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先週釜山貯蓄銀行という小さな金融機関が破産宣告を受けた。この貯蓄銀行は1年半以上前から資本不足で営業停止になっていたから、その事自体は驚く程の話ではない。ただし「韓国経済の二極化」により、家計債務が危険水域に到達していることを示す一つの象徴的な出来事ではある。
韓国経済の二極化とは、意図的なウオン安(韓国政府は否定するが)により、輸出絶好調のサムソン電子や現代自動車などの財閥系企業と債務負担に苦しむ中小企業の二極化である。
韓国の大企業は、若手の雇用を優先するので、解雇された中年ビジネスマンは、借金をしてでも自営業を始める以外ほとんどチャンスがない。大企業が大卒の優秀な若手を優遇するため、韓国の大学進学率は80%近い。子供を大学に進学させるため、親は借金を増やす(韓国の一人当たり教育費は世界最高のレベル)、というのが韓国の家計が債務を膨らましている構造だ。
FTによると韓国の家計債務は可処分所得の*146%に拡大している。これはサブプライム危機が発生した時の米国の債務比率138%よりも高い。*FTは別々の記事で146%、164%という二つの数字をあげている。どちらかがミスタイプだと思うが、ここでは低い方の数字を採用した。
リーマン・ショック後先進国の家計は債務削減に努めているが、韓国の家計では借金が膨らみ続けている。借金の返済圧力により、消費は停滞している。韓国銀行の発表によると、今年前半の消費の伸び率は1.4%に過ぎなかった。国内消費が低迷しているから、輸出にドライブがかかる。
2010年の現代自動車の海外販売は18%増加したが、国内売上は6%減少した。輸出を伸ばすために、韓国はウオン安政策という財閥優遇政策を取り続けている。その結果、インフレリスクが高まっているが、家計の債務負担の重さから政策金利の引き上げ、という有効な手段を取り難い状況になっている。昨年中央銀行(韓国銀行)は、金利引き上げを続けたが、先月、市場を驚かすような金利引き下げを行った。これは家計の金利負担を軽減する意図で行われたと判断される。
しかし金融緩和策は更に家計の債務負担を増やすリスクを伴う。ある銀行のアナリストは「持続不能な水準に近づきつつある」と述べている。サムソン電子などの繁栄の陰で、韓国の家計は確実に疲弊している。そして貧富の格差は拡大している。FTによると、上位10%の人の所得は下位10%の人の所得の4.73倍に拡大している(1995年は3.64倍だった)。格差が少ないと言われているデンマーク、スウェーデン等で格差は3倍程度というから、韓国はかなりの格差社会だ。
012/08/22 http://blogos.com/article/45373/
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