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「通貨の秋」は想定外頻発、円安転換にも要注意 米金利低下円高 IMFが世界成長見通し下方修正 レコード盤は不要
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投稿者 MR 日時 2012 年 9 月 25 日 18:23:52: cT5Wxjlo3Xe3.
 

「通貨の秋」は想定外頻発、円安転換にも要注意

2012年 09月 25日 16:25 JST
斉藤洋二 ネクスト経済研究所代表

[東京 25日 ロイター] 今年もまた「通貨の秋」が巡ってきた。固定相場の昔、例年秋に開催される国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会で多角的通貨調

整(リアラインメント)が議論されたことなどに、その語源は求められる。ちなみに、今年は、東京で10月12日から14日まで開催されるが、ユーロが主要議題になるのは

必至である。

1973年に日本を含む先進各国が相次いで変動相場制に移行した後も、秋には大相場が展開されることが多かった。代表例は、85年9月22日の「プラザ合意」。

その翌日から烈々たる日々が始まった。87年2月の「ルーブル合意」までのわずか1年5カ月で円相場は240円水準から150円水準へと40%も上昇。これを契機に

日本経済にとって円高対策は最優先のテーマとなり、今日の家電産業に見られる通り、ついに「ものづくり国家」としての危機に直面するに至っている。

一方、英国の「暗黒の水曜日」(92年9月16日)も秋に起きた。欧州通貨統合への参加を念頭におく英国は、その2年前の90年にポンドを欧州為替相場メカニズ

ム(ERM)に参加させ、対外均衡を図るため国内金利を高めに誘導するが、その矛盾をついたジョージ・ソロス氏の大量のポンド売りにさらされ、ERM脱退に追い込ま

れた。いうまでもなく、英国に大陸諸国との通貨統合を断念させた歴史的事件である。

ちなみに、株式市場でも暴落は秋に起こることが多い。29年の大恐慌は10月24日の「暗黒の木曜日」と同29日の「悲劇の火曜日」。87年の「暗黒の月曜日」は

10月19日、2008年のリーマンショックの「暗黒の一週間」は10月6日に始まった。

相場変動の季節性の解明が本稿の目的ではないので、ここでは昼の時間が短くなり人間が心理的に鬱(うつ)傾向を強め、その行動の結果が相場を変動させると説

明されることが多いと付記するにとどめる。ただ、一笑に付すのは簡単だが、市場は新古典派経済学でいうところの「ホモ・エコノミクス(経済人)」すなわち合理的な人

々で形成されているわけではない。ましてや、市場は効率的に運用されているわけでもない。

人間が不確実性のもとでいかに非合理な決定を下すかということは、2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン教授らが実証的につまびらかにして

