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米国は少なくとも5年、欧州は20年、経済低迷が続く  英金融監督当局、国内銀行にユーロ崩壊へのリスクに備えるよう指示
http://www.asyura2.com/12/hasan77/msg/521.html
投稿者 MR 日時 2012 年 9 月 07 日 12:40:13: cT5Wxjlo3Xe3.
 


米国は少なくとも5年、欧州は20年、経済低迷が続く

第2回:世界経済の約半分を占める欧米の苦境は日本企業への重い負担

2012年9月7日(金)  中原 圭介

 前回の記事では、「日本経済に与える影響の度合いが大きいのは、消費増税そのものよりも、そのときの海外の経済情勢の方である」と述べました。また、「経営者たるもの、『

米国や、欧州、新興国のそれぞれの経済がお互いにどのように作用し合っているのか』『米国や欧州の経済を低迷させている本質は何なのか』『それでは、その低迷はどのくらい続

くのか』といったことを、予め知っておく必要がある」ということもお伝えしました。

 それは、リーマンショックとは直接関係がなかった日本の実体経済が、ショック直後に先進国の中で最も落ち込んだことからも明らかです。ちなみに、日本と同じく輸出依存型の経

済を持つ韓国の落ち込みも、新興国の中では群を抜いていました。

 そこで第2回では、「米国や欧州の経済を低迷させている本質は何なのか」「それでは、その低迷はどのくらい続くのか」といった事柄に焦点を当てて説明したいと思います。

米国は10年単位の低迷が避けられない

 私は、日本が経験した「失われた10年」と同じように、米国でも10年単位の低迷が避けられないと見ています。なぜかというと、米国経済の景気低迷を長引かせる要因が、日

本と同じく「バランスシート不況」にあるからです。

 バランスシート不況とは、バブルが崩壊し資産価値の急落が起こると、債務超過となった企業が財務内容を修復するために、投資や労働コストを抑えて、借金返済を優先する

ようになることをいいます。債務超過となった家計が、消費を抑えて、借金返済を優先するようになる場合にもこの言葉は使われます。前者が日本型、後者が米国型のバランスシ

ート不況です。いずれの場合も、投資や消費が伸びずに、実体経済に悪影響を及ぼしてしまいます。

 それにやや遅れて、企業や家計に必要以上に貸し込むことでバブル崩壊のダメージを受けた銀行は、財務内容を修復させるために、貸出や新規の融資を減らすという行動を取

るようになります。その結果、いくら中央銀行が金融緩和を行っても貸出は伸びず、企業の設備投資や労働者の賃金が抑制されて、景気がいっそう悪化してしまうのです。

 米国では、リーマンショック以降、不動産価格の下落によって住宅ローン返済の負担が重くなる一方、経済の中核を担う中間層の収入が減少することによって、家計のバランス

シートが著しく悪化しています。その結果、米国のGDP(国内総生産)の約7割を占める個人消費が思うように伸びず、景気回復の重い足かせとなっています。

 日本のバブル崩壊時には、地価の暴落によって、土地を担保に膨大な借金をしていた企業のバランスシートが大幅に悪化しました。その後、企業が借金を返済することを優先し

、設備投資や人件費の圧縮に長期的に取り組むこととなりました。このことが、日本の「失われた10年」を招く直接の原因となったのです。

 一方で、米国の場合は、悪化しているのは家計のバランスシートです。住宅バブルが崩壊する以前の米国では、住宅価格の値上がり分を担保に借金してモノを買うという「ホー

ムエクイティ・ローン」が消費を必要以上に大きく上振れさせていました。ところが、それまでの流れが逆回転し住宅価格が下落に転じると、一気に家計のバランスシートが悪化し、

家計は借金返済を優先せざるを得ない状況に陥りました。

 米国の住宅価格は最悪期を脱したように見えますが、ピーク時に比べるとなお半分以下にとどまる物件も多く見られます。代表的な住宅関連指標であるS&Pケース・シラー全

米住宅価格指数は、2011年10−12月期に住宅バブル崩壊後の最低値を付け、2012年1−3月期は少し上昇しましたが、まだ力強い上昇過程を描くにはほど遠い状況です

