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インドネシア、2輪バブル崩壊
2012年7月31日(火) 伊藤 正倫
2輪車大国インドネシアの需要に急ブレーキがかかった。ローン貸し出し競争を抑えるための金融規制が背景にある。有望市場の変調で、2輪車メーカーは試練を迎えそうだ。
「ローンは無審査に近く、頭金がわずかでも各社は競ってカネを出すのだから、焦げつきますよ」と、インドネシア駐在の金融マンは諦め顔で話す。インドネシアの2輪車市場が「バブル崩壊」の様相を呈しているのだ。
国内需要5年分が1年で蒸発?
同国の2輪車市場は、年間販売台数約800万台で世界第3位。ホンダ、ヤマハ発動機など日本勢がシェアの9割超を握る“ドル箱”だったが、6月に始まったローン規制の影響で販売台数は急減。2012年の販売台数は600万台と、前年比で25%減との見方も出ている。日本の2輪車販売台数が年間40万台超なので、国内の約5年分の需要がたった1年で蒸発することになる。
今回のローン規制では、銀行が2輪車購入者に融資する際の上限額を販売価格の75%、ノンバンクは同80%に定めた。これまでは実質的に規制がなく、価格の90%超まで融資することも珍しくなかった。現地の2輪車の平均単価は10万円前後で、消費者は約1万円の頭金があれば購入できたが、頭金が2万〜2万5000円に増えるわけだ。
主な購入者である庶民にとっては大きい額だ。現地で営業する、りそなプルダニア銀行の宮本昭洋社長は「これまで月収の範囲内で頭金を用意できたものが、できなくなる」と指摘する。しかも、インドネシアでは2輪車購入者の8割がローンを利用している。
庶民の貴重な足であり、同国の主要産業でもある2輪車市場を冷え込ませることは、政府にとって本意ではないはず。それでも金融規制を導入したのは、冒頭の金融マンが語る通り、ノンバンクを中心にローン獲得競争が過熱し、看過できないほどに不良債権が膨張したという金融面の事情が大きい。
この金融マンは「頭金の少なさだけではない。採算を度外視で低金利を提示し、規制前から一部の2輪車向けノンバンクの収益は大きく悪化していた」と話す。無理な金利競争が不良債権の増加に拍車をかけたのだ。2輪車向けノンバンクでも、商社系など日本企業の存在感は大きい。
実は、インドネシアでは2輪車の世帯普及率が8割まで達し、あと数年で市場は成熟するとの見方が多かった。各社は、市場が頭打ちになる前に果実を得ようとローン競争に陥り、需要を先食いしてバブルを醸成。規制でバブルが一気に弾けたというわけだ。
「若年人口が多く、賃金上昇が続いていることを考えると、規制による2輪車販売の減少は一時的」(りそなプルダニア銀の宮本社長)との見方もあるが、楽観はできない。自動車が2輪車の地位を脅かし始めたからだ。
ローン規制は自動車にも適用となったが、6月の新車販売台数は10万台超と過去最高だった。資金力のある富裕層が主な顧客で「足元では規制の影響は出ていない」(アジア・パシフィック日産自動車の木村隆之社長)。多少の減速は予想されるが、2輪車のような落ち込みはなさそうだ。
日産の場合はむしろ、2014年に投入する低価格車「ダットサン」で、「これまで2輪車や中古車しか買えなかった所得のより低い層を対象にする」(木村社長)。2輪車から見て、ステータスがあり、担保価値が高い自動車との競合では分が悪い。ノンバンクも早々に主戦場を自動車に移す可能性がある。
経済が発展すれば、2輪車から自動車への需要シフトは不可避。だが、バブル崩壊でそのタイミングが早まったとしたら、日本の2輪車メーカーは次の有望市場が育つまで長い足踏みを強いられるかもしれない。
伊藤 正倫(いとう・まさのり)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120726/234933/?ST=print
スズキ、インド暴動の波紋
2012年7月31日(火) 張 勇祥 、 伊藤 正倫 、 香港支局 熊野 信一郎
スズキのインド現地法人で死者が発生する暴動が起きた。カースト制度などが原因に挙げられるが、景気減速やインフレへの不満も一因と見られる。同様の構図は「新・新興国」と期待が集まるバングラデシュやミャンマーなどにも広がる。
