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中国の減速で冷え込む日本、韓国経済
(2012年9月11日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
9月10日、日本が第2四半期の経済成長の推定値を下方修正する一方、韓国が財政出動による新たな景気刺激策を発表し、両国経済が最も重要な貿易相手国である中国の減速に脆いことが浮き彫りになった。
週末から10日にかけて発表された中国の弱い統計値は、世界第2位の経済大国が欧米の需要の鈍化に苦しんでおり、今年行われる10年に1度の指導部交代を前に、正しい政策措置を見つけるのに苦労していることを裏づけた。
10日発表された統計によると、8月の中国の輸入は前年同月比で2.6%減少する一方、輸出の伸びは2.7%増にとどまった。輸出の伸び率は7月の1%よりは高かったが、中国が慣れていた2ケタ成長を大きく下回っている。
輸出の弱さの主因は、危機に見舞われている欧州だ。欧州は中国にとって最大の貿易相手であり、8月の欧州連合(EU)向け輸出は前年同月比で13%近く減少した。輸出産業が推定2億人を雇用している中国では、悪化する貿易統計は大きな懸念材料だ。中国経済の今年の成長率は、1999年以来の低さになると見られている。
2009年のような力強い回復は見込めない
「2009年のように中国が力強く立ち直り、すべての人を救うのか、という重要な問題に対する答えは『ノー』だ」。クレディ・スイスのアジア地域担当チーフエコノミスト、ドン・タオ氏(香港在勤)は、8月の工業生産が約3年ぶりの低水準となり、固定資産投資が減少していることなどを挙げ、こう語った。
「中国は、反循環的な政策では解決できない構造問題に直面している」と同氏は言う。「民間部門は投資を正当化できるだけの利益を上げられる分野を見つけられない」
中国政府は新規のインフラ整備計画を承認し、成長を後押しする対策を講じている。エコノミストの中には、労働集約型産業に対する減税措置や、対ドルの人民元相場を安定させておく政策への新たな決意など、さらなる対策を予想する向きもある。
だが、中国国務院(内閣に相当)の確たる支持を得ているように見えた4兆元の巨大刺激策が実施された2009年とは異なり、今は派閥間に意見の相違がある兆候が見えると、みずほ証券のアジア担当チーフエコノミスト、沈建光氏は言う。
「政府はハードランディング(硬着陸)のリスクがあることを認識し始めたが、今回はトップからの力強いメッセージがない」。同氏はこう言い、中国の経済企画を担う最高機関で成長重視の国家発展改革委員会と、インフレのリスクを懸念する中央銀行との間に緊張が生じていると指摘する。
中国の成長鈍化の影響は、日本の第2四半期の国内総生産(GDP)成長率の大幅下方修正に顕著に表れており、世界第3位の経済大国である日本が今年、少なくとも1四半期はマイナス成長に陥るとの懸念を引き起こした。
日本の4〜6月期のGDP改定値は0.2%増となり、在庫や政府支出、民間部門の投資が予想より弱くなったため、速報値の0.3%増から下方修正された。
韓国は追加刺激策で対応
一方、韓国政府は弱い輸出統計に対応し、3カ月前の75億ドル規模の景気刺激策に続き、53億ドル規模の追加刺激策を発表した。エコノミストの見るところ、韓国銀行(中央銀行)は今週、7月の同様の利下げに続き、0.25%の追加利下げに踏み切る可能性があるという。
日本では、追加の刺激策に対する期待が高まっている。米連邦準備理事会(FRB)がもう一段の金融緩和に踏み切り、対ドルでの円高を招く場合はなおのことだ。HSBCのアジア経済部門の共同代表を務めるフレデリック・ニューマン氏は「金融政策にどんな有効性が残っているにせよ、日銀はそれを利用すべきだ」と話している。
【第43回】 2012年9月12日 上久保誠人 [立命館大学政策科学部准教授]
なぜ英国で製造業が拡大しているのか
新生「ものづくり帝国・UK」誕生の秘密を探る
