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Financial Times
為替介入のツケと向き合うスイス外貨準備が急増、為替市場の「新たな中国」に
2012.08.02(木)
(2012年8月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
欧州内の避難先通貨として人気があるスイスフラン〔AFPBB News〕
スイスフラン相場を安い水準に維持すると誓ったスイスが、その結果を突きつけられている。
スイス国立銀行(中央銀行、以下SNB)が7月31日に公表したデータによれば、同行のユーロ保有残高は今年第2四半期に急増した。避難通貨としてのスイスフランに対する大きな需要に対抗しつつ、1ユーロ=1.20スイスフランという上限の維持に努めたためだ。
スイスはここ数週間、外貨準備を急ピッチで積み増しており、「新たな中国」と揶揄されるほどになっている。スイスの外貨準備高は3650億スイスフラン(3740億ドル)に達し、中国、日本、サウジアラビア、ロシア、台湾に次ぐ世界第6位の規模になった。
フラン防衛でユーロ保有高が急増、「質の低い」資産を抱え込む恐れ
しかし、ここへきて、スイスフランの上限を防衛するコストが明らかになりつつある。SNBはフラン安政策を取っており、ユーロの購入をあまりにも急速に増やしているため、ユーロの売却がこれに追いついていないのだ。
重要なことに、SNBの外貨準備高に占めるユーロの割合は、第1四半期末の51%から6月末の60%に上昇している。アナリストたちはこれを、資産のバランス調整が難しいことにSNBが気づく前兆だと指摘している。
「スイスフラン紙幣を延々と印刷すればいいという理屈も確かにある。だが問題なのは、SNBがユーロ側で生じる結果をコントロールしていないということだ。彼らは、非常に質が低いと見なされている資産を抱え込む恐れがある」。シティグループの外国為替ストラテジスト、スティーブン・イングランダー氏はこう指摘する。
スイスの外貨準備の膨張は、比較的最近の問題だ。SNBがフランの対ユーロ相場に上限を設けたのは昨年9月のことだが、ユーロ圏債務危機が悪化した今年第2四半期まで、フラン防衛のためにユーロを買う必要はなかった。
実際、SNBが保有するユーロの大半は5月から6月にかけて積み増されたものだ。欧州内で資金を避難させようとする投資家の間でフランに対する大きな需要が生まれ、フラン相場を安い水準に保つためにSNBがユーロの大量購入に乗り出したのだ。
このユーロ買いはスイスフランの価値には反映されていない。今年4月の初め以降、フランの対ユーロ相場は例の上限を中心とした非常に狭い範囲内で推移しており、現在も1ユーロ=1.2010フラン近辺にある。
しかし、SNB自体の外貨準備高は6月に変化を見せ始めた。フランのレートを変化させないために、SNBは5月だけで600億フラン相当のユーロを購入したと見られる。
4年後に中国を抜く勢いの外貨積み増し
アナリストらの試算では、SNBは現在、ユーロを1日当たり30億フラン前後買っている。RBCキャピタル・マーケッツの為替アナリスト、エルサ・リグノス氏によれば、もしSNBがこのハイペースでユーロ買いを続ければ、同行の外貨準備高は4年後に中国のそれを上回る。中国は世界最大の外貨保有国で、その額は3兆2400億ドルに達している。
また、この目を見張るような外貨の積み増しは、SNBを外国為替市場における大きな勢力に変えつつある。SNBがユーロの保有額を減らして資産のバランスを調整しようとしているためで、多くの為替トレーダーはこの動きを先取りしようと試みている。
アナリストの見るところ、5月にユーロが最初に急落し始めて以来、為替市場で見られる一部の異様な動きには、SNBがかかわっている。
SNBは第2四半期に、「その他」通貨の保有比率を3%から4%へと引き上げた。SNBの定義によると、その他通貨とは、スウェーデンクローナ、カナダドル、オーストラリアドル、デンマーククローネ、韓国ウォン、シンガポールドルだ。SNBは、このうち最初の3通貨の最近の際立った強さの一因になっていると見られている。
それでもSNBの動きは、多くの人が予想したほど急ではない。多くのアナリストは、SNBがユーロの保有比率を50%に近い水準に据え置いたと考えていた。
直近の統計は、折しもほぼすべての投資家が保有しているユーロを手放している時に、SNBがバランスシート上に大量の「不良」資産を抱えていることを示唆している。
UBSの外国為替ストラテジスト、ジェフリー・ユー氏は、SNBはユーロを買うや否や売却することで「人々を苛立たせることがないよう努力している」と言う。SNBがすぐに売れば、単一通貨の下落圧力と撹乱要因を増大させる恐れがある。
また、SNBは他の中央銀行の頭痛の種にもなっている。スイスが外貨準備の調整に乗り出す中で、一部の中銀は自国通貨に対する需要増加に見舞われているためだ。「スウェーデンは今後、SNBを念頭に置いて金融政策を定める必要がある」とユー氏は言う。
