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世界は問題先送りの限界に直面 問われるトップの指導力
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投稿者 MR 日時 2012 年 9 月 26 日 05:47:30: cT5Wxjlo3Xe3.
 


世界は問題先送りの限界に直面

問われるトップの指導力

2012年9月26日(水)  ノリエリ・ルービニ

ECBもFRBも大胆な金融政策を打ち出したが、いずれも根本的な解決にはつながらない。世界は、時間稼ぎを重ねてきた結果、問題は膨らみ、先送りを許さない事態となりつつある。先進国、新興国を問わず抜本的解決策を打てるか、トップの指導力が問われている。
 金融市場は7月以降上昇を続けている。世界経済や地政学的見通しがこれ以上悪化することはないだろう、との期待感からだ。たとえ悪化しても、中央銀行が経済と市場の底割れを防ごうと、すぐに量的緩和といった追加の流動性供給策を導入するはずだ、との思惑も金融市場を支えてきた。

 つまり、経済の明るい材料や予想ほど悪くない材料が市場を牽引しているだけではない。悪材料さえも好材料と受け止められているということだ。

 悪材料は、ベン・バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長やマリオ・ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁をはじめとする中央銀行の「火消し役」が、莫大な資金を市場に投入して事態の鎮火を図る可能性が高まることを意味するからだ。

ECBの決定は根本解決ではない

 だが、好材料のみならず悪材料でも値上がりするような市場は、安定した市場とは言い難い。こうした市場環境では、経済動向が悪化し、政策当局者の能力に対する信頼感が低下すれば、投資家のセンチメントが悪化して、再び「リスク回避」志向が強まる公算が大きい。

 ユーロ圏では、ECBが重債務国の国債を無制限に買い入れるという決定を下したことを受けて、ユーフォリア(陶酔感)が広がっている。だが、今回のECBの決定は、状況を根本から変えるものではない。危機を乗り切るために必要な困難な措置を実施するための時間を政策当局に与えただけだ。

 政策当局が直面している課題は非常に厳しいものである。緊縮策を前倒しし、信用割り当てが厳しくなるに従い、ユーロ圏の景気後退は深刻さを増している。ユーロ圏の銀行及び各国の国債に対する評価がどんどん分裂・分断化していく中で、成長を回復し、対外収支を均衡させ、競争力を復活させるマクロ経済政策を追求しながら、銀行同盟や財政・経済の統合を成し遂げることは、極めて困難だろう。

 ECBの支援ですら、どこまで当てにできるか分からない。ドイツ連邦銀行を筆頭に、金融政策のタカ派と目される欧州中核国の中央銀行は、ECBの権限内とされる新たな無制限の国債買い入れの影響を懸念し、買い入れ対象国に厳格かつ実効的な条件を課すことに成功した。この結果、厳格な基準が守られない場合には、支援が打ち切られることもあり得る。

ECBに解決策を委ねたドイツ

 さらに、ギリシャが2013年にユーロ圏を離脱する可能性は十分あり、その場合、スペインやイタリアの事態が他国に波及しないよう強固な防火壁を構築しておくことが間に合わなくなる恐れもある。スペインは今やギリシャと同様に不況に突入しつつあり、トロイカ(ECB、欧州委員会、国際通貨基金=IMF)による全面的な救済を余儀なくされるかもしれない。

 こうした状況の中、ユーロ圏周辺国における緊縮疲れと、中核国による救済疲れのせめぎ合いが、ここへきて一層激しさを増している。

 それだけに救済資金の増額を議会に諮ることが政治的に不可能なドイツが、ECBに救済責任を委ねたことは当然とも言える。ECBだけが、民主的な手続きによって選出された議会を迂回できる機関だからだ。

 だが繰り返すが、すぐにも成長を回復するための政策を導入しない限り、流動性を供給するだけでは、ユーロの崩壊を先送りすることはできても、崩壊を食い止めることはできない。

 ユーロが崩壊すれば、最終的には経済・貿易の統合は瓦解し、単一市場の崩壊へとつながっていくことは避けられない。


各国の政治トップが指導力を発揮できるかが現在、直面する課題を解決できるかどうかのカギを握る。左からオバマ米大統領、メルケル独首相、中国国家主席に就任予定の習近平氏、ロシアのプーチン大統領(写真左端・左から2番目:AP/アフロ、左から3番目:代表撮影/AP/アフロ、右端:ロイター/アフロ)
オバマ再選でも難しい政局

 米国では、一向に回復の兆しを見せない労働市場を含め、直近の経済指標は、成長が極めて緩慢で、今年7〜12月のGDP(国内総生産)伸び率が1〜6月の年率1.6%を大幅に上回る公算は小さいことを裏づけている。

 しかも、民主・共和両党の対立が一段と激しさを増し、いかなる政策も決められない事態に陥っていることを考えると、予算や債務上限の引き上げ交渉を巡りさらなる波乱が待ち受けていることは想像に難くない。

 米国債のもう一段の格下げの可能性も否定できない。また、持続可能な財政を実現すべく中期的な財政再建に向けた道筋について両党が合意に至ることもできないだろう。

 11月にバラク・オバマ大統領が再選されても、こうした事態を回避できるとは思えない。それどころか合意が成立するのは、政治的抵抗が少ない部分だけであることを覚悟した方がいい。

 債券自警団*1が目を覚まし、長期金利が急騰し、財政赤字削減に向けて政治家が動かざるを得ない状況になるまでは、財政上の厳しい選択は後回しにされるだろう。

*1=当局の金融財政策に対して債券売りで抗議する投資家

 中国では、投資バブルが収縮し、純輸出が減少するに従い、経済がハードランディングする公算が大きくなっている。だがその一方で、過剰貯蓄を引き下げ、個人消費を拡大するための必要な構造改革は遅れている。

 欧州や米国と同様、中国でもさらなる金融緩和を行い、財政・信用刺激策を展開し、問題を先送りすることによってのみ、2012年に最悪の事態が起きることを回避できよう。

 だが、そうして問題を先送りすれば、2013年にハードランディングが起きる公算が大きくなる。景気刺激策の効果が薄れ、不良債権が積み上がり、投資バブルの崩壊が加速する中、地方政府と傘下の特別投資会社が抱える債務の借り換え問題は、もはや覆い隠せないところまできている。

 このような状況下にあってもなお、新しい指導者は自らの権力基盤の構築を慎重に進めようとすることから、構造改革は極めて緩慢なペースにとどまる可能性が高い。そのために社会的、政治的な不安が高まると予想される。

 ブラジル、インド、ロシア及びその他の新興国も状況は同じだ。先進国の景気低迷を受けて輸出主導型の成長余地が小さくなっているにもかかわらず、ほとんどの新興国はそうした状況に対応できていない。民間部門を育成し、生産性を上げるための構造改革を先送りにしてきたのだ。

 しかも、これらの国が経済運営の柱としてきた「国家資本主義モデル」は、早晩限界を迎える。従って、新興国の最近の成長減速は、単に先進国の成長低迷や景気後退といった循環的要因が逆風になっているだけではない。構造的な要因も一因なのだ。

