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米FRB議長:国民の苦しみ、経済指標に表れない恐れも
8月6日(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は6日、米経済の強さを示す指標が米国民の苦しみをくみ取っていない可能性があるとの認識を示した。
議長はマサチューセッツ州ケンブリッジでの会議でビデオ講演し、「個人消費や可処分所得、家計の純資産、債務返済などの幾つかの重要な統計の数値は回復の方向に動いているものの、多くの個人と家計が引き続き難しい経済・金融情勢に苦しんでいることは明らかだ」と述べた。議長の発言内容は事前に用意された講演テキストに基づく。
FRBは1日に終わった連邦公開市場委員会(FOMC)で、景気拡大と失業率引き下げを狙い必要に応じ追加の刺激策を講じる考えを示した。米失業率は3年余りにわたり8%以上の水準が続いている。
バーナンキ議長は、エコノミストらに「家計・企業全般の実態の多様さをより良く捉えるミクロ経済データへの注目を高める」べきだと呼び掛け、「われわれの政策決定の最終的な目標である経済的な生活状況をより良くもっと直接的に計測するやり方」を目指す必要性を訴えた。
議長は各国の生活の質を測ることが狙いの経済協力開発機構(OECD)の「ベター・ライフ・イニチアシブ」やブータンの国民総幸福量(GNH)指数を興味深いプロジェクトとして挙げ、こうした指標には「精神的な健全さや教育水準、肉体的な健康と身体に対する安全、コミュニティーの活力、家族と社会の絆の強さ、レジャー活動に費やす時間などの要素が盛り込まれている」と指摘した。
バーナンキ議長はこの日の講演で金融政策や景気の見通しについて言及せず、1日のFOMC声明を超える米経済に関するコメントを控えた。
記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Joshua Zumbrunjzumbrun@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Chris Welliszcwellisz@bloomberg.net
更新日時: 2012/08/06 22:00 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M8BEJF6JTSEA01.html
「フィルターと完全雇用(経済学オタク系じゃない、本当に)」BY PAUL KRUGMAN
以下の文は、Paul Krugman,”Filters and Full Employment(Not Wonkish,Really)“の翻訳になります。誤字・誤訳の指摘はコメント欄にお願いします。
ホドリック−プレスコット・フィルター(HPフィルター)と呼ばれる統計的なテクニックの使用に関して、重要な経済学的意味合いを持つ論争が進行している。
ティム・デューイは総括して彼自身の考えを提示している。
http://economistsview.typepad.com/economistsview/2012/07/fed-watch-careful-with-that-hp-filter.html
だが、それに参加してやろうと考えたのは、僕自身かつて日本について考えていたころにすごくよく似た課題に遭遇したからというのがその理由の一部だし、さらに、一見統計的な技術についての議論にしか見えないものの、それが実際は現在進行中の経済的災厄についての決定的な議論だからでもある。
http://www.brookings.edu/~/media/Files/Programs/ES/BPEA/1998_2_bpea_papers/1998b_bpea_krugman_dominquez_rogoff.pdf
さて、HPフィルターとは、トレンドの周囲に短期的変動がいくつも存在するデータから、根底にあるそのトレンドを抽出するとされる技術のことだ。これをするため、HPフィルターではデータを「均す」――大雑把に言えば、複数年にかけての加重平均を取る。この均された推計値が根底にあるトレンドを示しているとされる。
これが景気循環に適用されると、HPフィルターにより実質GDPの均された推計値が判明する。そして、それが経済の根底にある潜在GDPを示しているとされて、その均された推計値からの逸脱は潜在GDPからの維持不可能な一時的逸脱を表しているとされる。
そしてティム・デューイが指摘しているように、今起こっていることとして、FRB職員を含めたかなりの人が、この種のフィルターを使ってアメリカ経済はすでに潜在GDP近辺で運営されているのだから、拡張的金融政策や財政政策を追求する理由はないと主張している。
この見方のどこが間違っているのか? その答えは、統計的なテクニックはそのテクニックの背後の根底にある想定が経済的な真実を反映している場合にだけ適切なものだから――そして、それはこの場合ほぼ確実に当てはまらない。
HPフィルターを使う際には、潜在生産高からの逸脱はどちらかと言えば短期的なもので、かなり早期に矯正される傾向にあると想定されている。これは通常時にはおそらく正しい。ただし、僕なら、潜在生産高に収斂する主な理由は「自然な」プロセスというより、FRBが我々をそこに連れていってくれるからだと言うだろうけどね。
だが、巨大な金融的ショックの直後には何が起こる? FRBは自らがゼロ下限に接していることに気づいた。FRBは十分な規模の非伝統的政策を追求することは渋っている。財政政策も引っ込められた。そうして、その経済は長期間にわたり潜在生産力以下で留まっている。
でも、HPフィルターを使う際の方法論では、基本的にそんなことが起こると想定されていない。その代わりに、どんな長期化した不況も潜在生産高の落ち込みとして解釈されてしまう! これは僕が1998年に作った1930年代のチャート:
その通り:HPフィルターはアメリカ経済が1935年には潜在生産高に復帰したと「決定した」。なんで? なぜなら、それが自動的に大不況を潜在生産高の持続的な落ち込みとして解釈したから。そうなってしまうのは、HPフィルターの想定により、そのような不況を経済の潜在生産力の見積もりに組み込んでしまったからだ。いまさら言うのも変だが、実際にはアメリカに莫大な過剰生産力があることは明らかであって、それを再び動かすのには需要が増えるだけでいい。
僕にしたら自明なことなんだけど、今、HPフィルターを使って、我々がすでに完全雇用にあるなんて主張してるやつらはそれとまったく同じ間違いを犯している。彼らはそれと知らず、結果として、答えを想定においてしまっている――潜在GDPを下回る長期の不況が決して起こらない場合にのみ機能する統計テクニックを使ってるってこと。
例のごとく、背後にある経済学的想定が適切な場合にのみ、統計的テクニックは素晴らしいものになる。そして、このケースでは、その想定は間違っている。
http://econdays.net/?p=6935
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