いることだ。人間が論理的思考よりも直感すなわち感情に支配され、物事が感情により決定されることにより、思わぬ結論が導き出されるとの論に従えば、為替相場

は非合理なものであり、大変動が秋に集中して起きることを心にとどめおく意味は少なからずあるはずだ。

<多くのFX投資家が負ける理由>

さて、人は古来、種々の経験から相場について学んできた。たとえば、「卵は一つの籠に盛るな」。この暗黙知は、市場に多少の波乱があっても資産を分散させれば運

用成果のブレを平準化できるという分散投資の要諦となり、モダンポートフォリオ理論として半世紀にわたり投資理論の教科書となった。

この理論は、確率論的にベル型カーブ(鐘形曲線)で左右対称に裾野が広がる正規分布を使い、極端な値をとる標本例は存在しないとの大前提に立っている。しか

し、実際の市場においては、投資家は合理的な経済人ではなく、また大波乱の発生頻度は正規分布では説明不能であり、適用性には限界を示すところとなった。

そこで注目されるのが「べき乗則」分布だ。東日本大震災はマグニチュード(M)9.0の巨大地震だった。マグニチュードは地震が発するエネルギーの大きさを示すが、M

6から7、8へはそれぞれ2の5乗(32倍)、2の10乗(1000倍)と「べき乗則」で増加する。一方その発生頻度は逆2乗の法則が働き減少していくが、ゼロにはならな

い。ここから「超大型の地震は案外起きる」との教訓が得られる。

この「べき乗則」分布は為替・株式市場の相場変動においても同様であることが経済物理学的に検証されている。大暴落・大恐慌が頻発する金融市場は、相場変

動の規模そして頻度の両面において、まさに「べき乗則」の世界であることを示している。

短期であれ、長期であれ、為替市場を見れば、大半の時間は「保ち合い」といわれる一定レンジ内での反復を繰り返す。「逆張り」をやっていれば勝ち続けることがで

きるはずだが、実態はバンドを突き抜ける変動の発生確率が高く、その規模も大きい。FX(外国為替証拠金取引)で大半の人が負けている原因のひとつがここにある

と考えられる。

<パラダイムシフトはすでに起きている>

では、以上のことを踏まえて、円相場を見てみよう。

現在の円相場は、120円水準から円高に転じて5年を経過した。円高の大きな要因のひとつは95年以来続くデフレだ。長期デフレの理由については、バブル崩壊の

後遺症、少子高齢化、中国の安い労働力と商品の流入など種々挙げられ議論されてきた。特にリーマンショック以降については、米国が量的緩和策によりベースマネ

ーを大幅に増加。この間の日米の金融政策のスタンスの違いが円相場に与えた影響は否定しがたい。

ただし、現在の円相場を取り巻く環境は、すでにパラダイムシフトが以下の諸点で起きている。まず日銀は今年2月14日に「中長期的な物価安定の目途」を導入し、

消費者物価(CPI)の前年比上昇率1%を目指すとしたほか、追加の金融緩和にも舵を切った。また、31年にわたる貿易黒字が赤字に転落し、さらには経常収支

黒字も急速に縮小を始めるなど、為替需給に変化がある。そして、ホルムズ海峡は依然不穏でありエネルギー不安を抱えている。最後に、財政赤字が巨大であり、

日本への評価は一変する可能性を内包している。

円相場はすでに歴史的円高水準にあるとはいえ、円の上昇力は鈍り、対ドルではこの2年間75円―85円のレンジで「保ち合い」が続いている。人間は心理学的に、

近い過去の経験から近未来を予測する傾向にある。つまり、「円相場は動かぬもの」「相場が動く時は円高へ」との思い込みが市場に定着しているように見える。しか

し、相場は決して安定的なものではなく、さらには非合理なものであることを忘れてはならない。つまり、前掲のパラダイムシフトを考慮し、べき乗則に従えば、円安方向

にバンドを突き抜ける可能性も心にとどめおく必要がある。

江戸時代に名をはせた相場師、本間宗久翁は3つの心得を言い残している。機に待つに即ち「仁」(チャンスが来るまでじっと待つ)。機に乗じるに即ち「勇」(チャンスが

来たら果敢に攻める)。機に転ずるに即ち「智」(柔軟に対応し、すぐに考えを切り替える)、と。現在の動意の乏しい相場はさしずめ「仁」の章と言ったところだが、季節

はまさに「通貨の秋」。「勇」「智」の備えこそ肝要と言えよう。

*斉藤洋二氏は、ネクスト経済研究所代表。1974年一橋大学経済学部卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。為替業務に従事。88年、日本生

命保険に入社し、為替・債券・株式など国内・国際投資を担当、フランス現地法人社長に。対外的には、公益財団法人国際金融情報センターで経済調査・OD

A業務に従事し、財務省関税・外国為替等審議会委員を歴任。2011年10月より現職。

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http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE88O00V20120925?sp=true


IMFが世界成長見通し下方修正へ、欧州の不透明感で=専務理事
2012年 09月 25日 07:13

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[ワシントン 24日 ロイター] 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は24日、IMFが来月公表する世界経済見通し(WEO)で世界の成長率予想を下方修

