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http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2012/08/22/016821.php
本日、日経の社説の欄をみると、「竹島問題提訴を韓国の猛省促す機会に」と書いてありました。
偶にはいいことを言うじゃないか!
でも、こんなことも書いてあるのです。
「韓国との対立をやみくもにあおるのは得策ではない」「経済の分野まで広げて対抗措置を講じるのはいかがなものか」「通貨交換枠の縮小にしても韓国の金融市場が混乱を来すようなことがあれば、日本にも悪影響が及ぶ」「中国はかつて尖閣をめぐり日中対立が激化した際、レアアースの対日輸出を制限した。日本が似たような対応をすれば、責任ある大国としての信用をなくす」
確かに対立をやみくもに煽るのは得策ではないでしょう。でも、誰がそんなことをしているというのでしょう?それに、通貨スワップを縮小すれば、日本は手段を選ばない中国と同じだ、とまで。
中国と同じ?
そこまで言うのか、と日経に言いたい。
それに、そもそも日経は、通貨スワップについて十分理解していないからそんな的外れなことが言えるのではないのか?
では、日経は通貨スワップの何を理解していないのか?
私は、先日日韓通貨スワップについて書きました。スワップなどという言葉を使っているが、通貨スワップ協定を結ぶことによる利益は韓国にのみ発生し、従って、これは純粋な韓国支援策である、と。
そうしたところ、このブログの記事を読んだ人のなかには、そうした事実はネットの住人はよく知っているとの指摘がありました。
私もそう思います。こうしたことに関心のある人なら、日韓通貨スワップの真の意味を薄々ながらも気が付いていることでしょう。反対に、こうしたことに関心のない人は、幾ら言ってもなんのこっちゃいな、と。
それでは、この日韓通貨スワップが純粋な韓国支援策であるという前提で話を進めましょう。
最初に、中国への円借款供与、或いは韓国への円借款供与というのが過去長い間行われてきた経緯があるのですが、今はどうなっているでしょう?
もちろん、そうした支援は今は行われていないのです。
何故?
それは韓国も中国も立派に経済成長を果たし、日本がODA(政府開発援助)を施す必要がもはやないと確認されているからに他ならないのです。
中国は北京オリンピックを境に円借款から卒業した訳ですし、韓国に至っては、今から20年以上前に決定された円借款が最後のものになったのです。
因みに、韓国への最後の円借款は、韓国の地下鉄建設のために供与されたもので、私もその関係で初めてソウルを訪れた経緯があるのです。最初は、課長に韓国出張に行ってもらう予定だったのが、「こんな寒い時に、韓国に行けるか」という一言で、部下の私がいく羽目に。
いずれにしても、そうして韓国が一人前の国になったので、もはや日本が韓国を支援する必要はなくなったのです。
では、何故日韓通貨スワップという名の、韓国に対するクレジットラインの供与が行われるのか?
その発端はアジア通貨危機にあると思うのです。韓国からどんどん資本が流出し、どうにかしてそうした資本逃避を抑えないことには韓国経済が破綻してしまう、と。
では、そういう時に活躍するのはどの機関かといえば、それはIMF。IMFは、韓国が開発途上国ではなくても、国際収支の困難に遭遇するようなことになれば、それを食い止めるべく支援の手を差し伸べてくれるのです。
なんと有難いことか!
但し、IMFに支援を仰ぐためには、それと引き換えに緊縮財政政策を実施することを約束させられるために経済は一気に失速してしまうのです。つまり、失業の大量発生につながってしまう、と。
もっともそうやって国内経済が冷え込むから韓国の輸入も減り、結果として、国際収支の改善が見込まれ、同時に通貨安を利用して輸出攻勢をかけることができるのです。
しかし、それにしても副作用が酷すぎる、と。だから、韓国はそうやって資本の海外逃避が起きた際に、IMFの支援を仰がずに済ませる方法を模索してきた訳なのです。
つまり、その答えが、日本との通貨スワップ。お互いの中央銀行同士が通貨を交換、つまり融通し合えば、万が一のときにも韓国としては外貨不足に陥らなくて済む訳です。だから、通貨交換の枠は大きければ大きいほど安心だ、と。
そして、皆さんご承知のようにユーロ危機ということもあって、その日韓の通貨スワップの枠は、今や700億ドル(約5兆5千億円)にまで膨らんでいるのです。
では、これから誤解を解きたいと思います。
日経の社説は、先ほど紹介したとおり、日韓通貨スワップの枠をいきなり縮小するようなことをしてはいけないというのです。やったら、日本にも害が及ぶし、そして中国のように批判されるぞ、と。
しかし、そもそも、この通貨スワップは今年の10月までの時限措置であるのです。
だから、例えば日本が期限を定めずに韓国にクレジットラインの供与をコミットして起きながら、今回の大統領の不規則発言に反応して約束を反故にするのとは訳が違うのです。始めから今年の10月が期限であり、それを延長するためには新たな意思確認が必要になるのです。
因みに、韓国側の言い分としては、外貨準備も潤沢であり、こうしたスワップが失効しても全然困らないと言っているのに、何を日経は心配しているのでしょうか? 或いは、韓国側に不安材料があるのであれば、それなら韓国はそれを率直に認めたら如何でしょう?
