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***激しいリストラを生き残った理由
「社内ではジャケットを脱ぐことが多いので、シャツにはこだわっています」
上質なシャツに身を包み、余裕のある口調で話すのは、外資系金融で働く根本雄一さん(仮名、30歳)。
リーマン・ショックで「これまで経験したことのない」ほどの人員削減の中、見事生き残ったうちの一人だ。「部署によっては半数以上が切られました。専門スキルが高い人が残りましたが、結局は、上層部の意向次第です」と話す。
現在の年収は約2000万円。だが私用でタクシーは使わず、デート代も安い店なら割り勘とお金にはシビアだ。
「上司のリストラを目の当たりにして一層、『お金を貯めよう』と思いました。今も仕事が保証されているわけではないので、稼げるうちに稼いでリスクヘッジにしたい」と、毎月月収の半分近くを貯蓄に回す。今、資産として目指す数字は5億円。
「出世や地位にはあまり興味がない。将来いくらもらえるかが大切なんです」
一方で「明日死んでも悔いのないように」と、先のことは考えすぎないようにしている。平日は毎朝8時から22時頃まで猛烈に働くが、ワインやゴルフといった趣味をたしなむほか、休暇は南の海でダイビングなどをして過ごす。
都心の高級マンション住まいの独身。高学歴、高収入であるだけに、近寄ってくる女性は少なくない。根本さん自身、「恋愛にもいつもエネルギーを傾けている」と言うように、合コンや異業種交流会、ホームパーティーなどに積極的に参加する。気に入った女性がいれば、彼自身が好きな花を贈り、「こんな素敵なメールはもらったことがない」と感動させる文言を工夫する。ここ一番と思えばディナーに10万円を費やすことも。気に入った女性に、初めて会った日に高級ブランドバッグをプレゼントして「失敗した」なんていう経験もある。
「遊ぶなら、若くて可愛いだけの女の子でもいいですが、結婚するなら自分の意見を持っている成熟した人じゃないと。頭の悪い女性は勘弁ですね」と根本さん。
前代未聞のリストラも潜り抜け、「超ポジティブで楽観的」と自身を分析する根本さんにとって、リーマン・ショック前後で大きな変化はないという。だが、結婚相手の条件は少しだけ変わった。
「以前は専業主婦もありかと思っていたんですが、やっぱり働かない女性は厳しいなと思いはじめました」と語る。
***所属する部署がほぼなくなった
実際、リーマン・ショックで非情なリストラにあい、働く妻に救われた外資マンがいる。滝沢裕紀さん(仮名、41歳)だ。2年ほど前までは、妻と2人で世帯年収にして約4000万円を稼ぐ、超高収入DINKSカップルだった。
2人が金融危機の前兆に気づいたのはサブプライム問題が顕在化してきた2007年頃。妻が働いていた外資系金融も08年春頃に状況が危うくなり、「万が一倒産したら荷物も容易には運び出せなくなる」という危機感から休日に車で妻の荷物をあらかた運び出しにいったという。幸い妻の会社は持ち直したが、滝沢さんの会社は大胆な人員削減を断行。所属していた部署自体がほぼなくなったほどで、「結局、上司も部下もいなくなってしまった」。
滝沢さんは専業主夫となったが、家計を一人で支える妻の年収は2000万円超。「生活レベルはあまり落とさずにすんだ」と語る。車も家も売り払ってしまった同業者もいることを思えば恵まれているのは間違いない。
週一回雇っていたお手伝いさんもやめ、今は滝沢さんがすべての家事を担い、妻の弁当もつくる。妻とは同棲を経て入籍したばかり。無職になってからの結婚である。
「よく籍を入れてくれたと思います」と滝沢さんは語るが、妻は「職がないことが結婚しない理由にはならない」と言ってくれた。
一人暮らしの頃は後先を考えず、お金があればあるだけ使う生活。外車に1000万円かけたり、車で通勤し、駐車場代を毎日数千円払っていた。しかし、資産形成に熱心な今の妻と暮らすようになって、少しずつ貯蓄体質に変わっていった。「妻がモノを大切に使う姿に心打たれました。とにかく堅実で、将来に備えて投資し、ものすごいポートフォリオを形成している」。
再就職も「焦らず前職と同じくらいの収入のところを探したほうがいい」という妻の助言もあり、この2年ほど、主夫の傍ら、自宅でコンサルタントなどの仕事を受けつつ機会をうかがってきた。市況が回復してきた今、やっと就職活動を本格化させはじめた。
「弱肉強食の外資の場合、本当に欲しければ前職と同等以上の年収を提示します。無職だと買いたたかれがちな日本企業とは違うんです」
***守れなかった部下、残る野心
滝沢さんには、前職で忘れられない苦い記憶がある。サブプライムで巨額のロスを出した会社は、優秀だった滝沢さんの部下の一人をリストラの標的にした。事をスムーズに運ぶため、直属の上司だった滝沢さんがつけた査定は、さらに上の上司によって勝手に低い評価に変えられていた。それを知った滝沢さんは上司に激しく抗議したが、逆にそれが滝沢さんの「寿命」をも縮める結果に。結局、部下とともに解雇されてしまった。
「権力を持つ人間を敵に回すと即刻クビにつながる。わかっていたつもりですが甘く見ていた。部下が再就職できたことがせめてもの救いです」
常にもっとよい給料、もっと上のポジションを求め、滝沢さんは20代からアグレッシブに外資を渡り歩いてきた。
「先のことはあまり考えず、30代まではずっと右肩上がりだった」という野心的な姿は、前出の根本さんに重なる。
だが、40の声を聞く頃、リーマン・ショックが重なり、「レバレッジをかけ続ける人生は限界」と思い知ったという。ただし、強い野心は形を変えて滝沢さんの中に残る。
「今度はちゃんと部下を守りたい。そのためにはもっと偉くならなくてはと思う」
未曾有の金融危機を生き延びた根本さん、失職した滝沢さん。どちらにせよ、常にリスクと隣り合わせの外資金融マンは、どんな状況下でも非常にタフなのだ。
若いうちは、人生にレバレッジをかけ稼げるだけ稼ぐ。限界は訪れるが、結婚や投資に対してもリスクヘッジに余念がなければ、下まで落ちることはない。高給を享受できる時代は過ぎたとも言われたが、賢い人は難局をもしたたかに生き残る術を身につけているのかもしれない。
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