http://www.asyura2.com/12/hasan77/msg/884.html
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http://ameblo.jp/eiichiro44/entry-11376580245.html
ダイアモンドオンラインの中に、野口悠紀雄氏の記事がある。彼の肩書は「早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問」。そのもっともらしい肩書に、ミスリードされる閲覧者は多い事だろう。
9月27日には「金融緩和のエンドレスゲームに突入する世界 」と称した大袈裟なあおり記事があった。記事の出だしには、「日本銀行が追加金融緩和に踏み切った。ヨーロッパ中央銀行(ECB)、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)に続く緩和措置である。」(野口氏)とある。
繰り返しに なるが、ECBは、彼ら(野口氏)のニュアンスをもってする「金融緩和」を行った試しは一切ない(OMTにしても不胎化される)。ECBのバランスシートが大きくなっているのは、あくまで担保・条件付きのオペ。その長短市場操作は、資金が吸収される事を前提としている。
オペの区別や欧米中銀のスタンスの違いに言及することのない、このような記事によって、閲覧者はミスリードされる。
以前にも三橋某といった「金融とは無関係の経済評論家」の批判をさせて頂いたが、「国債を買っている」=「量的緩和」と訴えかける記事には、このところウンザリしているのが現状だ。 オペの内容も理解できない経済評論家がなぜ「QE、量的緩和」を論じるのか?自分の知っているところでは、日銀批判をするのは金融オンチしか存在しない。
引き続き、野口悠紀雄氏の記事に「ツッコミ」を入れてみよう。
>日銀が緩和措置をとったのは、ECBとFRBの緩和措置によって、円高になる懸念があったからだ。(野口氏)
この後も、彼の「主観」は続いている。中銀の緩和措置と為替レートをリンクさせて論調するのは、厳密な意味において誤認の論理であり、少なくとも中銀は、為替レートをターゲットにする事を明言しない。これは幾度となく繰り返してきた。
>「金融緩和は資金流出をもたらすので、自国通貨を減価させる」というのが、教科書的なメカニズムだ。今回は、どちらのケースにおいても、教科書にあるのとは逆の結果になった。(野口氏)
QE発動当初は、利回り低下期待とともに資金は債券市場から株式市場へ移動する。その結果、FRBの意図とは裏腹に、緩和措置発動当初は国債利回りは上昇する事になる。この事に関しては以前より繰り返し主張 してきた。(以下過去エントリーから。09年3月18日、長期国債3,000億ドル買取前後の米国債10年利回り)
結果として、QE発動当初は、円高どころか円安の方に触れる。これは市場関係者の中では「知れた事実」だといえる。その後、彼(野口悠紀雄氏)は、「つまり、QE2は長期金利を下げなかったのである」とあるが、「今さら感」は拭えない。
参考記事
◆なぜ円ドル相場は午後10時半に急変するのか
http://www.excite.co.jp/News/economy_clm/20121010/President_7381.html?_p=2
***** 金利と株に比べて為替は難しい
私は為替のトレーダーだと思われていることが多いが、モルガン銀行では銀行の自己勘定での取引を行っていた。プロプライアトリー・トレーディングという。この投資で最も利益をあげたのは金利商品。次いで株式。3番目が為替だった。為替は難しいのだ。私は長期的な視点で投資をするが、金利と株は、ある程度、経済原理が働く。景気の方向を読み取れば株と金利の予想は当たりやすい。
一方、為替は予想が難しい。何が最終的に為替レートを決定するかは、よくわからないというのが本当のところだろう。特に短期的な為替の動きは、いま市場が何に注目しているかの見極めがポイントだ。為替は美人投票と言われるゆえんである。
1日の時間帯では日本時間の午後10時半(ニューヨークが夏時間の場合は、午後9時半)に大きく為替が動くと言われる。その時刻に多くの米国経済指標が発表されるからだ。日本で市場の方向自身が変わることはあまりなく東京市場では米国市場のトレンドを引き継ぐことが多い。
午後10時半に動くのは為替だけではない。私がモルガン銀行でディーリングをしていたころには、米長期金利つまり米国債のマーケットも大きく動いた。当時、注目されていた指標はマネーサプライ(通貨の流通量)だ。エコノミストの仕事も、マネーサプライの増減を予想することだけと言っても過言ではなかったほどだ。マネーサプライが増えるとインフレ懸念が出てきて、結果として長期金利が上がるからだ。私も家で食事を取った後に車を運転して会社に戻り、午後10時半頃には、みんなでモニターを凝視していたものだ。
FRB(連邦準備制度理事会)の職員が、インサイダー取引で、逮捕されたこともあった。この職員は、窓のブラインドを上げ下げして、外部の人にマネーサプライの増減を伝えていた。マネーサプライの数字によって瞬時に国債価格が大きく振れたからだ。1分でも早く情報を知った外部の人間が、それで大もうけすることができたのだ。
為替の場合、米国の金利が上がって日米の金利差が開くとドル円相場が動くことがある。その場合、投資家が米国債を買うために日本国債を売って円をドルに替えるから、ドル高・円安になると説明されることが多いが、実際はそんな悠長なプロセスを踏まない。
為替の先物市場でのドル買いが直物のドル買いを引き起こすからなのだが、このようなことは為替の教科書には書いていない。…
実需よりも、まずは投機筋が経済データに反応することにより、為替が動くのだ。
為替は短期的には予測できないが、長い目で見れば国力を反映するものだと思っている。しかし、最近のドル円相場は国力を反映しているとは言い難い。バブル経済絶頂期で日本経済が大変に強かった頃に、1ドルは140円前後だった。それが、いまは景気も悪く財政も大赤字で1ドル200円になってもおかしくないのに、逆に円高になっている。このせいで日本経済が低位安定してしまった。
ドル円相場が国力を反映していないのは、日本のマーケットが整備されておらず経済原理が働いていないためだ。世界最大の金融機関であるゆうちょ銀行が金利1%そこそこの国債を買い続けている。本来なら高いリターンを求めドルにも分散投資すべきなのに、そうしないから金利が低位安定し円高が続いている。その点からしても日本は社会主義の国と言っていい。市場原理が働かないから円高が続き企業の競争力も復活しない。市場をきちんと整備することが日本の急務と言えるだろう。
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