外貨準備の調整でユーロの大幅安を招く恐れも
野村の為替アナリスト、ジェフリー・ケンドリック氏は、SNBはたとえこれ以上ユーロを買わなかったとしても、外貨準備の保有比率を第1四半期と同じ状態に戻すために200億スイスフラン相当のユーロを売る必要があると試算している。
これだけのユーロ売却は、ドルなどの主要通貨に対し、単一通貨を大幅に下落させる可能性がある。
By Alice Ross
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35806?page=3
アングル:
欧米の金融政策会合前に冷めた邦銀ディーラー
2012年 08月 1日 21:54 JST
[東京 1日 ロイター] 米連邦公開市場委員会(FOMC)、欧州中央銀行(ECB)理事会と、為替市場を動かす可能性がある材料を目前にしながら、邦銀ディーラーの間ではイベント後も主要通貨が現在の水準を大きく離れることはないとの冷めた見方が広がっている。
米長期金利の上昇が見込めないドル、金融・財政不安の収まらないユーロ、介入警戒の円と、それぞれポジションを傾けるには躊躇(ちゅうちょ)する事情を抱えているためだ。
<FOMCはノーイベントの可能性>
「FOMCの後もECB理事会と雇用統計を控えているので、あまり動けないかもしれない。意外にノーイベントで終わってしまう可能性もある」──。ある大手邦銀のディーラーはこう話し、ビッグイベントを控えている割には、大きな相場変動を予想していない。
外為市場では、ドラギECB総裁の「責務の範囲内で、ユーロを守るためにできることを何でもする用意がある。私を信じてほしい」(26日講演)という発言をきっかけに金融政策への期待感が広がり、リスクオンからユーロが買い戻される一方、ドルは米緩和観測がくるぶる中で上値の重さが目立っている。
こうしたなか開催されているFOMC。市場では、今回は追加緩和は見送られ、週末の7月米雇用統計を見極めたうえで、9月以降に何らかの対応に踏み切るとの見方が広がっている。
大和証券投資戦略部担当部長チーフ為替ストラテジスト、亀岡裕次氏は「何もなければ、多少、米金利やドルを押し上げるかもしれないが、引き続き追加緩和の可能性は残るので、反応としてはあまり大きなものではないだろう」との見方を示す。
<米金利は上昇見込めず、下値では介入警戒>
FOMC2日目の翌日にはECB理事会を控えており、相場展開が読みにくい。そうした中で手掛かりになりそうなのが米金利動向だ。一般的に緩和期待となれば、金利低下を通じて、ドルには下落圧力がかかりやすいが、緩和期待が投資家のセンチメントを下支えれば、逆に株高/金利上昇につながり、ドル/円をサポートする可能性がある。
JPモルガン・チェース銀行チーフFXストラテジスト、棚瀬順哉氏は「時間軸の延長やQE3示唆、あるいは実際のQE3実施発表などが米長期金利の低下につながれば、ドル/円に対する下落圧力が高まるだろう」と予想。仮にQE3期待が株価をサポートしたとしても、「QE3期待が残る中で米金利はそれほど上がらない」として、その場合でもドル/円の上値は重いとの見方を示す。
ある大手邦銀の金融派生商品(デリバティブ)担当者も「仮にリスクオンになったとしても、2年金利が上がらないのであればドル/円のサポートにも限界がある。緩和でスティープニングしたとしても、2─5年の金利が下がる方に影響を受けて、ドル/円はやはり下方向なのではないか」と同様の見方を示した。
市場では「ドル77.80円アンダーはストップが溜まっており、下に走りやすいことに注意する必要がある」(大手信託銀ディーラー)と下値不安を口にする参加者が目立っているが、77円台に入れば介入警戒感も強まりやすい。ドルは米金利低下の可能性という圧迫材料を抱えながらも、大きな下押しも予想されていない。
安住淳財務相は1日午後、行きすぎた円の動きにはあらゆる措置を排除しないとの姿勢を改めて示した。
<ECB対応でも単純にユーロ買いとはならず>
2日にはECB理事会が控えているが、ドラギ総裁の発言で政策対応への期待値が上がっており、具体的な措置が打ち出されなければ失望を招く可能性がある。
ある大手邦銀ディーラーは「証券市場プログラム(SMP)は完全に織り込まれていて、これはやるだろう。ただ、これだけ織り込まれているので、セル・ザ・ファクトになる可能性もある」と指摘。さらに「現在はユーロ売り/高金利通貨買いがトレンドになってしまっており、緩和姿勢の強まりでさらに金利が下がることになれば、ユーロ売りもあり得る。ECBが何でもやるから単純にユーロが上がるということにはならない」と厳しい見方を示した。
大和証券の亀岡氏もSMP再開となれば「為替相場全体ではリスクオンになりそうだが、国債買い入れは不胎化するしないの問題はあるにせよ、市場に資金を供給することになるわけで、ユーロ圏の金利を押し下げる要素になる。その意味ではユーロは大きく上がりにくいのではないか」と口を揃える。