 地政学的情勢も同様に困難を極めている。世界の主要国は依然としてイランとの交渉を続け、経済制裁を科すことで、イランに核兵器の開発への取り組みを放棄させようとしている。だが、イランは時間稼ぎをして核開発を急ぎ、もはや手出しできない状態となることを狙っている。

 2013年までに正しいか間違っているかはともかく、イスラエルがイランの核開発計画を実際的脅威と見なして、あるいは核武装したイランの封じ込めに反対してきた米国が軍事攻撃を決断するかもしれない。その場合は戦争となり、原油価格の急騰を招くだろう。

先送りした問題は膨らむばかり

 問題の根底にあるのは、効果的な対策を打ち出せない政府と指導者の力不足である。民主主義においては、選挙が頻繁に繰り返されることで、近視眼的な政策が取られやすい。

 中国やロシアなどの一党独裁政権では、指導者は既得権益や政治基盤の弱体化につながる急速な改革に抵抗する。その間、腐敗や、法制度や政策を捻じ曲げてでも自己の利益を追求する(=レントシーキング)政治家に対する国民の怒りが抗議行動という形を取って表れ、社会不安が高まっていく。

 このように誰もが問題の先送りを続けるうちに、問題は膨らむばかりだ。今や先進国でも新興国でも、壁が目前まで迫っている。政策当局はこの壁(=問題)に当たって砕け散るのか、それともビジョンを示して指導力を発揮し、この壁(=問題)を安全にうまく解体(=解決)するのか、いずれかを選ばなければならない。

国内独占掲載:Nouriel Roubini c Project Syndicate


ノリエリ・ルービニ

ニューヨーク大学スターンビジネススクール教授。経済分析を専門とするRGEモニターの会長も務める。米住宅バブルの崩壊や金融危機の到来を数年前から的確に予測したことで知られる。

Project syndicate

世界の新聞に論評を配信しているProject Syndicationの翻訳記事をお送りする。Project Syndicationは、ジョージ・ソロス、バリー・アイケングリーン、ノリエリ・ルービニ、ブラッドフォード・デロング、ロバート・スキデルスキーなど、著名な研究者、コラムニストによる論評を、加盟社に配信している。日経ビジネス編集部が、これらのコラムの中から価値あるものを厳選し、翻訳する。

Project Syndicationは90年代に、中欧・東欧圏のメディアを支援するプロジェクトとして始まった。これらの国々の民主化を支援する最上の方法の1つは、周辺の国々で進歩がどのように進んできたか、に関する情報を提供することだと考えた。そし て、鉄のカーテンの両側の国のメディアが互いに交流することが重要だと結論づけた。

Project Syndicationは最初に配信したコラムで、当時最もホットだった「ロシアと西欧の関係」を取り上げた。そして、ロシアとNATO加盟国が対話の場 を持つことを提案した。

その後、Project Syndicationは西欧、アフリカ、アジアに展開。現在、論評を配信するシンジケートとしては世界最大規模になっている。

先進国の加盟社からの財政援助により、途上国の加盟社には無料もしくは低い料金で論評を配信している。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20120920/237059/?ST=print



プロッサー総裁:QE3はFOMCの信頼脅かす、効果低い

  9月25日(ブルームバーグ):フィラデルフィア連銀のプロッサー総裁は、米連邦公開市場委員会(FOMC)が今月発表した新たな資産購入計画について、成長や雇用を押し上げる可能性は低く、金融当局の信頼性を脅かしかねないとの認識を示した。
総裁は25日、フィラデルフィア連銀で講演。事前原稿によれば、「追加の資産購入が経済成長や雇用の押し上げにプラスとなることはなさそうだ」と指摘。「そうした行動が労働市場や景気回復ペースに実質的な効果をもたらすという考え方を広めるのは、金融当局の信頼性をリスクにさらす」と述べた。
プロッサー総裁は、経済調査では追加の資産購入が「長期金利を顕著に低下させる可能性は低い」ことや、金利を「さらに数ベーシスポイント」下げても成長や雇用を加速させる効果はないことが示されていると言明。米経済は「緩やかなペース」で成長し、2013、14年の成長率は約3%になると予想した。総裁は今年のFOMCで投票権を有していない。
総裁は「FOMCの9月の決定には反対だ。現状での金融緩和の拡大は適切でも効果的でもないと考えている」とし、「全ての金融政策行動にはコストと利益がある。私は、そうした行動によって見込まれる利益はわずかであり、コストとリスクの方が上回ると判断している」と語った。
原題:Plosser Says QE3 Risks Fed Credibility, Won’t BoostEmployment(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Jeff Kearns jkearns3@bloomberg.net;サンフランシスコ Aki Ito aito16@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Chris Wellisz cwellisz@bloomberg.net
更新日時: 2012/09/26 02:37 JST

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MAX0666S972P01.html


ドイツ憲法裁がドラギECB総裁に突きつけた挑戦状

ESMを容認した判決に隠された刃とは? 

2012年9月26日(水)  熊谷 徹

 2012年9月12日。ドイツのある裁判所がヨーロッパの経済史に残る判決を下した。
 この日、ユーロ圏加盟国の首脳だけでなく、世界中の通貨当局、金融関係者の目が、ドイツ南西部のカールスルーエにある連邦憲法裁判所に注がれていた。同裁判所の第二法廷は、過重債務国を救うEUの緊急融資機構「欧州金融安定メカニズム(ESM)」にドイツが参加することの合憲性について審理していたのである。

金融市場は安堵

 赤い法衣をまとったアンドレアス・フォスクーレ裁判長が読み上げた判決文は、世界中の金融市場に安堵をもたらした。憲法裁が、「ドイツがESMに参加することは合憲」と判断したからである。フォスクーレ氏は判決文の中で「債務過重国に対する救済措置以外に、リスクの少ない選択肢はない。ユーロ圏加盟国が債務不履行に陥った時の政治的・経済的なダメージははるかに大きい」と述べ、ドイツは救済措置に加わるべきだとする政府の姿勢を後押しした。

 この判決を受けてアンゲラ・メルケル首相は「ドイツにとって、そしてヨーロッパにとって良い日だ」と述べ、憲法裁が政府と議会の判断を追認したことに喜びを表わした。イタリアのマリオ・モンティ首相も「大変良いニュースだ。これで、ESM条約の発効を妨ぐ物はなくなった」と判決を高く評価した。

 日本のマスメディアもこの判決について速報した。ただし、この判決が持つ意味や訴訟の背景について細かい分析はしていない。憲法裁の裁判官たちは判決文の中に、欧州中央銀行(ECB)に対する強い批判を込めている。日本の報道はそのことについて触れていない。

 そこで今回は、ユーロ危機を理解する上で重要な意味を持つこの憲法裁判決について、詳しくお伝えしたい。

ユーロ危機に対する最大の武器・ESM

 この裁判で、何が争われたのか。

 ESMは、過重債務のために国債を売れなくなり国家破綻の危機に陥った、ギリシャやポルトガルのような国を支援する上で、最も重要なメカニズムだ。EUは2010年にEFSF(欧州金融安定基金)という融資機関を暫定的に設置し、債務危機が深刻化したギリシャに緊急融資を行った。ESMはこれを恒久化するもの。ESMは、過重債務で危機に陥った国々に対して、最高で総額7000億ユーロ(約70兆円)まで融資できる。