 今現在、住宅を売り払っても借金が返せない家計が1100万世帯もあります。これは、住宅ローンを借りている家計の4分の1を超えています。住宅価格が上がらない限り、家

計のバランスシートを改善する方法は、家計が地道な「節約」を続けるしかありません。だから、消費は抑えられ、景気も足踏みを続けることになるのです。

 日本の歴史が示しているように、バランスシート不況が沈静化するためには、最低でも10年単位の時間が必要です。2008年の住宅バブル崩壊から2012年は5年目です。とい

うことは、少なく見積もっても、あと5年は低迷が続くという見通しを立てざるを得ません。

欧州は米国よりも傷が深い

 私は、欧州については米国よりも低迷が長引くだろうと見ています。欧州は「国(政府)のバランスシート不況」にあるからです。欧州の大半の国々ではこれまでずっと、国の収入に

見合わない社会保障制度を維持してきたため、国の財務内容が著しく悪化してしまいました。リーマンショックはその異常な国の財務内容を炙り出したきっかけに過ぎないのです。

たとえ、今後1〜2年で収まるであろう債務危機を乗り切ったとしても、その後の実体経済には茨の道が待っています。欧州の財政再建、特に南欧諸国の財政再建はあと5年で

はとても終わらないからです。

 さらに、欧州はかつての日本が犯した過ちを繰り返してしまっています。欧州債務危機が域内の金融機関の財務を著しく悪化させ、そのことが「貸し渋り」や「貸し剥がし」を引き

起こしているからです。そのことが、実体経済をよりいっそう落ち込ませています。

 域内の銀行は大小問わず、財務が深刻な状態に陥っています。ユーロの誕生によって、欧州の銀行は国境を越えて過大な投資をした結果、金融バブルの崩壊で巨額の損失

を抱えてしまいました。欧州中央銀行は2011年12月と2012年2月の2回にわたって、域内銀行に巨額の資金を融通しましたが、中小企業への融資はいっこうに伸びていません

 今の欧州経済は、日本経済が1990年代の後半に不良債権処理で苦しんでいたときの状況とよく似ています。当時、日本の銀行は自己資本比率を高めるために、資本を増

やすよりも総資産を減らすという誤った選択をしました。その結果、貸し渋りや貸し剥がしが横行し、雇用者の賃金は下落に転じ、デフレを深化させてしまったのです。

 今まさに、欧州の銀行も日本と同じ過ちを繰り返しています。銀行が貸し渋りや融資の回収をすることで、企業は借り入れができず苦しい状態に陥っています。とりわけ深刻な

影響を受けるのが、財務基盤の弱い中小企業です。先進国、新興国にかぎらず、雇用の中核を担っているのは中小企業です。多くの中小企業は借金返済を優先させるために

、事業規模の縮小や人員の整理を進めていかざるを得ません。成長企業でさえも借り入れができないケースが増え、せっかくの事業や雇用を拡大するチャンスを奪われることになり

かねません。つまり、実体経済の大部分を担っている中小企業の弱体化が進むのです。


中原圭介さんの新刊『これから世界で起こること』が発売されました。
 その結果、欧州の雇用情勢は南欧を中心に悲惨な状況にあります。EU全体の失業率は10%超で高止まっているのに加え、25歳以下の若年層の失業率はその2倍の20%

を超えています。債務危機に陥ったギリシャやスペインでは、若年層の失業率は50%を超えてしまっているのです。

 雇用の流動性が高い米国とは違い、欧州では簡単に解雇ができない雇用制度を持つ国々が大勢です。したがって、企業は勤務年数の長い中高年層を解雇するのが難しく、

若者たちの新規採用を減らすしか選択肢がありません。その影響で、日本と同じように、モチベーションが低い世代、夢や希望が持てない世代が欧州でも生まれつつあります。

 このことは、将来の経済や社会にとって大きなマイナス要因となるでしょう。若者のモチベーションの低下は、将来の生産性低下を招き、国家の潜在成長力を引き下げてしまいま

す。欧州経済は「失われた10年」どころか、日本と同じく「失われた20年」になってしまう可能性が高いでしょう。

 グローバル経済下では、欧米の景気停滞・低迷はその他の国々の貿易黒字を縮小させ、世界的に連鎖波及していきます。たとえ、日本国内のみで事業を行っていたとしても、

経営者は世界の経済規模の5割近くを占める欧米経済の行方には注意を払っていく必要があるのです。


中原 圭介(なかはら・けいすけ)

金融・経営のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」のエコノミスト兼アドバイザーして活動。金融機関や企業への助言・提案や富裕層の資産運用コンサル

