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(回答先: バーナンキ議長の資産購入も無制限−失業との闘いが最優先 対円でドルが上昇、ユーロも4カ月ぶりの高値に 投稿者 MR 日時 2012 年 9 月 15 日 00:02:55)
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急激に落ち込む国際貿易
(英エコノミスト誌 2012年9月8日号)
国際貿易は今年、急激に落ち込んだ。今後の見通しもかなり厳しい。
貿易ウオッチャーは、活動の状況を判断するため、よく海に目を向ける。活気に満ちた埠頭や港は、輸出業者と輸入業者が多忙であることを意味し、貿易統計は概して強くなる。埠頭がガラガラであれば、それは不吉な兆候だ。2011年末には大きな港のデータが不安定になり始め、その後現実となった景気減速への不安が高まった。
経済協力開発機構(OECD)は、2012年第2四半期に英国とインドで輸出が4%以上落ち込んだと報告した。ロシアと南アフリカでは輸出が8%以上減少したという。これは、シンガポールや香港のような重要な貿易拠点にとって特に凶報だ(図1参照)。
アイルランドやベルギーなど、経済が開かれたユーロ圏諸国も大きな影響を受ける。
貿易が落ち込んだ明らかな原因は、世界的な景気減速だ。輸出は外国人に対する販売であるため、購買力が低い時には輸出は減少する傾向がある。つまり、貿易は概して世界の国内総生産(GDP)とかなり密に連動するということだ。
もっと大雑把なレベルでも、貿易パターンは各国経済の運命と合致する。2011年以降、低迷する欧州連合(EU)への輸入は4.5%減少した。対照的に、石油資源に恵まれた中東諸国では輸入が7.4%増加している。
景気が回復すれば、貿易も持ち直すはずだが・・・
もし世界経済が貿易を決定づける唯一の要因だとしたら、世界の経済生産が上向けば、自動的に貿易も増加するはずだ。例えば国際通貨基金(IMF)は、景気回復を背景に2013年には貿易が5.1%拡大すると考えている。
しかし、IMFの予想は、ユーロ圏や新興国で緩和政策が成功することが前提になっている。もしその見通しが甘過ぎたということになれば、経済成長と貿易は予想を下回りかねない。
最新の船舶輸送の統計は、急回復があまり期待できないことを示唆している。「ロイズ・リスト」が9月5日に公表した調査結果によると、アジアから欧州へのコンテナ輸送が7月に前年同月比で13.2%減少していた。
しかも、貿易は完璧に景気循環をなぞるわけではない。近年、貿易は概してGDP以上のスピードで拡大し、世界のGDPに占める貿易の割合は1996年の22%から2008年の33%に上昇した。
今年の貿易の落ち込みは世界経済の落ち込みより激しい(図2参照)。そうした状況は、世界経済の成長ペース以外の別の要因が作用している可能性を示唆している。
考えられる1つの要因は、貿易金融を得にくくなっていることだ。国際的に事業を展開する企業は、銀行に大きく依存している。
輸出業者を例に取ろう。原材料やその他の投入財を購入した後、企業は目的国に輸出する前に、まず製品を作らなければならない。代金を回収する前に製品を最終バイヤーに届けることもある。
費用が発生してから収入を手にするまで時差が生じ、このギャップを短期の貿易金融の融資が埋めているわけだ。
貿易金融業務を縮小する欧州の銀行
欧州の銀行は貿易金融で大きな役割を果たしてきた。最近の世界銀行の調査によれば、ユーロ圏の大手銀行は2011年の世界の貿易金融の36%を担った。中南米およびアジア向けの貿易金融については、フランスとスペインの銀行だけで40%を供給した。
だが、国際的な大手銀行HSBCのジャン・フランソワ・ランベール氏によると、ユーロ圏の銀行はこのところ、貿易金融業務を縮小しているという。
業務縮小の理由の1つは、国際貿易はドル建てで行われており、リスクが高く見えるユーロ圏の銀行がドル資金を得にくくなっていることだ。もう1つの原因は、欧州の銀行がバランスシートのスリム化を図る必要に迫られていることだ。この点では、短期的な性質を持つ貿易金融は削りやすい。
さらに、多くの銀行は、事業活動を国内市場に集中させることも迫られている。HSBCのような銀行が、去っていく欧州の銀行が残した仕事の一部を担えるだろう。日本の銀行や、中国、ブラジルの地元銀行も、その隙間を埋めようと動き出している。だが、貿易金融は、以前ほどふんだんに供給されなくなる可能性が高い。
保護貿易主義の高まりも影響