2012年9月4日(火)から、立命館大学政策科学部の「研究入門フォーラム」というプログラムの一環として、学生15人と英国フィールドワークを行っている(9月12日までの予定)。これは学部2回生を対象に、フィールドワークを実際に体験させる プログラムで、国内のさまざまな自治体への訪問の他に、フランス、カナダ、中国、韓国、タイ、英国の海外フィールドワークのプルグラムもある。私は今年度プログラムの担当ではないが、学生引率の1人として英国プロジェクトに参加している。今回の訪問先は、昨年に引き続いてHSBC、BPなどの企業、英国の地方行政機関、NGOなど多岐に渡るが、今回は英国の「製造業」に焦点を当てる。
昨年度のフィールドワーク:
「UK社会構造化モデル」
まず、この連載でも取り上げた、昨年度のフィールドワークの取り組みと成果を振り返る(第19回、第20回を参照のこと)。昨年度は、メインの研究テーマを「若者の雇用問題」とした。まず、日本の若者の就職活動の範囲を急成長するアジア地域まで拡大して雇用のパイを大きくすることが「雇用対策」だという問題意識を持ち(第8回を参照のこと)、アジアで日本の若者の競争相手となる中国、香港、シンガポール、マレーシアなどの若者を留学生として受け入れ、語学や専門知識を習得させて育てている英国の大学を調査した。そして、英国の大学が築いているアジアなど海外との間の「人材還流システム」を理解した(第19回8ページを参照のこと)。
英国は戦略的にアジアから多数の留学生を獲得し、留学生のニーズに合う実学教育を推進し、「英国ファン」を生み出す。そして、英国の大学院を修了すれば、母国で国家エリートになれるし、「グローバル企業」に就職できるとなれるキャリア・ルートを確立している。その具体例として、また、サリー大学の海外30ヵ国以上のグローバル企業との長期研修制度の調査も行った(第19回7ページを参照のこと)。
また、昨年度は「英国社会」の構造に焦点を当てた研究を行った。英国社会とは小さなブリテン島の「政府」だけではなく、「英連邦」を中心とした世界中に広がる「国際化した大学のネットワーク」「グローバル企業」「市民社会」によって成り立っているという視点を持ち、学生のさまざまな組織に対する聴き取り調査を基に、「UK社会構造化モデル」を作成した(第20回2ページを参照のこと)。
これは、英国社会を政府と「大学、ブリティッシュ・カウンシル」「多国籍企業」「NGO」と「英連邦」加盟54ヵ国間の間での、「人材(青線)」「資金(赤線)」の流れで説明するものだ。さまざまな「人材」「資金」の流れが生み出す知識・ネットワークが英国社会のパワーの源泉だ。これは、経済成長に必要な人材、産業を政府(中央省庁)の主導により自国内ですべて育成する日本独特の国家モデル(「開発主義国家モデル」)と、全く異なるものだ。今後、日本が考えるべき新たな国家・社会のモデルがあると提言した。
今年度のフィールドワーク:
新興国と英国の「新しい関係」
以前、英経済紙「The Economist」の「新興国企業と英国:新しい特別な関係」という記事を紹介した。
《新興国は、自国の政治的リスクを避けるために英国市場に積極的に投資する。インドのタタ財閥は、コーラス(旧ブリティッシュ・スティール)、ジャガー・ランドローバーなどを総額150億ポンド(約1兆8000億円)で買収した。新興国からの投資で、英国市場の規模は急拡大している。これは、米国に比べて規制が少なく、企業買収が簡単なオープンな市場だからだ。また、新興国にとって、英国のブランド力と高度なノウハウ・知識の蓄積も大きな魅力的だ。その結果、新興国に買収されても、英国企業の本社・工場は国内に留まっている。英国と旧植民地である新興国との「新しい関係」は、「オープンな英国」の勝利を示すものだ。》
一見、違和感のある記事だ。英国といえば、製造業が衰退し、金融・法律、会計、コンサルタントなどの高度サービス中心に移行した国とされる。だが、この記事は、インドなど新興国の企業による英国製造業の積極的買収と、英国内工場の操業によって、英国の製造業は拡大しているという。
日本では一般的に、外資による日本企業の買収を「敗北」と捉えがちだ。しかし、英国では「勝利」と言い切っており、驚きである。また、衰退した英国の製造業に新興国が魅力を感じるのも、日本人としては違和感を拭えない。
