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円高が迫る海外投資の発想転換、債券偏重は禁物 「小さな政府」論議は希望的観測 欧州資産飲み込むアジア勢 メキシコ格差社会
http://www.asyura2.com/12/hasan77/msg/395.html
投稿者 MR 日時 2012 年 8 月 22 日 12:21:23: cT5Wxjlo3Xe3.
 


円高が迫る海外投資の発想転換、債券偏重は禁物
竹中正治氏
2012年 08月 20日 15:03 JST
竹中正治 龍谷大学経済学部教授

[東京 20日 ロイター] 前回のコラムでは米国の対外投資ポジションを分析したが、今回は日本の対外資産・負債とその投資リターンの特徴から課題を抽出してみよう。

結論を先取りすると、日本の対外資産は債券投資に傾斜し過ぎており、直接投資と株式の比率を上げることで長期的には投資リターンを向上させる余地が大きい。特に円高によるキャピタル・ロスを上回る投資リターンをいかにして上げるかが重要なポイントとなる。

<投資リターン向上で国富の維持を>

日本の対外資産は2011年末で582兆円、対外負債は329兆円、差額で253兆円の純資産残高は依然として世界最大規模だ(財務省公表データ)。

ご承知の通り、運用による投資リターンは大きく二つに分類される。利息や配当のようなインカム・リターンと、売却益や差金決済益など価格変動(含む為替変動)により得られるキャピタル・リターンだ。

前者のインカム・リターンから見ていこう。

対外所得の受け払いをそれぞれ対外資産と負債で割って計算したインカム・リターンは、2001―11年の期間の平均で見ると、資産サイドは3.6%(年率、以下同様)、負債サイドは1.6%、結果として1.8%のプラスのリターン格差があり、比較的安定している。この結果、所得収支を対外純資産で割って計算した純資産に対するリターンは、金融レバレッジ効果で年率5.7%と資産リターンより高い。これは日本の対外投資ポジションの優位点と言えるだろう。

次に、キャピタル・リターンを見ると、同期間は対外資産も負債も年率マイナス2.0%でマイナスの均衡となっている。これは見かけ上は、日本の対外投資が同期間に年率2%のキャピタル・ロスを生み、同時に対外負債も海外投資家に年率2%のキャピタル・ロス(日本サイドにとっては対外負債の縮小というキャピタル・ゲイン)を発生させていることを意味する。

ここで、前回とり上げた米国の対外投資ポジションの特徴を思い出して頂きたい。対外資産と負債の両建ての規模(絶対額、並びにGDP比率)の大きさに加えて、インカム・リターンとキャピタル・リターンの双方で過去長期にわたって趨勢的なプラスの投資リターン格差(対外負債コストを上回る対外資産リターン)が存在していることが特徴だ。その結果、米国の対外投資ポジションは対外純負債であるにもかかわらず、所得収支は黒字を維持し、また長期的な経常収支赤字の累計額よりも対外純負債の増加額がはるかに小さく抑制されてきた。

一方、日本の総合投資リターン(インカム・リターンとキャピタル・リタ―ンの合計。下図参照)については、次の点に注意する必要がある。

第一に、日本の対外資産は負債の1.76倍(2011年末)と大きいので、資産・負債双方に同じ年率マイナス2%の価格変化が生じても、対外資産から生じる損失の方が絶対額としては大きくなる。つまり、絶対額では同期間にネットで約56兆円のキャピタル・ロスが生じている。

第二に、資産・負債とも円建て換算で算出されており、円ベースでは対外負債は年率マイナス2%の縮小(海外投資家のキャピタル・ロス)となっているが、海外投資家にとって円相場が自国通貨に対して円高になっている場合には、為替益が発生し、キャピタル・ロスはその分だけ相殺される。一方、外貨建ての資産サイドは円高で日本の投資家にキャピタル・ロスをもたらしている。

この結果、2001年以降の経常収支黒字の累積は約180兆円であるが、対外純資産の増加はそれより60兆円少なく、120兆円にとどまっている(原理的にはこの差額60兆円は上記のネットキャピタル・ロス56兆円と一致するはずだが、誤差脱漏のため4兆円ずれが生じているようだ)。