保護貿易主義の高まりも貿易の足を引っ張り始めているかもしれない。今回の危機の初期段階には、世界が心配せずに済むと思われたことの1つが保護貿易主義だった。1930年代の教訓(何が何でも貿易戦争は避けよ)がしっかり学ばれたように思えたからだ。
ところが今、いくつもの新たな貿易摩擦が、心配になり始めるほどのレベルに発展しつつある。アルゼンチンは多くの論争を抱えている。米国、インド、中国は、鉄鋼を巡る論争の渦中にある。9月4日にはブラジルが100品目に対して関税を引き上げると発表した。
コロンビア大学のジャグディッシュ・バグワティ教授によると、危険なのは、自由貿易に対するコミットメントが揺らぎかねないことだ。選挙の圧力が影響を及ぼす場合は特にそうだという。
たとえ新たな保護貿易の流れを回避できたとしても、さらなる貿易の自由化に向けた意欲はがっかりするほど限られている。
開始から11年経つドーハ・ラウンド(多角的通商交渉)――新市場を開放することで世界のGDPを年間0.5%増大させる可能性がある――は、死んだも同然だ。ドーハ・ラウンドの代わりに、入り混じる地域貿易協定――バグワティ教授は「スパゲティーボウル」と呼んでいる――が誕生している。
期待されるのは、ドーハ・ラウンドの最も有望な要素が、新協定で復活することだ。「貿易円滑化」に関する合意(国境での煩雑な手続きを取り除くこと)は、一部のG20諸国のつまらない保護主義を相殺して余りある成果をもたらすだろう。だが、自由貿易を後押ししようとする潮流は勢いを失いつつある。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。
社説:スペインを襲う新たな危機
カタルーニャ州で高まる独立機運
(2012年9月13日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ユーロ圏の危機で倒れた政府は1つだけではないが、これまで国民国家そのものの存続が問われたことはなかった。だが、スペインではそれが起きているように見える。今週、カタルーニャ州での分離独立熱の爆発が劇的に示した新展開だ。
9月11日、最大で150万人のカタルーニャ市民が「カタルーニャ、欧州の新たな国家」というスローガンを掲げてバルセロナの街頭に結集した。フランコ将軍の独裁体制が終わった後、高度に発達した地方統治システムの上に築かれた多民族国家スペインは今、分裂する恐れがある。
財政移転への不満が爆発
原因の一端はユーロ圏の危機にある。危機は容赦なく、スペインの財政的な取り決めの脆さを露見させた。この場合、比較的豊かなカタルーニャ州の市民は、年間経済生産の9%をマドリードの中央政府に差し出さねばならないが、自分たちの債務や給料の支払い義務を果たすために中央に救済を求めざるを得ないことに憤慨しているのだ。
カタルーニャは財政の自治権を求めている。つまり、スペインの国庫に拠出する資金の割合がずっと小さいバスクのように、独自の税金を徴収する権利だ。
だが、マリアノ・ラホイ首相がユーロ圏による全面救済を要請すべきか否か悩んでいるスペインは、国の年金・福祉債務を履行するためにカタルーニャからの財政移転を必要としている。
観念的に地方分権に反対する、ラホイ首相率いる右派の国民党政権は、危機を利用してスペインを再び中央集権化しようとしており、財政の窮乏と国民の不満が入り混じる危険な状況を生み出している。
今ではカタルーニャ州の市民の半数以上が、自分たちの国家意識をもう受容できないと感じているスペイン国家に縛られたままだと、カタルーニャの未来は危ういと考えている。これに対し、スペインの国家主義者は、バスクとカタルーニャのアイデンティティーを自己愛として見下し、スペインの統一を神聖視している。
今後を大きく左右する来週のトップ会談
両者とも、カタルーニャでは主流派の国家主義が敗北したことを理解する必要がある。カタルーニャ州のアルトゥール・マス首相は来週、ラホイ首相と決定的な会談を持つ。マス首相は、自治権拡大までのつなぎ、あるいは完全な独立に向けた基礎として、財政の自治権を要求する。
理想的には、豊かな州から貧しい州へのより公平な財政移転を含む、より良い財政モデルで合意すればいいだろう。これは検討すべきことだ。だが、そのタイミングは、経済の緊急事態に対処することが優先事項でなければならない今ではない。
それより可能性が高いのは、マス首相が手ぶらで会談を終え、カタルーニャの独立に関する住民投票となる早期の選挙に踏み切ることだ。憲法上の危機が迫って来るのだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36103
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