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量的緩和を雇用改善まで続けることのナンセンス
アメリカもお笑い劇場を始めたようだ。
とうとうというか予想通り、QE3なるものが実施された。内容は、低金利を続け、金融資産の買い取りを続けるという今まで通りのことをするらしいが、今回新しくうやうやしく取り出したのは、雇用改善まで続けるという理由付けであった。
これで彼らは、デフレというもの全く理解していないことが明らかになった。そしてバーナンキやFRBにこれ以上期待することができないことがはっきり分かった。
以前から何度もいっているようにデフレ下での生産刺激策は、付加価値を引き下げる働きがあり、よりデフレを促進するものである。
また金融資産の買い入れは、市場の実際の購買力にほとんど影響を与えない。FRBの金融資産の買い入れも、外国のファンドが他国の企業を買収するのと同じことで、所有者が変わるだけであり、その国の需要、すなわち購買力が伸びることはない。
このような間違った政策でも、今はまだ、市場の金融関係の人達が良い政策だと信じているので、市場がいい方に踊る。結局2、3年後にはより悪くなった市場が出現することになる。
これが分かっている連中はきっちり儲けることだろう。
日本のようなデフレが深刻化した国では、明らかに労働生産曲線が右下がりになっている。これは所得線が45度以下に下がったデフレ市場の特徴である。
右下がりの労働曲線では、生産量を増やせば増やすほど賃金が下がっていく。
それ故低金利政策による生産刺激策は、労働の投入量が増えるほど、賃金が低下することになる。
賃金の低下は、購買力を弱め、市場から資金が失われるため、結局売上が低下し、労働市場が停滞し、再び雇用が失われる。
今回の雇用の改善が見られるまで、低金利、量的緩和政策を続行するというのは、理論的に成り立たないものであり、実際には詐欺的な政策となろう。
一時的に労働量が増えるかもしれないが、最終的には、雇用の改善はなされない。日本もこの繰り返しであった。残念ながらいまだに続けているのが日銀の総裁だ。
今回のQE3はほとんどが今までと変わりない政策で、それを大規模に続けるだけのため、デフレの解消は全く期待できない。
恐らくアナウンス効果が大きいが、それほど失業率は変わらないで、しぼんでいくようなものになろう。
バーナンキは、大衆とのコミュニケーションを取るといっている。それは十分に国は、低金利策を取り、成長を後押ししているということを徹底させる意味であろう。
それ故多くの企業は、創意工夫をして積極的に生産量を増やすことだろう。しかしそれには購買力を伴っていない。最初の1、2年は、生産増に伴い労働量が伸び、雇用改善が伴うかもしれない。
その時に彼らは大いに自分たちの政策が成功した、あるいは一定の効果があったとか言うであろう。しかし2、3年後には再び同じように、雇用がしぼみ始めるのである。
これは日本が、何度も低金利を仕掛け、実質GDPの成長をもって、景気が回復しているなどと喧伝していたが、20年経てば、名目GDPが20年前の水準以下に戻ってしまったのと同じ現象である。
拡大再生産の軌道に乗せられず、資金が市場から失われただけであった。アメリカも同じ轍を踏むことになる。
雇用量が1、2年改善しても、3、4年後にはしぼんでしまうことをもう少し分かりやすく説明しよう。
デフレの場合、生産刺激策の多くが、最初に実質GDPの成長を伴い、その後名目GDPに合わせるように失速していく。雇用もこの循環のひとつなのである。
低金利などの補助金政策が取られると、企業はそれを利用して、今まで練ってきた計画の一つを実行しようとする。例えば今まで月商1千万の企業が、あるプロジェクトを実行したところ、400万増え、全体で千4百万円になったとしよう。
しかし今まで月商1千万で利益が100万円あったのが、月商14百万になって、売上が伸びたのにもかかわらず、利益が逆に80万円になってしまった。このような状態が起こり安く、また往々にして起こるのがデフレ市場なのである。
所得線が45度以下の角度で、全体の貯蓄量より借金の量が多い市場では、購買量の伴わない単なる生産量の増大は、付加価値を減少させるからです。
この400万円の増加分が、雇用の増大となり、初期に、政策がいかにも成功したかのように見えるのです。しかしこのような不採算の状態を企業は長く続けることができなくなり、新規事業を断念することになる。それがまた再び経済を縮小させるのです。
この時購買力の増加を伴わない生産増大(雇用増大)は、補助金を回収できず借金が丸残りする。低金利という企業への補助金は、我々預金者の金利低下の損失分を全く補うことができないのです。
バーナンキやFRBは、預金者の不利益より、低金利による補助金政策の方が効果があると言っているが、それは根本的なデフレに対する理解が欠如していることを示している。もはや彼に何も期待できない。今期の任期で退場いただいた方が良いだろう。
しかもこの不毛な経済成長は、大きな資源のむだ使いを含み、浪費そのものなのです。
しなかった方が経済に貢献しているという意味です。
しなければ、私達の持ち分がまだ損なわれないで残っているのだが、馬鹿げた不毛な成長によりより早く持ち分が失われていくのです。
デフレ経済で、生産側に補助金を与え、あるいは公共投資を行い、あるいはオリンピックなどのイベントを開催するということは、不毛な経済成長をさせることになります。
ある企業の、あるいは産業の、あるいは地方公共団体のプロジェクトの実施には、多くの原材料、資材を使い、幾多の加工工程を経て、さらに多くの労働者を投入しなければならない。
それにより、より大きな付加価値が生まれ、実が結べば、使った原材料、労働、機械、工具、生産工程、販売工程、加工工程のすべてが、役に立ったことになる。これが正しい拡大再生産です。
しかし、そのプロジェクトが赤字が大きい、あるいは投入量の割に付加価値が少なすぎる場合、使ったすべての物が無駄であったことになる。(労働者は、自分が働いた工場が閉鎖され、働いた意味が否定されるのである。その間に得た賃金は借金の増加分から支払われたことになる。)
我々の資源が、本来なら利益が結実する物に使えたにもかかわらず、無駄なものに使われたことになる。
我々の資産、資本、技術、機械、など持ち物の多くが、この20年間浪費されたのです。それが現在のじり貧と貧乏を示しています。
デフレ下における生産量増大プロジェクトは、不必要なものに物を浪費し、より早く経済的利益が失われ,国富がどんどん無くなっていっているのです。
最近の日本を見ればこのことが良く分かる。政府が何もしない方が、調子は悪いがそこそこ民間は食いつないで凌いでいる。じりじり悪くなっているだけだ。
しかし政府が動き、生産刺激策や、公共投資などを仕掛けるとより一層早く悪くなっているのである。
東北復興も、政府支出によるインフラ整備より、義援金のばらまきや、高速無料化、東電の損害補償金の個人への支出などの方が役に立っているはずである。
アメリカもバーナンキによるヘリコプターのばらまきを金融機関や、生産者の上にわざわざ行って、失敗している。お金を簡単にヘリコプターで、生産者にも、消費者にも分け隔てなくばらまけば良いだけである。
デフレ解消は何も難しいことではない。お金のばらまき先を変更すれば良いだけなのです。
この分で行くと、2千14年度は、アメリカのQE3と、EZBの無制限国債買い取り、日本の消費税増税により、世界経済がつぶれるだろう。
世界は、日本が消費税増税を撤回し、消費者に資金を回せば、救われるだろう。しかし
消費税増税を撤回できなければ、未曾有の苦しみを味わうことになろう。
一言主
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou
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