500円から一段安となるとヘッジ売りが出るほか、その状態が続くと裁定解消売りの可能性が高く、先物を中心に売られやすいとみている。

●上値試しづらい、8000円台前半の可能性も

<東海東京調査センター チーフストラテジスト 隅谷俊夫氏>

相場の方向感からすると上値は試しづらい状況といえる。来週から国内企業決算が本格化するが、日中関係の悪化などが下期の企業見通しに影響を与えかねず、株式市場にとってポジティブな話は期待しづらい。量的緩和第3段(QE3)への期待感などから高値圏で推移していた米国株が、さえない米企業業績などを背景に調整含みにあることも日本株の上値を重くしそうだ。すでに1株純資産を割り込んでおり、日本株の下値は限定的とみられるが、企業業績の悪化などで一時的に日経平均が8000円台前半程度まで突っ込む可能性はあるだろう。

日本株が新たな局面を迎えるきっかけとなり得るのは、政局変化ではないか。現状の民主党政権のままではデフレ脱却までは遠く、解散総選挙が待たれる。

●中国懸念が日本株を圧迫

<三菱UFJ投信 戦略運用部副部長 宮崎高志氏>

中国など世界景気減速への懸念が依然強いことが日本株軟調の背景だ。特に日中関係の悪化が日本経済に悪影響を与えるとの懸念が大きく、日本株のパフォーマンス悪化につながっている。9月の中国の貿易統計では輸入は前年比2.4%増加したが、日本からの輸入は前年比9.6%減少した。

日本株が大きく上昇するのは今年の年初のように、米国経済が改善し、米金利が上昇、対ドルで円安が進む時だ。米株高による資産効果で個人消費が支えられていることもあり、米国経済は持ち直すとみているが、「財政の崖」の問題もあり、円安が大きく進むほどには改善しないだろう。このため日本株も当面、上値が重い展開が続くと予想している。

●業績悪化織り込めば年末にかけ反転

<大和住銀投信投資顧問 経済調査部長 門司総一郎氏>

日本株は日中関係の不透明感や企業業績への懸念から上値の重い展開だが、9月中間期の決算発表で業績悪化を織り込めば年末に向けて株価は反転するとみている。欧州債務問題が解決に向けて動いているほか、米議会選挙では共和党が上院も制する可能性が高まっている。議会のねじれが解消すれば、極端な「財政の崖」は回避される。ここから株安、円高が進行すれば30日の日銀政策決定会合での追加緩和期待も出てくる。

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日経8500円割れこうみる:節目を大引けで維持するか注目、先物に圧力=みずほ証 三浦氏 2012年10月15日
今日の株式見通し=小動き、米主要企業の決算を控え様子見姿勢 2012年10月15日
日経平均続落で始まる、企業業績への不安根強く反発力鈍い 2012年10月15日
今日の株式見通し=4日ぶり反発、円高一服などで買い優勢も戻り限定 2012年10月12日
http://jp.reuters.com/article/JPshiten/idJPTYE89E00T20121015?sp=true


 

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