それに、もう一つ重要な事実を指摘したいと思うのです。
国と国との間で行われる通貨スワップは、通常は双方の中央銀行の間で締結されるのが原則です。つまり日本銀行と韓国の中央銀行の間で結ばれる、と。従って、幾ら実質的にみて、この日韓の通貨スワップが韓国支援の意味しかないとはいっても、中央銀行同士が慣例に従ってそうした協定を結ぶのであれば、国民としてとやかく言うことはできないのです。だって、中央銀行の独立性はある程度確保されているからです。
しかし、今問題になっている韓国との通貨スワップ700億ドルについては、中央銀行同士のスワップは半分にも満たない300億ドルにとどまっているのです。そして、残りの400億ドルについては、誰が当事者になっているかと言えば、日本政府、細かく言えば外為特別会計が韓国の中央銀行と協定を締結しているのです。
つまり、通貨スワップと言いながらも、その半分以上は伝統的な通貨スワップではなく、日本政府が韓国の中央銀行相手に、韓国のウォンを担保にお金を貸す契約をしているに過ぎないのです。
しかし、先ほど言ったように、韓国は、もはやODAの対象にならない国。つまり、通常であれば、日本政府が融資を行うような国ではないのです。にも拘わらず日本政府は外為特会というブラッボックスを通じて、自ら定めたルールに違反するような行為を行っている訳なのです。
さらに言えば、外為特会で保有するドルを利用するとはいっても、そもそもそのドルは、外為特会が政府短期証券を発行して得た円で購入したドルに他ならないので、結局韓国に融資するドルは、日本政府が借金をして得たドルということになるのです。
そして、そうやって韓国にドルを融資するということになれば、そのドルは将来返済されないリスクもあり、またそこまで言わなくても、そのドルは当分日本政府として利用が不可能になる訳ですから、外貨準備から除外しなければならない性質のものとなるのです。そのような事実をどれだけの人々が知っているのか?
もちろんこうした支援が緊急の事態に対応するためのものであれば、その時にはそうした細かいことを問題にする時間的余裕もないのでしょうが、しかし、今韓国はそうしたスワップがなくても全然問題はないというなかでそうしたルール違反の行為を繰り返すことが果たして適当なのかどうか、ということなのです。
もちろんこの先、再び韓国が通貨危機に見舞われるような際には、日本はそれを黙って見逃すことはないと思うのです。しかし、だからと言って、今までのように甘い姿勢を取り続けるだけでは決して韓国のためにもならないと思うのです。
竹島の問題にしても、通貨スワップの問題にしても、先ずは事実をよく把握することが日韓双方にとって大切であると思うのです。そこのところをいい加減にしておいて、どうして真の解決策が見つかるというのでしょう?(小笠原誠治)
■暴落する可能性の高い日本国債が邦銀の財務安定を生む
〜日本経済新聞の歪んだ理屈
http://opinion21c.blog49.fc2.com/
「リーマン・ショックからまもなく4年になる。欧州の債務危機が広がり、国際基準金利の不正操作問題など新たな火種も抱え、世界の金融市場は落ち着きを取り戻していない。そうしたなかで危機の震源地ではなかった日本の金融業は比較的安定している。『ポスト・リーマン』の金融の姿をつくり上げ、世界に示す好機だ」
日本経済新聞は19日付で「民が創る 新成長モデル〜産業の革新と生活を支える金融に」と題する社説を掲載。相変わらず支離滅裂、矛盾に満ちた意味不明の机上の空論を繰り返している。
「この4年をふり返ると、日本の銀行は資産の傷みが米欧より小さくて済んだ。証券化商品や南欧国債への投資が少なかったことが幸いし、信用力の目安となる銀行の格付けは海外より高めだ」
「証券化商品や南欧国債への投資が少なかったことが幸いし」という指摘は、何を今さらというもの。日本経済新聞を筆頭とした「国債暴落論」を繰り返す消費増税原理主義者によるプロパガンダに惑わされずに、資産の多くを日本国債に振り向けた結果である(現実には消去法で国債を購入するしかなかった、投資する蓋然性があった)。
大手邦銀3グループの2012年4〜6月期連結決算は、株式市場の低迷による保有株式の評価損が膨らみ、みずほフィナンシャルグループを除いて最終減益となった。収益を押し上げたのは国債の売買益。3グループ傘下の銀行の国債売買益合計は、前年同期比約3倍増の約4200億円と、3グループの連結純利益合計4846億円(前年同期比40%減)の85%以上を占め、国債の売買益が邦銀の収益を支える構造となっている。
