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Financial Times
ユーロ圏は金準備に手を出すべきか?
2012.09.03(月)(2012年8月31日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ユーロ圏諸国の政府は今、例えて言うなら家族に代々伝わる銀器を売り始めるべきなのだろうか? もっと具体的に言うなら、欧州の危機に対する解決策を見つけるために、現実にある金準備に目を向けるべきなのだろうか?
これは最近、一部の政策立案者や投資家の間で話題になっている論点だ。というのも、秋が迫りくる中、ユーロ圏が依然として激しいストレスにさらされていることは明白だからだ。
危機に苦しむユーロ圏、1万トンも金準備があるなら売れ
危機に苦しむユーロ圏諸国は、金準備を売却すべきだという声も上がっている〔AFPBB News〕
だが、その一方で、ユーロ圏の政治家は言うまでもなく、欧州中央銀行(ECB)が本当に、市場の不安を鎮め、借り入れコストを引き下げる対策を近く講じられるのかどうかも不透明だ。
こうして不安が募る中、金業界を代表するワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が最近、新たな案をこの論争に投げ込んだ。
WGCは、ユーロ圏諸国、特にイタリアなどの政府は、金利を引き下げるために独創的な方法で金を活用すべきだと考えているのだ。
議論すべき課題は、ユーロ圏の政府が現在保有している推定1万トンの金準備を巡るものだ。WGCによると、「ポルトガルやイタリアなど、危機の被害を最も受けている国の一部がこうした資産のかなりの割合を占めていることは周知の事実だ」という。
驚くまでもなく、この状況を見て、政府は保有している金の一部を売るべきだという声が上がるようになった。金の価値は過去数年間で高騰しており、例えば国債の金利を支払うためにユーロ圏諸国が想定外の収入を必要とする時があるとしたら、それは今だ、というわけだ。
金の売却は「焼け石に水」とWGC
しかしWGCは、金の売却は間違いだと主張する。というのは、金の大量売却は価格下落を招くという事実はさておき、ユーロ圏の債務問題は今、あまりに大きくなっているため、金を売っても問題の上っ面をなでるだけだからだ。
WGCは「危機に襲われたユーロ圏諸国(ポルトガル、スペイン、ギリシャ、アイルランド、イタリア)の金保有高は、各国中央政府の債務残高合計の3.3%にしか相当しない」と指摘する。
このためWGCは別の案を支持している。ユーロ圏諸国は金を売るのではなく、金を裏づけとする国債を発行することで、保有している金の一部を事実上証券化すべきだというのだ。
これは単純な方法で行うこともできるし、異なるリスクのトランシェを含むような仕組みにもできる。いずれにせよ、重要なポイントは、債券に対する追加の保証を与えるために金が使われ、ひいては、もはやユーロ圏の政府のバランスシートを信じていない投資家を安心させるということだ。
金を担保に融資が実行された過去
「金準備の一部を担保として使うだけで、こうした(周縁)国各国が債券を発行する際の金利を大幅に引き下げることができるだろう」。WGCはこう言い、この仕組みは歴史上、何度か採用されたことがあると指摘する。
例えば1970年代には、イタリアとポルトガルがドイツ連銀、国際決済銀行(BIS)、その他の債権者から融資を受けるために、金準備を担保として使った。もっと最近では、インドが金を担保として日本から融資を引き出した。
では、このアイデアが採用される可能性はあるのだろうか? あまり期待しない方がいいだろう。あるいは、当面は採用されないと思った方がいい。
筆者は個人的には(また、この制度の推進にあたってWGCが抱く利己的な利害を脇に置くとしたら)、金を裏づけとした債券というコンセプトは確かに議論する価値があると思う。金を裏づけとした債券は本格的な解決策にはならないが、いくつかの点では有益だ。
風向きの変化を示す予兆
だが、これまでのところ、この案が政策立案者から大きな支持を獲得したことを示す兆候はほとんど見られない。仮にユーロ圏の指導者たちがこのアイデアを受け入れたとしても、大きな法的障害がいくつかある。特に顕著なのが、金の大半は財務省ではなく中央銀行が保有しているということだ。
それでも、ほかのことはともかくとして、投資家は風向きを示す興味深い予兆としてこの議論に留意すべきだ。10年前は、投資家が金を担保に差し入れるなどと言うことは、完全に時代遅れに思えた。サイバー金融の時代には概して、国債などの証券が支配的だった。
だが、ここ数カ月間で、LCHクリアネットやインターコンチネンタル取引所(ICE)、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)などの機関が次々と、デリバティブ(金融派生商品)取引の証拠金の担保として金を受け入れるようになっている。
また、今夏にはバーゼル銀行監督委員会が、中央集約的な決済の対象でないデリバティブ取引について、証拠金の担保に使われる6つの品目に、国債などと並んで金を入れるべきだとする討議資料を出した。
これは革命につながるものではない。ましてや、熱心な金の投資家(そして米共和党の一部のメンバー)が大喜びするような金を裏づけとした金融、つまり金本位制に向かう一歩ではない。
いわゆる「安全」資産の魅力減退も背景に
