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野村も祟られた「ディック・ファルド氏の呪い」  バークレイズの二の舞い  経営刷新、グローバル展開を阻む可能性も
http://www.asyura2.com/12/hasan77/msg/177.html
投稿者 MR 日時 2012 年 7 月 27 日 20:04:40: cT5Wxjlo3Xe3.
 

野村も祟られた「ディック・ファルド氏の呪い」
Deal Journal
2012年 7月 26日 20:10 JST

 ディック・ファルド氏の呪いだろうか。

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Reuters
リーマン・ブラザーズのディック・ファルド元CEO(米議会公聴会で、08年10月)
 同氏が愛してやまなかったリーマン・ブラザーズを分割した投資銀行の幹部らがこの3週間に続々と職を失っている。

 同氏がCEOを務めたリーマンが経営破たんした後、野村ホールディングスがリーマンの欧州とアジアの事業を、英バークレイズが中核の米国事業を取得した。

 それから約4年、これらの案件に関与した幹部らがファルド氏と同様の憂き目にあっている。野村は26日、企業の増資情報を公表前に顧客の投資家に伝えていた問題の責任を明確にするため、渡部賢一グループ最高経営責任者(CEO)が辞任すると発表。柴田拓美グループ最高執行責任者(COO)も辞任する。

 今月3日にはバークレイズのロバート・ダイヤモンドCEOが、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の操作を同行が試みたことを理由に辞任を余儀なくされた。

 野村、バークレイズともに、辞任に追い込まれた幹部が資産買収の中心的役割を果たしたとみられている。野村の場合は英語が堪能な柴田氏が買収を主導した。もっとも、これら幹部を辞任に追い込んだスキャンダルは、いずれも自前のものだ。

 リーマンの資産買収により、より良好な成果を得たのはバークレイズの方だった。わずか17億5000万ドルで取得した証券事業は、バークレイズの当初からの事業に適合した。ただし、業界全体が低迷するなか、株価はリーマン買収時の半分の水準に落ち込んでいる。

 野村は買収後に困難に直面した。大枚をはたいて残留させた高名なバンカーらは、契約期間の満了とともに同社を去った。一部のトップバンカーは、プロダクトやITサポート、かつての米国の同僚からの洞察を懐かしみ、野村からバークレイズへと逃走した。バークレイズはそのうちの1人、シガービョルン・ソーケルソン氏を2010年にアジア太平洋地域の株式担当責任者に任じている。

 渡部氏の後任は、傘下の野村証券の永井浩二社長が兼務する。柴田氏の後任は、野村ホールディングスの吉川淳専務が指名された。米国とアジアで長年勤務した経歴を持つ吉川氏の起用は、野村が国際展開の野望を縮小させていないことのあらわれと捉えられている。

 野村の株価は、リーマンの事業取得を明らかにした時点から80%ほど低い水準にある。

[ディール・ジャーナル(Deal Journal)では大型M&A、資金調達、プライベート・エクイティ、倒産など、ウォール街のメインイベントをリアルタイムにリポート。市場が 開いている間は毎日更新され、独自の分析やコメント、データ、ニュースフラッシュを盛り込み「資産の所有者が代わる」現場を鋭く追う]

記者: Alison Tudor

【コラム】野村、バークレイズの二の舞いに
HEARD ON THE STREET
2012年 7月 27日 10:53 JST


 野村ホールディングスと英バークレイズとの間にはあらがえないほどの類似性がある。いずれも世界のトップクラスの投資銀行になる野心を抱いていた。またいずれも破綻した米リーマン・ブラザーズの事業を引き継いだ。そして今、バークレイズも野村もスキャンダルで経営トップを失った。バークレイズのダイヤモンド前最高経営責任者(CEO)を野村の渡部賢一グループCEOとし、LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)をインサイダー取引と読み替えればいいのだ。

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Bloomberg
 情報が漏れやすい日本の証券会社が増資に関する情報をその顧客に流していることは、以前から公然の秘密だった。規制当局は2010年、特に疑わしい一連の株価動向について調査を開始した。3件の増資でアンダーライターを務めた野村は6月、一部の従業員が非公開情報を顧客に漏らした可能性があるとしていた。

 問題があることを認めるのは解決への第一歩となるはずだが、野村の苦悩はインサイダー取引よりも根深いものになっている。

 リーマンから引き継いだ事業の統合は難しい―リーマンの一部の幹部は相反する企業文化を残していったのだ。利益は減少し、投資家が問題ある市場から引き揚げる中で4〜6月期では前年同期比89%の減益となった。ムーディーズ・インベスターズ・サービスは3月、ホールセール部門が懸念されるとして、野村の信用格付けを投機的等級の1段上にまで引き下げた。同社株は過去3カ月で25%下落し、下げ幅は平均株価の倍になった。

 規制当局は同社に対する制裁を発表していないが、経済界は既に、株式アンダーライター日本一の同社を避けるようになっている。

 日本航空は最近、60億ドル(4700億円)を上回る規模になると見られる再上場をめぐり、グローバル・コーディネーター2社のうち1社から野村を外した。政府は日本たばこ産業(JT)株式の60億ドル以上の売り出しで野村を除外した。野村はこれまで、その国内顧客基盤の大きさから、日本企業の大規模株式売り出しでなくてはならない存在だった。

