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(回答先: 膨張続ける復興予算 概算要求 3年で22兆円に 復興を名目に予算獲得に走る霞が関 投稿者 MR 日時 2012 年 10 月 12 日 15:45:01)
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復興予算の不当使用に関する役人のとんでもない言い訳
2012/10/12 (金) 14:31
復興予算の流用問題がまた関心を集めています。それは、民主党が、復興予算が被災地復興の目的以外で支出された問題を審議するための衆議院の小委員会をボイコットしたからなのです。
幾ら与党が合意しないと委員会が開けないルールになっているといっても、これだけ国民的関心の高い問題を議論する委員会をボイコットするとは何ごとでしょうか?
いずれにしても、冒頭言っておきたいことがあります。
この問題、世間では「復興予算の流用問題」と呼ばれており、また私も、ブログの記事にするときには、そうした言い方をしてきた訳です。しかし、これ厳密に言えば、正確な言い方ではないのです。何故ならば、予算の流用とは「既定の予算の金額を相互に融通して使用することである」とされており、今回問題になっているような事例は専門用語としての「流用」には該当しないからです。
従って、今回の問題は、復興予算の流用というよりも「復興予算の不当使用」とでも呼ぶべきだと思うのです。
では、今問題になっているような予算の使い方が違法かと言えば、そうとは言えないのです。何故ならば、最初からそのような用途に使うことが明らかにされ、そして、その上で復興予算が成立しているからなのです。
だから、どうしても納得がいかないとすれば、その責任は、そうした復興予算を通した国会にあるとしか言いようがないのです。
但し、以上の議論は形式論であり、常識に従って判断するならば、悪いのは中央省庁の官僚と官僚を指揮すべき大臣などであると言うべきでしょう。
しかし、それでも彼らは屁理屈を言うのです。そもそも復興予算は、被災地のために使うだけではなく「活力のある日本全体を再生」するために使用することが認められているのだから、決して不当な予算要求をしたわけでもなければ、その使い道が不適当でもない、と。
では、一体誰が、被災地以外のために復興予算を使うことを認めたのかと言えば‥それは、政府がそう決定したのだ、というのです。
何でも昨年7月に法律に基づき政府がまとめた「復興基本方針」のなかに「豊かで活力ある日本全体の再生を実現する」と書かれおり、、復興予算は、被災地と密接に関連する他地域の事業に充てられる他、被災地以外の緊急性が高い防災事業も「全国防災対策費」として使うことが認められているのだ、と。
まあ、国民だって、そういう話を聞かされれば「ああ、そう」というだけの話であり、何も絶対に被災地以外では復興予算を使ってはいけない、とまでは思わないのです。
でも、国民は怒っているのです。
何故?
被災地以外で復興予算を使うから?
違います。怒っているのは、どう考えても復興とは関係のない用途に国の大事な予算を使っているからなのです。しかも、そうしたことをマスコミに指摘されても、木で鼻をくくったような言い訳しかしないので、またまた血が上るのです。
でも、ここは少し冷静になった方がいいかもしれません。何故なら、冒頭で言ったように、そもそも予算の「流用」などという間違った用語の用い方をしても、マスコミや政治家、そして我々一般国民の殆ど誰も気が付いていないからです。
だから、本日は、冷静に考えることにし、役人たちがどんな言い訳をしているかじっくりと考えてみたいと思います。
でも、その前に、復興予算とは何か?
復興予算とは、文字通り東日本大震災からの復旧・復興のために使う予算で、5年間で少なくとも19兆円程度を充てる、と言われています。
ただ、注意すべきは、先ほど言ったとおり、この「復興」には、狭義の震災からの復興だけではなく、活力のある日本全体の再生という意味合いがあり‥つまり、最初からボタンの掛け違いというか、我々国民が騙されている面があるのです。
因みに、この復興予算の財源はどのようにして調達するかと言えば‥19兆円のうち10兆5千億円は復興増税で賄うとされており、だから我々は益々納得できないのです。
ところで、その復興予算ですが、先ず11年度の第1次、第2次、第3次補正予算に計約15兆円が計上されました。そして、12年度には一般会計と区分して管理するため復興特別会計が新設され、3兆7754億円の予算が計上されました。
何か変だと思いませんか?
