http://www.asyura2.com/12/hasan77/msg/184.html
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http://markethack.net/archives/51832650.html
ビルドアップしてみて駄目だったなら、次は壊してみる他ない……有り体に言えば、それが今の世界の投資銀行の置かれた状況です。
1982年に米国証券取引委員会が「ルール415(=シェルフ・レジストレーション→いわゆる一括登録制度)」を導入して以来、トレーディング力が引受の勝敗を決めるようになりました。それは言葉を変えて言えば、バランスシート力の重要性が増したということです。
一方、英国ではビッグバンが起き、それまで特権化、徒弟化していた証券業にまつわるいろいろな免許が自由競争に晒されるようになりました。
これらの制度変更で、スケールの大きさを求める、投資銀行の軍拡競争時代の幕が切って落とされたのです。それ以来、投資銀行のビジネスは2008年のリーマンショックまで、肥大化の一途を辿ってきました。
しかし「大きすぎて、潰せない」ハンプティ・ダンプティのようなメタボ投資銀行がひとたびおなかをこわしたら、経済全体が悪臭プンプン状態になることが世間一般の人にもわかって以来、社会のメタボ投資銀行を見る目は厳しくなりました。
そこでそれらの投資銀行は最近、バランスシートのレバレッジを下げる努力をしています。
さらに短期のホールセール・ファンディングへの依存度も近年著しく低下しています。
しかし銀行の自己資本を拡充させる事に対する行政からの風当たりは今後も強いと思われます。それは「なるべく店内に証券の在庫を持たない」経営戦略へと方向転換を強いられることを示唆しています。
今後、債券でも「トレーディング・ルームの間引き」が起こると予想されます。
またLIBORスキャンダルは長く尾を引く問題になると思われますが、若し司法省から召喚令状が出るような事があれば、大陪審を通じて組織犯罪事業浸透取締法による起訴が議論されるなどの、最悪のシナリオも全く可能性ゼロとは言えないと思うのです。
その場合、銀行の信用に関するクレディビリティは粉々に粉砕されてしまいます。
現在のデリバティブ市場は、デリバティブ商品を組成する際に、一回、銀行のバランスシートでそれを請けるカタチで全ての商品がデザインされているので、金融機関のクレジット・レーティングが脅かされ始めると、全ての商品作りに悪影響が出ます。
言い換えれば、銀行のバランスシートがSingle point of failure(SPOF)になってしまっているのです。
このようにスケール・メリットが何の意味もなさない現状では、早く投資銀行を解体して、SPOFを避けることが最善の策となります。
メガバンクはオワコンだというのは明白であり、今は「早く小さくなった方が勝ち」という世界になろうとしています。(広瀬隆雄/抜粋)
■野村、バークレイズの二の舞いに(jp.wsj)
http://jp.wsj.com/Finance-Markets/Heard-on-the-Street/node_484645
野村ホールディングスと英バークレイズとの間にはあらがえないほどの類似性がある。いずれも世界のトップクラスの投資銀行になる野心を抱いていた。またいずれも破綻した米リーマン・ブラザーズの事業を引き継いだ。そして今、バークレイズも野村もスキャンダルで経営トップを失った。バークレイズのダイヤモンド前最高経営責任者(CEO)を野村の渡部賢一グループCEOとし、LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)をインサイダー取引と読み替えればいいのだ。
問題があることを認めるのは解決への第一歩となるはずだが、野村の苦悩はインサイダー取引よりも根深いものになっている。
規制当局は同社に対する制裁を発表していないが、経済界は既に、株式アンダーライター日本一の同社を避けるようになっている。
日本航空は最近、60億ドル(4700億円)を上回る規模になると見られる再上場をめぐり、グローバル・コーディネーター2社のうち1社から野村を外した。政府は日本たばこ産業(JT)株式の60億ドル以上の売り出しで野村を除外した。野村はこれまで、その国内顧客基盤の大きさから、日本企業の大規模株式売り出しでなくてはならない存在だった。 (抜粋)
