http://www.asyura2.com/12/hasan77/msg/766.html
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http://www.mmc.co.jp/gold/market/toshima_t/2012/1269.html
ギリシャ・スペインの反緊縮デモは暴徒化してきた。中国の反日デモ、中東の反米デモ、欧州の反緊縮デモ。共通項は、最初に最大の痛みが及ぶ低所得者層が理性を失いつつあることだ。
理性を失うと、経済論理も無視される。ギリシャのユーロ離脱、ドラクマへの復帰シナリオはどうみても非合理的である。それにより最も打撃を受けるのが、外ならぬギリシャ国民だ。しかし、「ユーロにこだわるから、これほどの緊縮を耐えねばならぬ」という短絡的思考が共感を呼ぶ状況になりつつある。「ドラクマに復帰すれば通貨切り下げで輸出競争力が回復。2015年までにギリシャ経済は復活する。韓国、アルゼンチンの例を見よ。」とのエコノミストの論調が現地メディアで好意的に紹介されたりする。
アテネのデモ暴徒化は、「ギリシャの無秩序なユーロ離脱」というテール・リスクを顕在化させた。
本欄では7月から「ギリシャ9月危機説」に言及してきた。また、マーケットの欧州危機感が後退したリスクオンの時点でも、「ギリシャ問題は未だ6回裏。これからクローザーの出番も、延長戦の可能性もある。」と書いてきた。本稿では、ユーロ離脱で「コールド・ゲーム」となる可能性も、と述べておく。
そして、スペイン。
ここでも、痛みが真っ先に弱者を襲っている。
新著では、欧州現地ルポの「小さなギリシャを抱えるスペイン」の原稿で、バレンシア州の例を挙げた。
「学校への運営経費支出が滞り、2011年分の予算が2012年2月にやっと執行されたという。そのカネは、溜まったツケの支払いで瞬時に消えた。そこで、当座の清掃費やら給食補助費やらは、保護者が一部出し合ってしのぐ。その保護者や生徒たちがデモをしたところ、警察に道路に押し付けられるという映像がTVで流れ、問題化した。」
そのTV局で、あきれた例がある。
同州のRTVVという地方局が、なんと1700名もの従業員を抱えていた。そこで1300人をレイオフするというリストラとなったのだが、これに強く反発した社員が番組放送を中断したのだ。
ここで浮彫になった事が、欧州に見られる「クローズド・ショップ制」の弊害。
この制度は、元々、イギリスの産業革命で、手工業の熟練労働者より低賃金の単純工が増え、熟練労働者が自衛策として職業別組合を結成したことに始まる。
企業は特定の職業別組合に加入している労働者のみを雇用する。
職業別組合では、技能の水準に即した賃金が設定され、それ以下の賃金での労働を拒否できる。
企業としても熟練労働力の確保というメリットがあった。
しかし、長年の労使慣行により、職業セクターが細分化され、被雇用者数が膨張する結果となる。
RTVV局の例などは、その最たる現象であろう。
いま、スペイン政府は、非効率化した労働市場の改善に取り組み始めた。しかし、労働者は必死に既得権の確保に動く。対するラホイ首相としては、救済を要請するには、断固とした労働市場の構造改革という条件を受け入れざるを得ない。
更に、国民生活への打撃としては、付加価値税が3%(食料品は2%)上がって、21%となった影響が大きい。
慈善団体の報告レポートでは、60万人が無所得、22%の世帯が「貧困状況」と認定されるという。
それでも、スペイン人のプライドは高い。
慈善団体が貧者への食糧配布センターを建設しても、慈善団体の看板は一切掲げず、一見普通のスーパーマーケット風にする配慮までしている。「人間としての尊厳」と厳しい現実との狭間に庶民は呻吟し、一部は自棄気味に暴徒化する。
「ギリシャと同列に扱われる」ことへの強い抵抗感も容易に消えぬ。
ラホイ首相が「屈辱的なギリシャ並みの条件つき救済」を申請すれば、デモは更に激化しよう。(豊島逸夫)
◆銀行からの借金を踏み倒して復活したアイスランド
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=269230
*****DIYは、復活にも貢献
アイスランドというDIY国家が面目躍如なのは、実はバブルが崩壊してからだ。3大銀行がGDPをはるかに超える負債を抱えて国有化されると、その債務をどのように処理するかが問題になった。
アイスランド政府は当初、銀行を破綻処理して債務を帳消しにすることを検討したが、預金者の多くは高金利に魅かれたイギリスやオランダの個人投資家たちで、両国政府は、アイスランド政府が元本返済の責任を放棄するなら国交を断絶すると通告した。アイスランド国民は、このままだと未来永劫、借金を返すためだけに税金を納めつづけなければならなくなり、国外への移住希望者が殺到した。まさに国家存亡の危機だ。
ところがその後、数年のうちにアイスランド経済は奇跡の復活を遂げることになる。その理由は、2度の国民投票によって、ファンドや年金基金、金融機関や事業法人など“プロ”の大口債権者からの借金を踏み倒したことだ。こんな離れ業が可能になったのは、ギリシアのようにユーロ圏に入っておらず、スペインやイタリアよりもはるかに経済規模が小さいため、ヨーロッパを襲ったユーロ危機のなかではとるに足らない話だと扱われたからだろう。そのうえ通貨クローナの価値が対ドルでほぼ半分になったことから、輸出産業が息を吹き返した。
アイスランドは11年8月に国際通貨基金(IMF)の支援プログラムから脱し、12年2月には国債の信用格付が投資適格のBBB-に戻った。恒常的な財政赤字に苦しむ南欧諸国とちがって、DIYの国アイスランドには過剰な福祉制度がないからだ。
*****自己責任の徹底がもたらしたもの
もともと投資は自己責任なのだから、「民間銀行の預金を政府が無制限に保護する理由はない」というアイスランド政府の主張は正論だ。アイスランドは「市場原理主義」によって巨大なバブルを起こし、同じ「市場原理主義」によって短期間に復活したのだ。
レイキャビクの首相官邸は、柵もなければ警備員すらいない芝生の中の小さな家だ。金融危機のあと、この家の住人になったヨハンナ・シグルザルドッティルは女性脚本家と結婚し、同性愛をカミングアウトした世界初の首相だ。もともとアイスランドはマッチョな男社会だが、こんなところにも「ちゃんと仕事をしてくれればプライベートなんて関係ない」というDIY精神が顔を覗かせている。
アイスランドの最大の観光地といえば、海底から湧き出る温泉を利用した大露天風呂ブルーラグーンだ。徹底的に効率化した施設運営でも知られていて、施設内のすべての支払いはICチップを埋め込まれたロッカーキーに記録され、出口でまとめて清算する。露天風呂にはバーがあってソフトドリンクのほかにビールやカクテルも販売されているが、監視員がいるわけではない。
ロッカーには、この国を象徴する次のような文章が各国語で掲示されている。
「ブルーラグーンにご入場されたお客様は一切の責任をご自身にて負っていただくことになります」
筆者は、アイルランドのDIY文化を「自己責任の徹底」と呼び、「『市場原理主義』によって巨大なバブルを起こし、同じ『市場原理主義』によって短期間に復活した」と表現している。
しかし、むしろ重要なのは、アイスランドが国民の総意を経て金貸しの支配の世界から離脱し、素朴な自給自足の世界に戻っていったという点ではないか。いずれにしろ、世界金融危機で破綻に陥った比較的規模の小さな国家は、今後、アイルランドのような道を選ぶ可能性が高い。(田中素)
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