昨年の東日本大震災を契機に赤字に転じた日本の貿易収支が今後も赤字を継続するか、あるいは黒字に戻るか、円相場の動向にも依存しており、予測し難い。しかし、少子高齢化で団塊の世代の引退と生産年齢人口比率の低下がまだ続く以上、今後の日本の国内貯蓄・投資バランスは次第に従来の貯蓄超過から貯蓄過小に向かう可能性が高いと予想するのが自然だろう。

その前提で考えると、国内貯蓄投資バランスの貯蓄超過(貯蓄不足)=貿易黒字(赤字)であるから、貿易収支は今後黒字に戻ることがあっても過去の黒字幅は回復せず、赤字化が趨勢的な傾向になる。その結果、国富の維持のためには対外投資ポジションの投資リターンを向上させることが投資家のみならず、マクロ政策的にも重要な関心事項になって行くだろう。

<円高で消えてしまう利回り格差の幻想>

では、どうすればこれまでのような対外資産のキャピタル・ロスを抑制しながら、総合投資リターンを向上させることができるだろうか。

そこで、対外資産のキャピタル・ロス(年率マイナス2.0%)の内訳を見ると、マイナス1.8%は為替相場の変化(つまり円高)で生じていることがわかる。円高自体は政府の外為市場介入によってもそう簡単には修正できないので、円高によるロスを上回る投資リターンをあげるしかない。

この観点から対外資産の内訳(2011年末)を見ると、外貨準備(17.3%)、民間保有の中長期債券(35.8%)、合計53.1%が米国を中心とする海外の国債などに投じられており、直接投資と株式投資は合計で21.8%にすぎない。この点は前回紹介した米国の対外資産内訳が直接投資と株式に傾斜し(合計で41.9%)、外貨準備と民間の債券投資は合計で10.8%に過ぎないことと対照的だ。

海外の債券投資は金利では日本よりも高くても、資金移動の自由が維持されている先進国間ならば、長期ではその金利差は為替相場の変化(円高)で相殺される。これは国際金融論で「金利平価原理」として知られていることだ。実際、1980―2011年の期間で10年物米国債と日本国債の平均利回り格差は3.12%、ドル円相場の平均ドル減価率は3.20%で、金利格差は為替相場の変化率にほぼ一致する。

一方、株式投資を中心とするリスク性資産への分散投資は、長期ではリスクプレミアムの分だけ国債など「無リスク」投資のリターンを上回る。この金融投資の原理は、日本では過去20年間デフレのために壊れてしまい、債券投資のリターンが株式投資のリターン(マイナス)を上回る事態となっているが、米国を始めマイルド・インフレを維持している市場では生きている。

したがって、株式と直接投資というリスク性の資産比率の対外資産を増やすことが、長期的な日本の対外投資リターン向上の条件となろう。日本の企業部門はグローバルな競争環境の中で生き残りを賭けてM&Aも含めた海外の直接投資を増やしている。投資家も円高で消えてしまう金利利回り格差の幻想から目覚めて、年間の変動は激しいが、リスクプレミアムの分だけ高リターンが期待できる海外の分散株式投資を増やすことが肝心だろう。

*竹中正治氏の前回のコラムはこちら(here)。

*竹中正治氏は龍谷大学経済学部教授。1979年東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、為替資金部次長、調査部次長、ワシントンDC駐在員事務所長、国際通貨研究所チーフエコノミストを経て、2009年4月より現職。京都大学経済学博士。

コラム:IMFも認めた円高の行きすぎ=高島修氏
7月貿易収支、輸出減で大幅赤字:識者はこうみる
焦点:鉱山労働者と警察の衝突、南アへの投資リスク浮き彫りに
焦点:世界的な食料価格上昇、危機的状況の兆しはなし
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コラム:米国の対外純負債拡大、実はドル安定化要因=竹中正治氏 2012年7月17日
再送:COLUMN-米国の対外純負債拡大、実はドル安定化要因=竹中正治氏 2012年7月17日
訂正:11年末の対外純資産は253兆円、2年ぶり微増 大規模介入や対外貸付増で=財務省 2012年5月22日
http://jp.reuters.com/articlePrint?articleId=JPTYE87J03M20120820


「小さな政府」論議は希望的観測=サマーズ氏
2012年 08月 21日 13:04 JST 記事を印刷する | ブックマーク | 1ページに表示 [-] 文字サイズ [+]