日本では、国内の高コスト体質のために製造業が競争力を失い、海外に工場を次々と移している。海外からの日本の製造業買収の動きは、ルノーによる日産の買収などを除けば、非常に少ない。英国も日本同様、労働コストは高い。なぜインド、中国などの新興国企業は積極的に英国に進出するだろうか。
そこで、今年度の英国フィールドワークでは、英国内の外資系製造業と英国の「新しい関係」を調査することにした。そして、調査を進めていた学生が、私の母校、ウォーリック大学(University of Warwick)の研究所Warwick Manufacturing Group(WMG)とインド・タタ財閥の中核企業であるタタ・モータースの共同研究開発施設を見つけた。そこで、WMGに連絡を取り、WMGのプログラムマネジャー、ニック・マリンソン博士に会うことができた。
Warwick Manufacturing Group(WMG)と
提携するタタ・モータースの戦略
WMGは、ウォーリック大学大学院工学研究科を中心に、心理学研究科、医学研究科、コンピューターサイエンス研究科、ウォーリック・ビジネス・スクール(WBS)が参画して、1980年に組織された学際的研究センターだ。しかし、WMGは予算の80%は産業界からの出資であり、政府からの予算も受けており、純粋な大学の研究所ではない。そして、予算の66%が研究開発活動に費やされている。
WMGの活動の中心は、大学が集積する高度な技術・知識の産業界への移転だ。WMGはタタ・モータース、タタ・スチール、ジャガー&ランド・ローバーなど約500社の世界中のグローバル企業と協力関係を結んでいる。その活動は英国内に留まらず、技術開発センターを香港、インド、シンガポール、マレーシア、タイに設置する。大学間のネットワーキングにも積極的で、中国、マレーシアの大学などの大学と提携関係にある。
WMGは大学院修士課程(MA,MBA)・博士課程(PhD,EngD)の研究・教育カリキュラムを持つ。学生数は650人。留学生比率が高く、特に博士課程はほとんど留学生だ。授業では、大学教員に加えて、ジャガーなどのエンジニアが教壇に立ち、実学教育を行う。また、ロイヤルバンク・オブ・スコットランドのバンカーなども講師となる企業経営教育も充実している。
全日制と定時制のコースがあり、定時制には、タタ・モータースなどのエンジニアが派遣されて学んでいる。特に定時制コースでは、企業派遣の学生が、自社の問題を研究課題とし、修士論文や博士論文としてまとめている。ここでも、英国の大学独特の「人材還流システム」が形成されているといえる(第19回8ページを参照のこと)。
次に、WMGとタタ・モータースの関係を紹介する。タタ財閥はWMGに約300人のエンジニアを派遣している。現在、自動車としての「タタ・ブランド」は、世界では低評価に甘んじている。いわゆる、「安かろう、悪かろう」という評価だ。それでは世界のマーケットで日本車・韓国車と競争できない。
そこでタタ・モータースは、世界で競争力を持てる自動車の開発を目指すために、WMGと提携した。「知識・情報の集積」「高い技術力」のある英国の大学に研究拠点を置いて、競争力ある自動車を開発することで、ブランドの評価を徐々に高めていくという戦略だ。
また、タタ・モータースはWMG内に研究開発拠点を持つ英国の自動車メーカー、ジャガーを買収した。その理由は、「有名ブランド」のジャガーを巨大市場であるインド、中国で販売し、莫大な利益を上げることだ。但し、タタ・モータースはジャガー・ブランドを手に入れた後も、ジャガーの英国工場をそのまま維持して操業している。エンジンや高品質の自動車部品は、「高い技術力」「質の高い労働力」のある英国工場で製造し、インドに送る。インドの工場でそれらを組み立てて、インド、中国などアジア地域に販売している。また、北米・欧州への輸出は、買収後も英国の工場から行っている。