正するとの見通しを示した。欧州当局者がユーロ圏危機の解決に向けた合意を実行するか不透明な情勢となっていることが信頼感を圧迫しているとした。

10月に東京で開かれるIMF・世界銀行年次総会に関するスピーチで明らかにした。

専務理事は「IMFは引き続き緩やかな回復を予想しているが、世界経済の成長は7月の予想よりもやや弱くなる見通しだ。IMFの予想は過去12カ月にわたり下向

きの傾向をたどってきた」と述べた。

IMFは7月に公表した世界経済見通しで、2013年の世界経済の成長率予想をプラス3.9%に引き下げたが、12年についてはプラス3.5%で据え置いた。

専務理事はまた、ユーロ圏債務危機を取り巻く不透明感が世界経済の最大のリスクとした一方、減税失効と歳出の自動削減開始が重なる米国の「財政の崖」問

題も「深刻な」リスクとの見方を示した。

先進国当局者がこれらの主要な問題に効果的に対処するかどうかをめぐる不透明感が他の地域にも波及しているとし、このところ新興国でも明らかに景気が減速し

ていると指摘。貧困国の食料価格上昇や不安定な商品(コモディティー)価格に加え、中東の政治変動に絡む不満の拡大も「大きな懸念事項」になっていると述べた

債務危機の解決に向けた最近の欧州の決定を金融市場は好感しており、当局者が今後これを実行に移すことを期待していると強調。「市場がポジティブに反応して

も短命に終わることは過去にもあった」とし、「今回は一時的な反発ではなく持続的な回復が必要だ」と述べた。

ユーロ圏の重債務国にとって構造改革と財政健全化は不可避とした上で、ポルトガルやスペインといった国に財政分野などの改革を実行する時間的猶予を与えるこ

とに支持を表明した。

欧州「銀行同盟」構築の必要性もあらためて強調し、「銀行とソブリンの間の悪循環を断ち切るため、できるだけ早期に実現すべき」との考えを示した。ただ、時間がか

かることは承知しているとも述べた。

新興国については、経済を下支えするため金融・財政引き締めを休止するか、もしくは中国のように刺激策を講じる必要がある国も一部見られると指摘。その他の国

は高水準の信用の伸びが金融安定を脅かさないよう注視することが重要だとした。

中国による成長促進に向けた対策は、短期的には一定の支えとなるものの、長い目で見れば内需や国内消費の拡大が欠かせないとの考えを示した。 講演後の質

疑応答で「中国の対応は正しい方向に向かっていると思う」とする一方、「中期的には、輸出ではなく国内市場の伸びによる、消費に一段と軸足を置いた成長モデル

を描くことがとりわけ今後の新指導部に求められる課題となる」と語った。

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薄らぐ高揚感、景気減速懸念による米金利低下が円高招く
2012年 09月 25日 14:15 JST
[東京 25日 ロイター] 世界的な景気減速感が強まり米金利が低下したことでドル安・円高が進行、日本株の上値を押さえている。日米欧中銀の緩和そろい踏

みによる高揚感は薄らぎ、欧州や中国を中心とする景気スローダウンへの懸念が広がってきた。市場の悲観センチメントは今のところ限定的だが、積極的にリスク資産

の上値を追うような買いは乏しい。

<遠のく日本株のベストシナリオ>

日本株のベストシナリオが遠のいている。日本株にとって好ましいのは、景気回復感が強まる中で米金利が上昇し、ドル高・円安になる展開だ。リスクオンと円安のダブ

ルメリットを享受することができるようになれば、今春のように出遅れ感を解消するパフォーマンスが期待できるという。一方、金融緩和環境が維持されたとしても、景気

減速懸念で米金利が上昇しないうちは円高警戒感が日本株の圧迫要因になりやすい。

しかしながら、こうした期待に反し足元の景気指標やデータは景気減速感を示すものが目立つ。9月のIFO独業況指数は5カ月連続で低下。市場予想も下回り、ユ

ーロ圏債務危機の影響がドイツにも波及しているとの懸念が強まった。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は24日、IMFが来月公表する世界経済見通しで

世界の成長率予想を下方修正するとの見通しを示した。IMFは7月に公表した同見通しで、2013年の世界経済の成長率予想をプラス3.9%に引き下げたばかり

だ。

米建設機械大手のキャタピラー(CAT.N)は24日、2015年の1株当たり利益見通しを下方修正した。景気減速を背景に石炭と鉄鉱石の価格が今年20%以上

下落したことで、同社の顧客の多くが設備投資を見直している。オーバーヘルマン最高経営責任者(CEO)は、アナリストおよび記者との会合で「景気減速は予想以

上。2015年までかなりの鈍化が続くだろう」と語った。

世界経済の減速をめぐる懸念が国債買いを誘い、米10年債利回りは24日の市場で1.72%に低下し、米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和第3弾(QE3)

を発表する前の水準まで下がった。ドルは78円割れ付近のストップロスを巻き込んで77.81円まで下落した。

<中国関連株が下落>

前場の日経平均は買い戻しが入ったことで小反発したものの、円高と景気減速への懸念が強いなかでは上値は重く、後場に入って再びさえない動きに戻っている。キ

ャタピラーの下方修正を嫌気してコマツ(6301.T)、日立建機(6305.T)などの建機株が軟調だ。ファナック(6954.T)も野村証券が24日付リポートで投資判断を「バ