ティングを行う傍ら、執筆・セミナーなどで金融教育・投資家教育の普及に努めている。経済だけでなく、歴史や心理学など、幅広い視点から世界経済の動向を分析し、経済予

測の正確さには定評がある。主な著書に『2013年 大暴落後の日本経済』『経済予測脳で人生が変わる!』(ダイヤモンド社)、『騙されないための世界経済入門』『サブプライム

後の新世界経済』(フォレスト出版)、『お金の神様』(講談社)などがある。


こんな時代にトップに考えてほしいこと

消費税引き上げが決まった日本。大統領選を迎えて揺れ動く米国、そして債務危機から浮上できない欧州。いまや世界がひとつにつながる中で、こうした経済問題は、日本のい

ろいろな企業にまで大きな影響を及ぼすようになったことは改めて言うまでもない。こうした難しい時代に、トップはどうすればいいのか。経済評論家の筆者が語る。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120905/236419/?top_updt



英金融監督当局、国内銀行にユーロ崩壊へのリスクに備えるよう指示
2012年 09月 7日 11:56

[ロンドン 6日 ロイター] 英金融サービス機構(FSA)は6日、英国の大手銀行はユーロ圏から一部の国が離脱したり、ユーロ圏全体が崩壊するリスクへのエクスポージャーを

依然として数百億ユーロ抱えているとして、各行に対し、そうしたエクスポージャーを削減するよう求めた。

FSAは国内の主要銀行に対し、ユーロ圏の一部加盟国がユーロを放棄して自国通貨に戻ることに伴うリスクに備えるよう指示。そうした場合、銀行が保有する資産の価値が下

落しても、負債の価格も下落するため相殺されるが、資産と負債のミスマッチでそうした相殺機能でまかなうことのできない「リデノミネーションリスク」に関するデータを提供するよう求

めていた。

各行が明らかにしたデータによると、「リデノミネーションリスク」が最も目立つのは、スペインのサンタンデール(SAN.MC: 株価, 企業情報, レポート)の英国子会社であるサンタンデー

ルUKと、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)(RBS.L: 株価, 企業情報, レポート)、バークレイズ(BARC.L: 株価, 企業情報, レポート)。ただ、その多くはヘッジされていると

いう。

サンタンデールUKは、ユーロ建て資産に比べユーロ建て負債が350億ポンド多いとしながらも、エクスポージャーの大半はヘッジしており、ネットのエクスポージャーは1億ポンドだと

明らかにした。

バークレイズによると、スペインにおける資金調達のミスマッチは6月末時点で25億ポンド(40億ドル)で、今年初めの121億ポンドから縮小した。スペイン、ポルトガル、イタリアに

おけるミスマッチは6月末時点で228億ユーロ。

RBSは、アイルランドとスペインにおけるミスマッチが240億ユーロあったが、スペインでのミスマッチは著しく縮小する方針だと明らかにした。

HSBC(HSBA.L: 株価, 企業情報, レポート)は、「ユーロ圏メジャー・インシデント・グループ」と呼ばれる対策グループを立ち上げたことを明らかにするとともに、「1つあるいはそれ以

上の国がユーロ圏から離脱する著しいリスクがある」との認識を示した。

RBSも、ユーロ圏から離脱する国が出ることが「特に懸念すべき問題」であり、ユーロ圏全体の崩壊につながる恐れがあると指摘した。

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http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE88601J20120907


焦点:ユーロ圏の運命握るスペイン、ECB求める支援条件に抵抗
2012年 09月 7日 10:26 JST

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[パリ 6日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)は6日、困難に直面しているユーロ圏加盟国の借り入れコスト引き下げを目指し、新たな国債買い入れプログラム(OMT)に導入