もっとも、ユーロはショートが溜まっているだけに、前向きな対応があれば買い戻されやすい状況にあるのも事実。2011年8月にECBが国債買い入れ再開を表明したときは、スペインなどの国債利回りは2週間にわたって低下基調となり、ユーロも8月末にかけて底堅く推移する展開となった。市場では「これを踏まえれば、ショートカバーが目先続く可能性がある」(前出の大手信託銀ディーラー)との見方も出ていた。
ただ、その場合でも「1.25ドルまで戻れば御の字ではないか。根本的に問題が解決されない限り、いずれ頭が重くなるだろう」(前出の大手邦銀デリバティブ担当者)との見方が大勢だ。
(ロイターニュース 志田義寧 編集 橋本浩)
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http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE87000920120801?sp=true
恋愛と結婚の経済学
子供を不良債権化し家を崩壊させた日本の相続税
第3部:まだ離婚しない理由(4)「子供がいるから」
2012.08.02(木)
森川 友義:プロフィール
子供は結婚後に生じる最大の財産、「子供がいるから離婚しない」というのは至極当然の考えです。子供は何人いるのか、各々何歳なのかで、離婚への意思決定に影響を与えます。原則的に、子供の数が多ければ多いほど、子供の年齢は若ければ若いほど、離婚はしないものです。
子供が生まれると、妻の関心は夫から子供へ何の抵抗もなく移行が行われます。「あなた」は突然に「パパ」になり、現実的には夫も喜んで、父としての機能を優先させるようになります。
「子はかすがい」は理由として正鵠を射ているようだが・・・
子供は家の宝、国の宝だったはずなのだが・・・〔AFPBB News〕
男から夫、夫から父への移行と、女から妻、妻から母への移行は、くるくる代わる日本の首相交代劇のように自然に変貌しますが、それが離婚を機にママ、パパと呼んでくれる存在が突然いなくなる・・・。
確かに離婚を踏みとどまらせる理由のようには見えます。
今回のテーマ、「子供がいるから、離婚はしない」は至極当然の発想です。子供のために我慢、少なくとも子供が成人するまでは離婚はしないというのも理由としてはもっともと言えるかもしれません。
しかし、以下に挙げる2つの点をよく考えてみていただきたいと思います。まず1点目。「離婚はしないでください」と子供がお願いしたのでしょうか?
ほとんどの場合、言っていないと想像します。離婚のために我慢するというのは、「子供にとって母子家庭や父子家庭は良くない」と我慢している当人が勝手に思っているだけで、子供の意思決定ではないはずです。
子供に聞いたら「もちろんパパとママが仲良くしてもらって夫婦円満であってほしい」と願うことでしょう。しかし、もし前提条件であるパパとママが仲良くというものが実行されないのならば、果たしてそのまま我慢の連続である結婚は正しい姿なのでしょうか?
夫婦関係が悪く、子供前でケンカをするような状況になるとますます子供にとっては良くないもの、むしろ離婚してケンカしない状況の方が子供にとってはベターな選択かもしれません。
換言すると、離婚か結婚継続かの2択、夫婦仲が良いか悪いかの2択で考えて、「夫婦仲が良くて結婚継続」が最高であることは明らかですが、「夫婦仲が良くて離婚」は考えられないので、残る2つ、「夫婦仲が悪くて離婚」と「夫婦仲が悪くて結婚継続」の中では、どちらが良いのかは難しい判断です。
結婚を継続すると子供は「愛がなくなった冷めた夫婦」の典型を見ることにもなります。ケンカしたり、口をきかなくなったり、協力しなくなったりした、愛のない夫婦を毎日見ることになります。
子供にとって、どうしてその状態が「子供のために離婚しない」ということになるのでしょうか。
子供は現実逃避の口実=「認知不協和」
いずれにしても、子供に結婚継続か離婚かの判断を聞いていない以上、「子供のために離婚はしない」は屁理屈。「離婚に踏み切れない」自分を正当化するための口実に過ぎません。
第2に、上記のような心理状態を心理学では「認知不協和」と呼んでいます。
認知不協和とは「自分自身の中で相互に矛盾する要素が存在したときに生じる不快な状態」を指します。私たちはその矛盾と不快を解消するために、もっともらしい口実を口にします。言い訳ですね。
例えば、「大学生」という立場の若者が、「勉強しない」という行為をしていると、学生の本分は勉強ですから、矛盾するわけです。
本来なら、勉強することで矛盾を解決するのが正しい姿なのですが、実際にそうやって矛盾を解消する学生はいません。通常は人のせいにします。
「先生がつまらないから勉強しない」とか、「大学生で勉強している人はいない」とか、自分が何もしない方法で矛盾を解消するものです。
