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7月貿易収支、輸出減で大幅赤字
2012年 08月 22日 10:25
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［東京 ２２日 ロイター］ 財務省が２２日に発表した７月貿易統計速報によると、貿易収支（原数値）は５１７４億円の赤字となった。赤字は２カ月ぶり。海外経済の減速で、輸出が２カ月連続で減少したことが響いたとみられる。
市場関係者の見方は以下の通り。
●下振れは想定内、影響は限定的
＜ＳＭＢＣ日興証券 株式調査部 圷正嗣氏＞
円高の進行と海外経済の不振で、赤字幅は市場予想を上回ったが、想定されていた結果だ。相場の行方を規定しているのは、海外の景気指標だったり、欧州絡みのイベントだったりする。相場へのインパクトはそれほど大きくはなく、市場でも深刻にはとらえられていないとみている。
貿易収支の赤字については、しばらくは劇的に改善するとはみていない。燃料輸入単価が上昇している状況下では来月も赤字が拡大する可能性が高まりやすいとみている。ただ年内というスパンで見た場合は、為替が円安に振れたり、海外経済が持ち直してきた場合、特に、足元ではそうした動きが強まってきているため、それ次第では収支が改善するのではないか。
●製造業の地盤沈下浮き彫り
＜みずほインベスターズ証券 チーフマーケットエコノミスト 落合昂二氏＞
日本の相対的な優位性が失われている。財務省が２２日発表した７月貿易統計速報によると、貿易収支（原数値）は５１７４億円の赤字となり、ロイターが民間調査機関を対象に行った予測中央値（２７２５億円）を下回った。これまでエネルギーの輸入が増えたためと説明されてきたが、今回は、前年同月比で増えてない。むしろ日本の得意分野だったはずの自動車や電気機器の輸入が増え、その一方で、機械や電気機器の輸出が減っている。
外国為替相場は目立った反応を示さなかったが、日本の製造業の地盤沈下が浮き彫りになった。日本株が値下がりする中で債券への押し目買いニーズが強まりそうだ。
●外需不透明で赤字拡大リスクを警戒
＜三井住友信託銀行 マーケット・ストラテジスト 瀬良礼子氏＞
赤字拡大の原因は、輸出の大幅減にある。これまではエネルギー関連の輸入が貿易赤字の最大の要因と言われていたが、外需低迷の影響も出てきた。この先、輸入はそれほど大きく落ちていくことはないだろうが、外需が落ちてくることで、予想以上に赤字幅が拡大するリスクに警戒する必要がある。外需が不透明になってきたことで、赤字方向に振れていくリスクが高くなってきた。
ドル／円は、赤字が増えれば本来であれば円安方向に働くが、外需が弱くなってきていることで、リスク回避的に円にお金が流れる側面もある。きょうはどちらかというと、そういう反応だった。最終的には米景気がどこまで持つかということがカギを握ってくる。
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貿易収支は２カ月ぶりの赤字、額は７月で最大−輸出が前年割れ (1)
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８月22日（ブルームバーグ）：７月の日本の貿易収支は２カ月ぶりの赤字に転じた。赤字額は予想を上回り、７月としては過去最大。欧米の景気停滞や中国経済の減速を背景に、自動車などを除き、ほぼ全品目で輸出が前年割れした。一方で、輸入は液化天然ガス（ＬＮＧ）が増えて２カ月ぶりにプラスとなった。
財務省が22日発表した貿易統計速報（通関ベース）によると、輸出額は前年同月比8.1％減の５兆3133億円と２カ月連続で減少。輸入額は同2.1％増の５兆8307億円だった。差し引きした貿易収支（原数値）は5174億円の赤字となった。
ブルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査による予想中央値は、 輸出額が前年同月比2.9％減、輸入額は同3.0％増だった。貿易収支は2700億円の赤字。
大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストは発表内容を受け、「海外経済減速の影響によって輸出が弱含み、先行き不透明感が残る内容」と指摘。ＥＵの景気失速や中国を含む新興国経済の減速など「不確実性が高まっている海外経済の行方については、引き続き慎重に見極めていきたい」と述べた。その上で、「輸出の伸び鈍化と輸入の高止まりによって、貿易収支が黒字基調に転じるには今しばらく時間を要する」との見方を示した。
輸出の内訳をみると、自動車が米国向けを中心に前年同月比4.6％増となったが、半導体など電子部品が同14％減となったほか、多くの品目で減少。輸入は原油の価格下落を受け、原粗油が同8.8％減と22カ月ぶりに減少した一方で、火力発電の燃料となるＬＮＧの輸入が同24％増と、全体を押し上げた。
欧州・中国向けが落ち込み
地域別では、米国向けの輸出が前年同月比4.7％増と９カ月連続で増加したが、伸び率は前月（同15％増）比で大幅に縮小。欧州連合（ＥＵ）向けは同25％減とリーマンショック後の2009年10月（同29％減）以来の水準に落ち込んだ。アジア向けは半導体など電子部品や原動機を中心に同9.0％減と２カ月連続で減少。うち中国向けは同12％減と前月（同7.4％減）に比べ減少幅が拡大した。