「財務が安定すれば積極的に海外に打って出ることもできる」
日本経済新聞が繰り返し報じているように、本当に「近いうちに」日本国債が暴落すると信じているならば、「財務が安定すれば積極的に海外に打って出ることもできる」などと無責任なことなど言えないはずである。何故ならば、暴落するかもしれない資産からの収益の上に立った「財務の安定」など、「砂上の楼閣」に過ぎないのだから。
暴落するかもしれない国債からの収益に依存している邦銀の財務が「安定」しているというのであれば、それは国債の暴落など「近いうちに」は起きないと考えていることである。もし、本当に「近いうちに」国債暴落があると懸念しているのであれば、保有資産を早急に国債以外のものにシフトし、国債売買益に依存しない財務体質を構築するよう警鐘を鳴らすのが、オピニオンリーダーとしての務めのはずである。
ちなみに、消費増税の旗振役である経団連の副会長(18名)には、大手邦銀3グループから、三菱東京UFJ銀行相談役、三井住友フィナンシャルグループ会長の2名が名を連ねている。そして、彼らが率いる金融グループは金利低下による国債売買益を享受していることは上記の通りである。もし、経団連が「近いうちに」日本国債が暴落するリスクがあると考えているのだとしたら、自らが率いる金融グループが、そんなリスクの高い資産からの収益に依存する状態を放置するだろうか。
「信用力の目安となる銀行の格付けは海外より高めだ。米ムーディーズ・インベスターズ・サービスの格付けを比べると、日本の三大銀行は上から4〜5番目と、多くの欧米主要銀行より上位にある」
日本を代表する経済紙はこのように指摘しているが、これも素人丸出しのコメントである。
まず、格付けの世界では、「ある国の企業の信用格付はその国の政府の格付を上回ることができない」という「ソブリンシーリング」という原則がある。つまり、日本経済新聞が繰り返し報じている、格付け会社による日本国債の格下げリスクが高いのであれば、「銀行の格付けは海外より高めだ」などというのは一時的な現象でしかないことになる。日本国債が格下げされれば、邦銀の格下げも実施される可能性が高いのだから。
次に実務上、「財務の安定」がもたらす効果は、資金調達コストの低減、比較優位である。では、邦銀がこの「財務の安定」を活かせる状況にあるかというと、それは日本経済新聞が言うほど簡単ではない。
資金調達には、債券発行による調達と、株式による調達(増資)がある。
債券発行による調達を行えば、負債(他人資本)が増加することで自己資本比率が下がることになり、これは「財務の安定」を損なう方向に圧力を加えるものである。また、BIS基準でリスクウエイト=0の国債から、リスクウエイトの高い「顧客である企業の国際展開を側面から支援する」ことになれば、BIS基準上の邦銀の自己資本比率は低下(悪化)することになる。これは資金調達コストの上昇を伴うもの。
また、株価が過去最安値近辺で低迷している段階で株式発行に伴う調達を行えば、希薄化が起き、株価がさらに不安定になることが想像される。株価の下落は、資金調達能力の低下を意味するものである。
要するに、「債券売買益」に依存した「財務の安定」では、「顧客である企業の国際展開を側面から支援する」ことには現実的限界がある。この限界を取り払うには、日本国内の「貸出・融資」から収益が挙がる経済状況、堅調な株式市場を取り戻すことが必要不可欠なのである。そうでない限り、「財務の安定」による「資金調達コストの比較優位」を、実際の企業活動の優位に結ぶ付けることは困難である。こうした観点からも「消費増税」などという国内の有効需要を奪うような政策は「百害あって一利なし」である。
「消費増税」によって国内の有効需要が下がっても、海外から収益を稼げばいいという理屈は、実務を知らない教科書上に生きる人達と、一部の企業だけに通用するものであり、マクロ経済(日本全体)には当てはまる理屈ではない。日本経済新聞の理屈は、現実の経済に住んでいる多くの国民にとって何の参考にもならないものどころか、国民に誤った認識を植え付けるものである。
「民が創る 新成長モデル」を目指すために最初に取り除かなければならない「トゲ」は、事実を歪めた「結論ありきの報道」を繰り返すことで、「国民から反対する意思と気力を奪おうとするかのような報道」を繰り返すメディアの存在である。(近藤駿介)
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