 つまりESMは、欧州諸国がユーロ危機と戦う上で最も重要な「武器」なのである。

 融資に必要な資金は、ユーロ圏に加盟している17ヶ国が拠出・保証する。その負担割合は、ECBが経済規模に応じて決定した。ヨーロッパ最大の経済パワーであるドイツは27.1%を負担する。金額にすると、ドイツが担当するのは1900億ユーロ(19兆円)。217億ユーロを拠出し、1683億ユーロを保証する。

 ドイツ連邦議会と連邦参議院は、ドイツがESMに参加するための条約をすでに承認している。だが、ドイツ国内の反ユーロ勢力が待ったをかけた。反ユーロ勢力は、大統領の署名を差し止めるべく、条約に関して憲法判断を仰ぐ仮処分を憲法裁に申請した。ドイツでは、条約を批准するには大統領の署名が必要だ。

 原告団の中心は、バイエルン州を地盤とする保守政党・キリスト教社会同盟(CSU)のペーター・ガウヴァイラー議員や、社会民主党(SPD)のヘルタ・ドイブラー・グメリン元連邦法務大臣、それにテュービンゲン大学のヨハヒム・スターバッティ教授など、経済学者や法学者のグループ。特にグメリン元法相が主宰する「民主主義の強化を」という市民団体は、「ドイツがESMに参加するのは違憲だ」とする署名運動に3万7018人分の署名を集めた。この膨大な署名者の数は、ユーロ救済に不信感を抱くドイツ市民がいかに多いかを象徴している。

 連邦憲法裁判所は、日本の最高裁に相当する。ただし憲法問題だけを担当する独特の裁判所だ。この裁判所を超える裁判所はないので、政府もその判断には従わざるを得ない。国民が寄せる信頼も厚い。したがって、もしも連邦憲法裁が「ESMへのドイツの参加は違憲」という判断を下していたら、ドイツ政府はESMに参加することができなかった。ユーロ危機に対処するための最大の武器が瓦解するところだった。9月12日に、世界中の金融マーケットの目がカールスルーエに注がれたのは、このためである。

ドイツのESMへの参加は憲法違反か?

 なぜドイツの反ユーロ勢力は、ESMがドイツの基本法(憲法)に違反すると考えているのだろうか。

 彼らはESMの始動が、欧州通貨同盟を「債務同盟」や「救済同盟」に変質させると主張する。「この救済メカニズムが恒久化することによって南欧諸国は安心してしまう。これらの国々は緊縮政策を怠り、財政規律を守らなくなるだろう。南欧諸国はさらに借金を増やし、ユーロ圏内のインフレ傾向が強まる」という懸念である。つまり原告団は、「ドイツやオーストリアのように厳しい財政規律を持つ豊かな国々が、秩序を重視しない南欧諸国に富を分配するメカニズムが制度化される」と恐れているのだ。

 原告の一人であるグメリン元法相は言う。「ESM条約が発効した場合、ドイツ連邦議会の予算決定権が剥奪され、わが国は長期的に大きな負担を課される。連邦議会は、ユーロ救済のための負担に関する決定を、後戻りさせることができなくなる」。彼女は、連邦議会から予算に関する決定権を奪うことは、ドイツ基本法(憲法)の第20条と第79条に違反すると主張する。さらにグメリン氏は、一部のユーロ圏加盟国が資金不足のために融資できなくなった場合、ドイツが1900億ユーロを超える負担を迫られるのではないかと警告している。 

 また、原告団はESMによるユーロ加盟国への援助が、EU条約に違反すると主張している。欧州連合の機能に関する条約(ドイツ語の略称・AEUV)の第125条は、EU加盟国が他の国の債務を肩代わりすることを禁止している。1990年代に欧州通貨同盟への参加の是非をめぐって、ドイツで激しい議論が行われていた時に、コール政権は『ギリシャやイタリアが万一過重な債務を背負っても、ドイツは一銭も支援する必要がない』と反ユーロ勢力を説得するために、この通称「No Bail-Out clause(救済禁止条項)」を使った。

 筆者は欧州通貨同盟に関する議論を、1991年から現地で取材してきた。筆者の考えでは、2010年以来ユーロ圏が行ってきた救済措置は、EU条約の救済禁止条項に違反する行為である。1990年代の議論の内容を記憶しているドイツ人は、「『この条項があるから、ギリシャやスペインが万一危機に陥っても、助ける必要はない』と言われたからマルクの廃止に同意した。その約束は完全に反故にされた」と感じているに違いない。

「国債買い取りは違法」と断定

 憲法裁の8人の裁判官が書いた長大な判決を読んでみた。A4の用紙で70ページを超える判決文を分析すると、フォスクーレ裁判長がESM参加を合憲としながらも、反ユーロ勢力のこうした主張に十分耳を傾けて、ドイツのESM参加に様々な条件を付けたことがわかる。

 たとえば憲法裁は、「ドイツの負担額は、連邦議会の同意なしに1900億ユーロを超えてはならない」と述べている。議会の権限が空洞化しないよう、メルケル政権に配慮を求めたわけだ。

 注目すべきは、憲法裁の裁判官たちが現在のECBの救済措置を、部分的に違法と見ていることだ。フォスクーレ氏は判決文の中で「ESMを、ECBによる国家への違法な融資のための道具に使ってはならない」としている。どいつでは、中央銀行による国債の買い取りを、「紙幣を印刷することによって国に金を貸す行為」として批判的に見る向きが多い。ドイツ連邦銀行はその筆頭だ。中央銀行による国債買い取りが日常化している米国や英国とは、基本的な哲学が異なる。

 興味深いことに、憲法裁の裁判官たちは判決の中で「中央銀行がオープンマーケットで、すでに国債を持っている投資家から国債を買うことも、違法であることに変わりない。欧州連合の機能に関する条約は、中央銀行による国家への融資を禁止している。この決まりを、すり抜けようとするものだ」と警告した。

 これは、ECBのマリオ・ドラギ総裁にドイツ憲法裁が突きつけた挑戦状である。ドラギ氏は9月6日に、南欧諸国が欧州委員会の緊縮措置を受け入れれば、国債を無制限に買い取る方針を明らかにしているからだ。ECBはこれまでも2110億ユーロの資金を注ぎ込んで、ギリシャなどの国債を購入している。

 憲法裁によれば、これは欧州連合の機能に関する条約(AEUV)の第123条に触れる行為だ。前号でお伝えしたように、ドラギ氏は「ECBが政府から国債を直接買うことは違法だが、オープンマーケットで国債を買うことは合法だ」という立場を取っている。今回の判決は、ドラギ総裁の説明に真っ向から対立する。つまり憲法裁は、「中央銀行による国債の無制限な買い取りは、直接・間接を問わず違法」と主張しているのだ。