要するに、タタ・モータースは、「有名ブランド」、「地理的条件の良さ(欧州、北米に加えて、中東、アフリカ、アジアをカバーできる)」「知識・情報の集積」「高い技術力」「質の高い労働力」を手に入れるために英国に進出し、ジャガーを買収した。また、マリンソン博士によれば、英国の「市場への参入規制の低さ」「英語という共通語の優位性」「政治的リスクの低さ」も、英国進出の理由であるという。
特に「政治的リスク」は、日本人が想像するよりも重要度が高いようだ。新興国では、政権が安定せず、政変によって政治制度・経済制度が簡単に変わり、企業の財産の没収などが容易に起こりうる。だから、新興国企業は、安心してビジネスができる先進国に進出したがるというのだ。
英国が新興国企業の
研究開発を受け入れる理由
ここで、ウォーリック大学のような英国の大学が、タタ・モータースのような新興国の企業を受け入れて、研究開発施設を設置するのはなぜだろうかという疑問が生じる。日本では、かつて新日本製鉄とポスコ(韓国)、三菱自動車と現代自動車(韓国)など海外企業との協力関係について、日本企業の高度な技術が流出するとの批判があった。日本には、「技術を盗まれる」という考え方が根強く、海外企業に対して閉鎖的になりがちだ。マリンソン博士に我々の疑問をぶつけてみた。
マリンソン博士は「頑なに自社の技術を守ろうとするより、世界中のさまざまな企業、大学とアイディアを交換することがより重要だ。世界中には多様な考え方、価値観、知識、技術をもつ優秀な人材がいる。彼らを集めて議論を繰り返すことで、これまでになかった新しいいいものが生まれる。海外の企業と協力関係を築くことにリスクなどない」と答えた。
また、マリンソン博士は多くの日本企業が研究開発部門を日本に残していることが、むしろ問題だと指摘した。WMGは、ホンダ、トヨタなどの多くの企業や大学に、共同研究開発を呼びかけているが返事は皆無だという。特に、英国に工場があり、ルノーと資本関係にある日産には、電気自動車の共同研究開発を呼びかけ続けているが、実現していない。マリンソン博士は、「日本企業は大学を信頼せず、自社内で研究開発を続け、日本の大学も企業との共同研究開発に消極的だ」という印象を持っている。
マリンソン博士は、企業が研究開発を国外で行うことのメリットを指摘する。さまざまな国・地域で研究開発すれば、よりその国・地域のマーケットに適しがモデルを開発できるからだ。
例えば数年前、欧州でホンダ・シビックのロードノイズ(車が走行するとき、タイヤと路面の接触によって発生するゴーといった騒音)が大きすぎると不評だった。調査の結果、「欧州では、日本よりロードノイズが少ないことが好まれる」という、日欧の好みの違いが問題だという結論になった。
マリンソン博士は、「日本の自動車企業はベストクオリティーを徹底的に追究するが、それは1980年代の成功モデルだ。グローバル経済では、国・地域ごとのマーケットで、ユーザーがなにを望んでいるかを的確に把握して、製品の研究開発を行わなければならない」と述べた。そのために、企業は海外に出て、より国・地域のニーズに近い場所で研究開発活動を行うべきなのだという。
WMGは、世界中の企業から資金提供を受けている。それは、研究開発活動に大学が持つ高度な知識・技術と優秀な人材を有効に活用すべきだという考え方が世界中に広がっているからだ。また、グローバル経済の時代に、企業が国際競争力を維持するためには、コスト削減の努力を継続しなければならないという現実からも、大学との共同研究開発が重要視されているという。企業の研究開発予算が縮小する中で、高い技術力を維持するためには、大学という外部機関を使って研究開発を行うしかないからだ。
新たな「ものづくり帝国・英国」の誕生か
以前、「Wilson Report」という、英国の新しい国家戦略を打ち出したホワイトペーパーを紹介した(第34回4ページを参照のこと)。新しい国家戦略の軸は、産学協同の推進であり、WGMはその先駆的なケースとして紹介されている。英国には、1960年代以降、伝統的に技術教育を行ってきた高等専門学校(ポリテクニク)を大学に順次昇格させ、産業界の共同研究開発を行ってきた長年の蓄積がある。現在、60以上の大学(英国には約100の大学がある)と国内外の企業で、産学共同プログラムが行われている。