放火された建物に残る焼け焦げた机、フロントガラスが割れた乗用車。スズキのインド子会社、マルチ・スズキのマネサール工場(ハリヤナ州)に残る爪痕が、18日に起きた暴動の激しさを物語る。
同工場は年間生産能力が60万台に上る、マルチ・スズキにとって第2の生産拠点だ。昨年もストライキが繰り返し発生し、8万5000台の生産に影響が出た。マルチ・スズキの2012年3月期は減収減益だったが、生産減による機会損失もその一因だった。
製造ラインを管理するパソコンに被害が出たとの情報もあり、「操業再開のメドは立っていない」(スズキ)。スズキの株価は23日に1400円を割り込み、2009年来の安値をつけた。
労務管理の難しさが浮き彫りに
暴力を振るった労働者に下した停職処分に不満を持ち、暴徒化した労働者が管理者に暴行した今回の事件。事務所や守衛所に火が放たれ、工場の人事部長が亡くなっている。浮き彫りになったインドでの労務管理の難しさ。暴動の原因はまだ不明な点が多いが、カースト制度の存在を挙げる声は多い。
今回のケースでも、管理者が下位カーストの労働者を侮辱する発言があったとされる。普段の業務では問題とならなくても、何かのきっかけで大きなトラブルに結びつく危険性は常にある。
政治色が強く、頑強な労働組合の問題も大きい。インドでは中央、地方の政党と労働組合の上部組織がつながっており、複数の系統の組合が企業内に存在することが珍しくない。企業にとっては対話が難しいだけでなく、「政治的な対立構図がそのまま企業内に持ち込まれることもあり、労使間の話し合いが困難なケースがある」(デリーに進出している日系企業幹部)。労働組合の組織が共産党に一本化され、強い統制能力が働く中国と違い、民主主義のインドならではの事情だ。
マネサール工場のあるハリヤナ州は、スズキやホンダなどの自動車・2輪車関連を中心に日系企業が最も多く進出しているエリアだ。今回のように大規模な騒動も過去に起こっている。
例えば2009年、ホンダの2輪車工場や自動車部品工場でストが頻発。ある部品メーカーでは、労働者の死者が出たことに抗議する集会が開かれるなど、サプライチェーンが混乱した。周辺はインド随一の自動車産業の集積地だが、地方からの出稼ぎ労働者が多く、労務問題が難しい地域として知られる。民族や宗教、言語などで多種多様な人材が集まるためだ。
コスト低減のため、最近では契約社員を多く採用する工場もある。スズキの場合もそうだ。組合によるストの影響を抑えるリスク管理の側面もあるが、その一方で正社員との賃金格差が契約社員の不満の火種となる可能性もくすぶる。
新・新興国でもストなどが頻発
中国やインドネシア、タイなどでも同様の構図が繰り広げられていることは周知の事実になりつつある。ただ、最近では「新・新興国」として注目を集めるバングラデシュやミャンマーなどでも、労使間のトラブルが目立つ。
バングラデシュのダッカでは6月、賃上げを求める縫製工場の労働者と警察の衝突で多数の負傷者が発生し、300もの縫製工場が4日間にわたって閉鎖を余儀なくされた。同地に縫製工場を構える小島衣料(岐阜市)の小島正憲オーナーは「権利意識に目覚めた労働者が過度な要求を掲げているケースが少なくない。加えて野党勢力や共産主義を支持する勢力による工作の可能性も公然と指摘されている」と話す。
ベトナムでも6月、良好な労使関係を長年保ってきたキヤノンの現地法人でストが起きた。高止まりする物価への対応を求めたことが背景にあると見られる。ミャンマーでも縫製工場などを中心にストが頻発しており、日本企業も巻き込まれている模様だ。
人件費の高騰が続く中国を脱し、東南アジアやインドなどへの生産シフトを掲げる日本企業は多い。前提となるのは低いコストと高い経済成長、そして消費の担い手として台頭する中間層の存在だった。欧州危機が新興国の景気減速にまで波及しつつある今、このシナリオに変更が生じていないか再点検すべき時期に来ている。
インフレとルピー安で不満高まる
今回の暴動の背景は何か。企業の労務管理に問題があったのか。インド在住の自動車メーカー関係者が重い口を開いた。