 ESMが始動するからと言って、ECBは今回の判決を受けて、喜んでいるわけにはいかない。判決文をじっくり読めば、この隠された刃に気がつくはずだ。

 裁判官たちは、今回、仮処分申請を却下する判断を下した。しかし、違憲訴訟そのものの本格的な審理はこれからである。憲法裁は、「ECBによる国債の無制限買い取りについて、今後の審理の中で時間をかけて吟味する」としている。この審理は、今後数ヶ月をかけて行う。ただし仮処分申請に対する判断と、本格的な審理の内容が矛盾することはあり得ない。つまり憲法裁が「国債の無制限買い取りはEU条約違反」とする基本的な姿勢を変えることは今後もないのだ。

 憲法裁は、違法状態を放置しておくことを許さない。厳密に言えば、ECBが違法行為を是正しない場合、ドイツの中央銀行であるブンデスバンクの総裁は、ECBの理事会を脱退しなくてはならない。

 ドイツでは、この違法状態をめぐって憲法裁が今後取る態度について、2つの見方が出ている。1つは、ドイツ政府が憲法裁の要請を受けて、ECBをルクセンブルクの欧州裁判所に提訴するパターン。もう一つは、憲法裁がECBを欧州裁判所に提訴するというパターンだ。いずれにせよ、ドイツの法学者の間では「ECBの国債買い取りはドイツの法律ではなくEU法に抵触するので、EU法を専門に取り扱う欧州裁判所が審理するべきだ」という意見が有力だ。

独連邦裁がしばしば下す「政治的判決」

 ただし今回の判決を見てもわかるように、ドイツの連邦憲法裁判所は国家の利益を大局から判断する、いわば「大人(おとな)の判決」を下すことが多い。1994年に同裁判所が下した、北大西洋条約機構(NATO)の早期警戒機(AWACS)に関する判決もそうだった。当時NATOは旧ユーゴスラビアの内戦をめぐり、武器禁輸措置を監視するためにアドリア海上空にAWACSを飛ばして偵察活動を行った。ドイツの野党は、AWACSは戦闘機の誘導に使うこともできるから、この偵察飛行は武装を伴う軍事行動でもある。したがって、ドイツ連邦軍の将兵がAWACSに乗り組むことは違憲ではないか」と提訴した。

 憲法裁の裁判官たちは当時、「ドイツ兵が集団安全保障体制の枠組みの中で、AWACSに乗り組むことは合憲」としながらも、武装を伴う軍事行動の可能性がある任務については、政府は事前に連邦議会の承認を得なくてはならないという条件を課した。もしも憲法裁が違憲の判断を下したら、ドイツ兵はAWACSから直ちに降りなくてはならず、他のNATO加盟国の前で大恥をかくところだった。憲法裁は米国を頂点とした西側軍事同盟の結束を揺るがすような判決を避け、個別の判断を連邦議会に委ねたのである。議会制民主主義を重視するドイツ社会としては、妥当な判断だった。

 今回憲法裁はドイツのESMへの参加を違憲と判断することによって、ユーロ救済のための最も重要なメカニズムを崩壊させることは避けた。そのようなことをすれば、世界中の金融マーケットが混乱することは明らかだったからだ。このため裁判官たちは、ユーロ危機を解決する方法のディテールについては、議会に下駄を預けた。彼らは、この種の対策の是非を最終的に判断するのは、国民の代表である議員の仕事であり、法律家の任務ではないと考えている。それでも、外国人である筆者の目には、政治家たちが自分で解決しきれない問題を、絶大な権威を持つ連邦憲法裁に持ち込んで、白黒をつけてもらおうとしているように見える。

憲法裁は重要なチェック機構

 反ユーロ勢力は今回の判決によって、政府に対して足かせをはめることができた。政府はドイツの負担額が1900億ユーロを超える場合には、事前に連邦議会の承認を得ることを義務づけられたからだ。さらに、「ECBによる国債の買い取りは直接・間接を問わず違法」という重要な法律判断を手にした。

 この判決によって、連邦政府は今後過重債務国の救済をめぐって、これらの法律判断に抵触しないように十分注意を払わなくてはならない。

 ここに筆者は、曖昧模糊とした状態を嫌い、裁判所で白黒をつけることを好むドイツ人気質を強く感じる。マスメディアも憲法裁に提訴された事件を大きく取り上げるので、国民の関心が高まり、激しい議論が行われるのが常だ。

 日本では、重要な政治問題をめぐり、議員らが裁判所の判断を仰ぐことは、ドイツに比べるとはるかに少ない。このため、国民全体を巻き込んだ議論が行われることなく、政府の決定が、いつのまにか既成事実化される。イラク戦争における自衛隊派遣問題、年金番号の消失問題などが、もしもドイツで起きていたら、間違いなく憲法裁に提訴されていたと思う。特別立法などという形で憲法裁を迂回することは、ドイツでは不可能だ。

 多くの日本人は、「ドイツは米国ほどの訴訟社会ではない」と考えている。しかし国民の利益を左右する政治問題については、米国に劣らぬ訴訟社会である。

 憲法裁は、1951年から2009年までに17万5900件もの違憲訴訟を受理し、その内の98%について判決を下した。2009年には5911件の提訴があった。提訴された事件の70%について、1年以内に判決を下している。もちろんこれらの訴訟の全てが政治問題ではない。憲法裁に持ち込まれる訴訟のテーマは、表現の自由からネオナチ政党の禁止、デモや集会の自由、政府による原子炉停止の是非など多岐にわたる。つまりドイツ市民にとって、憲法裁は日本の最高裁よりもはるかに身近な存在なのである。

 政治問題を法廷に持ち込むことは、行政の責任の所在を明らかにすることにもつながる。ドイツでは、行政のスキャンダルが起こると、直ちに担当している大臣や省庁の幹部が責任を問われて辞任させられる。日本では、年金番号消失問題や、福島第一原発の炉心溶融事故のように、明らかな怠慢や過失が行政にあったケースでも、責任者が何ヶ月もの間責任を問われることがない。このようなことはドイツでは考えられない。

 この国で憲法裁の活動を22年間にわたって見てきた筆者にとって、裁判所は民主主義社会の重要なチェック機関として、重要な役割を果たしているように思える。

議会はEUにどこまで権力を移譲できるのか

 もう一つ、今回の判決はヨーロッパの中長期的な統合の行方についても、重要な課題を突きつけている。

 ヨーロッパの多くの政治家は、ユーロ危機に対処する上で、政治同盟の強化が不可欠だという点で意見が一致している。政治同盟の強化とは具体的には、各国の政府や議会が権能をEUに譲り渡すことによって、経済政策や財政政策を平準化し、調和を図ることを意味する。債務危機がここまで深刻化した理由は、ヨーロッパ諸国が経済政策や財政政策を共通化せずに、通貨だけを統一したことにある。

 メルケル首相も、政治同盟の強化を強く主張している。ドイツ人の本音は、「ギリシャもドイツ並みの厳しい財政規律を守り、税金を国民からきちんと徴収するべきだ」というものだろう。政治同盟の究極の姿は、欧州委員会が、各国に予算案を事前に提出させ、欧州委員会の承認がない限り、各国議会が予算を可決できないようにする、というものだろう。これは、各国の議会の権限が今以上に制限されることを意味する。

