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http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M8VJGC6KLVR801.html
8月17日(ブルームバーグ):粟谷恵子さん(85)は戦争で一度はあきらめた英語を学ぶという夢を蓄えた資産を使い海外でかなえた。こうした高齢者による消費支出のうねりが日本経済を支える力ともなっている。
粟谷さんは、シニア向け雑誌を出版する「いきいき」(東京都)が企画する約1カ月間の海外短期留学プランに2度参加した。米ボストンと英国の2カ所が滞在先で、費用はそれぞれ約130万円。「この年になると、先は短い。このくらいは使っても大丈夫と考えた」と粟谷さん。海外旅行や留学への体力づくりのために週に2度ジムに通って汗を流す。
60歳超の高齢者が保有する金融資産は900兆円とされる。「いきいき」の留学事業などは、シニアの記憶にある1980年代のバブル時代の消費熱を呼び覚まし、金融資産が消費に向かう扉を開く。
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)などを専門とするニッセイ基礎研究所の前田展弘研究員は「日本企業はシニア向けに魅力ある商品をだせるように改善されてきた」と指摘。「シニア市場でシェアを増やすことが国内の企業には生き残るための鍵であり、それは日本経済の将来にとっても重要だ」。
経済縮小でもシニア消費は拡大
第一生命経済研究所によると、60歳超のシニア消費は2011年に101兆2000億円に及び、02年から26.5%増加。対照的に日本経済は同じ期間に、物価変動を調整しないベースで6.2%縮小した。
シニア消費は、内需の重要性を再認識させた。ブルームバーグのデータによると、消費が占める年度ベースの国内総生産の割合は60.6%に達し、少なくとも現在の計測基準で遡れる94年以来、最大となっている。700万人の団塊世代が今年から定年退職し始め、2030年までに人口の約3分の1が65歳を超えると予測される中、退職者向け市場ではビジネスチャンスが広がる。
退職者も、90年のバブル崩壊がもたらした「失われた10年」などと呼ばれる以前の、良き時代の記憶がある。経営者がしつこいデフレにおびえることなく、コスト削減のために賃金を圧縮する必要もなかった時代だ。
消費の喜び
伊藤忠経済研究所の丸山義正主任研究員は「シニア世代はバブル崩壊前の高成長時代を経験し、消費の楽しみを知っている。これに対し若年層の賃金は就職後ずっとデフレの影響を受けてきた」と指摘する。
高齢者の消費は、製造業が中心の日本の産業構造が緩やかに変革する後押しともなり得る。円高の進行で、日産自動車やパナソニックなど輸出企業は海外展開を加速している。円は対ドルで過去5年間に44%上昇した。17日午前の東京市場では1ドル=79円24銭で取引され、戦後最高値の75円35銭まで約5%安となっている。
政府の統計によると、医療・福祉分野の雇用は過去10年に250万人増え、710万人となった。半面、製造業は1050万人で、170万人減った。サービス産業での雇用増によって、景気低迷やデフレのさなかでも失業率が上昇せずに済んでいる。失業率は過去10年に平均4.6%だが、今年6月は4.3%だった。
原題:Spending Zest From Bubble Years May Help Seniors SpurJapan Job (抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 藤岡 徹 tfujioka1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net
更新日時: 2012/08/17 09:45 JST
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