http://www.asyura2.com/12/hasan77/msg/741.html
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http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MAZ5F36JIJVY01.html
ブルームバーグ:資産家で著名投資家のジョージ・ソロス氏は、「過小評価された通貨」を用いて通貨準備を積み増す中国の成長戦略は終わりに近づいたとの見解を示した。ニューヨークでのイベントで語った。
ソロス氏は「中国をけん引してきたこの成長モデルは寿命が尽きている」とした上で、「変える必要がある」と指摘した。また成長減速は「政治指導部にとって極めて大きな問題となるだろう。成長が中央政府の権力を強固にしていたからだ」と説明した
◆人民元国際化に政治の壁、通貨危機リスクも
http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPTYE88P02820120926?sp=true
<人民元国際化は既得権益層の解体を招く>
・・・中国人民元の国際化を進めるのであれば、必然的に内外の資金移動の規制緩和・自由化を進めることが必要となる。では、内外の資金移動の規制緩和・自由化がどうして中国の現在の既得権益層の解体的な再編につながるのか。最後の論点を説明しよう。
ご承知の通り、中国では現在まで預金金利も貸出金利も当局によって規制・管理されている。現在、輸出や中国国内景気の失速によって中国系企業の利益は大きく減少しているが、国有銀行を中心とした銀行部門は規制された預金と貸出の利鞘のおかげで空前の高収益を上げている。中国の銀行部門の利益のほとんどは制度的に保護された利鞘(経済学では「エコノミック・レント」と呼ぶ)と言えよう。
そして、国有企業や地方政府は国有銀行から優先的な融資を受けることで、不動産事業などで莫大な収益を稼ぎ、国有銀行・国有企業・地方政府(その経営陣は党組織の官僚も兼ねている)に共通する強い既得権益構造ができあがっている。ところが、内外の資金移動を自由化すると、必然的に国内の規制金利体系は維持できなくなる。
人民元の海外市場での金利の方が国内規制金利より高ければ、資金は海外に流出し、国内の資金需給は逼迫する(金利上昇圧力)。反対なら海外から資金が流れ込んで、国内の資金需給は余剰になる(金利低下圧力)。規制金利と市場金利の格差を裁定する取引も活発になり、規制金利は市場金利に収斂(しゅうれん)せざるを得なくなるからだ。その結果、中国銀行部門のエコノミック・レントとしての利鞘も消滅するだろう。これは前述の国有銀行・国有企業・地方政府・党官僚の強固な既得権益を損なうことになる。
日本では円の国際化と金利の自由化は80年代に進んだ。日本でこの動きが政治的に大きな変化なく起こったのだから、中国でも同様だと考えるのは、大きな間違いだろう。当時の日本には今の中国のような国有銀行・国有企業・地方政府・党官僚の強い既得権益構造に相当するものはなかったからだ。
失脚した薄煕来一族が巨額の資産を海外に移転していたように、この既得権益構造で莫大な富を稼いだ超富裕層は、自らは特権的な地位を利用してその資産を海外に移す一方で、もし対外投資を自由化すればもっと大規模に富裕層の資産が海外に移転し、制御できない事態になる危険性をよく承知している。
したがって、現実に起こりそうなシナリオとしては、人民元の国際化の前提条件となる内外資金の規制緩和は、それが引き起こす「都合の悪い」変化が見えてくれば、既得権益層の政治的な抵抗で頓挫させられるだろう。この既得権益層の利害に逆らって、経済・金融構造の変革(第二の革命)を成し遂げるような政治勢力は今の中国には見られない。
また、自由な市場機能にそもそも信頼を抱いておらず、官僚による指令主義的志向の強い中国政府は「管理された人民元国際化」を志向しているとも言われる。しかし、それは概念矛盾に他ならない。既述の通り、トリレンマの原理が示す選択肢は「管理されたローカル通貨」か「取引自由な国際通貨」しかあり得ないのだ。
あるいは、国内の規制金利を維持しながら、「人民元国際化=内外資金移動の規制緩和」という政策的に不整合な路線を志向してしまうかもしれない。政治的な理由で経済原理に反した制度・政策の大きな不整合を犯した場合、最終的には巨大なしっぺ返しを引き起こすことは、すでにアジア通貨危機を例に述べた。また、現下のユーロ圏のソブリン金融危機が見せつけてくれていることでもある。同種の過ちを中国が将来犯す危険性は、筆者は決して低くないと思っている。(竹中正治/抜粋)
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