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円高是正策は日本を救うか
河野龍太郎
2012年 08月 31日 08:02 JST
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河野龍太郎 BNPパリバ証券 経済調査本部長
[東京 31日 ロイター] 巨額の借金を抱える国の通貨価値は、本来高くないはずである。そのような国では、理論上、為替レートは大幅に減価し、物価も金利も大きく上昇するからだ。
しかし、先進国の中でも突出した規模の公的債務を抱える日本で起きていることは、円高、デフレ、低金利とその逆である。これらは一種のバブル(円高バブル、現金・預金バブル、国債バブル)だろう。そのいずれもが、日本経済にとって成長の抑制要因として作用している。
こうした状況下、何らかの政策手段によって円高を是正すべきだとする声は根強い。日銀による外債購入や大規模円売り介入など、さまざまな政策の有効性が各方面で議論されている。中には、将来の財政危機に備えて、大規模な円売り介入によって外貨を蓄え、その含み益で財政状況を改善させるべきだという主張もある。これは、いわば破産しかかった経済主体が自分の破産に賭けることで、破産を回避するという論理だ。
筆者はこうした政策提案の理論的な有効性を認めつつも、いくつかの理由からやはり反対である。そもそも財政危機回避の役割まで期待するならば、50兆円どころか国内総生産(GDP)と同規模の500兆円程度の購入が必要になろう。2003―04年の史上最大の円売り介入でも35兆円、単日あたり最大規模の介入額で話題を呼んだ昨年の合計額でも14.3兆円であることを考えれば、どれほど途方もない話であるかが分かるだろう。
むろん、今後も円高が進み、日本が受け入れがたいと感じるレベルの極端な円高が生じる可能性は残されている。そのような時に、緊急避難的な円売り介入が行われる必要性を否定しているわけではない。ただ筆者が問題にしているのは、規模の大小もさることながら、財政問題を金融政策や通貨政策に頼ることで解決しようという姿勢である。そのような姿勢では、再び必要な構造政策が先送りされる恐れがあるからだ。
民主主義国家は、有権者に大きな痛みを強いる決断ができない。その結果、財政健全化や構造政策など必要な政策が先送りされる一方で、金融政策によって延命が図られてきた。大規模な為替介入によって時間稼ぎをしている間に、必要な構造改革や財政健全化策を進めるとしても、これまでの日本の経験を振り返れば明らかな通り、金融政策によって目先の問題が緩和されると、本当に必要な構造政策はさらに先送りされる可能性が高い。
そもそも、日本で停滞が続いている主因は、円高でもないし、デフレでもない。日本を取り巻く世界経済の構造が大きく変化しているにもかかわらず、それに対応した制度や規制の改革を怠っていることが、潜在成長率の回復を阻害しているのであり、金融政策や為替政策では解決できない。やはり地道に構造政策を進めるしかないのだ。
加えて、アグレッシブな金融政策、通貨政策を行うことで、新たな需給の不均衡が蓄積される恐れがある。
もともと現在の円高の痛みは、2005―2007年に超円安や米欧の信用バブルによって、日本国内で輸出ブームが生じ、産業構造の変化が阻害されたことが原因であった。超円安が進んだのは、ゼロ金利政策の長期化・固定化が背景にある。さらにゼロ金利政策の長期化・固定化が米欧の信用バブルの膨張を助長した側面もある。先進各国がアグレッシブな金融政策を続けていることが、過去20年、世界的なバブルの連鎖、それに続く危機の連鎖をもたらす原因の一つとなっていることを忘れてはならない。
<円売り介入が財政危機のきっかけに>
もう一つの懸念材料は、円売り介入の開始が円安加速と長期金利の上昇を招き、財政危機のきっかけとなる可能性があることだ。
周知の通り、日本の公的債務残高はGDPの約2倍に達する。スペインやイタリアは長期金利が4%ポイント程度上昇したことで、危機的な状態に陥った。しかし、公的債務残高がGDPの2倍に達する日本では長期金利がそれほど上昇しなくても、財政危機が始まる。