イ」から「ニュートラル」に引き下げたことが嫌気され下落した。同証券が同社株の投資判断を「ニュートラル」としたのは2009年2月以来。株価は堅調ながらも、中国

の工作機械需要が一段と減速するなど厳しく、短期の投資魅力が低下したと分析している。

SMBC日興証券チーフエコノミストの牧野潤一氏は、世界的に銀行の貸し出しが伸びていないことが世界的な景気減速の背景にあると指摘する。「欧州は銀行の

バランスシート問題、米国は『財政の崖』など政策の不透明さによる設備投資需要の低迷、中国は外貨準備の減少による民間への流動性供給の減少がある。各

国とも財政出動がしにくいなかで銀行の貸出低迷が景気減速に拍車をかけている」という。

日本の銀行貸出は復興需要もあって比較的堅調だが、国が巨額な借金を抱えるなかで、大胆な財政政策は打ちにくい。RBS証券・チーフ債券ストラテジストの福

永顕人氏は「中期財政フレームを逸脱するような大胆な景気対策が実施される可能性は、実際のところ相当に低いと考えるべきだ」と話す。

<中国再加速は来年か>

ただ、中国経済の再加速期待がゼロになったわけではない。他国と違うのは財政出動余地が依然大きいことだ。中国ビジネスに詳しいある大手商社の資金担当者は

「新政権になれば国民の人気取りのために公共投資を再開することになろう。リーマン・ショック後の4兆元投資はバブルを招いたとの批判が強いが、セクターを絞った投

資ならできるはずだ」とし、景気の谷は年内、来年以降は上向くとの見方を示している。反日デモによる対中投資への影響についても、「これまで中国で起きたのは反

日デモや反米デモぐらい。他国はチャイナリスクをそう感じていない」という。

為替についても一方的な円高は進まないとの見方もある。三菱UFJモルガン・スタンレー証券 投資情報部シニア投資ストラテジストの服部隆夫氏は最近の円のジリ

高傾向は金融緩和政策の温度差にあるとしながらも、現状のドル/円相場は77―79円のレンジを超えるエネルギーはなさそうだと指摘する。「日本の貿易収支の

構造変化が起こるなかで、需給面から77円を下回って一方的に円高が進行するリスクは限定的だ」という。

25日午前の東京市場でドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点と同水準の77円後半。ドルの上値は海外短期筋のロングの巻き戻しと輸出勢の売り需要に

抑えられる一方で、仲値公示にかけては輸入の買いで下値が支えられた。

(ロイターニュース 伊賀大記;編集 久保信博)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE88O03D20120925



【コラム】iTunesの世界にレコード盤は不要−ペセック

  9月24日(ブルームバーグ):「エイリアン」や「ブレードランナー」などの映画作品で知られるリドリー・スコット監督は、東日本大震災の被災地、東北地方に新作の

題材を見いだした。

監督が製作総指揮を務めた「ジャパン・イン・ア・デー」は日本の大震災からの復興をつづったドキュメンタリーで、日本国民を勇気づけ、目的意識を呼び覚ますことが

期待されている。来月開催される東京国際映画祭の特別オープニング作品にも選ばれた。

2011年3月11日の東日本大震災はハリウッドのパニック映画とは比べようもない。東北地方は高さ133フィート(40メートル)もの大津波に襲われ、町全体が流された

地区もあった。死者・行方不明者は1万9000人を超えた。チェルノブイリ以来最悪の原子力発電所の危機も発生。沿岸部の絶望的な状況の前にはハリウッド屈指

の舞台装置デザイナーらも言葉を失う。

だが、この映画は日本の復興を描く中でフィクションに重きを置いているようだ。確かに地域再生に奮闘する地元のリーダーや原発依存を減らせと訴える活動家ら注目

すべき例もあるが、未曽有の大地震から1年半を経た日本で最も驚くべきことは、ほとんど何も変わっていないということだ。
そこで復興をめぐる幾つかの通説と、それがほとんど実現していない理由を検証してみたい。取り上げるのは5つ。