この国家戦略は、2008年のリーマンショック後に起こった、欧米での「製造業回帰」の潮流の中で打ち出された。確かに、英国経済に占める製造業の割合は1960年代以降低下し、英国の製造業は、外資に次々と買収されてきた。自動車産業では、英国籍の企業はほとんどなくなった。
だが、英国内にはBMW、フォード(プレミアオートモービルグループ)、ゼネラルモーターズ(ボクスホール)、ホンダ、日産、PSA、トヨタ、フォルクスワーゲン(ベントレー)という8つのグローバルな自動車メーカーが工場を設置している。また、インド、中国など新興国の企業も自動車産業に進出している。ロールス・ロイス、ミニ、ジャガーなど「英国ブランド」の高い人気もあり、実は活況を呈している。これは英国内の労働者の雇用拡大など、不況に苦しむ英国経済を下支えする役割も果たしている。
更にいえば、英国は軍事大国のベースを生かし、民間航空企業や空軍、陸軍、海軍の装備を製造しているBAEシステムズ、航空宇宙エンジン、発電システムを製造するVTグループ、GKN、ロールス・ロイスなどのハイテク企業が世界的に高い競争力を誇っている。英国は金融の国から、製造業の国へ次第に変化しつつある。それも、旧植民地である新興国など、世界中のヒト、モノ、カネを呼び込んだ、新しい「ものづくり帝国」を構築しつつあるといえるのではないか。
「ものづくり帝国・UK」は
日本の参考になるか
繰り返すが、「ものづくり帝国・UK」が構築されてきた要因は、「政治的リスクの低さ」「地理的条件の良さ(欧州、北米、中東、アフリカ、アジアをすべてカバーできる)」「知識・情報の集積」「高い技術力」「質の高い労働力」「ブランド」「英語」「参入規制の低さ」である。興味深いのは、参入規制と英語を除けば、これらの条件のほとんどを日本が持っていることだ。
リーダーシップに欠けるとはいえ、世界的に見れば日本の民主政治の基盤は抜群に安定し、政治的リスクは最も低い国の1つだ。地理的には中国・北米の巨大市場をカバーする優位性がある。高度な技術・知識・情報・人材の集積に対する高い評価はいうまでもない。SONY、トヨタ、日立など日本ブランドの評価も高い。本来、新興国にとって、日本は英国に劣らず魅力的であるはずだ。
しかし、新興国による日本企業の買収や、共同研究拠点設置の話はほとんど聞かないのが現実だ。日本企業が新興国の産業育成をする場合、現地に進出して日本式の工場オペレーションや技術を伝えることがほとんどだ。日本国内に新興国企業を招けば、技術流出につながるとの警戒感も強い。だが、今後は「ものづくり帝国・UK」のように、新興国企業の「先進国メーカーの下請けからの脱却」「自前ブランド開発」をサポートする動きがあってもいいのではないか。
また、新興国企業に限らず、例えば中国に強いベンツ、フォルクスワーゲンなど先進国の自動車企業が、研究開発拠点を日本に置き、エンジンや高品質部品の製造を日本で行い、日本から巨大市場・中国に輸出することが、あってもいいのではないか。「技術を盗まれる」リスクが高い中国より、日本のほうが安全だ。日本経済の課題の1つは、研究開発と高品質製品の製造拠点の国内維持だとされる。ならば、日本企業だけでなく、外資の研究開発と高品質製造拠点も日本に設置されれば、より日本を高度な知識・技術・人材の集積する拠点とできるのではないか。
これは、国内製造業の雇用拡大に、間違いなく貢献し、経済成長につながるものだ。その実現には、規制緩和の徹底に加えて、輸出条件をよくする「TPP参加」や「アジア地域における円の国際化」などの政策を実行する必要があるだろう。これは、現在の単純な「円安政策」一辺倒の輸出産業保護策に終始する日本政府の経済対策よりも、より包括的な空洞化対策の政策パッケージとなるのではないか。しかし、その実現には大きな障害があるかもしれない。それは、外資参入を「敗北」と考えてしまう、日本人のメンタリティである。
http://diamond.jp/articles/print/24618
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