たとえば、政府の資本コストが2%ポイント上昇すれば、利払い費はGDP比の4%ポイント、実に20兆円も増加する(これを消費税で充当しようとすれば8%ポイント相当の増税となり、先日決まった消費増税分では足りない)。利払い費が増大すれば財政赤字が膨らみ、財政不安によって長期金利が上昇するという負のスパイラルに陥る。
マクロ経済学がいかに発展したといっても、現実のマクロ経済の仕組みに関するわれわれの理解や知識は依然として限定的だ。政策を決定する際には、社会やマクロ経済を致命的なリスクにさらされないという慎重な姿勢で臨むべきであり、「マクロ安定化政策によって経済を思い通りにコントロールできる」といった進歩主義的な考えは慎むべきだと考える。
そうした進歩主義的な介入政策が世界的な危機の原因だったはずだが、われわれはいまだにそれに懲りず、アグレッシブなマクロ安定化政策を続け、コモディティ価格高騰や新興国バブル、南欧のソブリン問題と新たな危機の火種を作っている。
経済学において広く合意された教えは「フリーランチは存在しない」ということである。つまり、財政・金融政策などマクロ安定化政策だけでは、持続的な成長は得られないということである。われわれが進めて行くべき円高対策は、新興国のフロート制移行を含む国際金融システム改革と、TPP(環太平洋経済連携協定)の参加など円高メリットを享受できる経済・社会構造の構築である 。
*河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(here)
*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
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7月消費者物価指数は‐0.3%、ガソリン下落でマイナス幅拡大
2012年 08月 31日 09:59 JST
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7月鉱工業生産は計画大きく下振れ、電子部品中心に幅広い業種で悪化
[東京 31日 ロイター] 総務省が31日発表した2012年7月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、コアCPI、2010年=100.0)は前年比0.3%低下の99.5と3カ月連続でマイナスとなり、マイナス幅は6月の0.2%から拡大した。ロイター集計の民間予測中央値も前年比0.3%低下だった。
ガソリンが前年比6.0%下落し、前月の同3.2%から下落幅が拡大した。燃油価格が下がり外国パック旅行も2.6%下落(前月は1.3%上昇)した。またテレビが4.2%下落、冷蔵庫が29.4%下落、ノートパソコンも16.4%下落、エアコンが5.1%下落した。
全国の総合指数は前年比0.4%低下(前月は同0.2%低下)。食料(酒類を除く)およびエネルギーを除く総合指数は前年比0.6%低下した(前月は同0.6%低下)。
一方、同時に発表された8月の東京都区部コアCPIは前年比0.5%低下の99.1とマイナス幅が前月の0.6%から縮小した。ガソリン価格の下落ペース鈍化が要因で、ロイター集計の民間予測中央値(前年比0.6%低下)よりも小幅のマイナスにとどまった。
ガソリンの前年比下落率は4.6%と前月の同5.9%から縮小した。前月は0.1%下落していた宿泊料も7.7%と上昇に転じた。航空運賃も前月は3.6%下落していたが1.5%上昇した。
東京都区部の総合指数は前年比0.7%低下(前月は同0.8%低下)。食料(酒類を除く)およびエネルギーを除く総合指数は前年比0.8%低下だった(前月は同1.0%低下)。
(ロイターニュース 竹本能文:編集)
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http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE87U00G20120831
ロムニー氏、中間層に照準 受諾演説で政権批判抑え包容力演出
2012/8/31 12:35
【タンパ(フロリダ州)=中山真】米共和党のロムニー大統領候補は30日夜の指名受諾演説で、「小さな政府」に基づく民間主導の雇用創出や経済成長を約束し、中間所得層の支持獲得へ攻勢をかけた。経営者や州知事を務めた自らの半生にも言及し、苦手とする女性や穏健派にもアピール。共和党の支持層の中心となる保守派だけでなく、オバマ政権への不満層を取り込んで自らの支持層の裾野を広げる考えだ。