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ローレンス・H・サマーズ

[19日 ロイター] 米共和党が大統領選の副大統領候補にポール・ライアン下院予算委員長を選んだことで、米経済に占める政府支出の規模や範囲が今回の大統領選で大きな争点となることが明白になった。

過去の歳出の「正常な」水準や「歳出」の中身をめぐっては両党の意見が分かれるだろう。しかし将来の連邦政府像について、経済全体に占める役割が過去よりも大きくならないことが実行可能かつ望ましいとの声が両党の間で広がっているのは確かだ。

だが不幸にも、こうした期待が現実のものとなる可能性は低い。米政府が金融危機前に保持していた機能を維持するためだけでも、経済全体に公的部門が占める割合を大幅に増やさなければならない。これにはいくつかの構造的理由がある。

第1に、高齢者に伝統的に提供してきたサービスの水準を引き下げる決断を政治家が下さない限り、人口構造の変化が連邦支出を大きく拡大させるだろう。社会保障、メディケア(高齢者向け公的医療保険)、メディケイド(低所得者向け公的医療保険)、その他の規模の小さいプログラムが米連邦政府予算に占める割合は約32%で、国内総生産(GDP)の約7.7%を占めている。こうしたプログラムは65歳以上の層を対象とした政策で、この層の労働年齢層に対する比率は、次世代に向けて1対4.6から1対2.7に上昇していくだろう。調整措置が講じられなければ、連邦支出の対GDP比が5.6%押し上げられることを意味している。

実際、米国民の健康状態や平均余命の改善に伴い、退職年齢の想定を上方修正するのが適切かもしれない。そうは言っても、平均余命が15年以内の層が人口に占める割合は、次世代にかけて34%増加すると見込まれており、歯止めにはならない見込みだ。

第2に、債務の累積と正常な金利水準への復帰によって、政府支出に占める利払い費の割合は上昇するだろう。金融危機前の2007年、米国民が保有する連邦債務は対GDP比36.3%だった。NCFRR(ナショナル・コミッション・オン・フィスカル・リスポンシビリティー・アンド・リフォーム=シンプソン・ボウルズ委員会)などの提言が実施されるという前提に立った極めて楽観的見方では、国民の保有する純債務は2020年までにGDP比65%にほぼ倍増すると見込まれている。これは連邦政府の利払い支出が2007年のGDP比1.7%から2020年にはGDP比3.2%に拡大することを意味している。

第3に、民間部門の購買価格の上昇率と比較した連邦政府コストの上昇が、経済に対する政府の関与コストをいや応なく増加させていくだろう。1980年代前半以降、入院治療費と高等教育費は乗用車や衣服の価格と比べて5倍上昇しており、テレビ価格と比べると100倍以上の上昇になっている。

同様に、最先端の科学的研究から銀行規制まで、複雑化に伴って政府のコストは米国全体のインフレ率よりも急速なペースで上昇している。こうした傾向はグローバル化と技術の長期にわたる発展を反映したものだ。もし政府が同じ水準の行政サービスを提供し続ければ、経済に対する政府支出の割合は少なくともGDP比3%拡大せざるを得ない。

第4に、赤字抑制に用いられてきたいくつかの方法は、そう遠くないうちに維持できないことが判明するだろう。連邦年金債務や連邦政府のインフラ整備の先送りがその例証だ。

一方、納税申告(監査後)に着実な減少傾向が見受けられ、税制違反が増えている兆候もあり、歳出削減が持続不可能なことを映し出している。そして国家の責任に関して言えば、ここ数年顕著になっている不平等の拡大が政府の活動の活発化を招くというのがほぼ妥当な見方と言えるだろう。これらの要因はすべて、連邦予算に今後かかる圧力が増していく可能性が高いことを示唆している。

連邦支出を減らせるかもしれない方法もある。現在GDP比4.7%を占める国防支出は大幅に削減できる可能性がある。4.7%は過去40年間の平均水準だ。だが一方で、ペンタゴンの予算を劇的に削減できると自信を持って言える根拠もほとんどない。