■行き詰まった虚業金融
http://tamurah.iza.ne.jp/blog/entry/2772785/
現代金融とは、電子空間で創出されるマネーのやりとりのことである。そこは、神の手ではなく、強欲な人の手による操作が入り込むという重大な欠陥が明らかになった。それがLIBOR事件の本質である。それを防ぐ決め手がないとしたら、現代金融システムは崩壊せざるをえなくなる。事件の深淵はあまりにも深い。
今、ロンドン発で世界を騒然とさせているのは五輪に非ず、「LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)」不正操作事件だ。この耳慣れない金融用語は世界の標準金利である。日本の円の基準金利はTIBOR(東京銀行間取引金利)と呼ばれるが、円のLIBORはTIBORと連動する。いずれとも銀行業界団体が銀行が自己申告する金利の平均値なので、談合すればどうでも動かせる。
もともと、金融とは「チリも積もれば山となる」ビジネスで不正行為は絶え間がない。欧州では金貨や銀貨がお金の主役だった時代では、金銀貨を革袋のなかに入れて揺すって金銀の粉を袋に付着させ、かすめ取る金融業者が多かった。
銀行のデリバティブ契約規模は約650兆ドルに上る。このうち金利関連が500兆ドル以上で、円換算すると4京(兆の1万倍)円に上る。地球上で1万円札にして積み上げると月を通り越してしまう。金利が極めて微小、例えば0・01%変動するだけで、金融機関のデリバティブ取引は4兆円の利益または損失が発生する。米ゴールドマン・サックスを筆頭にデリバティブ部門収益が融資など本来の銀行業務の収益をしのぐ米欧の銀行もある。
そうみると、LIBOR不正操作の背景が見えてくる。ドルのLIBORの場合、18の銀行が申告し、このうち中間値に近い10行の平均値をとる。LIBORメンバーの銀行が申告値を実勢値よりも0・1%ごまかすとしよう。10行平均に直すと0・01%に薄まり、通常の変動範囲内に楽々とおさまり虚偽は発覚しにくい。
容疑のように大手銀行複数が談合すれば、操作は完璧だ。金利が急激に変動すれば、巨額損失を出す大手金融機関が続出して金融恐慌につながる・・「監視」どころではない。LIBOR事件は壮大な虚業金融の行き詰まりを象徴しているのだ。(田村秀男/抜粋)
■LIBOR、英重大不正捜査局もようやく本腰-米国も証拠提供
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M7SX6K6JTSEP01.html
7月27日(ブルームバーグ):国際金利の指標であるロンドン銀行間取引金利(LIBOR)など銀行間金利の不正操作に関与したとして、米司法省が複数の銀行のトレーダーを今秋訴追する準備を進めていることが関係者の証言で明らかになった。しかし、英国の検察当局は立件するかどうかの決定にまだ至っていない。
英銀バークレイズが過去最大の2億9000万ポンド(約356億円)の制裁金支払いに応じたことを受けて、英重大不正捜査局(SFO)は今月、刑事捜査に着手。オズボーン英財務相や野党労働党のエド・ミリバンド党首ら政治家も刑事捜査を要求しており、SFOはこの事案に対応する予算が割り当てられるとの通達を受けた。
英金融サービス機構(FSA)からの報告や米国の法執行機関からの情報提供にもかかわらず、SFOは1年余りにわたって捜査への関与を控えてきた。この問題を公に話す権限がないとして関係者の1人が匿名を条件に語ったところでは、米国側からの証拠提供は、昨年後半の段階で既に行われていた。
イングランドにあるウルバーハンプトン大学のアンドルー・ヘインズ教授(法学)は、「文化の違いも影響している。米国では経済犯罪が甚だしく重大と考えられるのに対し、この国では問題と見なされるものの、時として反応が鈍い」と指摘する。
SFOのデービッド・ジョーンズ広報官は、「刑事法廷に起訴すべき特定可能な違法行為が存在するかどうかの判断に至ることがまず重要だ。その答えがイエスなら、われわれは最大限のスピードで動き始め、正式な捜査チームを編成することになる」と述べている。
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