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QE3=株高を読めなかったロムニー候補の大失言
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2012年9月14日 植草一秀の『知られざる真実』
9月12、13日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)でFRB(連邦準備制度理事会)は、追加的な量的金融緩和措置(QE3)を決定した。
この決定を受けて、NYダウは節目の13,300ドルを突破した。
私が執筆している会員制の政治経済・金融投資環境分析レポートである
『金利・為替・株価特報』
では、2012年7月30日号で、株式市場の流れの転換予測を記述した。
株価下落、金利低下、ユーロ下落、米ドル下落、中国株価下落、などの中期循環が転換する時期が近付いていることを示唆したのである。
そして、米国株価については、13,300ドルが節目になることを示してきた。
NYダウは2009年3月以降、実は暴騰している。
2009年3月に6547ドルにまで下落したNYダウであるが、9月13日に13,300ドルを突破した。この3年半の間に、NYダウは2倍以上に値上がりしたのである。
株価波動を見ると、三度の上昇波動を形成したことが分かる。
この上昇で株価がピークを付けて、下落に転じるのかどうかが注目されている。
その判断のひとつの材料になるのが、13,300ドルの節目である。
この水準を完全に上に抜ければ、NY株価は2009年3月以降、四度目の上昇波動に進む可能性が高くなる。
9月13日の金融緩和策決定を受けて、NYダウは200ドルも値上がりして、この節目を抜けた。
2013年の米国は、本来真っ暗である。昨年、米国議会は政府債務上限を引き上げる法律を成立させた。
この法律が通らないと米国政府は資金調達することが不可能になり、債務償還にも支障が生じる。つまり、米国国債がデフォルトに陥るリスクが意識されたのである。
米国では、財政規律を維持するためのツールとして、政府債務残高の上限が法定化されている。国債残高が累増すると法定債務上限に接近する。その度に政府債務不履行のリスクが意識されることが繰り返されてきた。
日本では赤字国債を発行するための法律を毎年度制定して赤字国債を発行している。この法律が成立しないと政府機能がマヒしてしまうが、似たような制度を米国も有している。
米国では2010年の中間選挙でオバマ民主党が敗北したために、議会上院では民主党が過半数を握っているが、下院では共和党が過半数を制している。日本と同様のねじれが生じている。
このため、政府債務上限引上げ法は容易に成立しなかった。オバマ大統領は、この法律成立と引き換えに、2013年から10年間で米国財政赤字を4兆ドルも削減させる方針を呑まざるを得なかった。
この政策が始動すると、財政政策が米国経済の激しいブレーキになる。
米国議会予算局(CBO)は8月22日、米議会予算局(CBO)は8月22日、最新の経済・財政見通しを発表した。
これによると、オバマ大統領が約束させられた財政赤字削減策が実行に移されて、2013年初めに減税措置の期限切れと自動的な歳出削減が重なる、いわゆる「財政の崖」と呼ばれる事態が現実になる場合、米経済が深刻な景気後退に突入するとの試算結果が発表されたのだ。
議会が減税延長などの対策を取らなければ、米国の実質GDP成長率は2013年前半に年率マイナス2.9%、通年でマイナス0.5%に落ち込むとの見通しが示された。
株価は通常、半年程度の未来を織込んで動く。
2013年に深刻な不況が到来するとの見通しが広がれば、株価には下方圧力がかかる。米国株価がピークを記録して下落波動に転じる恐れは低くない。
しかし、ここで見落とせぬ要因が存在することに注意を払わねばならない。
それは、この11月に大統領選挙があるということだ。
9月から11月にかけて株価が下落し、景気悪化を示す経済指標が相次いで発表されれば、オバマの再選は極めて難しくなる。
これまでの歴史では、失業率が7%以上の状況下で、再選を果たした大統領はレーガンしかいない。
いま、米国の失業率は8.1%の水準にある。深刻な雇用情勢が広がっていることに対する米国民の視線は厳しい。
したがって、オバマ大統領としては、少なくとも、この3ヵ月については、あらゆる方策を用いて、株式市場と景気を鼓舞しなければならないのだ。
そして、今回のFRBによる追加金融緩和政策実施の重要な背景が存在していたことを見落とせない。
それは、共和党大統領候補のミット・ロムニー氏が、大統領に選出された場合、バーナンキをFRB議長に再任しない方針を示したのである。
だから、私は、バーナンキが今回のFOMCで追加金融緩和を決めると予測した。バーナンキは、自身の続投を確保するためには、オバマが再選されることが必要不可欠になったのだ。
オバマは、政策を総動員して景気悪化=株価下落を回避しようとするだろう。
この政策を見込んで、株価が上昇したのだと思われる。
金融市場の変動は予測不能な面があるから、予断を許さないが、とりあえず、経済楽観の方向に政策が進む期待が生まれてきた。
バーナンキを再任しないと明言したところに、ミット・ロムニーの戦術の稚拙さが表れてしまった恰好だ。
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