一部の分野では、テクノロジーが政府のコストを大幅に削減することが可能だろう。しかし、連邦予算の圧倒的大部分はキャッシュもしくは現金移転が絡んでいることを認識することが重要だ。こうした部分は、物やサービスの生産に関与する分野に比べ、生産性の向上を目的としたテクノロジーの恩恵を受けにくい。旧態依然の、あるいは重複したプログラムを削減する余地はあるが、無駄や不正、乱用を見つけようとする取り組みでひねりだせる節減分は常にごくわずかにとどまっている。

今後3カ月間、米国では大きな政府と小さな政府のメリットが論議されるだろう。しかし今後30年間、連邦政府が長く担ってきた機能を大幅に縮小しない限り、米国は経済の大きな構造変化が経済全体に占める公的部門の割合の拡大を余儀なくさせるという現実に立ち向かっていかねばならない。政府が迫りくる圧力に対していかに最善の準備をできるか、経済を損なうことなく、いかに多くの歳入を駆り集められるかが、次世代にとっての大きな経済上の課題だろう。

(ローレンス・H・サマーズ氏はハーバード大学教授。元米財務長官)

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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焦点:欧州銀の売却資産飲み込むアジア勢、金融機関買収には慎重
2012年 08月 21日 12:50 JST
[ロンドン 20日 ロイター] 欧州の銀行は金融危機を背景にローン債権から保険・証券事業そのものに至るまで、さまざまな資産を売り払っているが、アジア企業はこれを用意周到に飲み込んでいる。もっとも、それ以上に印象的なのは、アジア勢が欧州系金融機関自体の合併・買収(M&A)には慎重に臨んでいることだ。

欧州からアジアへの勢力移動は鮮明だが、1、2件の例外を除き、アジア勢がユーロ圏の債務危機に乗じて欧州で勢力を伸ばそうとする動きは乏しい。

中国を例に取ろう。世界有数の銀行を幾つか抱える同国は、飽くことなく天然資源資産を買収している。7月には国営石油会社の中国海洋石油CNOOC (0883.HK)がカナダのエネルギー企業ネクセン(NXY.TO)を151億ドルで買収し、中国企業による外国企業の買収として過去最大規模となった。

しかしAキャピタルのAndre Loesekrug-Pietri会長によると、金融部門に目を転じれば、買収活動は「グラスの半分が満たされたというよりも、半分は空」という状態だ。「中国企業による世界での買収は毎月のように雑誌の表紙を飾るが、国際的M&A市場において中国はまだ小さなプレーヤーだ」という。

<様子見>

各国中央銀行と政府系ファンド(SWF)、資産運用会社を結びつけるロンドンのフォーラムの共同創設者であるデービッド・マーシュ氏は、欧米企業はもはや金融サービスのイノベーションを独占してはいないと語る。

しかし中国企業はじっくり時間を掛けて安く買える機会を待っている。欧米では数多くのバンカーやトレーダーが解雇されているため、中国企業は大型買収を行わなくても徐々にチームと専門力を強化していける機会があるのだ。

マーシュ氏は「彼らはとても賢く、ひん死の銀行を単純に高値で買うような馬鹿な真似はしない。人材を買うのだ。今目にしていることは、向こう10年間に起こるずっと大きな転換の前触れにすぎない。一気に起こるわけではない」と述べた。

中国は買収に関してまったく手をこまねいているわけではない。フランス・ベルギー系金融グループのデクシア(DEXI.BR)の資産運用部門売却では、中国のプライベート・エクイティ・ファンド2社が最終的な買い手候補に挙がっている。

中信証券(CITIC証券)は、仏クレディ・アグリコル(CAGR.PA)の香港証券部門CLSAアジア・パシフィック・マーケッツを12億5000万ドル相当で買収することで合意した。

テムズ・インベストメント・マネジメントの創設パートナー、ケン・カーティス氏は、CITICにとって、独立意識の高いCLSAを統合することは最大級の課題になると指摘。中国の金融機関は一般に、外国語がきちんと話せて海外での経営経験が豊富な幹部が少なく、多少なりともなじみのある香港を手始めに海外事業強化に乗り出したのはそれが一因だと説明した。

このほか、英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS.L)はアジア太平洋地域の投資銀行事業の一部をマレーシアのCIMBグループ・ホールディングス(CIMB.KL)に売却。オランダのING(ING.AS)はアジアの保険事業を70億ドルで売りに出している。

