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http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0911/19/news005.html
もはや100円でも売れない……自販機不況に活路はあるか?外食を減らしてお弁当を持参。割高なコンビニエンスストア通いも削った。次の節約術は何だろうか?
それは自動販売機(自販機)。不況の烈風が吹き荒れるボーナス3割カットの厳冬だから、150円もするペットボトルをホイホイ買える人は恵まれている。ディスカウント自販機を探してまとめ買い、マイボトルを持参する人も増えた。
**自販機販売は減少の一途
日本自動販売機工業会がまとめた全国の販売統計によると、設置台数は2000年の560万台をピークに、2008年12月末には526万台へと6%減。売上減少はもっと深刻で、2000年の7兆円は2008年には5兆7000億円へと約20%減。タスポ導入でタバコが店頭売りに流れた事情はあったにせよ、振るわない主因は清涼飲料とコーヒー、ビールである。どれも“自販機価格”が崩壊しているのだ。
自販機の売上依存度が90%と高いダイドードリンコの今年の販売状況を見てみよう。10月までのデータ(本数ベース)ではコーヒー飲料は6%減、お茶は10%減、果汁飲料は16%減、機能性飲料も14%減と、炭酸を除いてすべてマイナス。売上ベースではもっと落ちているだろう。同社は自販機ビジネスモデルを再構築するため、製販を再統合させる大組織改編を進める一方、成長市場として中国市場も目指すという戦略を打つ。
一方、お茶が看板商品の伊藤園でも、2009年4月期の業態別売上高は、スーパーが前年比4.0%増、コンビニは同1.5%増なのに、自販機は同4.2%減と足を引っ張る。同社は総売上高に占める自販機販売比率が17.7%と低いのが幸いしている。さらにトップシェアのコカコーラでも、コカ・コーラウエストの開示資料によれば、2009年第3四半期の自販機販売は前年比8.3%減。ヤバいのである。
スーパー、コンビニに続く“業界再編”が自販機業界に及ばざるをえない。
**減少原因のひとつは大口購買の縮小
なぜ売り上げも利益も落ちるのか。都心部では30人に1台と言われる飽和市場。自販機の新規設置の余地はすでに限られている。そこに非メーカー系のベンダーも切り込んできて、設置場所の奪い合いが激化。リプレース需要を食い合っている。設置オーナーへの条件も甘くなるので利益も悪化する。
建築基準法改正に伴う建築着工の遅れで、建築現場での飲料購買も激減した。さらに金融恐慌により建築も土木もストップ、続いて起きた製造業の不振で派遣社員も正社員もリストラが相次ぎ、工場など事業所内の飲料需要が激減した。
要するに“定価購買の大口顧客”を一気に失ったのが直接要因である
**男臭い飲料市場が縮小
だが自販機の需要減は大口顧客の減少だけが理由ではなく、もっと根が深い。“お手軽から本物への変化”である。
コーヒー豆を買って楽しむ“家コーヒー”が流行るのは、好きな味が選べるしカフェよりも安いから。用具をそろえてのコーヒー修行も楽しい。紅茶や日本茶にも波及して、ティー・バッグや茶葉が売れる。さらに街角に増えてきた生ジュースや野菜ジュース、タピオカミルクティーなどのドリンクバーは、高単価だがペットボトルや缶飲料には真似できない味を提供する。
購入者の9割が男と言われる自販機市場。工場・現場・街角で買う姿は圧倒的に男ばかりだ。男の就業や収入が減る今、いつでもどこでもという“衝動定価購買”は縮小し、缶コーヒー業界だけの競合は終わりつつある。家コーヒーやドリンクバーに競合相手が変化したのだ。お客さんが女性やこだわりにシフトして、合理や効率で買う“男臭い飲料市場”は寿命切れしてしまった。
**昔、自販機にはロマンがあった
でも、ふと思う。昔(1970年代くらいかな)、自販機で買う体験は光っていた。
街角の四角い機械の中の飲料が、先端的でキラキラしていた。お金を入れる。ボタンが点灯する。どれにするか決めていたのに、一瞬迷う。ええいと押すと、ゴトンゴトンとキラキラ飲料が降りてくる。お金だけが食べられて、思わずコブシで叩いたこともあった。夜中、自販機を蹴飛ばしているヤツもよく見かけた。釣り銭口に誰かが取り忘れた50円があって、もうけたこともあった。自販機で買う時に物語があった時代だ。
機械にも驚きがあった。お湯の出るカップめん自販機や、中で棚が回転してスナック菓子を選ぶ自販機は傑作だった。買いもしないのに棚をぐるぐる回したものだ。今の自販機はあのころよりずっと便利に、ずっと故障知らずに、電子マネー対応にもエコにもノンフロンにもなったが、ロマンはなくなった。
**のどが乾いていない時代の自販機ビジネス
もう1つ、大きな変化がある。今はみんな“のどが乾いていない”のだ。
昔、コカコーラがうまかったのは、のどが乾いていたからだ。真夏の道をてくてくと歩く。汗も出切ったころに、赤い自販機を見つける。カラカラののどに冷えたコーラが染みていく。実にうまかった。今は違う。“ビタミン補給”“体内バランス”“ダイエット”のために飲料を飲む。乾きを癒やすわけではない。
だから自販機は、もはや飲料を売らずに“カラダにいいこと”や“ワクワク”を売るしかないのかもしれない。例えば、牧場脇の絞りたてミルク自販機(時価販売)とか、季節限定・産地直送の飲料とか。もはや100円でも売れない時代なのだから。
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