に踏み切り、ユーロ圏の危機解決に向けた明確なロードマップを示した。

だが、ドラギ総裁は、ECBが支援するのは、各国が欧州に支援を要請し、厳格な条件を受け入れた場合に限られると表明。最大の懸念の的となっているスペインがプライドをか

なぐり捨て、支援要請に踏み切るかどうかは依然としてはっきりしない。

ユーロ圏の運命を握るボールは、ドラギ総裁からスペインのラホイ首相に渡される形となった。

ドラギ総裁はこの日、ECBがユーロ圏加盟国の債券を無制限に買い上げる用意があると表明。買い入れは期間が1―3年の国債が中心になると明らかにした。

それは市場の期待以上の内容で、トレードウェブによると、発表を受けてスペインの10年債利回りは6%近くまで低下。欧州株は急伸した。

だが、スペインのラホイ首相は、依然として支援要請を回避あるいは先送りしたいとの姿勢を崩していない。

それ以外の政治的な障害も多く立ちはだかっている。9月12日にはドイツの憲法裁判所が欧州安定メカニズム(ESM)が合憲であるかどうか判断を下すが、違憲判決が下され

た場合は再び混乱に見舞われかねない。

ギリシャが財政赤字削減目標を達成できるかどうかも不透明。

さらなる支援策が必要になった場合に、今回の債券買い入れ策に最後まで反対を貫いたドイツ連銀のバイトマン総裁をはじめ、オランダやフィンランドなどの支持が得られるとは考

えにくい。

ユーロ圏の財政同盟や銀行同盟をめぐっても、ユーロ圏各国の見解の隔たりは依然大きい。

<スペインの抵抗>

スペインのラホイ首相にとって、救済を受ける条件を策定する上で国際通貨基金(IMF)の関与をドラギECB総裁が求めていることが、支援要請に踏み切る上で足かせとなる可

能性がある。

ラホイ首相は、スペインがギリシャやアイルランドおよびポルトガルのように、IMF、ECB、欧州連合(EU)で構成する「トロイカ」から四半期ごとに調査を受けるのは屈辱だと考えて

いるためだ。

ラボバンクの金利ストラテジスト、リチャード・マグワイヤ氏は「ECBの債券買い入れの条件設定や監視にIMFが関与するのは、スペインにとって受け入れ難い可能性がある」とした

上で、「OMTに感じられる『トロイカ的な存在』が支援要請を踏みとどまらせことになれば、スペインが支援を受け入れるには市場の圧力が必要になるだろう」との見方を示した。

市場はこの日のECBの発表に好意的な反応を示したが、スペインが支援要請をためらい続け、10月の資金需要も欧州の支援なしに乗り越えようとした場合、スペインは再び市

場の攻撃にさらされる恐れがある。

ラホイ首相はこの日、ドイツのメルケル首相とマドリードで会談した後、支援要請を急ぐ考えはないとの考えをあらためて表明。メルケル首相との会談でも支援を受ける条件につい

ては議論しなかったと明らかにした。

ラホイ首相はさらに、多くのエコノミストが支援の条件にされるとみている年金削減には応じる考えはないと表明した。

関係筋によると、フランスと欧州委員会はラホイ首相に対し、10月18―19日のEU首脳会議までに支援要請するよう促した。そうすれば、首脳会議でスペイン支援策を承認し

、10月後半に予定されているスペインによる資金調達が容易になるとみられるためだ。

だが、ラホイ首相は、スペインはすでに財政や経済改革に関する欧州のガイドラインをすべて満たしているとして、追加的な条件を受け入れる必要はないと主張。支援策に反対す

るドイツや一部のECBメンバーの感情を逆なでする発言を行った。

そうしたラホイ首相の頑なな姿勢は、逆に支援に厳しい条件を求める声を後押しする形となった。

<出口戦略>

今回のECB理事会で唯一反対票を投じたバイトマン独連銀総裁は、ECBによる債券買い入れは各国による経済改革努力を妨げる要因になりかねないと警告。

ECBにとって、昨年、イタリア国債の買い入れに乗り出した直後に、当時のベルルスコーニ首相が改革の約束を一笑に付したという苦い記憶がある。

バイトマン総裁は、ユーロ圏が「債務同盟」になりかねいと懸念するドイツの立場を代弁し、ECBによる新たなプログラムは多大なソブリンリスクを民主的に選ばれた議会や政府の

同意を得ないまま納税者に転嫁することになる、と批判した。

一方、ドラギ総裁は、支援対象国が条件を守らない場合、ECBは債券買い入れを中止するとの考えを示したが、アナリストは、ECBが条件や目標を満たせなかった政府に「引

導を渡す」ことは現実的には不可能だとみている。そんなことをすれば、国家が破綻し、ユーロ圏全体が崩壊に向かう引き金を引くことになるためだ。

スウォードフィッシュ・リサーチのゲイリー・ジェンキンス氏は、投資家向けリポートの中で「ECBが言っていることは、自分の頭に銃を向け、引き金を引くぞと脅しているようなものだ」と