<過去のやけど>

慎重姿勢を浮き彫りにするように、中国銀行(601988.SS)は先月、4年に及ぶスイスでのプライベートバンク事業進出に終止符を打ち、ジュリウス・ベア(BAER.VX)と顧客の相互紹介で提携して10億スイスフラン弱の資産を同社に委譲した。

中国が慎重に事を進めているのは、同国のSWFが金融危機の勃発前に米資産運用会社ブラックストーン(BX.N)と米投資銀行モルガン・スタンレー(MS.N)の株式を取得し、のちに多額の含み損を出したことが一因だ。

中国第2位の保険会社、平安保険(601318.SS)は2007年、ベルギー・オランダ系のフォルティスに投資し、約30億ドルの損失を出している。

これに懲りた中国当局は、リスクが高過ぎるとしてその他数件の金融買収を阻止した経緯がある。

AキャピタルのLoesekrug-Pietri氏は「現在、われわれは中国政府から金融サービスのM&Aについてあまり支援を得られない」と語る。

ニューヨークのコンサルタント会社、ローディアム・グループのまとめによると、2000年から2011年にかけて、中国による欧州の金融サービス・保険事業への投資額は5億2600万ドルだった。中国による同地域での直接投資総額の2.5%にすぎない。

この金額には3100万ドル相当のM&A2件が含まれている。残りの額は事務所の新設など、「グリーンフィールド(まっさらな状態の)」プロジェクトだ。

ロンドンは人民元の取引センターになる野望を抱いている上、中国企業は欧州で存在感を増しているため、買収を伴わない有機的な事業拡大の機会は豊富にあるだろう。最終的には買収が活発化するとしてもだ。

ローディアムは最近のリポートで「中国のサービス提供企業が国内顧客に追随して海外展開し、海外事業を支援するケースが増えている。中国の銀行が今や、欧州のすべての主要市場に進出しているのはその好例だ」と説明した。

(Alan Wheatley, Global Economics Correspondent)
http://jp.reuters.com/articlePrint?articleId=JPTYE87K02N20120821

 


マネー・金融 金融市場異論百出【第239回】 2012年8月22日加藤 出 [東短リサーチ取締役]
日本企業の進出が加速するメキシコで見た格差社会の実情
 8月上旬にメキシコ市を訪れた。メキシコの他の地域では死者が多数発生する麻薬抗争が起きているが、メキシコ人の間ではメキシコ市は安全とみられていて、国内観光客は増加している。
 近年のメキシコ経済は堅調な成長を続けてきた。インフレ率は中央銀行の目標(3%)よりやや高いが、かつての高インフレ時代に比べれば安定している。財政のプライマリー収支は2008年まで黒字で、公的債務のGDP比は昨年末で34%と日本よりも健全だ。
 先進国の超低金利政策により、運用利回りを求めてメキシコの金融市場に先進国の投資家の資金が流入してくることもあって、金利は低下している。それが中間層の耐久消費財購入を容易にしており、消費は緩やかだが拡大している。
 とはいえ、メキシコは世界で指折りの所得格差社会でもある。市の西側にアルミのパネルで囲まれた窓のない巨大な建造物がある。米「フォーブス」誌の富豪ランキングで、ビル・ゲイツを抑え3年連続で世界1位(資産690億ドル)になったカルロス・スリム氏の美術館だ。昨春にオープンしたこの美術館の名称には、1999年に亡くなった夫人の名前が付けられている。ゴッホ、ダリなど6万6000点のコレクションの一部を無料で公開している。
 スリム氏は通信会社や銀行、スーパーマーケット、家具販売などのコングロマリットを経営している。8月6日の経済紙「EL ECONOMISTA」は、同氏のグループの第2四半期の利益が急増したことを1面トップで報じ、「スリムがまた儲かった」と書いていた。
次のページ>> 低賃金の人が多いものの工場でストライキが多発するようなことはない