 今回のドイツ連邦憲法裁判所の判決は、各国の国内法がどこまで議会の権限をEUに譲り渡すことを許すのかという、重要な問題を投げかけている。具体的には、EUが必要とする支援策と国内の利益のどちらを優先するのかということだ。もしも将来EUが「ユーロ体制の崩壊を防ぐためには、ドイツに1900億ユーロを超える額を負担してもらわなくてはならない」と打診してきた時に、ドイツ政府は議会の承認を得る必要がある。ドイツは、そしてヨーロッパ諸国は、どこまで主権をEUに譲り渡す準備ができているのだろうか。この点は、欧州通貨同盟を建て直すことができるかどうかを占う上で、極めて重要なポイントである。

ギリシャとスペインの暗雲

 一方、ヨーロッパの金融市場では、ギリシャとスペインに対して投資家の厳しい目が再び向けられつつある。欧州委員会、ECB、国際通貨基金(IMF)が構成するギリシャ経済の監視団(通称トロイカ)は、アテネで行なっていた監査を9月21日に突然中断して同国を離れた。トロイカが現地での監査を中断するのは、これで3度目だ。トロイカは、ギリシャの財政再建や緊縮策の実施状況、さらに債務返済の見通しについて、10月後半に報告書を作成してEU財務相会議に提出することになっている。この報告書は、EUがギリシャ政府に315億ユーロ(3兆1500億円)の融資を実施する前提である。トロイカがこの報告書の中で、債務比率の圧縮などについて悲観的な見通しを打ち出した場合、EUやIMFがギリシャへの送金を見送る可能性もある。

 トロイカが3度にわたって監査を中断したことは、何を意味するのか。ギリシャの歳出削減や債務比率の圧縮がEUの計画通りに進んでいるならば、トロイカは早々に報告書を発表しているはずだ。その方が、金融市場に安心感を与えられる。つまり監査の中断は、報告書の内容が深刻なものになることを示唆しているのではないか。いずれにせよ、トロイカの監査中断により、ギリシャの運命を左右する報告書の発表が11月にずれ込む可能性が出てきた。

 9月24日には、ニュース週刊誌「シュピーゲル」が、ギリシャの財政状態が当初の予想以上に悪化していると伝えた。 同誌はトロイカ関係者からの情報として、「ギリシャの歳入の不足分はこれまで115億ユーロ(1兆1500億円)と想定されていた。しかし、不況が悪化しているために実はその2倍近い200億ユーロ(2兆円)に達していることがわかった」と報じている。これが事実ならば、ギリシャは債権者に対して借金の棒引きを再び要求するかもしれない。

 ギリシャが予定通り債務を返済する可能性について、金融関係者の間ではすでに悲観的な見方が広がっている。ドイツの大手銀行コメルツ・バンクのマルティン・ブレスィング総裁は9月末に「ギリシャは、おそらくもう一度債務減免を必要とするだろう」と発言している。

 一方、スペインでは国立銀行が気になる数字を発表した。スペインの銀行の不良債権比率が9.86%に増加しているというのだ。去年7月には6.93%だった。不良債権の総額は、スペイン史上最高の1700億ユーロ(17兆円)に達している。銀行危機が、同国の不況にさらに拍車をかける可能性が高まっている。

 1ヶ月先には、何が起きているかわからない。これが2012年秋のヨーロッパ経済の実態である。今後も、風雲急を告げるユーロ情勢について、現場リポートを続けていく。


熊谷 徹(くまがい・とおる)

在独ジャーナリスト。1959年東京都生まれ。早稲田大学政経学部経済学科卒業後、日本放送協会(NHK)に入局、神戸放送局配属。87年特報部(国際部)に配属、89年ワシントン支局に配属。90年NHK退職後、ドイツ・ミュンヘン市に移住。ドイツ統一後の変化、欧州の安全保障問題、欧州経済通貨同盟などをテーマとして取材・執筆活動を行う。主な著書に『ドイツ病に学べ』、『びっくり先進国ドイツ』『ドイツは過去とどう向き合ってきたか』『顔のない男―東ドイツ最強スパイの栄光と挫折』『観光コースでないベルリン―ヨーロッパ現代史の十字路』『あっぱれ技術大国ドイツ』『なぜメルケルは「転向」したのか――ドイツ原子力四〇年戦争』ほか多数。ホームページはこちら。ミクシィでも実名で日記を公開中。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20120925/237229/?ST=print

ドラギECB総裁:ユーロ圏金融市場の分断化、正当化できない
  9月25日(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は25日、ユーロ圏の金融市場分断化の度合いは正当化できないほど大きいとの考えを示した。
同総裁はベルリンで、これは「ユーロ圏の将来に関する根拠なき不安を反映したものだ」とし、「このような環境では金融政策が適正に機能できない」と解説。ECBの新たな国債購入計画が投資家の懸念を払拭(ふっしょく)したと指摘した。
原題:ECB’s Draghi Says Market Fragmentation Larger ThanJustified(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ベルリン Rainer Buergin rbuergin1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Gabi Thesing gthesing@bloomberg.net
更新日時: 2012/09/25 23:39 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MAWSKW6S973701.html


ドラギ総裁:ECBの行動はドイツの国益にもかなう
  9月25日(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は25日、同中銀の非伝統的措置はドイツの国益にもかなうと言明した。
ドラギ総裁はベルリンで、欧州単一通貨「ユーロはドイツに真の経済的恩恵をもたらした」とし、「安定したユーロ圏が強いドイツ経済を支える」とともに、「安定した大きな共通通貨圏の一員であれば、外的衝撃は和らげられる」と述べた。
原題:Draghi Says ECB Actions Are in Germany’s Interest(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:フランクフルト Stefan Riecher sriecher@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Gabi Thesing gthesing@bloomberg.net
更新日時: 2012/09/25 23:26 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MAWS106S973A01.html

メルケル独首相:負債の共有化はユーロ圏を幸せにしない
  9月25日(ブルームバーグ):ドイツのメルケル首相は、ユーロ圏の負債の共有化がもたらすのは「偽りの幸福」にすぎないとして、ドイツはこれを支持できないと言明した。債務危機の真の原因は全ての当事者にとって明らかになっていると指摘した。
メルケル首相は、ユーロ圏で3年近くに及ぶ「信頼の危機」の原因は過剰債務と域内各国の競争力格差にあるとの見方で、政策当局者らは一致していると述べた。
首相はドイツ産業連盟(BDI)の年次会合で講演し、自身の「この分析は全体的に共有されていると思う」とした上で、「それだけでも既に特筆すべきだ。問題を解決するためには、その原因追究で少なくとも同じ基盤に立っていなければならないからだ。危機が始まった時には必ずしもそうではなかった」と語った。
負債共有化を求めるのは誤りであり「決定的に間違ったインセンティブ」につながると指摘。欧州の結束は守るに値するものだが、それを「真の問題について話し合うことなく微笑み合うような偽りの幸福につなげてはならない。結束すればするほど、互いに正直にならなければならない」と論じた。
メルケル首相は欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁や国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事と連日会談する。スペインは救済要請をためらっており、首脳らはギリシャに関する通称トロイカ(欧州委員会とECB、IMF)の報告を待っている。
ドイツの企業経営者や政治家を前にメルケル首相は、危機解決に向けた共同戦線には共同での監視が必須だとの持論を堅持し、物事は「正しい順序でなされなければならない。だからこそ、われわれの前にはまだ多くの仕事がある」と語った。
BDIのハンスペーター・カイテル会長は、厳密な条件を課しながらユーロを守る首相の姿勢を支持するとし、欧州のための首相の取り組みを「敬意と評価、感謝をもって見守っている」と述べた。
原題:Merkel Says Joint Liability Won’t Mean Euro-Area Happiness(1)(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ベルリン Tony Czuczka aczuczka@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:James Hertling jhertling@bloomberg.net
更新日時: 2012/09/25 20:55 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MAWEFS6S972O01.html