述べている。

ウニクレディトのエコノミスト、マルコ・バリ氏は「今日発表されたフレームワークは、大規模かつ信頼に値する『防火壁』となり得る」としながらも、「問題を抱えた政府が改革努力を怠

ったり、支援条件の受け入れを拒んだりするリスクがある。しかし、それが市場が織り込むべき唯一のリスクとなったことは、間違いなく好ましいニュースだ」とコメントした。

(Paul Taylor 記者;翻訳 長谷部正敬)

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ECB、期間3年までの国債買い入れで合意:識者こうみる
2012年 09月 7日 08:49

[フランクフルト 6日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)は6日の理事会で、困難に直面しているユーロ加盟国の借り入れコストの引き下げに向け、新たな国債買い入れプログラ

ム(OMT)の実施で合意した。同プログラムの下、流通市場で償還期間が3年までの国債を量的な限度を設けずに買い入れる。

専門家の見方は以下の通り。

●国債購入にはリスク多い、ユーロは1.26ドル台どまり

<三菱東京UFJ銀行 市場企画部 チーフアナリスト 内田稔氏>

ECB(欧州中央銀行)は流通市場で償還期間が3年までの国債を量的な限度を設けずに買い入れることを決めたが、3つのポイントから危機収束にはつながらないとみている。

まず、ギリシャの問題が浮上して債務危機がくすぶり始めたころ以降のドイツDAX指数とスペイン2年物の国債価格を比較すれば、明らかにDAX指数が上がっていてスペイン2年

物は下がっており、リスク資産と安全資産の値動きが完全に逆転している。国債を買うと言うと安全資産だからいいのではないかとなるが、周辺国の国債は「危険資産」と言うこと

ができる。そうした国債を中央銀行が制限つきとは言っても、1年から3年までのものを無制限に買うと宣言したことをプラスに捉えていいかと言うとそうではない。

国債自体は2010年から今年の春先までで2000億ユーロ購入している。LTROで金融機関に出した資金のうち、1兆ユーロくらいが国債購入に回っていると思われる。間接的

に持っている分を含めれば1.2兆ユーロくらいで、ECBのバランスシートの4割くらいは国債のリスクを負っているということになる。値下がりリスクのあるものをすでに4割持っていて、さ

らにこれを上積みしてゆくのはどうなのか。

第3には、バランスシートがき損した場合にECBやユーロの信認が問われる場面が訪れないとも限らない。日銀の場合にはETFなどの買い取りに際して国庫の引き当てを積んで

おり、バランスシートが傷めばそれが取り崩されて税金が投入された形になるが、こうした仕組みを持っていない中央銀行がECBだ。

こうした点を踏まえれば、一時的には多少楽観ムードになるかもしれないが、ECBの今回の決定をもって市場が安定化に向かうということにはならないと思うし、ユーロ/ドルも1.

26ドル台どまりとみている。

●リスクオンは限定的、欧州経済悪化・財政改革遅れを懸念

<みずほ証券・金融市場調査部長 三浦哲也氏>

欧州中央銀行(ECB)理事会は、新たな国債買い入れプログラム(OMT)の実施に踏み切った。その中身は、事前にリーク報道されていた内容でそれほど違和感はない。ドラギ

総裁会見が始まった時点で、独国債や米国債ともすでに軟調に推移。その後、NYダウが大きく買われたわりには、金利の上昇幅は限られた。注目されたECBだが、債券需給が

一変した構図までは見受けられない。

米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和第3弾(QE3)の期待があるのかもしれない。また、このOMTが実行に移され、資金調達コストを下げることができたとしても、欧州経済

の改善には懐疑的な見方が広がっているのだろう。支援要請には、財政再建など厳しい条件が前提であり、経済に相当な負荷がかかることは必至だ。実体経済の悪化、財政

改革の遅れという悪循環に懸念が広がりやすい。リスクオンの流れは限定的になるのではないか。

きょうの円債市場は売りが先行しそうだ。米雇用統計への警戒感が出ていることも上値を重くする要因。ただ、経済先行きへの懸念を踏まえると、市場参加者は、売りながらどの

タイミングで買うかを見極める展開になるのではないか。

●安心感与える、米追加緩和につながりやすい

<いちよしアセットマネジメント 執行役員 運用部長 秋野充成氏>

欧州中央銀行(ECB)理事会による無制限の国債買い入れ策は、事前に報じられていたことではあるが、明確に決定されたことが市場に安心感を与えた。まだ12日のドイツ憲

法裁判所による欧州安定メカニズム(ESM)の合憲判断や、ESMの立ち上がり具合など見極める要素があるものの、欧州危機を封じ込めるまでの時間的な猶予ができたとい

えよう。ECBが動いたことで来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加的な金融緩和が出やすくなるのではないか。日本株にとっては売り込まれるリスクがひとまず後退し

