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「しんぶん赤旗」 2012年10月9日(火)
マルクスの考え 英BBCが検証/資本主義の危機を大きく説明
英BBC放送は今月1日、カール・マルクスの資本主義分析に焦点をあてた1時間番組を放映しました(3日に再放送)。シリーズ「マネーを極めた人たち」の3回目(最終回)。ケインズ経済のケインズ、自由主義のハイエクに続く登場です。シリーズでは「(3人が)いかに20世紀を形づくるのに一役買い、今日の世界に大きな影響力を行使し続けたか」を、BBCの経済担当編集者ステファニー・フランダーズさんが検証します。
フランダーズさんは番組で、マルクスの資本主義の“崩壊”の考えは「間違っているように思える」と述べていますが、それでも「最近の不況は普通でない。資本主義の危機のようだ。マルクスほど大きな説明をした人はいない」と語っています。
さらに「今日、世界のビジネスの中心で、資本主義についての彼の考えが真剣に受けとめられている」と報告し、インタビューしたスイスの大手銀行UBSのジョージ・マグナム氏の次のようなコメントを紹介します。
「彼(マルクス)の分析はとても当たっており、今日、経済で起きていることの多くを説明している」
ゆかりの地訪ね
フランダーズさんはマルクスの考えをこう紹介します。
―「世界は資本家と労働者に分かれ、その対立が危機の要因」
―「資本家はもうけのため労働者への支払いを絞る」
―「資本家が労働者に売ろうとするものを、労働者が買うのに十分なマネーを持たないときに、危機となる」
フランダーズさんは番組でこれらを検証していきます。マルクスゆかりの地を訪ねながら、マルクスに批判的な論者のコメントを織り込み、視聴者に問題を投げかけながら進みます。
彼女は、資本家がもうけのために労働者の賃金を抑えて労働者と利害が対立することを、19世紀の炭鉱現場、80年代のレーガン、サッチャー時代、今日の格差の劇的な拡大などで跡付けます。
革命の条件は…
フランダーズさんはマルクスの革命についての考えにも言及。「マルクスは世界を解釈するだけでは不十分で重要なのは変えることだと述べた」が「革命を急がなかったようにみえる」と述べて、「資本主義から得られるすべてのものを得たときに革命をなしえる」とマルクスは考えていたと紹介します。
しかし彼女は、マルクスが解明した、訓練され組織された労働者階級の反抗の増大など資本主義に代わる社会への諸条件の具体的内容には踏み込んでいません。
フランダーズさんはソ連・東欧について「マルクスが予見した豊かで発達した国での革命はなされずに、貧しい国ロシアで起きた」と振り返ります。そして「より公正な対案を求める人たちは、ベルリンの壁の東側で起きた独裁、政治的抑圧、人々の生活破たんを繰り返してはならないことを承知している」と語っています。 (ロンドン=小玉純一)
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BBC Two Masters of Money
http://www.bbc.co.uk/programmes/b01n6z4s
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