 バークレイズと同様に、不安なのは野村の営業に長期的な打撃が生じるのではないかということだ。野村の情報漏れ体質はトップの首をすげ替えただけでは解決されないだろう。インサイダー取引を許してそれを放置するという企業体質は根絶されなければならない。野村のスローガンは「変化を作る」だ。同社はこの言葉に従わなければならない。

記者: James Simms

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野村の経営刷新、グローバル展開を阻む可能性も
2012年 7月 27日 11:09 JST 

 増資インサイダー問題に揺れる野村ホールディングス(HD)は26日、経営陣を刷新した。大胆な海外拡大計画の構築に携わった2人の幹部が退任することで、同社はグローバル展開の見直しを強いられる可能性がある。

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Bloomberg News
記者会見で考え込む永井浩二・次期CEO(26日、東京)
 トップ2人を辞任に追い込んだのは国内のインサイダー取引問題だが、同時に野村社内や投資家の間では、2008年にリーマン・ブラザーズの欧州・アジア事業を買収して以降、同社はパフォーマンスの低迷が続いているとの不満が高まっていた。

 26日の会見で永井浩二・次期CEOは、グローバル投資銀行としての「旗は下ろさない」と述べたうえで、グローバル戦略を再構築し、アジアを中心として市場や事業の選択と集中を大胆に行う意向を示した。

 野村証券の社長を務める永井氏は、8月1日付で渡部賢一グループ最高経営責任者(CEO)からトップの座を引き継ぐ。法人部門を統括する柴田拓美最高執行責任者(COO )の後任には、米国事業を率いる吉川淳専務が就く。

 渡部・柴田両氏は、同社が長年目指してきたグローバル金融機関化を実現するためにリーマン買収に踏み切った5カ月前の2008年4月に就任した。

 野村は先月、野村証券の営業担当者が未公表の増資情報を恒常的に漏えいさせていた可能性があると認めており、両氏はこの責任を取って辞任する。

 渡部氏に近い関係筋によると、同時にほかの5人の役員も退任するが、効率化を図るために後任は置かないという。

 規制当局はここ最近、世界的に投資銀行に対する取り締まりを強化している。英国では今月、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の不正操作疑惑を受けて大手銀行バークレイズのロバート・ダイヤモンドCEOとジェリー・デルミシエCOOが引責辞任しており、野村の人事に通じるものがある。

 国内では、株式発行を控えて一連の疑わしい株価の動きが見られたことから、規制当局は2010年にさかのぼりインサイダー取引の可能性について広範な調査を実施している。野村はこうした公募増資の3件で引受業務を務めた。同社は先月、内部調査の結果、社員が国内のインサイダー取引規定についてほとんど理解していないことに加え、情報の一般公開前に顧客に情報を流していた可能性があることが判明したと明らかにしていた。

 渡部氏は26日の会見で、情報漏えいに関わった可能性のある社員について調査を続けていると述べた。野村と国内投資銀行大手11社は来週、内部統制に関する詳細な報告書を金融庁に提出する予定になっている。

 事情に詳しい関係筋は、野村が利益を追求するあまりコンプライアンスが軽視されていたと指摘した。

 バークレイズ同様、野村のトップも当初は問題の重大さを認識しておらず、先月の発表では一部の営業活動を自粛するとともに経営幹部を減俸処分とする一方、渡部CEOの辞任は否定していた。

 インサイダー取引規制は取引によって利益を得た場合にのみ起訴することが認められており、野村は今のところ起訴されていない。

 しかし、この数週間で少なくとも日本企業8社が同社を主幹事から外しており、今年最大の株式案件になるとみられている日本航空の新規株式公開でも野村はグローバル・コーディネーターから除外されている。

 同社が26日発表した4−6月期の連結決算は、純利益が前年比89%減の18億9000万円となり、インサイダー取引問題と欧州市場の低迷による影響が浮き彫りになった。事前に予想されていたトップ人事の発表を受けて、同社株価は5.7%上昇した。

 今後は新経営陣がどう赤字の続く海外事業を立て直し、国内での信頼回復を図るかに注目が集まるとみられる。調査会社ディーロジックによると、野村はリーマン買収直後に投資銀行の売上高ランキングで世界9位を占めていたが、今年は15位に落ち込んでいる。

 ウォール・ストリート・ジャーナルが確認した吉川氏が社員に宛てた書簡では、過去3年間に欧州、中東、アフリカ、南北アメリカで成し遂げた成果を足掛かりに前進を続ける一方、赤字の続く地域での取り組みを強化する必要があると述べられている。また、向こう1カ月に経営陣は資本の再配分を検討すると記されており、野村が水面下でグローバル展開の動きを弱め、アジア市場に注力しようとしている様子が読み取れる。

記者: Atsuko Fukase、Phred Dvorak、Alison Tudor

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