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薄型テレビや液晶パネル事業の不振で、シャープが経営不振にあえいでいる。だが、金融機関がシャープ以上に経営状況を注視しているのがNECだ。縮小均衡の“連鎖”にはまった「IT業界の雄」はどこに向かうのか。
薄型テレビや液晶パネル事業の不振で、シャープが経営不振にあえいでいる。だが、金融機関がシャープ以上に経営状況を注視している大手電機メーカーがある。NECだ。半導体、PCなど次々と主力事業を切り離し、身軽になったはずが、成長戦略は見えないまま。縮小均衡の“連鎖”にはまった「IT業界の雄」はどこに向かうのか。
**** シャープより厳しい
「NECの方がもっと厳しい」。シャープの経営に関する報道が過熱していた今月中旬、ある大手行の首脳は、こう言い放った。
シャープは、2013年3月期に2500億円の最終赤字を見込むなど、主力事業の不振で苦境が続く。このため、今期中にグループ従業員約5000人を希望退職の募集などで削減することを決めるなど、厳しいリストラを迫られている。
これに対して、NECは2012年3月期まで2期連続で最終赤字を計上。だが、国内外1万人の削減に踏み切り、今期は200億円の利益を確保し、3期ぶりに黒字転換を見込んでいる。業績だけをみれば、NECは最悪期を脱したように見える。それでも、この大手行首脳が、NECがより厳しいと判断しているのは、業績の本格回復に向けて「何の出口もみえない」と映るからだ。
ピークで5兆4000億円を超える売上高を誇ったNEC。だが、記憶用半導体「DRAM」、システムLSI(大規模集積回路)、PCなどを次々と本体から切り出した結果、現在は3兆円あまりにまで減少。ライバルの富士通を下回るようになって久しく、現在では約1兆4000億円も引き離されている。
DRAMを切り出し、日立製作所と設立したエルピーダメモリが経営破綻(はたん)するなど、不採算事業を本体から切り離したNECの経営判断は正しかったともいえる。問題は、グループに残した事業で稼ぐことができず、成長戦略を描けないことにある。
収益力の低下は、2012年4〜6月期決算でも如実に表れた。携帯電話端末やパソコンなどの「パーソナルソリューション事業」の営業損益が30億円の赤字(前年同期は43億円の黒字)に転落したのだ。
元凶は、携帯電話事業の不振だ。前期はスマートフォン(高機能携帯電話)開発に出遅れ、販売目標を2回も下方修正したが、4〜6月期もその流れを引きずり、携帯電話事業だけで40億円もの営業赤字を余儀なくされた。
*** 株価も100円割れ
NECは2001年に折り畳み型の携帯電話を初めて発売するなど、かつては27%以上の国内シェアを持つトップ企業だった。だが、昨年のシェアはわずか9%弱と見る影もない。
収益力の低下を映し、2000年には3450円まで上昇した株価も、7月に一時100円を割り込んだ。100円割れはNECに記録が残る1983年以降で初めてとなる。
100円割れの直接の引き金になったのは、半導体大手ルネサスエレクトロニクスへの支援方針を決めたことだった。
NECは2010年に、半導体事業を分離してルネサステクノロジ(当時)と統合。その際に“持参金”として約560億円を出資した。そのわずか2年後、しかもNEC自身がリストラを進めている中での支援となるだけに、「重荷だった事業を切り離せていない」(証券アナリスト)との見方が広がった。
だが、共に支援を行う日立や三菱電機の株価は大きなインパクトを受けていない。市場がNECに厳しい評価を下したのは、「収益性と財務の回復が想定よりも遅れている」(ムーディーズ・ジャパン)ことに起因する。
*** 海外市場に活路
こうした評価を払拭(ふっしょく)しようと、NECも反転攻勢に向けた布石を打ち始めている。
今年5月に米コンバージズの通信会社向けシステム事業を370億円で、7月に豪CSGのIT事業を200億円で相次ぎ買収したのだ。そこから浮かび上がるのは、海外市場を収益確保の場として開拓しようという戦略だ。
海外売上高比率は2012年3月期で約16%だが、遠藤信博社長は「早期に25%へ上げたい」と力を込める。
NECはこの10年あまり、業績悪化のたびに不採算事業や非中核事業を矢継ぎ早に切り離し、業績回復を目指してきた。だが、その歩みは国内電機メーカーの凋落(ちょうらく)とも重なり、終わりの見えない縮小均衡を繰り返してきたといえる。
その連鎖から抜け出すには、成長シナリオを描ける事業基盤を確立するほかない。かつての輝きを取り戻すために残された時間は、そう長くはないはずだ。(山沢義徳)
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