インドでは、ストライキは日常茶飯事だ。日本から見ると「なぜこんなバカな要求で?」と思うことでもストが起きる。ただ今回のように、死者まで出る暴動は珍しい。現地でも驚きをもって報じられている。
労働者の給与への不満は今回の暴動の一因だろう。ほかの新興国と同様、インドでも格差が広がっている。もともと農村だった場所に工場が建ち、商業が発達して物価が上がると、賃金が追いつかなくなるケースもある。
インド進出企業にとって、人件費は頭の痛い問題だ。インフレだけでなく、目下、インド・ルピーは歴史的な安値圏にある。輸入依存度が高まっているガソリンなどが高騰し、国民の不満は小さくない。企業にとっても部材の輸入コストが上昇しており、どんどん賃上げできる状況ではない。
だが、理由をそれだけと考えるのは間違いだろう。インドで頻発する労働争議の背景には(1)賃金への不満(2)政治色の強い労働組合(3)労組間の勢力争い(4)経営陣のマネジメントミス(5)従業員の過度の権利意識――があり、これらが複雑に絡み合っている。労組のバックには共産党系などの政治団体がついているとされ、従業員は組合の口車に簡単に乗ってストを起こす傾向がある。労使交渉では、例えば「昼食にバナナを追加しろ」といったむちゃな要求も少なくない。
インドでは共産党勢力が強く、過剰なまでに労働者が保護されている。社内で窃盗を働いた場合、日本では懲戒解雇もできるだろうが、インドではまず無理。労務管理は時間をかけて従業員を教育していくしかない。ストは多いだろうが、日本企業だけが狙われているわけではない。ストには毅然とした態度が不可欠で、甘い対応では従業員の姿勢は改まらない。
スズキのマネサール工場は稼働が2006年と新しい。従業員も若く、教育は途上だったのだろう。最初に進出したグルガオンでもストがあったが、今では日本的な働き方が浸透し、ストは起きなくなっているようだ。
(談)
熊野 信一郎(くまの・しんいちろう)
日経ビジネス香港支局特派員。日経BP社入社後、日経ビジネス編集部に所属。製造業や流通業を担当後、2007年に香港支局に異動。現在は主に中国や東南アジアの経済や企業の動き、並びに各地の料理やアルコール類の評価、さらに広島東洋カープの戦力・試合分析などを担当する。
伊藤 正倫(いとう・まさのり)
日経ビジネス記者。
張 勇祥(ちょう・ゆうしょう)
インド北部の大規模停電で3億人超に影響、インフラ脆弱さ浮き彫り
2012年 07月 30日 20:05 JST
複数行がEURIBOR操作で情報提供、制裁減免視野に=関係筋
慎重に戻り試す日本株、外需減退や円高再進行に警戒感
日立4―6月期は営業利益2割増、中国減速で建機の通期予想は減額
関電12年4─6月期当期損益は995億円の赤字、原発稼働率ゼロが影響
[ニューデリー 30日 ロイター] インドの首都ニューデリーを含む北部で30日未明、大規模な停電が発生。3億人超が影響を受ける過去10年余りで最も深刻な停電で、同国が抱えるインフラ面の問題が改めて浮き彫りになった。
停電は現地時間午前2時頃に発生、朝のラッシュアワー時間になっても復旧しなかった。
関係機関は、病院や交通システムなどへの電力供給再開を最優先。正午(日本時間午後3時30分)までに、デリーやウッタルプラデシュ州の一部で復旧したが、ラジャスタン州、パンジャブ州、ジャム・カシミール州などでは夕方の段階でも配電が止まっている。
スシル・クマール・シンデ電力相は、数時間以内に全面復旧するとの見通しを示した。
停電の原因について、政府の経済企画関係高官は、ロイターに、石炭の不足など、いくつかの問題が影響したと述べた。
インドではピーク時に約12%の電力供給不足が発生しており、経済活動に影響が出ている。
インド国民の約40%にあたる5億人が電力不足に悩まされているが、新しい発電所の建設が遅れていることなどから、電力不足の解消が進んでいない。
*情報を追加して再送します。
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http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE86T04I20120730
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