ており、安値圏にある銘柄を中心に買い戻しが見込まれる。

●優先債権者待遇の不適用は重要、懐疑論消えず

<ナイト・キャピタルのストラテジスト、ヨアン・スミス氏>

優先債権者待遇を適用しない点は重要だ。ただ、民間債権者と同等の扱いは、これまで証券市場プログラム(SMP)を通じて買い入れた債券には適用されないため、ギリシャへ

の対応をめぐっては依然問題が残る。

先に実施されたギリシャの債務交換では、ECBはヘアカット(債務減免)を受け入れなかった。こうした前例を踏まえると、投資家は懐疑的な見方を崩さないだろう。

短期債の利回り押し下げ効果について見極める必要があるが、ユーロ圏周辺国に対する実需筋による投資を呼び戻す上で、魅力的な提案ではない。

●OMTのIMF関与、スペインの支援要請阻む可能性

<ラボバンクの金利ストラテジスト、リチャード・マグワイヤ氏>

ラホイ首相がスペインはすでに(国際支援の)必要条件を満たしていると表明していることを踏まえると、欧州中央銀行(ECB)の債券買い入れの条件設定や監視に国際通貨

基金(IMF)が関与するというのは、スペインにとって受け入れることが難しい条件が待っている可能性がある。

新国債買い取りプログラム(OMT)に感じられる「トロイカ的な存在」がスペインに支援要請を踏みとどまらせるのか。そうなれば、スペインが支援合意を受け入れるには市場の圧力

が必要になるだろう。

●新しい材料見当たらず、多くは支援要請国次第

<ライルの最高投資責任者、フランソワ・サバリー氏>

昨日から目新しい材料は見当たらない。欧州安定メカニズム(ESM)を通じて支援を要請する国次第の部分が大きいということであり、スペインは用意ができているようには見えな

い。政治家に任される部分が依然として大きいことを意味している。ドイツはスペイン支援計画に厳しい条件を付ける可能性があり、ラホイ首相による受け入れを難しくする恐れが

ある。

ドイツによる反対票はECB内部の溝が埋まっておらず、ドイツがなお納得していないことを示している。

●ユーロ圏経済、一段と縮小へ

<フォレックス・ドット・コムの首席通貨ストラテジスト、エリック・ビロリア氏>

ここ2─3日の間、(国債買い入れ)プログラムに関する情報が多く伝わっており、今回(の決定)は織り込まれていたというのが全般的な印象だ。また、今年と来年のGDP伸び率

予想の下方修正は、ユーロ圏(経済)が今後さらに縮小するとともに、いまだ底を打っていないことを示す。これもユーロの重しだ。

*内容を追加して再送します。

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ECBの優先債権者待遇は不適用へ、新たな債券購入で=関係筋 2012年9月6日
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ECB:無制限の国債購入決定、市場のゆがみ正しユーロ守る

  9月6日(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は6日、政策委員会が無制限の国債購入プログラムに合意したことを明らかにした。ユーロ圏内の金利をコン

トロールする力を中銀の手に取り戻し、通貨同盟崩壊の観測と闘うため行動する。
ドラギ総裁は政策決定後の記者会見で、購入プログラムは「国債市場のひどいゆがみの是正を可能にするだろう。ゆがみは主として、ユーロが逆戻りし得るとの投資家の根拠な

き懸念に起因している」と説明した。ECBはこの日、政策金利を過去最低の0.75%で据え置いた。総裁は「適切な条件の下でECBは、ユーロ圏の物価安定に関する破壊的

シナリオを回避する完璧な防護策を備える」と語った。
国債購入にはECB総裁としての信頼性が懸かっている。ドラギ総裁は今週ブリュッセルで欧州議員らに、分断化されたユーロ圏経済の中で金利のコントロールをECBの手に取り

戻しユーロを守ることが必要だと説明していた。この日の決定により、スペインやイタリアなどが条件を受け入れて救済基金に支援を要請すれば、ECBによる国債購入が開始でき