1つ目は復興で景気が良くなるという説だ。これは正しくなかったとみるべきだ。再建の足取りは鈍く、デフレは深刻化、債務は膨らんでいる。ゼロ金利が続く一方、円高

で製造業が打撃を受けている。女性の出世・昇進もままならず、いまだに家族の健康より企業の健全性の方が重視されている。

期待

何がいけなかったのだろうか。欧州債務危機や米国の退潮、中国の失速といった世界経済の惨状は大きな痛手だ。だが、日本政府に新しい発想や政治的意志、そ

して許し難いことに切迫感が全く欠如していることこそ非難されるべきだ。

2つ目は大震災が政治を大きく変えるとの期待だ。昨年の悲劇は、政治家が断固たる行動を起こせば報いられる新時代を切り開くものと考えられていたし、官僚が日

本を動かす時代は終わると言われていた。

ところが政府は現状を維持した。分権を進めず、地方のリーダーに大きな決定を下させなかった上に、お役所仕事の効率化を避けた。役人の監督業界への天下りを

容認し続け、政府機関の説明責任を強める取り組みを妨げた。オリンパスの不祥事につながったコーポレートガバナンス(企業統治)基準の弱点も無視した。

3人目

回転ドアのように首相が交代する状況も相変わらずだ。野田佳彦首相の支持率低迷で日本には震災後3人目となる首相が近く登場するかもしれない。約54年間

にわたる自民党政権が09年に終わったときの興奮を思い出せるだろうか。有権者は民主党に愛想を尽かし、わずか3年で自民党の政権復帰を許す可能性もある。

多くの有権者にとっては、不景気の中で消費税率を2倍に引き上げる野田首相の決断は許せないものだった。

3つ目は脱原発だ。菅直人前首相が福島第一原発の事故で首都圏を避難対象とするよう検討したことを考えれば特に、現在のような健忘症の広がりは驚きだ。チェ

ルノブイリでの事故以来の最悪の危機を招いた東京電力は生き残った。経営陣の中で自らの失敗について罰せられた者はいない。
放射性物質が福島の一部を住めない地域にしてしまったにもかかわらず、野田首相は原子炉の運転を再開させている。業界からの圧力の中で、30年代に原発をゼ

ロにするとの政府の方針は揺らいでいる。

ハッピーエンド

4つ目は繁栄を国外に求めることだ。産業界は多少の前進を見せている。「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングなど日本の有力企業は成長の多くを海外に頼って

いる。政府が自らの役割を果たしていればよかったが、震災以後、自由貿易協定や運輸・農業などの主要分野での規制緩和はほとんど進んでいない。看護師や建

設作業員、工場従業員として働くため来日を望む外国人のむなしい叫びが続いている。アジア諸国との関係は悪化するばかりで、日本は周辺海域の小島の主権を

めぐり中国や韓国と対立している。

5つ目は民間セクターの邪魔をするなということだ。資産家でソフトバンクを率いる孫正義氏が日本最大の太陽光発電所の建設に向けた取り組みで政府が歩み寄る

と考えていたとしたなら、完全に間違っていたことになる。孫氏は政府の認可獲得にまだ苦戦中だ。アップルのスマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)

」を日本で販売するソフトバンクを築き上げた孫氏のこうした苦労は、コンテンツ配信サービス「iTunes(アイチューンズ)」が普及する今の世の中にあって、日本の政治

制度がキーキーと鳴る45回転のレコード盤のような存在であることを浮き彫りにしている。

財布のひもを握り支配を続ける官僚が変革を邪魔していることこそが問題だ。日本国民が直面する現実と比べれば、スコット監督の手掛けた映画の方がハッピーエン

ドなのは確かなようだ。

(ウィリアム・ペセック氏はブルームバーグ・ビューのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:ITunes World Is No Place for Scratchy 45 Records: WilliamPesek(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:東証 Willie Pesek wpesek@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:James Greiff jgreiff@bloomberg.net
更新日時: 2012/09/24 09:40 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MAOIV36K50XS01.html  

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コメント
 
01. 2012年9月25日 18:49:42 : cqRnZH2CUM

>前掲のパラダイムシフトを考慮し、べき乗則に従えば、円安方向

嘘くさい話だ

べき乗則とは、単に、自然現象は、正規分布が仮定するようなランダムな過程ではないから
一見、ありそうもない現象の発生確率は、実は結構高いというだけ

つまりべき乗則から、円安が起こることが期待できるわけではない


02. 2012年9月25日 20:55:10 : B6zVyjmuwU
介入資金がない(ことになってる)から、しばらくは円高。

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