「米国の成功のためにもオバマ大統領には成功してほしかった」。ロムニー氏は大統領候補として初めて全米に訴える受諾演説で、これまでの激しい政権批判を抑えた。むしろ「期待への失望」に光を当てることで、4年前にオバマ氏に投票した無党派層も含めた超党派的な支持を呼びかける戦略だ。今回の演説では「失望と分断」を招いたオバマ氏と対比して「実行力と包容力のある指導者像」を演出し、支持拡大を狙った。
ロムニー氏が照準をあわせたのが選挙戦のカギを握る中間所得層だ。オバマ政権は自動車産業の再生などの実績を訴える一方で、失業率はなお高止まりする。
ロムニー氏は、再生エネルギー活用などを通じた北米でのエネルギー自給実現という目標を設定。労働者への技能訓練の提供や、中小企業支援への法人減税と規制簡素化などを組み合わせ、雇用増の道筋を提示。現状に不満を持つ中間所得層の支持取り込みを鮮明にした。
演説では支持拡大のカギを握る若年層や女性などを強く意識。自身の母親が上院議員に立候補した際にロムニー氏の父親が全面的に支援したエピソードを披露し、女性の社会進出を後押しする家庭で育ったことを強調した。自身がマサチューセッツ州知事時代に副知事に女性を起用し、経営者時代にも女性のリーダー育成に取り組んできたとも説明した。
共和党は30日の党大会終了を受け、11月の大統領選に向けた選挙態勢を本格化する。民主党も週明けからノースカロライナ州で全国大会を開いて、オバマ、バイデン正副大統領を指名する予定。投票先を決めていない無党派層が多い激戦州を中心に選挙戦は一気に終盤戦に向かう。
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30日、米フロリダ州タンパの共和党大会会場で、指名受諾演説の準備をするロムニー氏=ロイター
【タンパ(米フロリダ州)=吉野直也】米共和党の大統領候補に指名された共和党のミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事(65)は30日、フロリダ州タンパで開催中の同党全国大会で、指名受諾演説をした。米経済の再生と雇用増大に向け、勤労者への技能訓練の提供や中小企業支援、2020年までに北米でのエネルギー自給の実現などを公約。「強い米国」再生に向けた自身の指導力を強調した。
ロムニー氏は最大の争点となる雇用政策について「1200万人の新規雇用を創出するための5つの計画がある」と表明。計画は(1)石油、天然ガス、原子力などの活用による北米でのエネルギー自給実現(2)雇用増大に向けた技能訓練の提供(3)新たな通商合意の促進(4)財政赤字削減と均衡財政の実現(5)中小企業支援への法人減税と規制簡素化――の5つと指摘した。
オバマ大統領(51)の政権運営について「彼の約束は失望と分裂に取って代わられた」と批判。「この4年間を忘れ、『米国の希望』を復活させるときだ」と強調した。
外交・安全保障政策では「いかなる国も挑もうとしない強い軍隊を維持する。トルーマン、レーガン両大統領から受け継いだ外交政策に回帰する」と述べた。「強い米国」を掲げて国防費を積み増し、冷戦終結に道筋をつけたレーガン政権を参考にする方針を示した。
中国を念頭に「通商で不正をする国には明確に責任を取らせる」と力説。核開発疑惑が深まるイランや、シリア情勢への対応で米国に異論を唱えるロシアには強硬な姿勢で臨むと語った。
27日に開幕した党大会はロムニー氏の受諾演説で4日間の日程を終えた。民主党は9月4日からノースカロライナ州シャーロットで開く全国大会で、オバマ氏を大統領候補に選ぶ。その後、10月に両党候補の討論会を計3回開き、11月6日の大統領選投票日を迎える。
米メディアでロムニー、オバマ両氏の支持率は拮抗しており、選挙戦の行方は予断を許さない。
共和・副大統領候補のライアン氏、財政規律前面に 米大統領選
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM3101O_R30C12A8MM0000/
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