財務省は２カ月連続で減少した中国向け輸出について、建設用機械のエンジンなどの原動機が前年同月比46％減と大幅に減少していることから、金融引き締めによる中国国内の需要減を要因の１つとして指摘。中国の欧州向け輸出の落ち込みも、日本からの輸出押し下げにつながっているとの見方を示した。先行きについては今後の海外経済のさらなる下振れリスクを注視する必要があるとしている。
第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは統計発表前のリポートで、「輸出は回復感に欠ける動きが続いている」とした上で、「輸出が明確に増加するには、海外経済の持ち直しを待つ必要がある」と指摘。政府も７月の月例経済報告で総括判断は「緩やかに回復しつつある」に据え置いたものの、欧州の政府債務危機をめぐる不確実性など「世界景気に減速感が広がっている」との懸念を示していた。
季節調整済みの前月比では、７月の輸出額は1.1％減と３カ月連続で減少。輸入は同0.9％減と２カ月連続で減少した。
記事についての記者への問い合わせ先：東京 下土井京子 kshimodoi@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先：Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net
更新日時: 2012/08/22 10:43 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M94QJP6KLVRD01.html
日銀は｢３次元｣の長期資金を、投資・成長で財政再建−杉本元財務次官
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８月22日（ブルームバーグ）：杉本和行元財務事務次官は、財政再建には消費増税だけでなく、企業の投資拡大による日本経済の成長力向上も同時に進める必要があると主張する。有望分野への投資を誘発するには、日本銀行が政府系金融機関などと協調して長期資金の供給を増強するのが有効だとみている。
みずほ総合研究所理事長の杉本氏（61）は20日のインタビューで、世界的な金融危機に対処する中で、日銀は「伝統的な手段である金利の低下余地をほぼ使い果たし、事実上の量的緩和も十分実施しているとの立場だ」と指摘。しかし「金利・量・タームを駆使した『３次元』の資金供給があり得る」と述べ、金利と量に加えて資金の供給期間を長期すべきだとの考えを示した。
杉本氏は「金融政策は馬を水場に連れて行くまでだと言うが、それは違う。この水はおいしいと馬に分からせるまでしないと、今時の馬は水を飲まない」とした上で、投資の活性化に向けた環境整備も日銀の果たすべき役割だと強調。具体的な有望分野には「再生可能エネルギーや環境関連、農業、医療・介護、子育て、健康など」を挙げた。
杉本氏は、日銀の長期国債買い入れは金融機関にキャッシュを提供するが、日銀当座預金に積み上がるばかりで投資には回っていないと指摘。一方、日銀が2010年６月に導入した成長基盤強化支援オペは「非常に良い。もっと大胆にやるべきだ」と評価した。
日銀は10年６月、成長基盤強化を支援するための資金供給の枠組みを導入。民間金融機関による自助努力の「呼び水」として期間限定で、総額３兆円を政策金利で原則１年貸し付け、借り換えは３回まで（最長４年）可能とした。１年後には新たな貸付枠を5000億円設定。今年３月にも小口の投融資向けに5000億円を追加した。
産業育成へ資金供給
杉本氏は「新しい成長分野への投資にはエクイティー（株主資本）性の強い資金が必要だ。戦後復興期の金融のように、長期的な産業育成も視野に資金供給していく必要がある」と説明。日本政策投資銀行（ＤＢＪ）などとの協調も有益だと指摘した。経済の低迷が続けば「雇用機会が失われ、摩擦が大きく内向きに消耗する社会となってしまう。社会全体の幸福度や安定度を損なわないためにも、雇用機会の確保は特に重要だ」と成長力向上の意義を強調した。
杉本氏は、国内での成長産業育成とともに、日本企業が海外での競争に打ち勝って稼ぐ必要もあると主張する。輸出企業には逆風となる円相場の高止まりについては「為替相場は相対的に決まるので、米欧や新興国の状況を考えるとなかなか打開できない」と指摘。それでも「今の円高は行き過ぎだ」と述べ、為替介入や追加緩和が必要になる可能性に言及した。介入は「相場の潮の変わり目」を狙い、追加緩和は２月に成功したように市場の期待にうまく働き掛けるのが効果的だと述べた。
記事に関する記者への問い合わせ先：東京 Shigeki Nozawa snozawa1@bloomberg.net;東京 Brian Fowler bfowler4@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先：大久保義人 yokubo1@bloomberg.net;Rocky Swift rswift5@bloomberg.net
更新日時: 2012/08/22 10:01 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M93K8M07SXKY01.html
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