というも、11年度の補正予算で合計15兆円が計上され、そして、12年度の特別会計予算で約3兆8千億円が計上されれば、それで合計19兆円近くになってしまうからなのです。復興予算は、5年間で少なくても19兆円程度になるのではなかったのか?
実は、2011年度の補正予算でついた15兆円のうち、な、な、なんと4割が使われなかったというのです。つまり5兆9千億円もお金が残ったために、4兆8千億円は12年度に繰り越され、1兆1千億円は使い道がないため国庫に戻された、と。
私思うのですが、ここに今回の復興予算の不当使用の背景が隠れている気がするのです。
何故、6兆円近くもお金が残るような結果になったのか?
それは幾ら復旧・復興のために莫大なお金が必要だとしても、復旧・復興の事業を進めるためにはそれなりの時間がかかるので、いっぺんにそれだけのお金を使い切ることなどとてもできないからなのです。
だったら、最初から現実的な予算を組めばよかったものを、と思われる人も多いでしょうが、しかし、もし現実的な規模の予算を組んだら、今度は予算が少なすぎると批判されることが見え見えだったので、余るのは承知で予算を計上したのだと思うのです。
つまり、政治家は、復興のために全力を挙げている姿勢を国民に見せたいがために、大きめの予算を組むことを主張し、その一方で、専門家の官僚たちは、政治家の顔を潰すようなこともできないから、最初から予算の使い残しが発生するのを承知で政治家にお付き合いしたということでしょう。
しかし、そうやって予算が余るようなことが起きると‥そんなにお金が余るなら、だったら何とか復興予算という名目をつけて、今まで予算が認められなかった事業を実施したらいいじゃないか、となったのだと思うのです。
いずれにしても、そうやって不当な使い道に復興予算が使われることになり、今、こうして国民の多くが怒っているのです。
結果、2012年度の復興特別会計では、復興増税や復興債の発行などで3兆7754億円の予算が確保されたのですが、これは「皆、泣こうよ」予算と呼んだ方がよさそうなのです。
そして、今、2013年度予算の策定が行われている最中ですが、各省が提出した概算要求では、総額4兆4794億円になっており、これは「志士、泣くし」予算と呼んだ方がよさそうなのです。
では、今から各省庁の復興予算の不当な使い道とその言い訳をチェックしてみたいと思います。
先ず、経産省。
・経産省 国内立地推進事業補助金 全国の工場などの設備投資を支援 2950億円
復興予算を使って民間企業の設備投資に補助金を交付する「国内立地推進事業」というのがあり、対象事業は510件(総額2950億円)だというのですが、そのうち岩手、宮城、福島の3県での事業はたったの30件ほどだ、と。また、補助を受ける企業のなかにはトヨタ自動車、キヤノン、東芝などの大企業が含まれていると言います。
それにしても、2950億円というのはハンパな数字ではなく、とんでもない大盤振る舞いだと思うのです。どう思います?
まあ、こうした指摘に対して、役所が何と言っているかと言えば‥「復興に関係ないとか予算流用と非難されるのは誤解だ。復興の基本方針で必要性が示されている」「選定に当たって被災地への貢献度も評価されている」「(国会などで批判されている岐阜県関市のコンタクトレンズ工場の案件についても)被災地の企業から重要部材を購入しており、経済波及効果がある」
ですって。
次、文科省。
・文科省 日本原子力研究開発機構運営費 青森・茨城両県での国際熱核融合実験炉の研究 107億円
このうち、東京電力福島第一原発事故の収束や除染に関する技術開発費などを除く42億円は、日本やEU、米国、中国など7カ国・地域が核融合エネルギーの実用化を目指して共同で進める国際熱核融合実験炉(ITER)の研究事業に充てられており、そして、ITERは、日本国内では青森県六ケ所村と茨城県那珂市に研究拠点があるというのですが‥
文科省などがどう言っているかと言えば、
「除染などの研究開発などに約65億円、青森県と茨城県に核融合に関する国際的な研究開発拠点を構築するために42億円を使います。地元大学などと連携して核融合に必要な基礎的な研究を行い、成果を蓄積すれば被災地の復興、発展の原動力になる」「被災地の研究拠点を通じて、復興を支える技術革新を促進できる」
次、外務省。
・外務省 アジア大洋州地域、北米地域との青少年交流 この地域の青少年との被災地での交流 72億円
青少年交流がどう復興と関係するのか?