る状況になった。
ドラギ総裁は会見で「金融市場の例外的な状況と金融安定へのリスクが存在する時に、国債市場で救済基金の欧州金融安定ファシリティー(EFSF)・欧州安定化メカニズム(

ESM)を稼働させる準備が各国政府に整っていなければならない」と述べた。その上で「厳密で効果的な条件設定」が必要だとし、政府の側が合意を果たさない場合はECBが

購入を停止する権限を保持するとくぎを刺した。
利回り低下
ドラギ総裁の会見中にユーロは下落したがその後、前日比ほぼ変わらずに持ち直した。スペインとイタリアの2年債利回りは低下した。
23人で構成する政策委員会では、ドイツ連邦銀行(独中銀)のみが国債購入計画に反対。バイトマン独連銀総裁はドラギ総裁の会見後に声明を出し、購入プログラムは「紙

幣増刷によって政府の財政を賄うことと同義だ」との見解を表明した。各国政府が必要な改革実行を遅らせる理由になりかねないと指摘した。
この日の決定でECBはさらに深く未踏の領域に踏み込んだ。米国ではバーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長が、新たな非伝統的金融政策を近く開始する可能性を示

唆している。
ベレンベルク銀行(ロンドン)のチーフエコノミスト、ホルガー・シュミーディング氏は、世界の投資家はFRBには勝てないことを既に学んでいるが、「ユーロの消滅に賭けている投資家

も、ECBがFRBと同じくらい強大であることを思い知らされるかもしれない」と語った。
疑念を払拭
ドラギ総裁によると、「アウトライト・マネタリー・トランザクションズ(OMT)」と名付けられたこのプログラムの購入対象は償還までの期間が1−3年の国債で、既発債で残存期間が

これに当てはまるものも含まれる。購入後は不胎化措置を実施し、通貨供給量への影響を完全になくす。ECBは購入した債券について優先債権者とはならないという。
INGグループのシニアエコノミスト、カルステン・ブルゼスキ氏(ブリュッセル在勤)は「ドラギ総裁は期待に応え、言うだけで実行が伴わないのではないかという同総裁に対する疑いをも

払拭(ふっしょく)した」とし、「ボールは今や、各国政府のコートにある」と述べた。
この日マドリードでスペインのラホイ首相と会談したドイツのメルケル首相は、ECBが託された責務の範囲内で行動していると認めて同日の決定を是認したが、その措置が「政治

の側の行動の代替」となることは許されないとくぎを刺した。
ラホイ首相はドラギ総裁が発表した内容を分析する時間が必要だとして、記者団に「伝えるべき新しい内容が生じたときに伝える」と述べた。
決定権はECBに
ドラギ総裁によると、国債購入の開始と実行、停止についてはECBのみが決定する。国際通貨基金(IMF)には個々の国向けのプログラムの策定・監視を要請することになるだ

ろうと総裁は述べた。
既に救済を受けている国が債券市場での調達を再開した際には、これらの国の国債の購入も検討される可能性がある。ECBは購入額を毎週発表し、平均残存期間と国別の

内訳は毎月公表するという。
ECBが先頭に立って闘ってきた危機は既にユーロ圏の5カ国の救済を必要にし、ユーロ圏経済をリセッション(景気後退)に陥れつつある。
ECBはこの日公表した最新の経済予測で、ユーロ圏の2012年成長率をマイナス0.4%と予想。従来予想のマイナス0.1%から引き下げた。13年についてもプラス0.5%と従来

の1%から下方修正。来年のインフレ率予想は1.9%と1.6%から引き上げた。
原題:Draghi Says ECB Agreed to Unlimited Bond- Purchase Program(3)(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:フランクフルト Matthew Brockett mbrockett1@bloomberg.net;フランクフルト Jeff Black jblack25@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Craig Stirling cstirling1@bloomberg.net
更新日時: 2012/09/07 02:17 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M9XL376TTDS201.html  

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コメント
 
01. 2012年9月07日 14:09:45 : cqRnZH2CUM

>米国は少なくとも5年、欧州は20年、経済低迷が続く

最近のメジャーシナリオの典型だな

ただ、確実に、そうなるとは限らないから用心した方がいい


02. 2012年9月07日 21:45:00 : DF7oS7vMIE
欧州の20年は日本の経験から見て妥当だが、
米国の「5年」は、国家が崩壊するまでの期間じゃないのか?

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