 一方で、信号で車が止まると、窓拭きをしてチップを得ようとする人が大勢いるように、メキシコには低所得層の人々も多くいる。政府が定める最低賃金は1日59ペソ程度(約350円)だが、それ以下の人が全体で22%もいる。
 低賃金の人が多いものの、メキシコでは工場でストライキが多発するようなことはない。また、OECD調査によると世界一労働時間が長いのはメキシコ人。その上、通貨ペソは安く、かつ同国はFTAを多くの国と結んでいるため、日本の自動車産業は大挙してメキシコへ工場新設を進めている。
 この日本企業の“進出ブーム”により、メキシコでは日本人通訳が不足し、日系の建設会社や法律事務所は「これ以上仕事は受注できない」というほどの繁忙ぶりだという。ただし、ブラジルとアルゼンチンはメキシコからの自動車輸入急増に反発し、保護主義的措置を発表したため、南米への輸出を目論んでいたメーカーにとっては不安要因も表れている。
(東短リサーチ取締役 加藤 出)

http://diamond.jp/articles/-/23561
インフレ率(年平均値)の推移
• メキシコのインフレ率(年平均値)の推移(1980〜2012年)。日本と比較 他国と比較 ブログに貼り付ける
年 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989

26.47 27.95 59.15 101.86 65.44 57.75 86.39 131.90 113.66 19.94
年 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999

26.65 22.62 15.51 9.77 6.99 35.07 34.34 20.59 15.91 16.56
年 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

9.49 6.37 5.04 4.55 4.69 3.99 3.63 3.97 5.13 5.30
年 2010 2011 2012

4.16 3.40 3.90
単位: %
http://ecodb.net/country/MX/imf_inflation.html

景気後退による米労働市場悪化は修復可能、NY連銀調査
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  8月20日(ブルームバーグ):リセッション(景気後退)に伴う米労働市場の悪化は、その大半が修復可能であり、追加金融緩和策が修復過程を支援する。ニューヨーク連銀はこのほど、連邦準備制度の二重目標の一つである「最大限の雇用確保」の達成に向け、追加金融緩和がなお有効とする調査リポートを公表した。
それによると、リセッション入りした時期に5%だった失業率は2009年10月にピークとなる10%に達したが、その上昇分の約3分の1(1.5ポイント)は労働力の供給側と求人とのミスマッチが原因だ。つまり、上昇分の残りは主に需要不足が原因ということになる。
同連銀のエコノミストで調査リポートの執筆者の1人であるアイセグル・シャヒン氏はインタビューで、「労働市場には依然かなりの脆弱(ぜいじゃく)さが残っている」と指摘。「労働市場の弱さは、一部の職業や地域といった特定のグループに限って見られるわけではない。これは、労働市場の脆弱さが経済の全般的な弱さに起因し得ることを示している」と述べた。
UBSセキュリティーズやバークレイズなど金融機関のエコノミストは、経済が根本的に変化したとして金融当局に対抗する意見を主張しているが、シャヒン氏の指摘はそうした議論の核心に迫るものだ。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は、経済におけるゆがみは一時的なものだと説明している。
自然失業率
UBSのエコノミスト、ドルー・マタス氏は、「米国は構造的な失業問題を抱えている」と指摘した。同氏は米国の新たな自然失業率を7−8%と主張する。一方でニューヨーク連銀の調査では、自然失業率は6%にまで下がると示唆されている。シャヒン氏やサンフランシスコ連銀のエコノミストによるリポートでは、この水準はさらに下がる可能性がある。
議会予算局(CBO)は07年のリセッション入り前に自然失業率を5%とし、2011年の分析では6%に引き上げている。
マタス氏やバークレイズのエコノミストは、自然失業率が上昇したことの証拠として、求人と失業率との関係を示すベバリッジ曲線の変化に注目している。こうした自然失業率の上昇を唱える見解に対して、ニューヨーク連銀のエコノミストらは、その関係だけを単独で分析するのは「問題がある」と指摘。企業が新たな雇用を創出するインセンティブも労働市場のダイナミズムを変える要素だが、こうした分析ではそのインセンティブが考慮されていないと説明している。
原題:Fed Studies Show Damage to Job Market Is Reversible:Economy(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Alexander Kowalski akowalski13@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Chris Wellisz cwellisz@bloomberg.net
更新日時: 2012/08/21 05:39 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M92G3Z6S972T01.html  

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コメント
 
01. 2012年8月23日 10:44:14 : cqRnZH2CUM

>景気後退による米労働市場悪化は修復可能、NY連銀調査

FRBはQE3を本気でやるなら、完全に共和党とは対立だが

国内インフレ率も新興国の景気も減速しているから、バーナンキも強気ということか

リスク資産投資家にとっては、干天の慈雨になりそうだな


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