しかし、こうした動きは確かに、ゆっくりとした態度の変化が起きていることを物語っている。金それ自体の望ましさというよりは、むしろ国債など、「安全」とされるその他資産が次第に望ましくなくなり、リスクが高まっているという意味で。
このパターンが近く変わることはないだろう。ECBが9月6日に何を発表するか市場が待っているとあっては、なおのことだ。
By Gillian Tett
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36014
「欧州全体への問題波及は不可避」、ジャクソンホール会合で専門家が指摘
2012年 09月 3日 08:50 JST
スペイン、銀行支援以外の追加支援要請を検討へ=首相
イランと北朝鮮が科学技術で提携、「共通の敵国」に対抗
今週の外為市場はECB理事会に注目、ユーロ/ドルは失望売りも
[ジャクソンホール(米ワイオミング州) 31日 ロイター] 米ワイオミング州ジャクソンホールで開催された経済シンポジウムでは、欧州債務危機対応についてさまざまな論文が発表された。多くの専門家は、欧州債務危機の問題が域内全体へ波及することは避けられない、との見方を示した。
マサチューセッツ工科大学のクリスティン・フォーブス教授は「ある国でマイナスの出来事が起きた場合、統合された世界では、他地域へ影響が拡大することは避けられない」と指摘。対応策として、域内銀行への流動性や融資の提供、銀行の資本増強、もしくは銀行関連の規制緩和を挙げた。ただ、こうした措置は、その短期的な効果を上回る規模の将来のコストが予想されるとの考えを示した。
ハーバード大学のマーティン・フェルドスタイン教授は、単一通貨ユーロの創設により、国境を越えて影響が及ぶリスクが高まったとし、ユーロを対ドルで大幅に下落させるという大胆な措置を政策当局者は取るべき、と主張した。「ユーロのドルに対する価値は、恐らく現在の1.25ドルから等価水準まで下がることが有効だろう」との見方を示した。
ペンシルバニア大学のフランクリン・アレン教授は、ギリシャを支援し続けるよりも、欧州首脳らがギリシャをユーロから離脱させることの方が理にかなっていると主張。そうすることで、より経済規模の大きいスペインやイタリアの先行きが危うくなった場合にどのようなことが見込まれるかを市場に教育することができる、との考えを示した。
教授は質疑応答で、ギリシャが離脱すれば一定の指針を示すことができるとし、状況がわからない状態でスペインやイタリアの問題が生じれば、他地域への影響拡大は相当な規模になると指摘。「先行き不透明感が少なくなれば、他への波及もその分抑えられる」と述べた。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE88101A20120902
ドラギ氏は市場の失望懸念せず、スペインに圧力増大も-政策委
9月3日(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、今週の政策委員会の結果が投資家を失望させることをそれほど懸念していないかもしれない。
ドラギ総裁が6日の政策委終了後に国債購入プログラムの詳細を明らかにすると市場は期待しているが、イタリアとスペインは、ECBが国債購入を開始する前提条件となる欧州救済基金への支援要請を行う意思をほとんど示していない。債券利回りが上昇し、まず自分たちが行動する必要があることを各国政府が再認識することも予想される。
バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチのエコノミスト、グスタボ・ライス氏は顧客向けリポートで、「ECBに市場は多くを期待しているが、われわれは国債購入プログラムの内容がほとんど明確にならないと考えている。市場は失望する公算が大きく、スペインに対する圧力が増すだろう」と指摘する。
ドラギ総裁のプランは、当該国の政府が救済基金に発行市場での国債購入を要請することがECBの流通市場での介入の前提となり、高債務国が厳格な経済条件に同意することが求められる。スペインのラホイ首相とイタリアのモンティ首相は借り入れコスト押し下げに動くようECBに圧力をかける一方、救済基金への支援要請には抵抗している。
ラホイ首相は、スペイン紙ABC、独紙ビルト日曜版などとの共同インタビューで、「ドラギ総裁の介入についての発表は、問題解決に動くECBの強い意思を示すことになる。私はECBの結果を待って、スペインとユーロのためになる決定を行う考えだ」と語った。
原題:Draghi May See Silver Lining in Disappointing on BondProgram(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ベルリン Patrick Donahuepdonahue1@bloomberg.net;ロンドン Simon Kennedyskennedy4@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Matthew Brockettmbrockett1@bloomberg.net;James Hertlingjhertling@bloomberg.net
更新日時: 2012/09/03 09:23 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M9QXVZ6S972A01.html
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