http://www.asyura2.com/12/hasan77/msg/296.html
Tweet |
http://electronic-journal.seesaa.net/
民主党が自民党から政権交代した時点では、民主党の政策に関心を示していた橋下徹氏は、その後急速に民主党に関心を失い、民主党を批判する発言が多くなっています。その種の橋下語録をピックアップしておきます。
―――――――――――――――――――――――――――――
◎民主党には失望感、絶望感、権力志向の強さをまざまざと見
せつけられた。これぞ究極の中央集権志向政党
◎民主党は公務員組合から決別しないといけない。政権交代の
時の民意は、役所を変えてという一点だったと思う
◎直轄事業がコンクリートから人へのオンパレード。社会主義
か共産主義か何をやりたいのか分からない
──『橋下語録』/産経新聞大阪社会部
―――――――――――――――――――――――――――――
さて、2010年6月8日のことです。首相が鳩山由紀夫氏から菅直人氏に代わったとき、民主党政権について記者団に質問され、橋下氏は次のように答えています。
―――――――――――――――――――――――――――――
僕は、競争を前面に打ち出して規制緩和する小泉・竹中路線を さらにもっともっと推し進めることが、今の日本には必要だと 思っている ──『橋下語録』/産経新聞大阪社会部
―――――――――――――――――――――――――――――
橋下氏は、小泉・竹中路線──すなわち、構造改革路線を強力に推進すべきであると主張していますが、この発言によって橋下徹氏の政治手法は、米国共和党政権の経済理論の指導者であるミルトン・フリードマンのやり方──新自由主義の立場に立っているように思われます。
ところで、新自由主義とは何でしょうか。
新自由主義は、これからの日本の経済政策を考えるとき、理解しておくべき重要テーマであると思うので、歴史的観点からも少していねいに述べることにします。
1970年代まで、先進諸国の経済政策の主流はケインズ主義であったのです。これによって先進各国の経済は高度成長を成し遂げることができています。
ケインズ主義は「フォーディズム」とも呼ばれているのです。
フォーディズムとは、米国のフォード・モーターの科学的管理法を応用した生産システムのことであり、大量生産、大量消費を可能にした生産システムのモデルのことです。高度成長には、欠かせないモデルであったのです。
ケインズ主義においては、「市場」というものを次のようにとらえるのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
市場は基本的に不安定なものであり,自己調整機能をもたな いものである
―――――――――――――――――――――――――――――
市場にはこのように自己調整機能がないので、その市場を円滑に機能させ、持続的な経済発展・成長を実現するためには、政府がマクロ経済政策──すなわち、適切な金融財政政策を行い、有効需要を創り出す必要があると考えるのです。
このようにケインズ主義においては、政府は完全雇用を目指して積極的に経済に介入するのです。具体的には、公共事業による景気の調整を行い、主要産業の国家によるコントロールなどを推進するのです。潤沢な財政支出を基にして国家が経済に積極的に介入し、製造業を中心とした産業や貿易を振興して経済成長を図るという考え方がケインズ主義です。
確かにこのケインズ主義によって、先進国の経済は1970年代までは順調に成長してきたのです。しかし、時代が進むにつれて、企業は高コストに見舞われ、政府は財政危機に陥って、景気が悪いのにインフレーションが進行するスタグフレーションが世界を襲うに及んで、フォーディズムの維持は、事実上困難になってきたのです。
それに官僚機構の非能率性も加わって、「大きな政府」や「福祉国家」と呼ばれる体制は、政策の有効性への疑問を招くようになります。とくにマネタリストやサプライサイダー(供給重視の経済学)から批判の的にされたのです。
ケインズ主義が国家にもたらす最も典型的な結果として「英国病」があります。当時、英国は慢性的な不況に陥って財政赤字が拡大し、スタグフレーションが進行、失業率が増大したのです。
サッチャー政権は、電話・石炭・航空などの各種国営企業の民営化、労働法制に至るまでの規制緩和、社会保障制度の見直し、金融ビッグバンなどを実施し、労働者を擁護する多くの制度・思想を一掃し、英国病を克服したのです。しかし、サッチャー首相の在任中は不況は改善されなかったのです。
こうした行き詰まりの状況を生み出した責任は、国家による経済への恣意的な介入と政府部門の肥大化にあるというのです。そして、フォーディズムに代わる資本主義の調整様式として、新自由主義が唱導されたのです。
新自由主義の創始者は、ミルトン・フリードマンという米国のマクロ経済学者です。マネタリズムなるものを主唱して、ケインズ政策を批判し、ノーベル経済学賞を受賞しています。
ミルトン・フリードマンに関する本で私が最も参考になったのが次の書籍です。
―――――――――――――――――――――――――――――
ロバート・ライシュ著/雨宮寛・今井章子訳
『暴走する民主主義』/東洋経済新報社
―――――――――――――――――――――――――――――
本書は「民主主義の力が弱まりつつある資本主義」がどれほど危険であるか警鐘を鳴らし、その弊害を指摘しているからです。
≪画像および関連情報≫に同署の「序」を示しておきます。
―── [橋下徹研究/23]
●ライシュ著『暴走する民主主義』の序・パラドックス
―――――――――――――――――――――――――――
1975年3月、経済学者のミ〜トン・フリードマンは、そ の18ヵ月前に民主政府サルバドール・アジェンデ政権を転 覆して軍事政権を樹立したチリのアウグスト・ピノチェト大 統領から招待を受けた。フリードマンのチリ訪問について米 国メディアは強く批判したが、彼は大統領を支持しているわ けではなかった。むしろ、ピノチェトに自由市場資本主義を 採り入れるよう説得に行ったのである──長年にわたる民主 政権下で広がっていた経済規制を緩和し、膨らんだ福祉予算 を削減し、国を開放して外国との貿易や投資を積極的に行っ ていくことを進言するためであった。フリードマンはチリで の講演の中で、自由な市場経済には、政治的自由と民主化の 持続が前提条件であるという彼の持論を唱えた。ピノチェト 大統領はフリードマンの自由市場経済のアドバイスには従ったものの、その冷酷な独裁政権をその後15年間も続けた。
そして、奇しくもこの二人は、2006年末に数週間違いで 相次いで他界したのであった。
──ロバート・ライシュ著/雨宮寛・今井章子訳
『暴走する民主主義』/東洋経済新報社
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。