ノボトニーECB理事「ユーロ圏、金利変更の必要性ない」 (9/25)
 オーストリア中央銀行総裁を務める欧州中央銀行(ECB)のノボトニー理事は25日、ユーロ圏の金利を変更する必要性はないと述べた。
http://jp.wsj.com/Finance-Markets/Foreign-Currency-Markets/node_518561?mod=WSJFeatures

カタルーニャ州:選挙前倒し、11月25日実施へ−州首相
  9月25日(ブルームバーグ):スペイン・カタルーニャ州のマス首相は、同州選挙を11月25日に前倒し実施すると言明した。同国のラホイ首相が税収配分に関する規則の変更を拒否したことから選挙に踏み切る。
マス首相はテレビ中継されたバルセロナでの州議会審議で議員らに、議会は「数日内に」解散されると述べた。前回の地方選挙は2010年11月だった。
原題:Catalan Leader Mas Calls Early Elections for Nov. 25(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:マドリード Emma Ross-Thomas erossthomas@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Emma Ross-Thomas erossthomas@bloomberg.net
更新日時: 2012/09/25 23:27 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MAWT096S972901.html


「2つのインド」の物語
アフリカより貧しく英国より金持ちな国
2012年09月26日(Wed) Financial Times
(2012年9月25日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 インドの首都デリーから郊外に向かって伸びるハイウエー沿いには、「エキゾティカ・ドリームビラ」などと名付けられた新興住宅地の広告がいくつも掲げられている。

 手入れされた芝生の上に立った若い夫婦が微笑んでいる絵が描かれ、「ライフスタイルここにあり」といったキャッチコピーが添えてあるのが典型的なパターンだ。

トイレも整備されておらず、子供が栄養失調に苦しむインドの現実

 しかし、このハイウエーを走り続けて隣のウッタルプラデーシュ州の奥深くに入り込むと、エキゾチックでもなく夢も感じられないライフスタイルが目に飛び込んでくる。ブダウンという都市の郊外では子供たちの多くが栄養失調の徴候を見せており、不潔な街中をヤギや水牛、雌牛やラクダが歩き回っている。


インドは世界最大の貧困層を抱える国〔AFPBB News〕

 この地区では現在、国連児童基金(ユニセフ)がすべての家屋に近代的なトイレを設置するキャンペーンを展開している。

 また、乾式のトイレに溜まった排泄物を手で掻き出す仕事で生計を立てている「マニュアルスカベンジャー」と呼ばれる人たちのために新しい仕事を探す取り組みも行っている。

 ブダウン自体も汚物処理プロジェクトに取り組んでおり、ゆっくりとではあるが着実に成果を上げている。しかし、この都市があるウッタルプラデーシュ州――その人口は2億人を超えており、ブラジルのそれを上回る――にとって、これはまだ気が遠くなるほど大きな課題だ。

 ユニセフの推計によれば、同州でちゃんとしたトイレを利用できる住民の割合は21%にすぎない。インド全体で見ても、12億の国民のうち約6億人は現在でも野原や都市部の空き地で「屋外排泄」を行っている。

 インドの汚物処理問題は公衆衛生上の大惨事であり、ぞっとするようなほかの統計データの背景にもなっている。

1人当たり国民所得は中国の3分の1未満

 ユニセフによれば、インドでは昨年だけで170万人もの5歳未満児が命を落とした。これは世界全体の4分の1に迫る数だ。また、インドの子供の42%は低体重児に正式に分類されている。インドは中国とともに台頭する超大国として論じられることが多いが、実はかなり貧しい国であり、1人当たり国民所得は中国の3分の1にも満たない。

 こうした統計は、インドは新興の大国だという考え方を嘲笑するために使われることがある。当然ながら、実態はもっと複雑だ。

援助機関と多国籍企業を引き寄せる国

 20年にわたって力強い経済成長を遂げてきたインドは今、金持ちであると同時に貧しい国になっている。1人当たりではなく総和で見れば、その経済規模は世界で10番目に大きく、2030年には世界第3位の経済大国になっている可能性も十分ある。


トイレよりも携帯電話の方が数が多い〔AFPBB News〕

 消費市場は急成長を遂げている。使われている携帯電話の数はトイレの数を上回るほどだ。

 この国には、絶対的に貧しい人たちがアフリカよりも多く住んでいる一方で、ビリオネアと呼べる富裕な人たちが英国よりも多く存在する。そのため、世界中の援助機関と多国籍企業の両方が引き寄せられている。

 インドの産業界は非常に裕福なため、世界のあちこちで資産を買いあさっており、ジャガー・ランドローバーをはじめとする欧米の著名ブランドを手中に収めている。1991年の経済危機では手持ちの外貨がほとんど底をついたが、現在では3000億ドルもの外貨準備を蓄えている。

 核兵器も保有しており、宇宙開発プログラムも手がけている。つい先日も、火星に探査機を送り込む計画を発表したばかりだ。また世界最大の武器輸入国でもあり、先日には100億ドルかけてフランスから新型戦闘機を導入すると述べていた。

 このように対照的な状況は、インド政府が政策の優先順位をあきれるほど間違えている証拠だと指摘する向きもあるが、現実はそう簡単に割り切れるものではない。

問題は政策そのものではなく、汚職や社会構造

 インドの中央政府はかなりの数の貧困緩和プログラムを立ち上げ、巨額の資金を投入している。つまり、政府が貧困をあからさまに無視しているのではなく、むしろ汚職や不適切な行政、硬直的な社会構造などの方に問題があるのだ。

 中央政府は10年前、ウッタルプラデーシュ州の衛生状態改善事業に約3億ドルの資金をつぎ込んだ。だがその資金は、首都デリーからブダウンをはじめとする現地に配分される間にどういうわけか消えてしまった。

 現地の住民たちの間では、政府の食糧配給切符を地方公務員が盗んでいるといったような、人々の暮らしを荒廃させたり政府の政策を妨害したりする小さな悲劇が語られている。

 しかし各種の統計は、農村部においても事態が改善しつつあることを示唆している。インドの農村部の賃金は過去10年間で2倍になったと言われている。またブダウンの貧しい地区でも経済活動は活発で、街には小さな作業所や露店が軒を連ねている。人々は農場を離れて近くの工場などに働きに出たり、都会に移り住んだりしつつある。