離婚の場合も同じです。「結婚している」という事実と、「恋愛感情がなくなった」という事実には矛盾が生じているわけです。あるいは「離婚したいけれど、離婚できない」という状況でもいいです。
2つの行為に矛盾がある。その矛盾を解消する方法として、自分を納得させる方法として、「子供のために」という口実が存在するのです。「離婚したい」という感情と「離婚できない」という感情を認めたら、立ち行かないですからね。
悩んでも答えが出てこないから、「子供のために離婚しない」というふうに思いこめば、とりあえずは不快感を抱かずに生きていけることになります。それは特に子供を育てる側の妻にありがちです。
昔に比べて減価著しい子供という「資産価値」
せっかくですから、「子供」という資産について、くわしく考えておきましょう。
読者の中には子供を持つべきかどうかに悩んでいる人がいるかもしれませんし、また子供が欲しいから結婚したいと考える人もいるかもしれません。ですから、「子供」という資産価値を明確にしておけば、子供を持つことの覚悟ができるはずです。
「子供」という資産、昔と今では様変わりしているのではっきりさせておきます。結論から言うと、子供を持つという資産が目減りしています。資産価値が減少しているから、少子化問題が発生していると言えるかもしれません。
話を明確にするために江戸時代における子供という資産と、現在における子供を対比させて考えてみます。
江戸時代における、子供の資産には主に2種類ありました。1つは、自分の遺伝子を50%共有して、子孫への遺伝子のバトンタッチする手段としての子供です。
そもそも恋愛感情の基本は、子供をつくらせるための情動である以上、恋愛感情に基づいて結婚するということには私たちは生来的に子供が欲しいという欲求があるということですから、本能として子供をつくるというものがあります。
もう1つの子供を持つ利点は、家の相続と家庭内労働力です。士農工商という身分制度があって、そう簡単には身分が変更できない時代では、子供は貴重な資産でした。
当時は「家」という単位で生きていましたから、家を継ぐ人が必要だったわけです。原則として長男が継いで、一子相伝して、残りの子供は、女は嫁に出て、男は商家では丁稚に出る、農家では小作人になる、武家では養子に出されるといった形で家督争いを回避してきました。
家が1つの小世界であったわけですから、小世界の労働力は自分が子供を産んで労働力として育てたわけです。
別の観点から言うと、お金が循環していたんですね、昔は。子供を産み育てるという投資は、将来の家の存続と家庭内労働力という形でリターンがあったということです。お金がうまい具合に循環していたのです。
高すぎる相続税が「家」を崩壊させた
しかしながら、現在では、「家」というものはほとんどの家族で存在していません。一部の上流社会ではかろうじて存在していますが、相続税がバカ高い日本では、家督を相続して「家」を守るということはほとんどできなくなってしまいました。
このような状況では、子供は家を継ぐ者でも、家庭内労働者でもありません。将来、一緒に住んでくれて、老後の世話や介護をしてくれることも保証されていないのです。ですから、単に、産んで育てて自分の遺伝子を後世にバトンタッチするだけのものです。
しかも子供への教育費が低かった時代なら問題がありませんでした。母乳で育て、学校も行かない時代であれば、最小コストで子供を育てることが可能でした。
現在では、義務教育があり、高校進学も当たり前となり、大学でさえ全入時代が到来したことで、小学校〜大学を考えると22歳まで、教育コストが大幅にかさむことになり、家庭にとっては大きな負担となりました。
義務教育では公立小学校や中学校に行く限りお金はそれほどかかりませんが、それでもピアノとかスポーツ教室などの習い事をさせたり、塾に行かせたりするとかなりの出費になります。
小学校から大学まですべて公立に行かせたとしても、最低でも750万円の投資はすると計算できますし、ましてや小学校から大学まですべて私立で、かつ習い事をさせるという前提で考えると、だいたい2500万円近くの投資になります。
この詳細は2回ほど先の「まだ離婚しない理由(6)」で述べます。
江戸時代と違って、お金が循環しない投資、これでは夫婦が子供を持たない選択をしたとしても、責められるものではありません。むしろ、子供は負債として考える方がしっくりきます。
さらに教育途上で、ドロップアウトしたり、家庭内暴力を振るったり、引きこもったり、さらには結婚しなかったりといった問題を抱えると、負債という形からさらに不良債権という形にさえなってしまうのです。
遺伝子のバトンタッチをしてくれなかったら、何のための子供なのかと親が考えたとしても、責められるものではありません。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35801
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