これに対して外務省は、「被災地は元気だと海外に発信するとともに、放射能の不安を払拭したい。何回も実施して復興の努力を伝えていきたい」
次、内閣府。
・内閣府 沖縄の国道整備 緊急輸送道路の整備 34億円
沖縄の道路整備?
内閣府は、「津波などに備え、被災地以外でも使える『全国防災対策費』を適用した整備で問題ない」と。
次は、農水省。
・農水省 鯨類捕獲調査安定化推進対策 シー・シェパードなどの反捕鯨団体の妨害対策 23億円
農水省は、「調査捕鯨で得られた鯨肉が、宮城県石巻市の産業復興に貢献した」「宮城県石巻市に捕鯨基地があるから」
次は、財務省。
・財務省 国税庁施設費 首都圏など12庁舎の耐震改修工事 12億円
2011年度の3次補正の復興予算で、12億円を使って12の税務署の耐震改修をやったのだ、と。大阪福島、姫路、荒川、龍ヶ崎、古河、富岡、向島、藤沢、館山、武蔵野、柏原、舞鶴。そして、2012年度の復興予算にも、大阪福島、姫路、荒川の3税務署の改修予算5億6000万円が計上されているのですが、これについて財務省は、「(首都圏などの税務署の耐震化は)納税者の安全を確保する」「震災時の業務継続のため」だと。
それから、法務省もあります。
・法務省 受刑者の職業訓練費 2800万円
これについて、法務省は、
「(埼玉県や北海道の刑務所での職業訓練の拡大については)被災地で仕事に就くかもしれないから」だと。
あと、防衛省もあるんです。共産党さんが調べているんですが‥
・2011年度3次補正予算にC130輸送機6機分(約150億円)、C2輸送機2機分(約290億円)の計約440億円分をもぐりこませている。
これについては、「自衛隊の輸送機であるYS11、C1が、東日本大震災に際して被災者の救助にあたる自衛隊の人員、物資の輸送や全国からの支援物資の輸送などに全力であたったことによる「飛行時間の急激な増加」で、「運用停止期間が前倒しで到来した」」
・2011年度1次補正予算に「スパイ衛星」の関連費用が、情報収集衛星施設整備費として4600万円計上されている。11年度第4次補正予算からは165億円支出。
これについては、「(情報収集衛星の運用目的には)大規模災害への対応も入っている」と。
・2011年度年度3次補正予算には「実用準天頂衛星システム事業推進調査」の費用として7億円が計上。
準天頂衛星システムとは、日本のほぼ真上に測位衛星を配置し、米国が運用するGPS(全地球測位システム)を補完・補強するものだと言いますが‥ただ、GPSを補完するだけではなく、衛星の発する測位信号が米軍のミサイル誘導や無人機制御など軍事活動に利用される可能性があるのだとか。
これら以外にもまだまだあり、そして、2013年度の概算要求でも同じようなものが要求されているのです。
事業の中身を改めてチェックしていくと、そうした事業が必要だと言われれば、確かに直ぐには否定できないのですが‥それにしても、復興予算として付けるようなものではないだろう、というのが大半です。つまり、どうしても必要なら一般会計予算で要求すればいいではないか、と。
でも、一般会計予算の方は、前年度比の伸び率がきつく決められてしまうので、なかなか認められない、と。その点、復興予算の方は、幾ら額が増えても元々総額19兆円までは認められるのだ、と悪乗りしているということではないでしょうか?
いずれにしても、予算を沢山ぶんどってきた役人がいい評価を受け、出世に有利になるような価値観を改めない限り、こういった出来事が改めれられることはないでしょう。
そして、そうした役人の行動をチェックするために役所に乗り込んだ民主党の政治家たちも、役人の価値観に染まってしまい、沢山予算をぶんどったことを誇らしく思っているとしたら、こうしたことが起こらない方が不思議なのです。
国民はこの問題に憤って当然だと思うのですが、それと同時に、前年度の補正予算が6兆円近くも使い残しになった事実に対して、もっと報道されてしかるべきだし、憤るべきだと思うのです。
何故、そんないい加減な予算を編成したのか、と。
http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2012/10/12/017314.php
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