 「2つのインド」の物語を1つにするのが、この農村部から都市部への人口移動だ。

 ある中央政府高官は、都市部への人口移動が今後20〜30年間の経済成長を牽引してくれる、これこそ自分が母国の将来に自信を持っている最大の理由だ、と語ってくれた。18世紀の英国から今の中国に至るまで、多くの社会はそうやって成長してきた、というわけだ。この高官は「中期的な視点から見ていれば、インドにいても気を確かに持てる」と言う。

 インドが金持ちであると同時に貧しい国であるという事実は、当のインド人にとって不可解なだけでなく、外国にとっても1つの難問になっている。

欧州から援助を受けながら、間接的にユーロ圏救済を支援する矛盾

 英国では現在、インドへの対外援助を続けるべきかどうかが活発に議論されている。世界で最も貧しい人たちを助けることが目的であるのなら、確かにインドにはそういう人たちがどの国よりも多く住んでいる。しかし、インドの財政赤字は英国のそれより小幅で、インドの外貨準備は英国のそれより多いのだ。

 インド自身も、この援助と公正さについて独自に議論できるかもしれない。というのは、欧州諸国がインドに資金援助を行うとしても、インドが国際通貨基金(IMF)に資金を拠出すれば、欧州債務危機の救済資金を間接的に提供することになる。ところがギリシャやアイルランドの生活水準は、インドの農村部のそれに照らせばまだ信じられないほど高いのだ。

 この種の逆説は武器売却から気候変動に至るまで、ありとあらゆる問題で浮上する。これらは「貧しい」国と「金持ちな」国という概念がひっくり返っている世界の特徴にほかならない。

By Gideon Rachman
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36188

 

NY外為:ドルは対ユーロもみ合い−指標で逃避需要は限定的
  9月25日(ブルームバーグ):ニューヨーク外国為替市場では、ドルが対ユーロでもみ合い。米国の住宅価格や消費者信頼感指数の上昇を受けて安全資産の需要は限定的となっている。
ユーロは対ドルで一時上昇した。欧州中央銀行(ECB)のノボトニー総裁が、現時点で金利を引き下げる必要性はないとの認識を示したことが背景。またスペインが実施した証券入札で需要が後退したことから、同国の救済要請に向けた圧力が強まるとの観測が広がり、これも材料視された。南アフリカ・ランドは3営業日続伸。予想される利下げを前に買い進まれた。
野村ホールディングスの外国為替ストラテジスト、チャールズ・サンタルノー氏(ニューヨーク在勤)は「市場では前向きなセンチメントが若干強まっている」と指摘。「きょうの米経済指標は相対的に明るい内容で、やっと住宅市場に多少活気が見られると言えるようになった。経済が悪化していないことを示している」と続けた。
原題:Dollar Fluctuates as Home Price, Consumer Data TopForecasts(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Allison Bennett abennett23@bloomberg.net;ニューヨーク Joseph Ciolli jciolli@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Dave Liedtka dliedtka@bloomberg.net
更新日時: 2012/09/26 04:35 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MAX74J6S972X01.html


米国債:続伸、リスク意欲弱まる−欧州や米景気の先行き懸念
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  9月25日(ブルームバーグ):米国債相場は続伸。10年債利回りは2週間ぶり低水準を付けた。欧州債務危機は悪化しているとの観測が広がりリスク意欲が減退した。またフィラデルフィア連銀のプロッサー総裁は、金融当局の新たな資産購入プログラムは経済成長の押し上げにつながらないであろうと発言。これを受けて株式相場は下落した。
米統計を手掛かりに米国債は伸び悩む場面も見られた。消費者信頼感と住宅価格指数は予想を上回る伸びを示した。米財務省はこの日、350億ドル相当の2年債入札を実施。今週は3日間にわたり計990億ドルの入札が予定されている。米連邦公開市場委員会(FOMC)は今月の会合で、景気浮揚と失業率の押し下げを目指し月額400億ドルの住宅ローン担保証券(MBS)購入を決定。欧州中央銀行(ECB)はユーロ圏の政府債買い入れを表明した。
RWプレスプリッチの政府・機関債取引担当マネジングディレクター、ラリー・ミルスタイン氏(ニューヨーク在勤)は「米国債は依然として買いが優勢だ。多くの中銀が金融緩和を拡大したにもかかわらず、世界の経済成長をめぐる懸念はほとんど変わっていない」と指摘。「引き続き世界の成長は緩慢で、不確実性が高いというのが現実だ」と述べた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによると、ニューヨーク時間午後2時54分現在、10年債利回りは前日比3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下して1.68%と、11日以来の低水準。既発2年債の利回りはほぼ変わらずの0.26%となっている。
原題:Treasuries Advance as Risk Appetite Declines on Europe,Economy(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Cordell Eddings ceddings@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Dave Liedtka dliedtka@bloomberg.net
更新日時: 2012/09/26 04:52 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MAX7NV6S972T01.html

JPモルガンのロンドン鯨が失ったのは誰の金?−コーハン

  9月25日(ブルームバーグ):いまや悪名高きJPモルガン・チェースの「ロンドンの鯨」が失った60億ドル(約4670億円)はいったい誰のお金だったのだろう。
預金者のお金だろうか、それとも株主のお金だろうか。実は誰のお金も失われなかったし、鯨事件すべてがJPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が最初に言ったように「取るに足らないこと」でしかなかったのだろうか。
JPモルガンが5月10日の記者会見、ダイモン氏の2回の議会証言、そして7月13日のアナリスト向けプレゼンテーションを通じてわれわれに伝えたのは、問題の取引を仕切っていたブルーノ・イクシル氏(別名、ロンドンの鯨)が同行のチーフ・インベストメント・オフィス(CIO)で働いていたということだ。CIO部門の仕事は、JPモルガンが顧客から預かった1兆1000億ドルと法人向けに融資した7500億ドルの差額を投資することだったという。
ウォール街の標準から言っても巨額のこの3500億ドルは、JPモルガンで一目置かれていたバンカーのアイナ・ドルー氏の指示の下で日々、投資されていた。ドルー氏と同氏のチームはこの3500億ドルを安全に見える短期の金融商品に投資し、ダイモン氏によれば全体的なリターンは2.6%程度だった。
この3500億ドルのうち100億ドルを、イクシル氏はよく分からない指数に投資し、これまでに分かったところ58億ドルを失った。
預金者の金
私には、このお金は預金者のもののように思われる。イクシル氏が所属するCIO部門は融資に回らない預金を投資していたからだ。しかし私が先週のコラムでそのように書いたところ、JPモルガンの広報担当ジョゼフ・エバンジェリスティ氏が電子メールで、それは違うと反論した。失われたのは株主のお金だという。
確かに、今の時点でどの預金者も個人的に金を失ってはいない。しかしそれは取り付け騒ぎが起こっていないからであって、もし預金者が1兆1000億ドルすべての払い戻しを求めていたら、JPモルガンが倒れるだけなく、連邦預金保険公社(FDIC)の保証上限である25万ドルを超える額を預けていた預金者は損をしただろう。
JPモルガンは失われたのは株主のお金だという。確かに、JPモルガン株はロンドンの鯨の損失額が明らかになるにつれて売り込まれた。株主は株価下落により250億ドル近くを失った。
しかし株価はその後回復し、今は不祥事発覚の前とほぼ同水準になっている。株主がロンドンの鯨の取引によって失ったものはほとんどないと言っていいのではないだろうか。
JPモルガンは1カ月前、取締役会が米エクソンモービルの会長兼CEOだったリー・レイモンド氏を起用し、ロンドンの鯨問題を新たに調査すると発表した。問題の60億ドルにいったい何が起こったのかが明らかになるかもしれない。(ウィリアム・D・コーハン )
(ウィリアム・D・コーハン 氏は元バンカーで、「Money andPower: How Goldman Sachs Came to Rule the World(マネー・アンド・パワー:ゴールドマンはどうやって世界の支配者になったか)」の作者で、ブルームバーグ・ビューのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:Exactly Whose Money Did the London Whale Lose?: William D.Cohan(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Stacey Shick sshick@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Toby Harshaw tharshaw@bloomberg.net
更新日時: 2012/09/26 02:08 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MAWA1O6S972N01.html

NY外為:ドルは対ユーロもみ合い−指標で逃避需要は限定的
  9月25日(ブルームバーグ):ニューヨーク外国為替市場では、ドルが対ユーロでもみ合い。米国の住宅価格や消費者信頼感指数の上昇を受けて安全資産の需要は限定的となっている。
ユーロは対ドルで一時上昇した。欧州中央銀行(ECB)のノボトニー総裁が、現時点で金利を引き下げる必要性はないとの認識を示したことが背景。またスペインが実施した証券入札で需要が後退したことから、同国の救済要請に向けた圧力が強まるとの観測が広がり、これも材料視された。南アフリカ・ランドは3営業日続伸。予想される利下げを前に買い進まれた。
野村ホールディングスの外国為替ストラテジスト、チャールズ・サンタルノー氏(ニューヨーク在勤)は「市場では前向きなセンチメントが若干強まっている」と指摘。「きょうの米経済指標は相対的に明るい内容で、やっと住宅市場に多少活気が見られると言えるようになった。経済が悪化していないことを示している」と続けた。
原題:Dollar Fluctuates as Home Price, Consumer Data TopForecasts(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Allison Bennett abennett23@bloomberg.net;ニューヨーク Joseph Ciolli jciolli@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Dave Liedtka dliedtka@bloomberg.net
更新日時: 2012/09/26 04:35 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MAX74J6S972X01.html

IMF:新たな金融規制、市場の安全性を高めるには至らず
  9月25日(ブルームバーグ):新たな金融規制は市場の安全性を高めるまでには至っておらず、金融システムは複雑過ぎる状態が続いていると、国際通貨基金(IMF)が報告書で指摘した。
IMFは25日、世界金融安定報告(GFSR)の一環として公表した金融改革に関する報告書で、一部の地域では金融改革の措置がより安全な経済システムへの「再起動」を遅らせる原因になっていると説明。大き過ぎてつぶせない金融機関が一段と堅固になり、銀行業務に類似した一部の業務がシャドーバンキング(影の銀行)システムに移行するリスクが引き続き残っているとの見解を示した。
IMFは「金融システムが依然あまりにも複雑で、銀行の資産の集中化が進み、国内の銀行間の関連が強いほか、重要過ぎてつぶせない銀行の問題は解決されていないことをデータは示している」と指摘した。
米国は、金融危機に対応して2010年に成立した米金融規制改革法(ドッド・フランク法)の実施を進めている。一方、欧州連合(EU)は、欧州中央銀行(ECB)にユーロ圏の銀行に対する監督権限を付与することで、単一の銀行監督機関を創設する案を推進している。
IMFは、相互関連性の強まりとシャドーバンキングが担う役割のため、金融システムは危機前よりも安全にはなっていないと説明。特に大き過ぎてつぶせない銀行は、引き続き懸念材料だとの認識を示した。
IMFは「全体的に見て、金融システムのリスクは残っている」と指摘。「特に懸念されるのは金融機関の規模の拡大や、金融システムのさらなる集中と国内での相互関連性、全体の仲介機能においてノンバンクが引き続き重要な役割を果たしていることだ」との認識を示した。
IMFは「一部の市場で大きな金融機関がさらに大きくなって集中が進み、こういった少数のグローバルな金融機関がさらに影響力を強める」リスクがあり、「その結果、重要過ぎてつぶせない銀行の問題を一段と固定化させることになる」と分析した。
原題:IMF Says Bank Rules Lag on Safety While Too-Big-to-FailRemains(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Cheyenne Hopkins chopkins19@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Chris Wellisz cwellisz@bloomberg.net
更新日時: 2012/09/25 23:30 JST

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MAVXJ46S972O01.html


中国、経済下支えに向け金融政策を「微調整」=人民銀行
2012年 09月 25日 23:48
トップニュース
北朝鮮が今年2回目の最高人民会議、経済改革への言及なし
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[北京 25日 ロイター] 中国人民銀行(中央銀行)は25日、金融政策委員会第3・四半期会合を受けて声明を公表し、経済を下支えするために金融政策を「微調整」すると表明した。また、米欧の緩和措置の影響を注視しているとした。

人民銀はウェブサイト(www.pbc.gov.cn)上に掲載された声明で「穏健な金融政策を実施し、より的を絞り、柔軟かつ将来を考慮した政策とするほか、経済状況に応じ政策を微調整していく」と言明した。

さらに「あらゆる政策手段を講じ、マネーと信用の伸びが安定的で適切となるよう誘導するほか、適切な規模の社会融資総量を維持する」としたほか、財源の配分を改善し、信用需給における構造的歪みを解消していくと主張した。

人民銀はまた、中国経済は安定化しつつあり、インフレトレンドは引き続き安定しているとの認識も示した。

「現在の経済・金融動向は安定化の兆しを示しており、物価動向もおおむね安定的だ」としたうえで、「世界経済成長は依然軟調となっている。欧州や米国で最近講じれらた救済措置や刺激策の影響を注視する必要がある」とした。

また、人民元相場の双方向の動きを引き続き後押ししていくとしながらも、人民元を概ね安定させる必要があることを強調した。

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6月中国PMIは50.2に低下、7カ月ぶり低水準も予想上回る 2012年7月2日
中国、預金準備率引き下げなど景気支援強化すべき=中銀政策委員 2012年5月25日

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE88O06620120925


 

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コメント
 
01. 2012年9月26日 11:34:46 : cqRnZH2CUM

>問題の根底にあるのは、効果的な対策を打ち出せない政府と指導者の力不足

そうかな。今は、誰が指導者になっても、あまり変わらないだろう

下向きのスパイラルという状況(信用収縮期待)が変わらない限り、

国家や中央銀行といえども、そう有効な戦略がでてくるものでもないし

協調してやろうにも、個々の国民のエゴを説得することも難しいのは

ユーロやTPPなどを見ていても明らか



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